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この三語で書け! 即興文ものスレ 第四幕

1 :名無し物書き@推敲中?:01/12/25 22:02
さっと即興、できて当然。
急いで書けや、締め切り近し!

お約束
1:前の投稿者が決めた3つの語(句)を全て使って文章を書く。
2:小説・評論・雑文・通告・??系、ジャンルは自由。官能系はしらけるので自粛。
3:文章は5行以上15行以下を目安に。
4:最後の行に次の投稿者のために3つの語(句)を示す。ただし、固有名詞は避けること。
5:お題が複数でた場合は先の投稿を優先。前投稿にお題がないときはお題継続。

前スレ:この三語で書け! 即興文ものスレ 巻之三
http://cheese.2ch.net/test/read.cgi/bun/1004525429/l50

2 :名無し物書き@推敲中?:01/12/25 22:04
現在のお題は「ハイリスク・ノーリターン」「春夏秋冬」「50年」です。

3 :名無し物書き@推敲中?:01/12/25 22:33
「ハイリスク・ノーリターン」「春夏秋冬」「50年」

タレントものではないそう売れやしない春夏秋冬もののカレンダーを一桁間違えて
刷っちまうなんてどうかしてやがる。そんなもの倉庫にでもいれておけばいいのに
なんとかして売れだなんて部長の野郎、生まれて五十年ちょいでもう呆けでも出ち
まってんじゃないだろうな。こんなものハイリスク・ノーリターンなんてもんじゃ
ない、マイナスにしかならないのにな。やっぱ奴は呆けた。今俺が決めた。
まあたとえ失敗したとしても俺には強みがある。まだ若いし転職先だって見つから
ないこともない。なにより奴の秘密を知っている。うるさく言うようだったらカレ
ンダーをめくるみたいに奴の頭に乗ってるカツラを衆人監視のもとで取ってやるの
だ。そして油性マジックで大きく「1」と書いてやる。
なんでも一番じゃなければ気に入らない奴のことだ。カツラがばれた奴にふさわし
い最初の一日になるに違いない。

次ぎは「ハイヒール」「大名行列」「モダニズム」

4 :勉強中(M:01/12/25 22:39
「人生50年、夢の如し」
と織田信長は唄いながら舞ったそうだが、
信長の生きた時代から500年近く経った現代でも事情は大して変らない。
最近は人生70年とやらで、あいかわらず我々は不必要に長生きなのである。
♪季節のない街に生れ〜...今日で全てが終わるさ...全てが始まるさ...
「春夏秋冬」という現代の人々に唄い継がれている歌にも、
人間の永すぎる寿命に対する戸惑いが見て取れる。
ところで信長の家臣だった明智光秀だが、
「本能寺の乱」とは、
史上稀に見るハイリスク・ノーリターンな革命だったと言えるのではないだろうか?

次:代議士・赤土・目覚まし時計

5 :名無し物書き@推敲中?:01/12/25 22:41
>4
「ハイヒール」ないですよん。

6 :名無し物書き@推敲中?:01/12/25 22:42
と思ったら前のお題だったか。

7 : :01/12/25 23:13
関連スレ
◆「この3語で書け!即興文ものスレ」の感想スレ◆
http://cheese.2ch.net/test/read.cgi/bun/1005641014/

俺は感想なんていらねえやぃ、べらんめい、と言う方は
「感想不要」の明記を投稿のどこかに。

8 :>>7のスレの1:01/12/25 23:50
感想不要な方は見ないでね。

>>7
気使ってもらってすみません、ほんと。

9 :代議士・赤土・目覚し時計:01/12/26 00:06
男の心臓は秒針の倍速で脈動している。呼吸も荒く激しい。
手には氷で作られたピックが握り締められており、
そこからは元は代議士のものだった鮮血がたれている。
その代議士はすでにこの世のものではなく、男の足下に無機的に蹲っていた。
男は不気味な笑みを浮かべ、持っていたナイフを無造作に床に放った。
それから自分が触れていた可能性のあるもの全て
―目覚し時計・ドアノブ・代議士のスーツの襟元・・・―の指紋を拭き取る作業をした。

玄関でワークブーツを履いたあとも気を抜かなかった。
靴から零れたであろう赤土を綺麗にすくいとった。
全ての行為を終え部屋中を見渡した男は己の殺人を正当化するかのように呟いた。
「これは完全犯罪だ。偉大なる芸術作品だ・・・」

男は玄関を出て、扉を静かに閉めた。
しかし、早く逃げればいいものをそこで立ち止まり、何やらドアに書きこんだ。
― by H.murakawa ―
そう、それは無意識に出た職業病。男は最後に己でしでかした事が命取りになるのだった。
男の生業は画家であった。

#次は「経常収支」「維新志士」「重曹」

10 : 9:01/12/26 00:09
>>1 新スレご苦労さん!

11 :名無し物書き@推敲中?:01/12/26 00:23
(目覚まし時計が、ない、ない、ない・・!)
男はかれこれ数時間、地面を掘り続けている。
爪は根元まで剥がれ落ち、指の皮は擦り切れてほとんど残っていない。
(私は、あの時計でなければ起きれないのだ・・!)
男は名のある代議士だった。
明日の寄り合いでは、彼を含めたグループの今後が決定される。
(眠いっ・・!眠いっ・・!)

さらに半時が経過した。
「あったっ!あったぞうっ・・!」
男は喚起の雄叫びを上げ、穴から頭を出す。
手には、赤土だらけの時計が握られていた。
(ようやくこれで、眠れる・・明日の会議は間違いなく成功だっ・・!)
男はそのまま、横になる。

時計は男の手の中で、静かに、時を刻んでいる。
他に動くものは、もうない。


 #「経常収支」「維新志士」「重曹」ですね。お邪魔さまでした。

12 :名無し物書き@推敲中?:01/12/26 01:51
「ハイヒール」「大名行列」「モダニズム」
「経常収支」「維新志士」「重曹」

私の先祖は維新志士の端くれだったそうだ。
田舎の小さな藩を脱藩して大都会の京や江戸、後の東京に出てきた彼は、
尊皇攘夷運動ではなく違う運動にはまってしまった。
岡場所や遊郭に入り浸るようになってしまったのだ。
そんな彼でも一応は維新の担い手として日本文化の新時代に貢献している。
病膏肓に入った彼は、ついに自分で遊郭を興すに至った。
彼は自分の遊郭では大名行列よろしく練り歩く花魁道中を廃し、
女たちには洋装させてハイヒールを履かせた。
建物はすべて洋風のビルヂング。これらの建築物のうち、
大正期に建てられたものはモダニズム様式の遺産として地元では有名だ。
彼の遊郭は現在ではもちろん風俗営業を行っておらず、
歴史資料館として営業している。私がその館長である。
私は毎日、古びつつある洋風建築の窓ガラスを重曹で磨きながら、
そして途切れることなく訪れる見学者(お客様)を迎えながら、
先祖が残してくれた貴重な遺産に感謝する。
国の経常収支は知らないが、私の資料館の収支はいつも黒字なのだ。

無視されたお題サルベージ。1さん新スレありがとう。
次は「山岳地帯」「リボン」「マスカラ」でお願いします。

13 :名無し物書き@推敲中? :01/12/26 03:18
ある山岳地帯のふもとの森で、少女は熊から逃げていた。
しかし、熊は少女を追いかけてくる。
熊は、少女の落としたリボンを渡そうと
必死で少女を追いかけていた。
熊を発見した時、少女は驚きのあまり声を出してしまいそうになった。
熊の手には、少女が髪に飾っていたはずのリボンが。
茶色く薄汚れた、2mはありそうな熊だった。
きっとリボンのにおいを頼りに、私を食べるため、探しに来たんだわ。
少女は泣きながら、なおも走りつづけている。
マスカラが落ち、少女の頬には黒い涙の跡がついていた。
熊は、少女の心情などつゆ知らず、必死に少女を追っている。

お嬢さん、おまちなさい…
すたこらさっさっさのさ……

次は、「フィルム」「センター試験」「ナマコ」
でお願いします。

14 :SF好き:01/12/26 03:49
「山岳地帯」「リボン」「マスカラ」
「フィルム」「センター試験」「ナマコ」

「こんなところにターゲットがいるのか?」
見渡す限り険しい山また山、こんな人口過疎地帯にターゲットがいるのか?
見習い死神として初仕事、夫は自分の転移結果に疑問を持った。
「あんたの転移、間違っちゃいないよ……多分ね」
ベテランもベテラン、創造神にすらため口を叩く死神の重鎮、
愛する妻の正体を知った夫は愕然としたものだ。
死神に資格試験があることも驚きだが、あの世でお受験とか教育ママ、
さらに受験対策の予備校まである始末だ。
目印はド派手なリボンとマスカラ、いやさらに性質の悪い変装をしているかも知れないと、
未だに現世の頃の習慣を引きずっていた。
手配書の人相書き、魂相書きの部分が空中に拡大、立体的映像として投影される。
「ほら、そこにいるよ」
上司の妻が指差したところには屈強な旅の戦士、見習い死神は手配書の人相書き、
魂相書きと見比べて唸っていた。
「しかし、手配書では女になってるが」
手配書には死ぬ瞬間の情報が書き込まれている。
「もう1度良く見てごらん。見習いが間違える原因の1つさ。
自信を持ちな、あたしが惚れた男なんだからね」
死神研修で学んだことを思い出しながら、特に紛らわしい注意事項で
あの戦士と手配書の女を比較していた。
「魔法で女に変身していた」
「ブー、変身は当たっているけど魔法じゃないよ。
魂の種類は4つ、1つ目は男(雄)、2つ目は女(雌)、
3つ目は分類不可能、4つ目は神の魂。
あいつは3つ目の分類不可能の1つ、簡単に言えば体は変態、
魂は性別なし、生まれ付きで変身可能なのさ。
お迎えに来たよ、強がっても無駄だ。
あんたの寿命は終わったんだから」
ニッと笑った妻、死期の訪れた人間には死神の姿が見える。
戦士は驚きの余りに変身を始めた。
血のように赤いリボン、趣味を疑う紫色のマスカラ、唇は不気味に蠢くナマコ。
「おえええーっ、変態だ!」
やれやれと肩を竦めた妻、死神の仕事はこの段階から始まるのだ。

#三語スレで無謀な死神シリーズ
#次は「苦悩」、「結晶」、「2足歩行機動兵器」

15 :名無し物書き@推敲中?:01/12/26 04:42
>>14
お約束として
「文章は5行以上15行以下を目安に」
というものがあります。

16 :名無し物書き@推敲中?:01/12/26 05:39
「苦悩」「結晶」「2足歩行機動兵器」

いま面接官が訳の分からないことを言った。
「あ……すいません。どういうご質問でしょうか」
「いやいや、そんなに真面目に考えないでください。というかむしろ、あなたがどれだけ
遊びのある考え方ができるかを知りたいんですよ」
第一志望の重機メーカーの、満を持して臨んだ入社面接だった。
質問の意味が理解できない。焦りのあまり冷や汗が顎から落ちた。こんなに大量の汗を流
したのは初めてだ。乾いたら塩分の結晶が取れるのではないかというほどの量だ。
センター試験で満点を取って東大工学部に入学した天才のこの僕が、友達とも遊ばずテレ
ビも見ず、勉強一筋の秀才のこの僕が、質問の意味も理解できないなんて。もう駄目だ。
苦悩と努力に満ちた僕の青春が、早送りのフィルムのように脳裡を流れていった。
「じゃあ、もう一度質問しますよ。あなたの専攻分野で2足歩行機動兵器の開発に応用でき
そうなことはなんですか? あまり本気で考えないで。ガンダムとかエヴァ作れたらいい
なって思ったこと、ない?」
「あの……。機動兵器とかエヴァって何ですか? 大学では習わなかったのですが」

次は「山茶花」「定年退職」「エレベーター」でお願いします。

17 :うはう:01/12/26 07:48
 定年退職後50年、古文の研究でその名を轟かせた教授にも
最後の刻が近づいた。
 ゆっくり、しかししっかりとした手つきで傍らの紙に書いたのは
 「山茶花がほしいな」の一行だった。

 「先生、今すぐ最高の山茶花を!」
 一番弟子の私は、病院のエレベーターに飛び乗り、静岡に旅立った。
 しかし、いかに静岡の山といえども、この時期に山茶花はなかった。

 茶のビニールハウスの業者を拝み倒し、ようやく持って帰った。
 100余年にもわたる教授の地道な生涯を象徴するかの様な、お茶の花。

 教授はそれを見て、初めて笑った。指がコトコト震えてた。
 病室の窓の外から、向かいの山のサザンカが見えた。

 ※急ぐとこんなの;
  次のお題は:「緑茶」「赤鬼」「黄金」でお願いします。

18 :「緑茶」「赤鬼」「黄金」:01/12/26 11:29
「絶対見つからないよぉ、黄金の山なんて」
弱気に言う青鬼を尻目に、赤鬼はクワを懸命に振り下ろしていました。
元々は、悪友の黄鬼が言った「三角山の北にある崖には宝がある」という
冗談めいた一言だったのでしたが、悪い癖で赤鬼はそれを本気にしてしまいました。
お日様もまだ低いうちから、赤鬼は青鬼を連れて山を駆けていき、
そして、もう夕方になったのに、赤鬼は掘るのをやめようとしません。
「ふー、休憩休憩」赤鬼はそう言うと、青鬼の手からヒョウタンをもぎ取り、
中の緑茶を飲み干しました。
「ねー赤鬼ぃ、そろそろお家に帰ろうよ。みんな心配してるよ?」
「馬鹿だなー。今僕らが見つけないと、黒鬼とかに取られちゃうかもしれないんだぞ?」
「でも…」
結局、また赤鬼は掘り始めました。
失意のうちに帰った赤鬼に次の日、「冗談だよ」とのたまった黄鬼が
目の下に大きなアザを作ったのは言うまでもありません。

☆次のお題は「聖女」「理論的」「兜」でお願いします。

19 :勉強中(M:01/12/27 08:55
「あたいの恋人はイエス様なの、こう見えて結構聖女なのよ」
M子はチャペルの石段に腰掛け、メンソールのタバコを咥えながら呟いた。
兜町で小さな事務所を営む私は、顧客の一人である神父を訪ねた際彼女と知り合いになった。
彼女は派遣会社から掃除婦として教会に送り込まれているのだった。
神父を訪問した際、帰りがけにこうして彼女と話す時間を私は愉しんだ。
「あの神父は神に仕える身でありながら、
僅かな株価の変動で不機嫌になり私を怒鳴りつけたりするのよ」
M子はよく嘆いていた。
私の方がよっぽど「聖」だ、と言いたかったらしい。
それはそれなりに理論的ではあるな、と私はM子に賛成したが、
「あんたみたいなのがいるからあたいのイエス様はふてくされちゃったのよ」
と私を睨んだ。
今夜、M子を食事に誘いたいが、さてどう切り出すか....

次「印鑑」「眼鏡」「電卓」で

20 :名無し物書き@推敲中?:01/12/27 11:13
印鑑と眼鏡と電卓が主人の目を盗んで旅に出ました。

「なあ、俺たちの中で一番大事にされているのは誰だと思う?」
と象牙の印鑑がたずねました。するとべっ甲の眼鏡が答えます。
「決まってるじゃないか。この美しい模様!それは僕だよ」
「いやいや眼鏡君、君は象牙の価値を知らないな」
「でもこの台湾製の電卓じゃないことだけは確かだ」
「そりゃそうだ」
「あははは」

黙っていた電卓が言いました。
「じゃあご主人様のところへ行ってみよう。
二人とも、ご主人様が自然保護団体の偉い人だって知ってるかい?
とても計算高い立派な方なんだよ」

21 :名無し物書き@推敲中?:01/12/27 11:25
お次。
「無頼」「案」「姪」

22 :松本祥宏:01/12/27 12:40
今年の阪神タイガースの外人補強選手はブライアンとメイ!






































23 :無頼・案・姪:01/12/27 19:42
時は文久二年。
武蔵野の荒野を一人の無頼の徒が闊歩している。
眉目秀麗で頗る美男子なれど、この男が持つ独特の冷徹さは衆人の恐れるところであった。
しかし、そのような人間でも恋はする。
今この男が向かう先は、己の惚れたおなご、下級武士・沢井現十郎の姪、おこうの元だった。

男は無遠慮に格子戸を開けた。
「あら、どうしたの?」
「お、俺はおまえに惚れておる。しょ、おまえと所帯を持ちたい」
「いきなりなによ。あなたは只のならず者じゃないの。私は武士でなければ添い遂げません」
「武士の身分になればいいのだな」
「ええ。なったらもう一度ここにいらっしゃい」
男は軽く頭を下げると、踵を返しもと来た道へ去っていった。

翌年、男は上洛することになる。
だが、その目的は決して幕府に忠義を立てるなどというものではなかった。
只一心に武士になるために案じた結論であった。おこうを得る為に。
男の名は土方歳三といった。

#次は「マント」「薔薇」「リアス式海岸」

24 :「マント」「薔薇」「リアス式海岸」:01/12/27 21:34
青い薔薇、というのは不可能の代名詞とされてきた。水色や
紫といった色なら存在するが、薔薇には青が存在しない。青い
薔薇を作り出すことができれば、巨万の富を得ることができ
るだろう。しかし、交配を繰り返すことにより青い薔薇をつく
ることは限界がある。薔薇にはもともと青を発色するような色
素が存在しないのだ。
 そこで、バイオテクノジーの出番となる。提案されている
方法はいくつかある。ひとつは花弁のpHを上げ、アルカリ性に
なるように操作すること。青い朝顔の花弁もまたアルカリ性な
のだ。
 もうひとつは、フラクタルを利用することだ。リアス式海岸などに
見られるような、図形の一部を拡大するともとの図形に相似の部分が
現れるのがフラクタルだ。この再帰的な連続性を遺伝子配列に取り入
れることで薔薇を青くすることができると言われている。
 最後は、魔法を使うことだ。マントをかぶり、左手に持ったシルク
ハットに右手を入れる。目をつぶってごらん。3、2、1、ほら!

#信じないように。
#次は「リキュール」「やじろべえ」「工事」

25 :名無し物書き@推敲中?:01/12/28 02:13
「リキュール」「やじろべえ」「工事」

見栄はって事務所に作りつけたバーカウンターで酔っ払う俺の目には、あらかた飲み尽くし
たリキュールの空き瓶が並ぶ様子が映っている。でもその視野の片隅に、「工事中」と書か
れたクライアントのサイトが表示されたモニタも映っている。工事中でなくするのはWeb
デザイナーである俺の仕事だ。そして納期は明日だ。酔っ払ってるわけにはいかない。
俺は飲むのを切り上げてモニタに向かって仕事を始める。するとその視野の片隅に、飲みか
けのグラスがカウンターに乗っているのが入る。ちょっとだけ、あの一杯を飲み干すまで。
俺はカウンターに戻ってグラスを傾ける。いやいや、こんなことをしてる場合じゃないぞ。
俺はモニタに向かい直す。なんだか喉が乾いたな……。カウンターへ。いやモニタへ。
えい、くそ。気分転換に、同業の友人に電話をかけて愚痴をこぼしてみる。
「仕事をすると酒が飲みたくなる。酒飲んでると仕事しなくちゃと思う。俺ってつくづく、
あまのじゃく。そう思わない?」
「いやむしろ……やじろべえでしょ」

次は「出資」「迷宮」「真空パック」でお願いします。

26 :「出資」「迷宮」「真空パック」:01/12/28 02:23
 民間第一号のスペースシャトルが飛び立ってから、十数年。
本格的な宇宙観光時代の幕開けに、俺はクルーとして立ち会う
ことができた。最初の出航は某食品メーカがスポンサとなって
出資し、参加者を無料で募って行われた。
 すべてが順調に進む、はずだった。
 しかし、わずかな起動計算のずれから、隕鉄と衝突してしまい
動力系をやられた。どこからか空気が漏れているらしく、このまま
じゃ真空パックだ。エマージェンシィランプがめまぐるしく点滅し
客は不安な顔を見合わせる。
 俺はコクピットと客席を往復しながら、自分の不運をのろった。
いったい、人類は何をやってきたのだろう。宇宙という迷宮のほんの
入り口を知っただけですべてが分かったような気になって、観光船を
だし、あげく立ち往生だ。
 客の苦情を船長に伝えるべく、コクピットの扉を開ける。操舵士の
冷や汗がさっきより増えているのが分かった。

#つぎは「富豪」「符合」「符号」

27 :名無し物書き@推敲中?:01/12/28 02:38
「富豪」「符合」「符号」

税理士がついに白状した。
老富豪の自宅から押収された、意味不明の符号の羅列が記された帳面は、
思ったとおり裏帳簿を読解するための暗号表だった。
税理士の証言のもと暗号解読が行われ、裏帳簿の再構成が行われ、
老富豪の脱税額が明らかになった。これも思ったとおり、
こちらが予想していた脱税の額と、ピタリと符合した。
高齢で余命いくばくもない老富豪がひょんなことで死ぬ前に、
脱税を認める証言を自らの口で吐かせてやらねばならない。
間に合って良かった。
「よし、ひっぱってこい」
ただちに老富豪が呼び出され、我々はすべての証拠を突きつけた。
「おいじいさん、これでもとぼける気か。なんとか言ってみろ」
「ふ……ふご、ふご、ふご」
だめだ、じいさんボケちまってるよ。

次は「空き地」「輪ゴム」「警鐘」

28 :名無し物書き@推敲中?:01/12/28 14:23
耳元をかすめた輪ゴムに正直、竹山の金玉は縮み上がっていた。
突撃しようとした意気を殺がれ、土管の後ろに再び隠れて襲い来る弾丸の荒らしをやり過ごした。
「くそっ、物量作戦かよ。花田の野郎、金にものを言わせやがって……」
無限とも言える数の輪ゴムを次々に放つ敵に対し、竹山達の武器は新聞紙で作った太刀のみ。
それに陣取っている場所も悪い。
花田達は戦場の北側、空き地の道路沿いを自陣に選んでいるのに対し、
竹山達は退路のない空き地の南側に潜んでいるのだ。
敵はいざとなれば豊富な資金力を用い、近所の池田雑貨店にて大量の物資を購入することが出来る。
だがこちらはすでに弾を撃ち尽くし、近距離用の太刀を持って隠れなければならないほどのジリ貧。
勝負はすでに見えていると、花田達は思っているかもしれない。
しかし竹山の目には二つのものが映っていた。
自分達の勝利、そして空き地の東に位置する大きな樫の木が。
「行くぞ、全軍突撃ー!」
竹山が合図を出す。土管の中に隠れていた霜野と是沢が太刀を持って突き進む。
「甘いわ、竹山! 銃士隊銃撃用意、一斉射……何?」
「命はもらったぞ花田ー!」
「これが侍の魂じゃ、うけてみいやー」
「うぉぉぉぉぉっ!」
樹上に隠れていた立野、植木、桃城の三人が地面におりて銃士隊に特攻を仕掛けた。
虚をつかれた花田だったが、すぐに、
「全員抜刀しろ! 接近戦で迎え撃つ。これで決めるぞ!」
皆に檄を飛ばし、動揺で部隊が崩れる前にまとめ上げた。
花田に従う五人はすぐさま新聞ブレードを抜き、向かい来る敵に対し構える。
「しねやぁぁ!」
「させるかぁぁ!」
敵味方入り乱れての乱闘が始まった。一対一の男の勝負が五組。
その中で、花田はしきりに辺りを見回していた。
「どこだ竹山! 隠れてないで出てこい!」
「行くぞ花田!」
竹山が怒声に包まれた戦場を駆け、花田の数メートル手前で飛び上がった。
太刀を大上段に構え、一撃必殺の唐竹割を繰り出すつもりだった。
「……俺の勝ちだな、竹山」
花田がにやりと笑った。手に持っていた剣を落とし、ズボンの後ろから何かを取り出した。
――マグナム!
それは強力なバネで小さなプラスティック弾を打ち出す、軍事協定で禁じられた兵器。
威力は輪ゴム鉄砲の十倍以上。なりふり構わず、花田は勝利を手にしようとしていた。
――奴なら間違いなく引き金を引く。
竹山の中で、何かがしきりに警鐘を鳴らしていた。
だが、部隊長として、男として、逃げるわけには行かなかった。

空き地に銃声がとどろいた。

次は「紅葉」「散歩」「パチンコ」

29 : :01/12/28 16:52
面白いけど、長いって!

30 :28:01/12/28 20:16
すまない。

31 :踊るボボ人間:01/12/28 22:58
紅葉」「散歩」「パチンコ」

 この間の台風はひさしぶりの大型台風だった。床下浸水なんかが各地で起こり、
僕の家も被害を受けた。
 不謹慎だけどこういうものに対して僕はどこかドキドキした気持ちを感じてし
まう。日本に台風がくるのは半ば常識といってもいいのだけど、それでもいつ
もとは違う何か非日常的なものがある。日々の生活に退屈さを持っているから
なおさらそう思うのかもしれない。
こんなことが言えるのも昔とは家の頑丈さが違うからなのだけど。
 雨が上がってカラッとした天気になった次ぎの日、僕はウキウキしながら散歩
に出掛けた。風で吹き飛ばされてちりぢりになった収集場のゴミやすっかり取
れてしまった薬局のノボリ、いろんなモノが道端に落ちている。それらは本来
あるべき場所から晴れて自由の身になったのだ。シンパシーを抱かずにはいら
れない。
 そんなことを考えながら歩いているととても大きな「パ」が落ちているのを
見つけた。何かと思った僕は辺りを見まわしてみた。と同時に笑ってしまった。
パチンコ店の「パ」だったのだ。実に楽しい。


#オチが読める、アンド下品ですまそ。
#次ぎは「パントマイム」「蜥蜴」「指輪」
#椎名誠って誰なんだー

32 :踊るボボ人間:01/12/28 23:04
上のなし!
お題入れ忘れた!

33 :踊るボボ人間:01/12/28 23:08
紅葉」「散歩」「パチンコ」

 この間の台風は秋にしてはひさしぶりの大型台風だった。床下浸水なんかが
各地で起こり、僕の家も被害を受けた。
 不謹慎だけどこういうものに対して僕はどこかドキドキした気持ちを感じてし
まう。日本に台風がくるのは半ば常識といってもいいのだけど、それでもいつ
もとは違う何か非日常的なものがある。日々の生活に退屈さを持っているから
なおさらそう思うのかもしれない。
こんなことが言えるのも昔とは家の頑丈さが違うからなのだけど。
 雨が上がってカラッとした天気になった次ぎの日、僕はウキウキしながら散歩
に出掛けた。せっかくの紅葉が散ってしまったのは残念だけど、風で吹き飛ば
されてちりぢりになった収集場のゴミやすっかり取れてしまった薬局のノボリ、
いろんなモノが道端に落ちている。それらは本来あるべき場所から晴れて自由
の身になったのだ。シンパシーを抱かずにはいられない。
 そんなことを考えながら歩いているととても大きな「パ」が落ちているのを
見つけた。何かと思った僕は辺りを見まわしてみた。と同時に笑ってしまった。
パチンコ店の「パ」だったのだ。実に楽しい。

執って付けた感じで悪いけど。

34 :「パントマイム」「蜥蜴」「指輪」:01/12/29 00:45
竹山くんが倒れてしまった。まさか本当に当たるとは思わなかった。空き地は静まり返った。
きっと大したことない、転んだだけだ、と僕は思った。
いやちがう。どうか転んだだけであってください、と思ったのだ。
僕らが固まったまま見守るなかで、竹山くんが立ちあがった。両手で目をおおって、声もなく、く
ねくねと体をくねらせた。なんとなくパントマイムみたいだったけど、竹田くんがふざけているの
ではないことは、よく分かった。目にあてた手の間から、赤い血がたれていた。
それから竹山くんはまた倒れて、聞いたこともないような大きな声で、泣きはじめた。
「うわああ、俺しーらねーっ!」「俺もしらねーっ! 花田のせいだからなーっ!」
いっしょに遊んでいた友達が、みんな空き地から走って逃げていってしまった。
持っていた空気銃を投げすてて、おそるおそる竹山くんに近よって、声をかけた。
「た、竹山、大丈夫かよう……」
転げまわって泣いている竹山くんの顔のまわりに、水たまりができていた。あわてて逃げていく蜥
蜴が濡れていた。それを見たとき、頭の中が熱いような、ぱんぱんにふくれたような、変な感じに
なって、なにをどうしていいのか、わからなくなった。
どうしよう……。目の弁償って、いくらぐらいするのかな。うちにそんなお金あるかな。お母さん
の指輪売ったら足りるかな……。
友達が雑貨屋のおじさんを連れてくるまで、僕はぼんやりと立っていることしかできなかった。

お次は「シャワー」「どんぶり」「朱肉」でよろしく。

35 :「パントマイム」「蜥蜴」「指輪」 :01/12/29 00:47
 ステージの上からわたしはパントマイムで何かを伝えようとする。
本番になれば数千人の客が入るホールも、リハーサルの今は
舞台監督を始めとする数名が座っているだけだ。蝶々のように可憐に、
蜥蜴のようにしたたかに、と監督の言葉を思い出す。
 いけない、思い出す、ということ自体が役に入りきっていない証拠だ。
監督のほうをちらっと見ると、隣の脚本家と難しげな顔で言葉を
交わしている。集中しなければ。
 わたしはパントマイムを続ける。踊り続ける。視線はどうしても
監督に向かう。そのたびに、集中しなければ、集中しなければ
と自分に言い聞かせる。舞台を横切りターンを決める。一瞬だが
また監督が視界に入る。集中しなければ。

 こんなことなら、リハーサルが始める前に監督に聞いておけばよかった。
「その指輪、どうしたんですか。」
結婚するってほんとうですか、それぐらい聞いておけばよかった。

つぎは「猫」「失敗」「ストライキ」

36 :「パントマイム」「蜥蜴」「指輪」 :01/12/29 00:47
>>35
かぶった。
次は
>>34の「シャワー」「どんぶり」「朱肉」で

37 :「シャワー」「どんぶり」「朱肉」:01/12/29 01:46
 石けんを何度も何度も体にこすりつける。
 熱いシャワーの下で、俺は今日の全てを洗い流すように、ゴシゴシと体をこすり続けた。
「今日こそは何があってもハンコ押して貰うからね」
 離婚届けの横に朱肉まで用意して待っていた里奈。
 可愛いい里奈。俺の里奈。どうして俺から離れようなんて言うんだ?
 俺が他の男にお前を渡すとでも思っていたのか?
 さっぱりした体で風呂場から出ると、俺はゆっくりと台所の扉を開いた。
 里奈はさっきの窮屈な姿勢のまま、洗い場の中へ顔を埋めている。
 首筋から流れる赤い血が、洗いたてのどんぶりに赤い水たまりを作っていた。
 可愛い里奈。もうお前は何処へも行けない。だからお礼にお前の願いを今こそ叶えてやるよ。
 俺はハンコをどんぶりに浸すと、ゆっくりと離婚届に押しつけた。


次は(せっかくだから)35の「猫」「失敗」「ストライキ」で。

38 :「シャワー」「どんぶり」「朱肉」 :01/12/29 02:23
飲み会の帰り、私とゆうたんは、真っ暗な商店街を歩いている。
遠くに見える自販機の蛍光灯が、やけにまぶしい。
「あ、あたし、あったかいお茶買うね」
マフラーを揺らしながら、自販機へ走るゆうたん。
その背中を見ながらのろのろ歩いていると、つま先に何か硬いものが当たった。
それは、筒状の、なつかしい感じの懐中電灯だった。色はベージュ。
お茶を買ったゆうたんが戻ってくる。私はくだらない事を考えた。
「だあぁ」などと、自分の顔の真下から、その懐中電灯の光を当てた。
「さっちゃん、今時そんなんでおどろ……おおぉ?」
その時、私の視点はどんどん低くなって、ゆうたんのパンツが見えた。
私の身長は十分の一になってしまったらしく、ゆうたんに部屋まで連れてきてもらった。
シャワーをあきらめ、どんぶりに注いだお湯で身体を洗っていると、
ゆうたんが朱肉を持って台所にやってきた。
「せっかくだからさ、さっちゃんのギョタク採ろうよ!」
そんなの嫌だと叫んだけど、ゆうたんの耳には届かないらしい。ぎゃああ。

#お題カブリですが書いた後だったんで投稿します。
#次のお題は>>35継続で。

39 :踊るボボ人間:01/12/29 02:58
「猫」「失敗」「ストライキ」

 奥さんの飼い猫の待遇に対しとうとう僕はストライキを決行した。
ことの発端はほかでも無い、僕が楽しみにとっておいたカニ缶を猫が勝手に食べ
てしまったのだ。大人気無いというかもしれないが、僕はなによりもカニ缶が大
好物なのだ。猫に食われたとなると怒るしかない。食べ物の恨みは恐ろしいのだ。
それなのに奥さんは猫をかばうのだ。いつだって奥さんは猫の味方だ。こうなっ
たらもう対決である。
 猫派は張本人の寝と奥さん。対する反猫派と言えば僕一人。これでは分が悪い。
そこで僕は猫と仲が悪い飼い犬を味方につけた。これで互角である。いい勝負が
できそうだ。
 常日頃思っている不満についてここぞとばかりに言った。俺のカニ缶を食うな、
奥さんは猫ばっかり可愛がるな、猫よりもっと僕に優しくしてよ、などなどである。
 結果は失敗に終わった。完敗だった。いつも尻に敷かれている僕に勝ち目なんて
初めからなかったのだ。相変わらず僕は猫なで声で奥さんのいいなりになっている。
情けない。


次ぎは「ダイビング」「コールガール」「低級霊」

40 :名無し物書き@推敲中?:01/12/29 03:15
「猫」「失敗」「ストライキ」

 ストライキ……というと会社がまっぷたつに割れて、労使でガンガン
ぶつかるイメージがある。実際は、組合幹部ならそうなのかもしらない
が、僕のような平組合員となると単に「暇なのもの」だ。
 「休日が増えてウレシイ」なんて考えたそこのキミ。それも間違って
る。実際は待機の部屋を組合が押さえておいてそこでひたすら待つ。た
だ待つ。とにかく待つ。だから、やたらめったら暇すぎる。

 僕はぼーっとして、ひたすら無駄に時間を消費するのはキライじゃな
いけど、これだけ暇だとさすがにお腹イッパイ。げーっぷ。今までは、
他の奴らと適当にダベったりしていたわけだが、それもネタがつき、皆
で同じような間抜け顔を並べている。その上にはなんとも云えない質料
感のある空気がズンと乗ってる。
 しょうがないので外に出る。待機室は1階だから、そのまま外の空気
を吸いに出る。一つ深呼吸をする。というか無意識にしてしまう。うっ
すらと冷えた空気を呼吸すると、今度は煙草が吸いたくなる。
 胸ポケットに手を伸ばすと、何故か反射的に首は逆方向に向く。自分
でも思うがなんの生産性もない変な癖だ。視界の隅に黒くて丸くてちっ
こいかげを見つける。

 「ちっ・ちっ・ちっ」
 しゃがんで、手で合図をして呼び寄せる。この黒くて丸くてちっこい
のら猫は、女子社員の人気者で、彼女たちがしょっちゅうエサを与える
ので、人間に対する警戒感がまるでない。
 素晴らしき野生を失った、哀れなのら猫である。代わりに人間に対す
る「媚び」というものが、天才的なまでに身に付いている。リクエスト
もしないのに膝の辺りにじゃれついてくる。ウイヤツジャノォ。

 「なぁ、オマエ。ホームレスのオヤジに邪険にされたりしてないか?」
 「にゃあ」
 されてる。ていうか、こないだ現場見た。
 ある意味ライバル。ある意味目の上のたんこぶ。
 「オマエのボスもナンか失敗すると荒れ狂うか?ちょっとしたことでも?」
 「にゃあ」
 それは自分の境遇だって。
 なにも出てこないと分かった猫はすたすたと行ってしまった。
 オマエさんのその才能、チョット分けて欲しいよ。

 と同時に、待機部屋からぞろぞろと人が出てくる。
 団体交渉は終わったようだ。シエスタの時間ももう終わり。
 課長に怒鳴られるルーチンな日常がまた始まる。

お次 「三」「七」「二十一」

41 :40:01/12/29 03:18
失礼!
長すぎ。そしてかぶり。

お題は>>39
「ダイビング」「コールガール」「低級霊」 でお願いします。

42 :SF好き:01/12/29 07:14
「ダイビング」「コールガール」「低級霊」

惑星国家の1つを崩壊させたと、太陽系連合軍を解雇された元仕官の男はフリーのトラブルバスター、
通称何でも屋として頭角を現していた。
今回の依頼主はコールガール、依頼はダイビングの指導と護衛。
どうしてコールガールのダイビングに護衛が必要な理由は何だと、疑問を持った。
「気にしない、気にしない」
我が儘なコールガールは借り物のヨットで休憩を言い出し、諦めて船室へ向かう。
無人の船室内から飛来したナイフとフォーク、皿などの食器類をビームソードでなぎ払う。
「実は低級霊から守って欲しいの。この前、犯されそうになって、あはっ」
依頼内容と雇い主を選べない自分の現状を呪い、愛用のデラメーターガンとビームソードで低級霊との戦いに挑んだ男は、
依頼料とは別に契約外の濃厚サービスで腰を痛めてしまった。

#次は「遺伝子操作」、「悪魔」、「美術館」

43 :「遺伝子操作」、「悪魔」、「美術館」:01/12/29 10:01
暗闇の中でグリーンに光るウサギが展示されていた。アート通なら周知の作品だ。
「やーん、かわいー」
歩美ちゃんは声を上げてその作品に見入った。やれやれ、子供丸出しだ。
といっても仕方がない、つい去年まで女子高生だったのだからな。
こほん。僕は美術サークルの先輩らしく、新入生の歩美ちゃんに解説してあげた。
「歩美ちゃん、これはGFPバーニーといってね、遺伝子操作されたウサギなんだよ。
特殊な光線下で光るように、体を改造されたウサギなんだ。
これをアートと呼べるのかどうかについては、美術的にも生命倫理的にも議論の最中でね。
アーティストを悪魔と呼ぶ向きもある。だから君も美術学生らしく、
軽々しく『かわいー』なんて言うのは控えたほうがいいね」
「へーそうなんだ。先輩って物知りなんですね」
歩美ちゃんの目に尊敬の色が宿っている。尊敬はやがて愛情に変わり、
そしてその愛情はやがて炎を発し、そして、そして、僕と歩美ちゃんは……
あらぬ妄想に耽っていると、美術館の学芸員らしい人がそっと僕に近づいてきて、
耳元でささやいた。
「このウサギはGFPバーニーに抗議するための作品で、蛍光塗料を吹き付けてあるだけです。
あなたも軽々しく知ったかぶりをしないほうがいい」

次は「腹痛」「実印」「ピッチング」でお願いします。

44 :踊るボボ人間:01/12/29 21:58
「腹痛」「実印」「ピッチング」

 年甲斐もなくはしゃいでしまった。
 小学3年生の息子と初めてキャッチボールをしたのだ。野球が大好きな息子は少年野球に
通っていることもあってピッチングも様になっていた。勢い良く投げたボールがグローブに収
まる瞬間の手の痛みはとても気持ちが良かった。
 家のすぐそばの河原。今、掌に痛みを感じている場所。昔僕はそこで一人遊んでいた。父
親は仕事に手一杯で子供にかまう時間なんてなかった。友達もいたけど僕はいつも一人だ
った。だけどそのこと自体に恨みはない。仕方の無いことだったし、僕も納得していた。「河
はやがて大きな海へと辿り着く」担任の先生が言っていたこの言葉のどこかに自分を投影
していた僕は河に近づくとでそのころ感じていた寂しさを紛らわしていたのかもしれない。そ
の場所で僕は今キャッチボールをしている。
 目の前の確かな光景、それは実印のようなものだ。ひとつの存在としてそこにある。僕は
しっかりと受け止めている。時間の流れは僕の幼い頃の思いを証明したのだ。今、実感とし
てまさにここにあるのだ。
 三日たって腰痛が起こったのだって苦にはならない。なぜなら今僕は幸せというものを知っ
たからだ。

次ぎは「モーニングコール」「野良猫」「アンビバレンツ」

45 :名無し物書き@推敲中?:01/12/29 23:44
ふらつく足下を助けるように太刀を杖代わりにしていた。
ずきずきと染みいるような痛みが、竹山の額のど真ん中でどっかり胡座を掻いている。
気を失っているのか、花田は地に倒れてぴくりとも動かない。
花田の、マグナムから吐き出された弾は見事に命中したのだ。一方で花田の額を割らんばかりに、
竹山の唐竹割も炸裂したが。
ともかく、戦争は終結した。どちらが勝ったとなどということはない。共に力の限り戦ったし、
それなりに楽しかった。それでいい、そういうことにしようと一同が頷き合った。
そして、隊長である花田と竹山はそれぞれ終戦の約定に実印を押し(もちろん本物ではない)、
花田のおごりによる打ち上げが開かれた。
チップスにペットボトルのジュースという質素なものだったが、敵味方に別れて争った級友達は
皆、空き地に腰を下ろして和気藹々と談笑していた。
このとき竹山は気づかなかった。自分が持つ紙コップを見て、花田が黒い笑みを浮かべていたことを。

「……っ、腹痛ぇ……」
突然襲い来る激痛。下腹部に言いようのない痛みを覚えて竹山はうずくまった。
その正面で、にたにたと花田は楽しそうにそれを見ている。その時、竹山の頭にピンとひらめく物があった。
「まさか……てめぇさっきの飲み物に……」
「ご名答。まあ、ただの下剤だ。死ぬことはないだろう。だがな……あまり俺をなめるなよ、竹山」
そう言い捨てて、花田はゆっくり空き地を後にしようとしていた。
――悔しい。悔しすぎる。こんなことで自分は奴に敗北を喫するのか? それは嫌だ。絶対に嫌だ。
苦しみの中で、竹山は必死に考えていた。どうにかして奴を……。
「……是沢、アレを出せ。持ってるんだろう?」
竹山の低い声に、ぽかんと呆けていた是沢がポケットから何かを出した。それは五センチほどの
球体。俗に言うスーパーボールだった。
「花田ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
それを受け取り、渾身の力を込めてのピッチング。球速はおよそ九十キロ毎時。軌跡はほぼ直線を描き、
花田の後方二メートルで地面に激突。
「何だ? 負け犬」
仰角約十九度で飛び出した魔球は寸分違わず、振り返った花田の股間に収まった。
悲鳴、絶叫、断末魔。抉るように打ち上げられた花田の金玉は持ち主に、男にしか分からないあの痛みをもたらした。
「ざまあ、みやがれ……」
力尽きた竹山はその場に伏した。彼の尻からは異臭が漂い始めていた。

翌日の学校で、竹山は皆から注目される人気者になった。

一応書いたので投稿します。
お題は次で。

46 :名無し物書き@推敲中?:01/12/29 23:46
ふにふにと隆行の頬を押す何か。恐る恐る隆行が目を開けると、それは野良猫の肉球だった。
――頼んでもないのにモーニングコールとは、公園のベンチってのはサービスがいいな。
仕方なく隆行は起きあがると、新聞紙の布団をきちんと畳んでくずかごに放り込んだ。
退散する親切な野良猫。よく見ると茶の虎猫のようだった。……どうでもいいが。

まだ日は昇っていないのか辺りは暗い。時計で確認すると午前四時十三分だった。
さすがに夏とはいえ、日の出まではもう少し掛かるだろうといったところだ。
暑くはないが、汗を掻いているTシャツは気持ち悪い。風呂に入ってさっぱりしたいと思うのは人情だ。
「さて、どうするかな……」
選択肢は銭湯に行くか、家に帰るかの二つ。
前者は金がないので選ぶことも出来ない。後者は……無理だ。
そもそも家に帰れるのなら公園で野宿などしない。新聞紙を布団代わりに寝たりしない。

しかし、隆行も本当は帰りたかった。安らげる空間の、優しい母の待つあの家に。
けれども、あの男はどうしても認められない。自分にも優しく接してくれる、人のよい継父は。
いや、本当は認めたいのだ。すごくいい人だとは思う。話していてもしっかりした人だと分かる。
だがそれが自分の父になるとすれば……話は別だ。

隆行は複雑な心のアンビバレンスを抱え、ベンチに座ったまま悶々としていた。
気がつくと、朝日がゆっくりと顔を覗かせていた。

次は「公道」「ポリスメン」「北口」

47 :「公道」「ポリスメン」「北口」 :01/12/30 00:19
 公道にはヒトの数十倍はあろうかという大きな生き物であふれかえって
いたんだ。
 ポリスマンは大きな生き物を取り仕切るので精一杯だ。大きな生き物は
知能は小さいらしく、一向にポリスマンのいうことを聞かない。充血したような
目でまわりの迷惑も考えずに突進する姿に、ポリスマンもお手上げだ。
いったいなにが起こったんだろう、大きな生き物は何しにきたんだろう、
ってポリスマンは北口のほうを見たんだ。
 したらばさ、串釣りにされた王蟲の子供が居たよ。

#ナウ○カ?
#次は「唇」「ブリザード」「鰤」

48 :「唇」「ブリザード」「鰤」:01/12/30 03:54
寒鰤礼賛

突き出しは蕪寿司。切り身を蕪に挟んで麹に漬け込んだ粋な一品。
脂の乗った寒鰤のお造りは、締まった歯応えの後のとろけるような舌触りが絶品。
焼き物はやはり王道、照り焼きで。絶妙のタレが鰤の淡泊な甘みを引き立てる。
煮物もやはり王道、鰤大根。鰤の旨味の染みた大根は、まさに燻銀の名脇役。
変わったところで鰤しゃぶもオツなもの。湯に泳ぐ白身は芸術の気品すら漂う。
アラも粕汁で余さずいただく。フトもよく焼いて醤油に付ければ酒がすすむ。
そうそう、酒を忘れていた。
ブリザード並の寒風に吹かれて戦う日本海の漁師に敬意を表し、
初めの一口は地酒をキンキンに冷やしていただきたい。
杯を唇に運べば、日本海の風雪が口の中にしのばれる。
あとは人肌で啜るもよし、熱燗で舐めるもよし、お好みのままで酔われたし。

#腹へった。次は「街道」「激戦区」「行列」で。

49 :「街道」「激戦区」「行列」:01/12/30 04:25
[街角ニュース]
 もっとも激戦区になるであろうと予想されるM大学の試験会場
には今年も多くの受験生が集まりました。受験会場のM大学
キャンパスの正門の前の街道には生徒たちを励ます父兄や教師、
M大学在校生の姿が多く見られました。
 高等学校のカリキュラムが大幅に変更された関係から、今年の
数学のカリキュラムは行列、微分、積分、複素数、確立統計の
五問から自由に三問を選択するという新しい形式に変更されました。
受験生は自分の得意な分野を生かして勝負をすることができます。

#「青白い」「黒電話」「豚コマ」

50 :名無し物書き@推敲中?:01/12/30 04:33
ちなみに>>40
「三」「七」「二十一」
ってのもあるんで、よかったら、どなたか。

51 :名無し物書き@推敲中?:01/12/30 14:43
>>50 じゃ取りあえず「三」「七」「二十一」で。

掛け算九九数え歌 三の行

三一が 三年勤めた会社、
三二が ろくな会社じゃなかった。
三三が 苦労のしっぱなし。
三四  自由に意見も言えぬ、
三五  銃後の内勤社員は、
三六  十把ひとからげ。
三七  二十一世紀にも、
三八  二次融資と取り繕って、
三九  二重質草借金まみれ。
三十にして立つ、今が辞め時。

お題は「青白い」「黒電話」「豚コマ」継続でどうぞ。

52 :「青白い」「黒電話」「豚コマ」「三」「七」「二十一」:01/12/30 15:34

 衛星軌道上を地球と共に周回し続ける宇宙港。宇宙まで船を上げるよりも効率的と建てられたが、
実際には物資を軌道エレベータまで運搬する費用の方が高くつき、次第に廃れていったものだ。
 クラシカルな黒電話が艦内に響く。現在残されているクルーは僅かに二十一名だけで、閑職や
左遷の修飾が頭に付く職場の志気は低く、誰も出る気配がない。
「由梨さん、お願い」
 ヤスリで爪を研ぎながら、青白いモニタの光を浴びながら薄ら笑いを浮かべる女性職員に頼むと、
彼女はむっとしながら電話に出た。
「課長、奥さんからです。七番ですよ」
「ここには掛けるなっていつもいってるのに、すまないね。……もしもし? ……帰りに長ネギと
豚コマ三百グラムだな。えぇっ、それも僕が買いに……ああ、わかりました。わかりましたよ」
 言葉尻に哀愁漂う課長が電話を切ると、それを見ていた課員がくすくすと笑う。
「またおつかいですか?」
 課長は苦笑を浮かべてそれにうなずいた。


#次は「ぬめり」「深夜」「アナグラム」

53 :「ぬめり」「深夜」「アナグラム」:01/12/30 17:56

警部がまたも手に余る事件を探偵のところに持ち込んだ。
ある伯爵の娘婿が謎の自殺を遂げたが、遺書もなく動機が不明というのだ。
「手がかりはこの写真一枚だけだ」
警部が示したのは、自殺の直前に撮られたと思われる一枚の写真。
猟銃を手にしたサングラスの男が、猟犬とともに写っている。
「彼が伯爵の娘婿。ハンティングが趣味だ」と警部。
「おや、夜ですね」探偵の指摘通り、暗い背景に青白い月明かりが写っていた。
「白夜だよ。北欧にトナカイ狩りに行ってたそうだ。それから裏を見てくれ」
警部は写真を裏返した。走り書きのメモが記されている。
『深夜黒電話。豚コマ三百グラム』
「筆跡は娘婿自身のものだ。しかし夫人が夜中に電話して買い物を頼んだ事実はない」
探偵は、警部の指のぬめりを写真から拭き取って詳細に眺め、口を開いた。
「警部、すぐに写真の猟犬を確保して、解剖の用意をしてください」
「ど、どういうことだね」
「簡単なアナグラムです。彼は死の秘密の隠し場所をこう記しています」

  深夜黒電話。豚コマ三百グラム
  しんや くろでんわ ぶたこまさんびゃくぐらむ
   ↓
  びゃくや ぐらさん むこ しんで わん たまぶくろ
  白夜グラサン婿死んで、犬玉袋

「ときに彼の相棒の猟犬くんは、オスでしょうな」

#長くてすみません。ちと苦しかったもので……。
#次は「野鳥」「ファスナー」「コーナー」で。

54 :53:01/12/30 18:04
白夜って明るかったですね(^^; 勘違いすみません。

55 :「野鳥」「ファスナー」「コーナー」:01/12/31 00:32
 ウェアのファスナを一番上まであげ、古いドカにまたがった。
イタリアの二輪、それも博物館にでも飾れそうな年代ものだけ
あってじゃじゃ馬娘ぶりは日本の貞淑なる二輪車とは比べ物に
ならない。
 目を瞑った。
 すでに練習走行中のレーサたちの音が響く。耳よりも心に響い
た。一年前にコケて依頼のレースだった。脳裏にコースのイメージ
を描く。ひとつめのゆるいコーナーは減速せずに、二つ目のコーナ
ーでは十分に車体を傾け……。
 三つ目のコーナーは、…。一年前、野鳥がいたコーナーだ。あの
いまいましい鳥を避けるために、俺は一年間の休養生活を余儀なく
されたのだった。指先に力がこもる。グローブ越しに、あの日の感覚
がよみがえる。指先にさらに力を。

 感じるのは、レースだけ。俺と愛しいドカだけだ。この一年で何を
失っただろう。スポンサ企業の信頼。走れない俺に失望して去って
いった、人間の女。
 ドカ、すさんだ心で走る俺を許しておくれ。もう俺は鳥を避けない。
そのかわりお前もシャンパンをかけてやる。

#次は「金融」「団子」「掛け軸」

56 :勉強中(M:01/12/31 07:08
「団子3兄弟」ではおいしい思いをさせてもらった。
あれは飲み会でのパフォーマンスにするつもりで創ったものなんだ。
タンゴと団子を掛け合わせたあんなオフザケが商業的にでっかく成功するから人生は解らない。
いまじゃ金融機関の営業マンがおいらを日参する。
ひねた成金は骨董趣味にはしる、と何処かで聞いたが、あれは正しかったな。
おいらはいま、武者小路の直筆だと云う南瓜の絵の掛け軸が欲しくってしょうがない。
昔は何百万もする骨董品を欲しがるセンスを嘲笑したものだが、
金持ちになってみると...欲しいんだなこれが。
さて、どの銀行の預金を解約するか思案するとしよう。

次:干し柿、CDラジカセ、つまようじ にて。

57 :ウルトラマンX:01/12/31 10:19
 CDラジカセの中で何かが回っていた。何が回っているのかは、とんと分からない。だが物凄い速さで回っていることだけは確かだった。
 近頃すっかり物忘れが激しくなってきたせいか・・・。いや、まだボケちゃいない。ただ周りから言われることは多くなった。
 確か・・・。ラジオとカセットが併わさって、ラジカセ。その辺りまではちゃんと時代に着いて行けていたような気がする。CDも、コンパがどうとかデスクがどうとか、長ったらしい名があったよぅな・・・。
 そうやって思考を巡らし始めた折、不意に口元が緩み、咥えていたつまようじがつぅと糸を轢いて垂れた。
 男勝りで出戻った長女、反面男にしては優し過ぎたのか行き遅れてしまった長男、やんちゃだが気の良い次男、産まれたばかり孫の顔が順に浮かび、在らぬ空を見上げたまま、お爺は至福の時をなだらかに超えた。
 なにやら懐かしいような音律が耳に心地良い。
 全て婆さんと出逢ったお陰じゃわぃ。
 今こうして茶碗相手に感慨にふける間もCDの中では急くように何かが回り続けている。
 なぁ婆さん。お爺は悪戯な笑みを浮かべて、言った。「すまんのぉお供えもんを」怒っとるか? 写真を覗き込み「婆さんも大好物じゃったからのぉ。・・・干し柿」
 仏壇では、婆さんが変わらぬ笑顔で「いいですよ。お爺さん」と頷いていた。


 次「お正月」「ピクルス」「賭場」でお願いします。

58 :うはう:01/12/31 10:33
 庭には、古いしぶ柿の木が一本だけ。
 おじいさんとおばあさんは、今年も、みじめな正月を過ごすしかありません。
 そんな時です、年老いた一人の旅人が宿を求めてやってきたのは。

 「ほんに、なんのもてなしもできませぬが・・・」
 旅人はそれでも喜んで、手持ち無沙汰なのでしょうか、暖炉の側で
しぶ柿を連ね、つまようじで端を留めて吊るします。

 旅人は何日も、何ケ月も、家にいたまんまでした。
 それでも、おじいさんたちはにこにこと旅人をもてなしておりました。
 「仲間がふえて、楽しいことじゃもんの」
 なぜか旅人は、あの、つるし柿の下を決して離れませんでした。
 「これにさわってば、なんね」と二人にも触らせません。

 ある寒い朝、旅人は「ありがとね」と旅立ってゆきました。
 柿を下ろしてみると、それはもう甘い香りが・・・
 「じさま、じさま、あのしぶ柿が!」「おお、なんと美味しい」

 その時! 虚空に声が響いた「これが、干し柿のはじまりなのです」
 昔話は終わった。沈黙したCDラジカセを前に、その子はなぜか呆然としていた。
 あのおじいさん、おばあさんはどこに行ったのか?
 二人のその後の生活は? それよりなにより、あの世界は?
 生まれて初めて接する「使い捨てされる世界」に彼は呆然と立ち尽くすのみであった。

 ※・・・なんかよくわからない;
 次のお題は:「時間」「戦争」「警察」でお願いします。
 (昨日の某TV番組に触発されてしまいました(笑))

59 :うはう:01/12/31 10:37
あわわ、かぶってます・・・失礼しました(^^;
お題は>>57さんの「お正月」「ピクルス」「賭場」でお願いします。

60 :名無し物書き@推敲中?:01/12/31 16:54
「お正月」「ピクルス」「賭場」
「時間」「戦争」「警察」

 浩はハンバーガをかじりながらカードに興じていたが、中に挟まれた
ピクルスだけを残すのは子供っぽくて賭場には似合わなかった。老けて
見えるが、案外少年といっていい年頃なのかも知れない。俺は浩が皿の
上によけたピクルスをつまみながら、彼の手札を覗き込んだ。止して下さ
いよ、言いながら彼は手札を自分の体によせ、俺の視線をさえぎる。
 お正月早々、冴えない手だった。さっきから数時間、負け続けているよう
だしもういい加減に持金も残り少ないだろう。要領の悪いタイプだ。戦争
なら最初のほうで死ぬような。
 案の定、浩の負けで1ゲームが終る。一瞬だが、泣きそうな顔をしたの
を確かに見た。どけ、と彼に告げ、無理やり代わってやる。たいていの
カードだったら俺は負けたことがない。
「おいおい、おっちゃん、いいのかよ」
浩と対戦していた相手が素っ頓狂な声をあげる。「おっちゃん、警察だろ。
ここを手入れにきたんじゃないのか」

#次は「すり鉢」「製作」「管理人」

61 :「すり鉢」「製作」「”管理”人」:01/12/31 18:22
 今日は二人だけの聖夜になるだろう。『俺』は壊れてしまいそうな動悸を押さえつけながら、さくらタン等身大フィギュアに筆をなぞってゆく。瞳はまだ無着色のままである。お楽しみは後に取っておく『俺』の気質のせいだろう。
 さくらタン製作が開始してからまる8ヶ月。"『俺』の腕枕の中で寝息を立てながら眠るさくらタンの寝顔を見る"。ついにその哀願が達成されるときだ。
「待っててネ、綺麗にお化粧できてから、君のその可憐な体を暖めてあげるよ。」
いつのまにか『俺』は空いた手で自慰をしながら筆を滑らせていた。
「お前、何そんなもん作りながらせんずりこいとんねん。」
聞きなれた声がドアのほうから響いてきた。玄関には『関西弁』が目を点にしながら突っ立っていた。『俺』はまだ絶頂に達していない一物をふためきながらズボンにしまい込んだ。おかげで理不尽なフラストレーションが溜まってしまった。
「そんなもんより、『大家』さんが管理人室に来いやって。お前、今月分また払ってないんちゃうかー?」
さくらタンに向かって そんなもん とは、なんてデリカシーの無い男なんだ。こんな鉄道オタクには純愛の素晴らしさなど一生涯理解できないだろう。
 さくらタン製作を中断して、『俺』はすぐ下の階にある『大家』の部屋に向かうことになった。用はなんだ。今月分の家賃は払ったはずだ。こんな冬の夜と、さくらタン製作がなかなか進まないこともあって、フラストレーションが急激に重なっていった。

 ドア越しに『大家』の部屋から無気味な音が立て続けに鳴っている。すり鉢で生きた小動物をすりつぶすような、鈍く重圧な音だ。
 『俺』はおそるおそるドアの横のインターホンを押した。返事が返ってこなかった。今度は2回連続でボタンを押す。返事は無い。この時、『俺』の憤激の扉が開く音がした。フラストレーションもアクメに達し、勢い良く管理人室の扉ノブを回した。
「一体何やってんだ!」
『俺』は『大家』の傲慢さに我慢できなかったのだろう。ドアを開けるやいなや、血の海に沈んだ『大家』の死体に向かって怒鳴りつけ・


次は→「独裁」「惨劇」「バニラアイス」

62 :「すり鉢」「製作」「”管理”人」:01/12/31 18:28
 ごりごりと、敦子はゴマを摺る。
 螺旋を描くゴマの渦の中に色々な光景が浮かんでは消える。
 減ってゆく店の売り上げ。辞めていった従業員達の悲しそうな顔。
取り立ての男達の怒声。バブルが崩壊し、店の売り上げはどん底までに落ちた。一時は和菓子界の新星、とまで言われるほど繁盛した店であったのに。その衰頽と同時に自分の情熱も萎えて行ったのだ。
 そう、彼女が和菓子の製作に情熱を燃やしていた頃もあったのだ。あれは遠い昔。まだ自分が若く、美しかった頃。
 どうしてもこの店を成功させたくて、若さも情熱も、そして恋人への愛も……すべてを犠牲にして菓子に取り組んでいたあの頃。
 もう数ヶ月家賃も滞納したままだ。ビルの管理人から五月蠅く立ち退きを迫られている。この店は自分そのものだ。若さを失い、後は老いてゆくだけなのだ。
 ごりごりと、敦子はゴマを摺る。
 すり鉢の中に浮かんでは消える過去にだけ、延々と話しかけている。

 次は「エンジン」「紅茶」「ル−ズリーフ」

63 :62:01/12/31 18:30
あ、ごめん!見えてた筈なのに入れちゃった……(恥)
すみません。61さんの
「独裁」「惨劇」「バニラアイス」で。

64 :「独裁」「惨劇」「バニラアイス」:01/12/31 19:18
 今宵、惨劇はかくして起こった。
 彼がまだ革命家と呼ばれていた頃には、その乱暴すぎる口調や残虐とも呼べる性格に憧れを覚えたものも多かった筈だ。権力に対抗する立場であれば、いささか非道な行動の数々も英雄胆として語られなくもなかった。
 だがいざ革命が終わり政治が民衆の手に渡ると……。
 民が次に求めたものは平和、そして安定であった。
 それは所詮彼が提供しうるものではなかったのだ。
 かくして彼が昔人民を引き連れて雪崩れ込んだ、その同じ館、同じ晩餐の食卓に、彼を狙う民衆が手に手に銃を持ち、叫び声を上げながら突入した。数十発の弾丸が彼を打ち抜き、食卓は血の海となった。
 独裁者と呼ばれた男は、夕餉のテーブルを見つめるように椅子に崩れたまま動かない。
 デザートのバニラアイスが全て溶けた後も。

 で、次は「エンジン」「紅茶」「ル−ズリーフ」で。

65 :「エンジン」「紅茶」「ルーズリーフ」:01/12/31 20:26
ナチスの軍隊はあらかた追っぱらった。
数々の惨劇に血塗られたこの戦争も、間もなく終わることだろう。
「少尉、前祝いにビールを一杯といきたいところだな」
俺は傍らを行くユニオンジャックの友軍の小隊長に声をかけた。
「作戦行動中です。アルコールは控えておきましょう」
軍人よりは役人と呼びたくなるようなイギリス人は、
作戦計画書のルーズリーフバインダーから顔も上げず、無粋な返事をした。
「じゃあコーヒーはどうだ。甘いバニラアイスもたっぷりと」
「私なら紅茶にスコーンでティータイムを過ごしたい。
しかし我が隊は糧食以外を携行しておりません」
同じ英語を話すのに、なんとジョークの通じない国民性だろうか。
やがて我々はエルベ川に到着し、耳慣れないエンジン音を聞いた。
橋の向こうには既に、東側から進軍してきたソ連軍の戦車と歩兵が到着していた。
私は戦車を降りて橋を渡り、ソ連軍の将校と握手をしながら、言ってみた。
「前祝いにビールを一杯どうだ?」
俺が言い終わらないうちに、ロシア人は俺の肩を抱き、ウォツカの瓶を取り出した。
なんだ、英語は話さないが、話せる連中じゃないか。情熱的で熱い男たちだ。
……と当時は思ったのだ。まさか彼らも独裁者の国になって、
我々とああいう冷たい戦争をすることになるとは、夢にも思わなかった。

※1945年、ナチスを東西から挟み撃ちした米英軍とソ連軍はエルベ川で会偶しました。
※次は「植木」「マリネ」「明星」でお願いします。

66 :「植木」「マリネ」「明星」:01/12/31 22:00
「宵の明星ってどの星だっけ?」
 万里子の問いに俺は首を捻った。ここでカッコ良く教えてあげる事が出来たらいいんだが。レストランの庭、植木の向こうに数々の冬の星座が瞬いていたが、一体どの星が何という名前なのか、俺には判別が付かなかった。
「そんなのどうだっていいじゃんよ。くだらない。星だなんて」
 俺は自分の知らない事を聞かれた照れ隠しに、下を向いて目の前の皿に残っていた鰺のマリネをフォークでつついた。
 レストランの窓越しに外を見ていた万里子は寂しそうに俺を振り向き、微かに首を振った。彼女が何を否定したのか、俺は怖くて問い直すことが出来なかった。
 それは数年前の記憶。今万里子は俺の側にいない。様々なすれ違いが俺達を引き離した。あの時の小さなやりとりもきっとその一つ。
 宵の明星ってどの星だっけ?
 今なら俺はその問いに答える事が出来る。
 でも彼女はもうここにはいない。

 次は、「老木」「バイヤー」「死亡率」で。

67 :踊るボボ人間:01/12/31 22:25
「老木」「バイヤー」「死亡率」

 枯れた老木を買い取ろうと言うバイヤーと話しをした。
 原因不明の病によって、幼児から成人に至るまで、いつ死ぬとも判らない恐怖
に怯えているという。ついに死亡率が世界全体で四割を超えたとのことだ。か
つて五十億という人口を誇った人類はいまやその半分にも満たない数になって
しまった。前世紀に懸念されていた人口問題は皮肉な形によって解消されたの
だ。
 「みんな死ぬのが怖いんですわ。ましてや原因不明の病でしょう。ビクビクし
ながら日常生活を送っとります。老木に人気がでてきたいうのは何かに縋りた
い気持ちが現れたに過ぎません。宗教があっというまに消えてしもたから変わ
りに樹齢何百年という木をもつことによって安心感を得ようとしとるんです」
 実にイージーでチープだ。単なる逃避でしかない。
 彼らの身勝手な逃避行動でもう老木はなくなってしまったのだ。目の前にあ
る最後の一本の木をいまから私が切り倒してしまえば全てなくなってしまうの
だ。

#次ぎは「レジスター」「思慕」「アンチテーゼ」
#作り易いんじゃないかな

68 :SF好き:02/01/01 01:35
「レジスター」「思慕」「アンチテーゼ」

「いらっしゃいませー」
レジスターを壊さんばかりに元気のいい娘、この子と出会うと1日が愉快になる。
年甲斐もなく若い娘に思慕の念、ばれたらばれたでいいか。
「おじいさん、今日は早いですねー」
「今日は会議があるから、何時ものソフトクリームを」
「ちょっと待ってくださいー、このおんぼろレジスターが、このこの!」
やはりコンビニ事業は継続しよう……本当に壊したようだ。
アンチテーゼ、反対派が何だ!
西暦2865年、元タイムパトロール員の老人は懐かしい20世紀を思い出して、
テスト営業中のコンビニ事業を太陽系連合内に展開させた。

69 :SF好き:02/01/01 01:37
#忘れたっ!
#次は「朝まで」、「お祭り」、「短期」

70 :「朝まで」、「お祭り」、「短期」:02/01/01 04:20
 お祭りの夜に出会ったから。
 あたしはいつもより少しだけ女らしく、あなたはいつもより少しだけ男らしく、見えていたのかな。
 初めから短い恋と決まっていたのかな。
 お祭りって不思議だね。見慣れた筈なのにいつもと違う場所。いつもと違う人。たき火に照らされた二人の瞳は輝いていた。炎を映して、きらきらきら。
 朝まで踊ったね。
 三日後に再び会ったあなたは何だか違う人みたいで、あたしは少し戸惑った。あなたも戸惑った顔であたしを見てた。
 ほんの短期間の恋だったね。あっという間に火がついて、あっという間に消えた。
 お祭りの夜に出会ったから。

 次は、「メール」「神社」「鍋敷き」

71 :名無し物書き@推敲中?:02/01/01 05:01
「朝まで」、「お祭り」、「短期」

 短期で雇ったバイトの高校生が予想通りがキャンセルしたため、結局朝
まで店番することになった。雇われ店長というのも余り気楽な稼業とは云
えないな。こっちだって予定の一つや二つはあったのに。それに今夜は客
が多い。この店でレジに行列ができるなんて、そう滅多にあるモンじゃあ
ない。

 夜半になり、やっと客がはけてきた。ほぼ空になった花火の棚のチェッ
クをしながらふと頭をよぎる。ホントだったら、オレだって5時には店を
出て、今頃は……。

 自動ドアの開く音がした。
 「いらっしゃいませ〜」
 チェックを続けつつ声だけかける。

 こつこつこつ。足音はこちらに向かってくる。
 「ねぇ、ちょっと。店長さん!」
 ふりむくと浴衣姿の彼女がいた。
 せっかく今夜のためにあつらえたのに、もったいないので見せに来たら
しい。

 得意満面の笑顔に、少しだけ疲れがとれた気がした。
 予定をブッチした償いに、彼女には買い物かごイッパイおごらせられた
けれど。

 お祭りの夜のことだった。

#かぶっちゃったけど、一応出します。
#お題は>>70の「メール」「神社」「鍋敷き」で。

72 :SF好き:02/01/01 05:20
「メール」「神社」「鍋敷き」

「……仕事の依頼なんだから、ちゃんと来てね♪」
詳しい依頼内容はメールで送ると、モニター内のコールガールは行っていた。
メールの着信音、げ、この日付だと一週間で銀河系を横断する必要がある。
緊急ワープに入ったトラブルバスターの快速艇、眠れない一週間は拷問のようだった。
「す、済みません、愛宕神社ってこの近くにありますか?」
「愛宕神社なら、そこの道を右に曲がって……」
太陽系規模の距離なら迷子になることがない彼も、地上の数キロメールが永遠に思えた。
お祭りか何かか、鐘の音が連続して鳴っている。
時計の表示を地球標準時に変更、約束の時間に間に合った。
「あ、ちゃんと来たね〜♪ じゃあ、一緒に来て」
こたつと言う暖房器具、その上に出された丸い鍋敷き、そして土鍋の料理と酒。
仕事の依頼内容はコールガールの両親と会うことで、それが何のためなのか未だ理解していなかった。

#いまいち。
#次は「正月」、「最安値」、「空白」

73 :「正月」「最安値」「空白」:02/01/01 16:31
パスワードを要求するダイアログが表示された。
僕は数桁の数字を入力し、難なくログインすることに成功した。
誕生日をパスワードにしておくなんて、セキュリティ意識の低い人たちだ。
正月が近いからといって休んではいられない。何しろ僕はハッカーだから。
ハッカーとは職業ではない。生き方なのだ。
モニタに出納帳簿が表示された。僕は入金と支出を詳細にチェックしていった。
先月の十日に大量の入金、二十五日にも若干の入金があった。
しかし、彼らの手元に現在どれだけの資金が残されているかは不明だった。
数日前からの記載が空白になっている。
くそっ、これでは彼らの出資可能金額の予想が立てられない。
こちらの対応策も考えられないじゃないか……。

翌日はお正月、元旦。
家族揃って雑煮を食べる朝の席で、僕は両親からお年玉を受け取った。
金額を改めると……最安値更新だ。
ま、まずい、これでは買い物計画を大幅に変更しなければならない。
いきなりのことで精神的ダメージも大きい。
事前の情報収集に失敗してさえいなければ、こんなに慌てずに済んだのに。
母さん、年末で忙しくても、家計簿はちゃんと毎日つけといてよ……。

次は「毛皮」「蕾」「浜辺」でお願いします。

74 :「毛皮」「蕾」「浜辺」:02/01/01 17:31
 さきほど、打ち上げられた死体の数を数えてみた。全部で7体の屍が、無表情のまま誇らしげに眠っていた。
 我が国が海越しの隣国と戦争をはじめたのはいったい何年ほど前なのだろう。国の男たちは兵員に志願し、ある者は政府に刈り出され、それらがつぎつぎと海の中に消えていった。この死体らはおととい沖で撃沈された戦艦の乗組員だろう。
 なんで男たちは死に行くような戦いに挑む。全部、第三者の金銭から発端した問題のはずだ。私には理解できない。
 半年ほど前は隣に住んでいたの青年が潜水艦と共に海の藻屑になって消えた。1ヶ月前は出稼ぎで都会に出た友達が空襲で焼け死んだ。半月前は弟が事故と称して訓練施設で虐待死された。10日前は父が死んだ。異国の地で生命を絶った。
5日前は姉が自殺した。国への信仰心がなかった姉は未来に希望を見出せなかったのだ。そして、おととい、私の恋人は前方の沖合で戦死した。
 正直、私は人の毛皮を被った政府に奉仕するのは嫌だ。結果なんてどうでもいい。はやくこの無意味な争いを鎮めてほしい。そして、わたしは生きる。生きてぬいて後世代に伝えたい。戦場に向かう男たちの勇気を。
 浜辺に生える名も知れない草は、まだ蕾のままだった。

次は→「知的生命体」「破滅」「少女」お願いします。

75 :SF好き:02/01/01 18:35
「知的生命体」「破滅」「少女」

「謎の知的生命体が地球を狙っているって……そんな大事件は太陽系連合軍で処理してくださいよ」
稚拙な身分偽造とコールガールに変装していたルゴール・東郷将軍の娘がニッと笑う。
「色々と政治的に問題があってな、動ければ君には頼まんよ。
それに報酬の前払いは娘が払ったようだし、頼んだぞ、ルーク」
「未だ貰ってませんよ……ま、まさか!?」
「責任、しっかりと取ってね♪」
少女時代と同じような笑顔だが、その背後に潜む企みは……。
こうして大赤字の対イノセント戦が始まろうとしていた。

#次は「初心者」、「重力制御」、「魔物」でよろしく。

76 :SF好き:02/01/01 18:39
「知的生命体」「破滅」「少女」

「謎の知的生命体が地球を狙っているって……そんな大事件は太陽系連合軍で処理してくださいよ」
稚拙な身分偽造とコールガールに変装していたルゴール・東郷将軍の娘がニッと笑う。
「色々と政治的に問題があってな、動ければ君には頼まんよ。
すでにアンタレスの太陽系国家が破滅寸前に追い込まれている。
報酬の前払いは娘が払ったようだし、頼んだぞ、ルーク」
「未だ貰ってませんよ、将軍……ま、まさか!?」
「責任、しっかりと取ってね♪」
少女時代と同じような笑顔だが、その背後に潜む企みは……。
こうして大赤字の対イノセント戦が始まろうとしていた。

#破滅が抜けていたので修正。
#次は「初心者」、「重力制御」、「魔物」でよろしく。

77 :「初心者」、「重力制御」、「魔物」:02/01/01 19:34
 ノゾミの洗面所に飛び込む回数が増えているようであった。宇宙酔い
だろうか。宇宙航行の初心者にとっては原始的な重力制御装置しかもた
ないこの船はかなりつらいはずだ。青い顔で口元をおさえている。
「大丈夫ですか」
俺が彼女に声をかけたのは航行の添乗員としての義務感からだったが、
どこか下心があったことも否定できない。むさい男連中の多い客席で
彼女の美しさは際立っていた。
「もうすぐ、危険宙域にはいります。魔物の存在も確認されているようです。
十分に注意してください」
 彼女は青白い顔をしてうなづいた。上目遣いの視線を俺に向ける。
俺に気があるのだろうか……。

 満足した気持ちでスタッフルームに戻る。
「お客様はどうだった?」
同僚のひとりに声を掛けられる。「ひとり、女性の方がいたろ」
「ああ、ノゾミ=レインフォードだな」
「そうだ。特に気をつけてやってくれ。妊娠されているらしいからな」

#妊婦は宇宙航行するなや。
#次は「ベレー帽」「メロディ」「入り江」

78 :勉強中(M:02/01/01 19:43
この地上のあらゆる知的生命体のなかで、自分こそが最も罪深い存在である、
私はコースターの裏にそんな文句を書いてみた。
カウンターの隣の席には、出会い系サイトにアクセスして知り合った少女が座っている。
「なにそれ、援交くらいでチョー大げさ〜、おじさん、そんなことじゃ出世できないぞ」
私の安い感傷は却下された。
しかし、少女の甘い腋臭が私を捉えて放さない。
彼女に渡す金を作るため、私はムジンクンのカードを使った。
「破滅」への緩やかな旅はいま始まったばかりである。

次:「古新聞」「香水瓶」「両生類」にてお願い。

79 :勉強中(M:02/01/01 19:46
遅レス、ゴメソ
「古新聞」「香水瓶」「両生類」
は却下します。

80 :名無し物書き@推敲中?:02/01/01 21:07
「ベレー帽」「メロディ」「入り江」
「古新聞」「香水瓶」「両生類」

 気付くと私はこの島の入り江に流れ着いていた。重いからだにむち打って、なんとか人を探そ
うと島の中へと歩を進めた。少し行くと道路があった。全くの野生の無人島というわけではない
ようだ。助かった。そう思った。しかし、甘かった。どうやらこの島には人は住んでいないこと
が段々と分かってきた。
 人が住んでいた形跡……いや、それでも表現として遠いかも知れない。立派な集落があり、明
らかについ先日まで生活していて、何らかの理由で緊急退去をしたようだ……というのが一番近
いだろう。

 主を失った家々には家財道具がほぼパーフェクトな形で残されており、そのうち一つに私は入
っていった。東洋文字でプリントされた古新聞から、多分ココは日本の領海内に浮かぶ小島だろ
うということも分かった。読むことが出来ないのがとても残念だ。部屋は慌てて出ていったのか、
少々散らかり気味で、床には香水瓶が転がっていた。それには少量のコロンが残されており、ナ
ンとも云えない悪臭を発している身体に振りかけてみる。キッチンのラックから缶詰を見つけた。
有り難い。
 缶詰を開けて、中身をむさぼり食う。味は分からないが、とてつもなく美味く感じる。これで
精神に少しだけ余裕が出来た。香水瓶の横に転がっていた宝石箱を開けてみる。突然甘美なメロ
ディーが流れ出て、心臓が飛び出す。それはオルゴール仕立てになっていた。中には不似合いな
ベレー帽をかぶった東洋系の子供の写真が一枚はいっているだけだった。不意に、国の娘のこと
を思いだし、涙があふれ出す。ちょうど同じぐらいの歳なのだ。

 突然、家全体を衝撃が襲い、地面が大きく揺れた。天井に張り付いていた両生類が血相を変え
て−実際には彼らは無表情だが−出ていった。外に出てみると、空が黒い雲の塊で覆われている。
そうか、日本の小島で、火山活動が始まったというニュースを聞いたことがある。島民は避難し
た直後だったのか……。死を覚悟しなければならないと知って、身体が今までないほどふるえだ
した。

次は「お新香」「ジャズ喫茶」「核融合炉」

81 :踊るボボ人間:02/01/01 21:31
「お新香」「ジャズ喫茶」「核融合炉」

 ジャズ喫茶に通っていた連中から感じたとこは若さの核融合炉みたいなもの
だった。
 大音量で鳴り響く黒人達の演奏する音楽。彼らを取り巻く理不尽な境遇から
の脱出のための音楽。左翼思想が世論を取り巻いていた僕らの若かったころ、
それは象徴のようなものだったのだろうか。
 四六時中いろんな人間がたむろしていた。難しい顔をして哲学難しそうな哲
学書を読みふけっていた奴、仲間数人で来て、睡眠薬やのか、判らない薬をか
じり何も言わずぼうっとラリッている集団。アジっぽい演説のようなものをう
ち、いかにもデマゴーグといわんばかりの男。さまざまだった。
 僕はといえばコーヒー一杯で数時間粘れるこの喫茶店で何を考えるでもなし
にボーッとしていた。彼らのようなリベラルを求めようとは思いもしなかった。
 考えていたことといえば、なんで食堂のお新香は二切れなんだろう。もう少
しくらいサービスしてくれてもいいんじゃないか、みたいなことだった。あま
のじゃくなのか知らないが、彼らみたいに若さを感じる行為にどこかで反発し
ていたのかもしれない。

次ぎは「女装」「処女説」「禁忌」

82 :勉強中(M:02/01/01 22:54
時代の移り変わりとともに「禁忌」の意味も微妙にニュアンスを変える。
2002年、ゲイのカップルでも法律上夫婦になることが可能になると、
「解放の日」なる旗日が新たに設定され、
その日、女装した、生物学上は♂である人たちは歩行者天国を誇らしげにパレードする。
一方で、「処女性」には価値がなくなり、例えばモー娘の加護や辻が処女か否か、
そんなことには誰も興味を持たないようになってきている。
「....処女説」
そんな中吊り広告は「今は昔」なのである。

次:「化石」「親切」「電気剃刀」にて。

83 :名無し物書き@推敲中?:02/01/01 23:52
「化石」「親切」「電気剃刀」

ヴゥー・・・・・ン・・・・。
その電気剃刀から奇妙な放射線が発せられている。
頭がおかしくなりそうだ。あれが万人を親切、無害なクズに
変えようとしている。恐ろしい。
人類は、化石となるにはまだ早すぎる。
私だけは、闘争心を失いたくない。そうだ、私こそは、
人類の戦いによって培われた進化を体現しなければならないのだ。
私は手近にあった包丁を手に、獲物を求めて出かけた。
・・・ヴゥー・・・ン・・・。
おかしい。最近。家族の様子が変。
友達みんなも。みんな、みんな、いい人ぶっているみたい。
すごくイヤ。どうして?
最近父さんが買った電気剃刀。変な音が聞こえる。

次:「ピラミッド」「先物取引」「学園」

84 :「化石」「親切」「電気剃刀」:02/01/01 23:55
 どうしても剃り残しが気になっちゃうんだよ。電気剃刀使うと。
 やっぱ人間は手だよ。手。手を使わなきゃ。
 だから剃刀探したんだよ。電気なんて使わなくてもいいやつ。ナマ剃刀ってか?
 だからさあ、誰が決めたんだ? 髭は電気使って剃らなきゃいけないなんて。
 ただ俺は剃刀を探しただけだぜ。普通の店で探したら、そんな化石みたいなもんどこにもない、だいたい法律違反だなんて言われたからよ。だからちょいと変わった店で買ったのは確かだけどさ。それがなんで銃刀法違反だ? おかしいよホント。
 昔は料理だってナマ刃物使ってやってたんだろ? 包丁とかナイフとか。
 それが今じゃ全部法律違反だ。法律ってのは人間の自由縛る為にあんのかよ。
 そう、自由だよ自由。電気使わないで髭を剃る自由! 料理する自由だよ!
 そんな、眉逆立てて怒鳴んなよ。ほんっと警察ってのは融通効かない組織だな。
そんなだから細かい所に目が行かない……おい、アンタも剃り残してるなあ。髭。気持ち悪いだろ? 俺が剃ってやろうか? この剃刀で。
 おい、暴れんなよ。あぶねえ……ってああ、切れちゃったじゃん。喉が。
 ま、これで静かになったな。ゆっくり剃ってやるよ。綺麗にな。
 俺って親切だろ?

次は、「未完」「蜜柑」「未刊」

85 :84:02/01/01 23:56
すみません、かぶりました。
83さんの、「ピラミッド」「先物取引」「学園」で。

86 :「化石」「親切」「電気剃刀」:02/01/02 00:01
 人と人との係わり合いが薄い時代だ。べたべたと馴れ合うのは
格好悪い、というような風潮が若者だけじゃない、大人たちにも広
がっている。昔はよく見られたような他人へのちょっとした気遣いや
親切も今じゃ化石のようだ。
 人ごみのスクランブル交差点に杖をついた老人がいても見てみ
ぬふり。
 だからといって、若い人たちが意地悪なわけじゃない。
 ちょっとでも親しくなれば、彼らのほとんどは根はいい奴だという
ことがわかる。少子化の影響だろうか、他人と積極的に術を知らない
のだろう。
 そんななかで今朝は爽やかな風景をみることができた。信号待ちの
サラリーマンに親切にも声をかけた若者がいたのだ。
「ちょっといいですか、今朝ヒゲをそってきましたか」
そういいながら、手にもった電気剃刀をサラリーマンに薦めていた。

#かぶってるけど、書いちゃったんで。
#次は>83さんの、「ピラミッド」「先物取引」「学園」。

87 :うはう:02/01/02 00:13
 彼女はミステリー小説マニアで、高校の机の中は推理小説で一杯だ。
 家の本棚は、あまり場所をとるため母に一斉処分されてしまった。
 だから、家に帰った彼女の相談相手は父しかいない。

 お風呂で100数える前に、彼女は某作品について父に聞いた。
 化石の様に古い作品で、かわいそうな犠牲者は、電気剃刀を浴槽に落として感電死だ。

 「よーし、じゃあ実験してみよー(^^)」「うんっ」
 親切なお父さん・・・でも、今使ってる電気剃刀では感電しなかった。
 「やっぱり、小説と同じ位古いのでなきゃ」「お爺さんの借りてくるね」
 タオル一枚で階段を駆け上がってゆく。母のぼやきも一緒に聞こえた。

 やっと借りてきた昔の電気剃刀。電気コードもついている。
 「よし、ゆくぞ!」「がんばって、お父さん(←どうやって?)」
 実験は成功した。二人はめでたく感電死。

 「・・・これが、あの!<父娘浴槽殺人事件>の真相なのです」
 丹波警部は結んだ。誰も信じなかった。当然かもしれないけど。

 ※正月早々こんな話・・・おめでたうございます(^^)
  次のお題は:「新年」「犬」「王妃」でお願いします。

88 :うはう:02/01/02 00:20
 ごめんなさい! たった20分そこらで大々的に遅れてしまいました。
 お題は>>83さんの「ピラミッド」「先物取引」「学園」でお願いします。
 責任とってこれで・・・といっても難易度高そうなお題で

89 :「ピラミッド」「先物取引」「学園」:02/01/02 00:28
 学園には不思議がつきものだ。私の母校も7不思議なるもの
がきちんとあった。トイレの花子さん、血を流すベートーベンの
肖像、それに踊る骸骨模型、なんていうどこの学校にもある
ものがほとんどだがひとつだけ珍しいものがあった。
 ピラミッドだ。これは怪談ではない。単純に不思議だったのだ。
小さいものとはいえ、学園の敷地内にピラミッドがあるのか。
このピラミッドのせいで学園の敷地はどこかいびつだったし、
都内地下鉄沿線の学園に何の意味もないピラミッドというのは
土地の使い方が贅沢すぎるような気がした。
 在学中からピラミッドにまつわるいろいろは噂を聞いた。
もっとも有力だったのは、初代理事長が妖しげな宗教にかぶれ
ていたという説だ。夜な夜なピラミッドで行われる妖しげな儀式
についても噂があったが、すべて根拠はなかった。
 卒業してから、真相を知った。つまらないものだ。先物取引の
つもりで土地を多めに買ったが、思ったほど伸びず、気に病んだ
理事長がやけになった、それだけだ。事実は小説よりも奇なり、
というが、若い想像力に現実が追いつくなんて、めったにはない。

#次は、84さんの「未完」「蜜柑」「未刊」 を

90 :「未完」「蜜柑」「未刊」:02/01/02 00:36
 誰がなんといおうと、私は作家だ。私の作品のほとんどが未刊であり、
私が文筆業で得ている賃金は自給に換算するとマクドナルドの数分の
一というありさまだが、私は作家だ。
 出版社の編集者なんて人間は所詮サラリーマンだ。腐った蜜柑だ。
あんなやつらに私の作品を評価されたくない。私が渡した原稿を
ことごとく没にし、二時間ドラマで名前だけは売れている三流売文家
の小説は毎月のように出版するのだから、その作品審美眼なんてたかが
知れている。
 私は作家だ。私は未完の大器だ。いつか、大物になってやつらに
泡を吹かせてやる。

#次は>>87の「新年」「犬」「王妃」をサルベージ

91 :「新年」「犬」「王妃」:02/01/02 00:41
 犬の国は新年を迎えました。犬の国の王様と王妃様はお城の
バルコニーから新年を祝う犬の国の国犬たちに向かって尻尾を
ふります。犬のお城、犬小屋の裏手からは犬の国の新年を祝う
花火が盛大に上がっています。国犬たちも大喜び。
 国犬たちのほとんどはお城までお祝いに駆けつけることができま
せん。犬の国はとても広いのです。お城から遠くの犬小屋にすんで
いる国犬たちは、テレビで王様ご一家の様子を見物したり、ドックせち
料理を食べたりして新年を過ごします。
 年賀状も忘れてはいけません。
「あけましておめでとうワン。
 今年も戌年ですねワン。
 今年もよろしくワン」

#次は「手袋」「遅延」「パレード」

92 :SF好き:02/01/02 01:08
「手袋」「遅延」「パレード」

キュバッ、パチン。
オペ用の手袋を着け終えた外科医は、パレード中に狙撃されたクランケを見下ろす。
「メス」
患部を切開した外科医は、凍り付いたようにその利き腕を止めていたが、
着実に損傷した器官を縫合し整形し止血していった。
「……縫合を頼む」
外科医には絶望感だけが残る。
見慣れない武器を突き付ける男は、予定より遅延していると言うが何の予定だ?
その男は既に死亡しているケネディ大統領に何かの薬品を注射した。
ピッ……ピッ…ピッピッピッ。
心電図が、死亡しているはずのクランケが蘇生を始めていた。

#落ちがないっ!
#次は「化石」、「親父」、「ストレス」でよろしく。

93 :「化石」、「親父」、「ストレス」:02/01/02 01:27
 親父は考古学者だ。一年の半分は発掘で家にいない。
今も長期の発掘作業中だった。電話は週に三回。月水金。
最近は作業が順調でないのか、妙に話し込んだと思ったら、
機嫌の悪そうな声で、すぐに切ってしまうこともある。ストレス
がたまっているのだろうか。

 金曜日の定期連絡がなかった。
 土曜日のお袋は心配したが、僕は気にかけなかった。男が
マメに連絡しているほうがおかしい。
 日曜日のお袋はかなり参っていた。僕も少し心配になった。

 月曜日の朝刊に大きく記事が出た。親父の記事だ。
       化石捏造、と。

#次は「構成」「恒星」「厚生」

94 :*長くなってすいません:02/01/02 02:48
 *更にかぶちゃったけど読んで下さい

 苛立っていた。考古学博士、奥村國雄はとにかく苛立っていた。一万年以上も前のオヤジの化石を追い求めて半世紀、生涯を捧げた発掘活動の成果がこの『ハゲづら』一つだ。・・・情けない。私の人生は一体なんだったんだ。
「心配は要りません。よくあるストレス障害です」
 セラピストの高崎が言った。「ぅ〜ん・・・初老の方にはよくあるんですよ。自分の人生の意味に迷われてしまう」
 事実、奥村もそれが原因で、こうして精神科医にまで通い詰めるハメになってしまったのだ。まったく不覚としか言いようのない事態だった。
「違うんです先生」奥村はその『ハゲづら』の化石を手に説明を始めた。「ここに、こ、ここにですね。一本ひょろっと毛が生えてなきゃ意味が無いんです」
 誰かに理解してもらわなければ、どうにも遣り切れない想いだった。仕事をではなく、人生をである。
「ええ。分かりますよ。毛でしょ。毛。もう百回は聞きましたから」
 高崎の横柄な態度に、突如奥村はキレた。いや横柄に思えたのは単に苛立ちで気が昂ぶっていたせいかもしれない。仕事の出来る男、若くして金も女も名声も欲しいままにする、そんな印象の高崎を心のどこかで羨んでいたかもしれなかった。
「ちがう! あんたは全然わかっちゃいない! 毛だよ毛。ここに、一本ひょろっと生えてなきゃイカンのだよ」出来の悪い学生を叱り付ける時の口調だった。
「髪はな、個人を識別する手掛かりにもなるんだよ!」気が付けば高崎に掴みかかっていた。もっとも今の奥村の腕力で、その若者に敵うわけはなかった。
 高崎は乱れた白衣をポンと手で払い、何事も無かったように椅子に落ち着くと「ふぅ。しょうがない」と見せつけるように重い溜め息の後、助手のに目配せをした。
「例のやつ、打っといてあげて」
「はい」事務的ではあるが、嘲笑を帯びた笑みで助手が応えた。
「大丈夫ですよぉ。痛くありませんからねぇ。そぅそぅ大人しくして下さい、奥村さん。ぜんぜん痛くありませんから・・・そうそう、そうそぅ・・・おとなしく・・・ぉ・・・く・・・む・・・ら・・・さ・・・」
 注射器の針がチクリと腕を指した直後から、助手の声が遠ざかっていくのを奥村は微かに感じ取ってていた。全身が世界中の重力を一手に引き受けているかのような重圧感だった。 
「せ・・・せ、せんせぃ・・・」声帯も、鎖か何かで締め付けられているようで、声が出ない。身体が、か、身体が、ぅ、う、動か、な、「せ・・・せ、せんせぃ・・・」指が、手が、腕が、肩が、胸が。爪先が、足が。尻が、徐々に。身体、全部がまるで、石にでも・・・。
 高崎が助手に告げた。
「またエジプトにでも埋めといて」

 お題は前の方の「構成」「恒星」「厚生」でお願いします。

95 :名無し物書き@推敲中? :02/01/02 04:09
「私、男性を口説く時にこういいますの。私はあなたの恒星よ」
素敵な口説き言葉だと思って読んだ。誰のエッセイかは忘れたけど。
わたしは、あの人の恒星にはなれなかった。
気がついたら白い錠剤をつかんでいた。流し込んで、流し込んで、胃に。

…そして、
目に映るのは白い壁、白いカーテン、白い服を着た若い女の人、男の人。
天井にうっすらと亀裂が入っている。古い病院だと、思った。

福利厚生の整っていない小さな私の会社。私は首をきられるだろう。
ベットのそばで母が泣いている。
会社で家族構成を聞かれた時の面接官の哀れみに似た表情を覚えている。

不幸の連鎖。一人で私を産み育てた母。
私が好きになった人は家庭があった。母は私の手をとる。私は顔を逸らす。
「お母さん、カーテンを開けて」

窓からは満月が見える。星がきらめいている。恒星。
私は母の恒星。


お題は「冷蔵庫」「線路」「シャンデリア」でお願いします

96 :「冷蔵庫」「線路」「シャンデリア」:02/01/02 04:29
 線路が嫌いだった。あの、歌も嫌いだ。線路は続くよ、どこまでも、
というあれだ。あれが嫌いだ。初めてあの歌を聴いたとき、どこまでも、
という節にプレッシャーを感じた。
 米国の映像をテレビで見たことがある。平原に伸びる、どこまでも伸びる
線路を見て、目眩がした。今日より明日、明日よりあさって、発展や成長を
望む周囲の期待が、怖かった。
 贔屓目なしに見て、俺の生家は裕福だった。俺が子供の頃は、冷蔵庫
をはじめとする家電製品を買い揃えている家は少なかったが、広い生家には
一通りの家電が既にあり、今さえ十分に贅沢品として通用するような応接
セットやシャンデリアもあった。
 俺は裕福な家の優秀な坊ちゃんだった。そう見えたはずだ。俺程度の
秀才なら金でつくれる。高い家庭教師を何人も頼み、起きているうちで
学校に行っていない時間のほとんどを机の前で費やせば。
 良い成績をあげると、皆が褒めてくれた。それでこそ、跡取息子だ、
次もがんばれと。褒められて悪い気はしない、俺はより一層勉強に力を
入れてきたけれど。けれど、そんな日々は線路のようで、どこまでも
続かなければならない、線路のようで。

 失速した俺は跡目を継ぐことをやめると宣言し、すべてを捨てて旅に
出ようとした。家族に内緒で駅のホームに立ったあの日の俺の目の前に
立ちふさがったのは、線路だった。
 嫌いだ。俺はどこへも行けない。俺は朽ちていくのだろうか。壊れた
冷蔵庫、クッションの効かなくなったソファ、埃を被ったシャンデリア、俺。

次は「シャンソン」「七福神」「生中継」

97 :名無し物書き@推敲中?:02/01/02 11:30
「シャンソン」「七福神」「生中継」

テレビではゴールのないマラソンの生中継。
何の演出かシャンソンが映像に被せられ、切なく響いている。
七福神は天から賑やかに舞い降り、戦闘のランナーに話しかけた。
「ずっと走り続けるのですか」
ランナーは前を見たまま、細い腕を振って走り続けるだけだった。
七福神は福を授けようと思ったが、
ランナーが何を求めているのか全くわからなかった。
「なぜ走り続けているのですか」
「走り続けた先に、何があるのですか」
後に続くランナーたちも、何も返事をしなかった。
ただ、走っているだけだった。
先導車の上で、女性がシャンソンをいつまでも歌っていた。
途方に暮れた七福神はやがて後に残され、しばらく佇んでいた。

次:「ハサミ」「咳止めドロップ」「貯金」でお願いします

98 :「ハサミ」「咳止めドロップ」「貯金」:02/01/02 21:22

子供の咳が止まらない。明日の朝が早い父親は怒って、
「うるさくて眠れねえ、そんな喉は切って捨てちまえ」
とハサミを持ち出して怒鳴り出す。母親がおどおどと、
「いま、静かにさせますから」
と気休めの咳止めドロップを子供に与えて取りなそうとする。
夜泣きがやんだと思っても、体の弱い子供は風邪の子だ。
少しの貯金があるのだから薬を買うなり医者に診せるなり、
という易い思案が、疲れ切った若く貧しい親には、
あと一歩で浮かばない。思い詰めてしまうのだ。
「ひとこと私に相談してくれていれば」
と周りの者が後になって悔やむのは、
大抵こんな些細なことで、重い結末を迎えた場合だ。
例えばの話だが。

次は「雪」「蚊」「アクション」でお願いします。

99 :名無し物書き@推敲中?:02/01/02 22:28
「雪」「蚊」「アクション」

明るい日差しが照らす中、窓の外は雪が舞っている。
青い空に、幾つもの微かな白い結晶。
これは『風花』っていう現象だってことを
去年の冬、あなたが教えてくれた。

「大好き」
蚊の鳴くような小さな声で、呟いてみる。
運転席には聞こえないように・・・。
だってあなたは無愛想だから、いつも同じリアクションしかしてくれないもの。

あなたの愛車の中、ある昼下がりの出来事。
気付いたら、雪は止んでいた。

次は「月」「切手」「ダッシュ」でお願いします。

100 :名無し物書き@推敲中?:02/01/03 04:23
「月」「切手」「ダッシュ」

 なに、月への荷物かい?
 チョット見るからそこで待っときな。

 オイオイ、坊主。月の宛先はここにダッシュがいるんだ。チョンって奴な。
 それに切手もこれじゃいけねぇ。あと500カノッサだしな。
 なに、もってねぇ。それじゃ送れねぇな。

 なに、転勤しちゃった元担任の先生にクラス一同寄せ書きだって。
 くぅ〜〜!泣かせるねぇ。
 しょうがねぇ。オレの負けだ。
 ここはオレが立て替えてやるから、明日にでも持って来な。

 おいこら。ここは一言「ありがとう」って云ってから帰るんだ。
 ようし、素直な子だ。

 じゃあ、明日。
 期待しないで待ってるからな。

#次は「リング」「ループ」「渦巻き」

101 :「リング」「ループ」「渦巻き」 :02/01/03 05:21
 第二ラウンドの終了を告げるゴングが鳴り響いた。トレーナが俺を
コーナに迎える。俺は水分を補給しながら、ちらりと客席を観察する。
自分でも激闘だったと思う第二ラウンドの興奮は冷めず、声援と
暴言の渦巻きが客席から聞こえる。
 今日の俺は集中力を欠いていた。打たれてばかりだ。その癖、
客席から彼女を見つけることだけが、あまりに簡単だった。アイ
ボリーのありきたりなセーターの彼女は、いつも視線の隅にいた。
勝気な女だ、ただ勝て、と俺に言う。怪我をしないで、なんて優しい
言葉は聞いたことがない。その彼女が、心配そうな顔をしている
ように見えた。
 タオルで汗を拭き、もう一度彼女を見る。いつもの彼女に戻って
いた。睨むような視線だ。
 第三ラウンドの開始が告げられ、俺はリングに戻る。体は機械的に
試合を消化しながら、頭の中は不安げな彼女と勝気な彼女が交互に
ループしていた。

次は「伊豆」「かける」「はいから」

102 :「伊豆」「かける」「はいから」 :02/01/03 07:37
 昼休みにぼけっとしてたら同じクラスの中村に親しげに話し掛けられた。
中村のあだ名は「はいから」、といってもお洒落なわけではなく、
いつもおからを主食にしている中村が、
「おからってのは白米よりも高級な食べ物なんだよ、
 まっ、ぼくみたいなハイソサエティーな人間にはおからがピッタリだね」
ってな嘘八百をほざくことからついたあだ名だ。

「おい、おまえ聞いたか、伊豆の後藤峠にでるんだってよ」
「でるってなにが?」
「でるっていったら決まってるだろ、幽霊にきまってんじゃんかよ!」
「他にもあるだろ、徳川埋蔵金とかさ・・」
「なーに糸井みたいこといってんだよ、でるといえば幽霊、これは日本の法律
 で決まってるの!」
「そんなのいつ決まったんだよ!何時何分何秒!地球が何回まわった!?」
「俺がいまさっき決めた。ところでさ、今度の土曜ちょっと見に行ってみないか?」
「やだよ。行くだけ無駄だろ。見たいテレビもあるし」
「大丈夫!絶対でるって!俺が保証する!」
「おまえこの前も太郎池に30センチの鮒がいるってウソついてたじゃないか!」
「今回は本当にだいじょうぶ」
「じゃあおまえ命かけるか?」
「ああかけるさ!」
「ノートに”いのち”って書いて、ほーらかけるだろう、っていうのはナシだぞ」
「・・・・、まあいいさ、どうせでるんだから、おまえこそ本当にでたら何してくれるんだ?」
「ああ!鼻でスパゲッティー食べてやるよ!」
「おーし言ったな!土曜日が楽しみだぜ!」

こんなわけで、僕らは伊豆まで幽霊探しの旅に出かけたのだが・・・

次は「みかん」「踏み切り」「カウントダウン」

103 :「みかん」「踏み切り」「カウントダウン」:02/01/03 11:44

後藤峠には自転車で行った。1時間ぐらいで行けると言う中村を信じた僕もばかだった。
着いたのは日が暮れて真っ暗になってからだった。僕はもうへとへとで、腹が減っていた。
「よし、俺がみかん畑からみかんかっぱらってくる。お前は幽霊が出るか見張ってろ」
中村によると、僕らのいる場所から見える踏み切りに、事故死者の霊が出るとの噂らしい。
「白い服着てボーと立ってるんだってさ。怖いぞ」
「もし出なかったら、お前、鼻スパだからな」
中村がみかん畑に行ってしばらくすると、生暖かい風が吹くと同時に、背筋が寒くなった。
幽霊が出る前のカウントダウンが始まったようだった。
踏み切りを見ると……。いた。白い服の人影。髪の長い女と、少し背の低い子供。
子供の方の影が、だんだん大きくなってくる。……ちがう、こっちに向かって近づいて来る。
あわてて逃げようとしたけど間に合わなかった。子供の霊が僕に飛びついてきた。
よく見ると白い服に着替えた中村だった。こいつ、八百長で僕をおどかすつもりだったな。
「なんだよ! インチキかよ! 鼻スパ決定!」
中村は返事もせずに僕にしがみついたまま震えている。どうもタネ明かしらしくない。
もう一度踏み切りを見ると、女の人はまだ立っていた。
「……あれ、誰だよ」
「し、しらねえよ」
と、ふいに、女の人の影が大きくなってきた。……ちがう、こっちに

#次は「卒塔婆」「フラワーアレンジメント」「さんご礁」にて。

104 :卒塔婆がキツイよ。:02/01/03 22:05
まるで巨人が戯れに作ったフラワーアレンジメントだ、といわれる丘がある。
周りをぐるり木々に囲まれ、色とりどりの花が咲き乱れる頂上には御影石で出来た石碑が建てられていた。
付近の都市まで車で三時間も掛かるそこは、現世の楽園であった。

「お墓に行ってたから来るのが少し遅れたけれど……関係ないか、貴方には」
黒に身を包んだ女が木陰から姿を現し、ゆっくりと石碑に近づいていく。
長い黒髪が風に揺れ、むせ返るような花の香りが舞い上がった。彼女は左手で髪を押さえて
風が止むのを待った。目を伏せ、どこか自分に言い聞かせるように呟いた。
「貴方が海で死んで、もう三年になるのね」

石碑を建ててくれと言った、彼女の思い人である亡き人は写真家であった。才能はあった。
しかしそれなりに名も売れ、食うに事欠かないようになるまでの七年。彼女も共に苦労を味わった。
けれど彼を愛する心があればこそ耐えることができた。貧しいながらも幸せとはああいうことを言うのだろう。
そして、忘れもしない三年前の冬。遙か彼方オーストラリアの地で、彼は珊瑚礁の写真を撮っている最中に
海に落ちて死んだ。
彼は泳げなかった。鮫が回遊していたのも不運だったといえる。
日本に帰ってきた彼は、すでに物言わぬ骸。小さな骨壺に納められた、哀れな姿だった。

「ねぇ、どうして私をおいて死んだの? どうして私を連れて行ってくれなかったの?」
その下に何も埋まっていない石碑に詰め寄り、彼女は小さく囁いた。瞳から涙がこぼれる。
「……馬鹿な人。本当に馬鹿なんだから」
涙を墨にして、卒塔婆に書き記すように、彼女は「バカ」と控えめな字を書いた。
うっすらとした、だが思いのこもった文字はゆっくりと風に撫でられて消えていく。

どこかで、「ごめん」と謝る男の声がした。

次は「正義」「有終の美」「赤みそ」

105 :「正義」「有終の美」「赤みそ」 :02/01/04 01:53
 結婚して一番驚いたのは、彼女の作る味噌汁が赤味噌じゃなかった
ことだ。
 俺の育った土地は、人口が多いわりに閉鎖的で排他的なところ
がある。他所からみたら、疑問に思うような習慣や県民性があることも
認める。別に自分だけが正義だなんて言うつもりはない。
 認めるが、認めた上で、味噌汁だけは赤味噌でなければ駄目なのだ。
これは幼少からの習慣というようなものではない。俺たち**県民の遺伝子
に脈々と刻まれた、**県民という種の生態のようなものだ。

 味噌汁だけが原因だ、などと思いたくはないが、異なる土地に育った
二人が離婚という結論にたどり着いたのも当然の帰結だった。最後の夜
彼女は赤味噌の味噌汁を作った。有終の美でも飾るつもりだろうか。
結婚して以来、初めての赤味噌は、不味かった。彼女がはじめての
赤味噌に戸惑ったのか、別れの味だったのかはわからない。

#**に当てはまることばについて考えてはいけない(w
#次は「チューハイ」「三段腹」「南国」

106 :らびらび:02/01/04 02:32
南国煎ってチューハイ
飲んだ気がした二時5分
さよならの味がしたサバイバル
眠れない夜のレモン果汁
繰り返していく算段腹
よりよき日々のオマージュ

107 :らびらび:02/01/04 02:33
あ、追加で。
次は不眠、一期、苺でよろしく

108 :666:02/01/04 03:32
ある空間の中で私は一期一会の出会いをした。
それは妙に不思議で神秘的な形をした、しかし限りある命をもった物体である。
「苺」
そう私は一期一会の苺の出会いを果たしたのだ。
寝る間も惜しんで彼女と一緒に語り合った。
人間の事。生きること。どうして生きてるか。
おかげで私は不眠症になったが・・
それでも一つの意味を教えてくれた彼女に私は「ありがとう」といい
「生の意味」を考えながら、ゆっくり彼女を口に運ぶ私がいた。

109 :不眠、一期、苺:02/01/04 03:39
 選挙の季節だ。俺は次の選挙で勝てる自信がなかった。若さを売りに
一期目を当選した俺だが、同じ選挙区から俺より若く、それでいて経歴は
申し分ないライバルが立ったのだ。
 選挙運動の十数日、俺は不眠不休で票集めに奔走した。声を枯らし、
体重をすり減らしながらの選挙運動だったが、勝ちの手ごたえはつかめ
ないままだった。地方新聞はもっともらしい世論調査の結果を持ち出し、
4:6で俺の負けだろう、と予測していた。俺は覚悟を決めた。

 しかし、奇跡は起こった。あのやろう、自滅しやがった。ロリコン野郎め、
苺模様の盗品子供用パンツを被ってるところを通報されやがった。

108はお題がないので、継続した。
次は、「替えインク」「安定」「紙ふぶき」

110 :666:02/01/04 03:40
ふむ 次は「錠」と「刻印」と「空」でよろしく.

111 :666:02/01/04 03:41
かぶったどうすっか?

112 :666:02/01/04 03:53
あわせてみた


丁度ペンのインクが切れかけた頃一人の青年が私のもとへやってきた。
「どうか波紋の無い安定した人生を送る術を教えてください」とかれは泣きながら言った。
私は何も考えず空に浮かぶ雲を見据え彼に居間から折り紙を持ってこさせた。
私は其の折り紙を無尽蔵に破りまとめて空へ放り投げた。
「これが人生、人の世は儚く散る紙ふぶきの如し、しかし美しく繊細で鮮やかである。
だから規則と言う錠前を手にはめず、無為自然に生きることが平安を呼ぶだろう」
青年は黙って替えインクを持ってきてくれた。
私はまた書きかけの書物を又書き始めた。

113 :不眠、一期、苺:02/01/04 03:53
>>111 6題
「替えインク」「安定」「紙ふぶき」
「錠」と「刻印」と「空」

 バッターは三振し、審判が終了を告げた。俺は呆然と三塁に立ち尽くした。
相手のスタンドからはベンチのチームメイトが駆け出し、マウンドのピッチャー
を讃えている。
 決勝戦。2点差、ツーアウト一塁三塁、三塁には俺。打順は四番。
誰もが逆転を夢見たはずだ。しかし、あのピッチャーは良くやった。
決して飛びぬけて巧いピッチャーではなかったと思う。俺らの四番も
打つ気でいた。俺たちは勝つ、勝つ気でいたのだ。

 あのピッチャー本当に良くやったよ、ここ一番で。

 帰りの新幹線でマネージャは試合の記録をつけていた。万年筆の
インクが擦れ、替えインクを差し替えたが、それでも彼女の文字は
安定しなかった、ように見えた。滲んでいたのは、俺の目元だったようだ。

 目を閉じれば、空には紙ふぶき、客席には歓声、マウンドには立ち尽くす俺。
砂埃と、暑さ、敗北を記憶に刻印し、俺は過去に錠をかけた。

114 :666:02/01/04 03:54
次は「戒」と「素敵」と「宇宙」でよろしく

115 :666:02/01/04 03:54
あははは仲いいなw

116 :113:02/01/04 03:55
また被った。しかもまた俺が遅れた(鬱。

次は「戒」「素敵」「宇宙」

117 :「戒」「素敵」「宇宙」 :02/01/04 04:19
坊主が禁忌を説いている。
「ひとつ、その子や親と交わってはならない」
「ひとつ、小児と交わってはならない」
「ひとつ、同性と交わってはならない」
「ひとつ、獣と交わってはならない」

「さらに、聖職者の性欲を戒める。聖職者は神とのみ契り、いかなる
性的な交わりをもってはならない」

「まあ、お坊さま素敵」
若い女が坊主につめよる。肌が触れ、甘い息が坊主にかかる。

「例外その一。 それでも起つのが宇宙の心理」

#くだらね……。
#次は「小町」「車止め」「シリーズ」

118 :*また遅れた・・・:02/01/04 05:42
 とんでもないブスだった。「素敵な星ね。エヘ。アナタのお母様と同じくらい」と翻訳機を介してそのブスは言った。しかも笑顔で。
 あ〜今からコイツの両親に会って「ボクに娘さんを下さい」なんて・・・。悲劇もいいところだ。
「最近、環境問題とか特に煩くなってきたからね。ボクの星でも」
 俺は目一杯気持ちを抑えて、そう返した。
 産まれた星が違えば、風習も価値観も違うのは当然だが、それにしてもこの女、本当に自分の星じゃ『美人』って呼ばれる部類に入るんだろうか。
 疑わしい・・・。大体からして、顔の位置が変だ。手も足もバランスが悪い。たるんだ肉の塊が、俺たちで言う、ちょど頭の上あたりに、ベッタリくっ付いてやがる、奇異としか言い様のない生き物だった。
 おいおい、そんな小っちゃい目で、ちゃんとナビ出来んのかヨ。俺は何度も言いそうになったが堪えた。
「あとどれくらい?」
「そうねぇ。30分くらいかしら。エヘ」
 いちいち笑うな。
 出来るなら逃げ出したい。・・・宇宙の果ての果てまで。
 しかし・・・。「良いですか。一度でも性交渉をもったお相手とは何があっても、必ず一生涯添い遂げなければいけませんよ」とは母からの戒めだ。
 それが例え異性人であっても・・・。
 あ〜〜〜〜〜たった一夜の過ち。強か酔っていたとは言え、俺はやっちまった。よりにもよって、こんなブスと。
 しかも、久しぶりの里帰りだとかで、さっきからずっとはしゃぎっぱなしだ。それが一層、俺を憂鬱にさせるとも知らずに。
「あ。あれよ。あれ!! あれが私の産まれ故郷。あの青い星よ」
 と腕に纏わり付いてきた女を、俺は思わず八本目の足で蹴り殺してやろうかと思ったのだった。

お題は「小町」「車止め」「シリーズ」で。

119 :名無し物書き@推敲中?:02/01/04 13:53
少年は近くの車止めの上に腰掛け、肩から提げている鞄から小説を取り出した。
シリーズ物の大衆小説だったが、そんなことはどうでもいい。これはカモフラージュなのだ。
彼の趣味である、人間観察をするための。
そこへ白い車が入ってきた。このスーパーで買い物する気なのだろう。
少年はその車に乗っている人物を標的に決め、車のドアが開くのを待った。
「え!」
驚いた。車の後部座席から、今まで見たこともないような美少女が出てきたのだ。
年の頃は少年とさして変わらないように見えた。しかし少年の通う学校には、
あそこまで整った顔立ちの女の子はいない。
ここに来る人の子供はほぼ間違いなく少年と同じ学校に通っているはずだ。ということは。
「……転校生なのかな」
ぼんやりとそんなことを思いながら、何故か気恥ずかしくなって読みもしない小説に目を落とした。
だから彼は気がつかなかった。少女がこちらに近づいてきてることなど。
「こんにちは。……あの、何を読んでるんですか?」
多分すぐにも小町娘となるだろう少女の、くすぐったいような声が少年の耳に届いた。
恐る恐る顔を上げると、そこには少し屈んだ姿勢の少女が首を傾げて自分を見ていた。
「あ、えと……」
それが二人の出会いだった。

次回のお題は「浪漫」「星空」「明星」で。

120 :名無し物書き@推敲中?:02/01/04 21:25
「浪漫」「星空」「明星」

 天橋立の近くにあるこの宿は、与謝野鉄幹・昌子が良く訪れた宿
だという。

 文豪の常宿などというから、どんなひなびた風情のある宿だろう
と秘かに心躍らせていたが、入ってみるといかにも近代風のこざっ
ぱりした宿だった。食事は確かに美味かったが、その量にいささか
うんざりさせられた。

 風呂に入り、湯冷ましに少し外に出る。「明星」と云う雑誌の名
前を思い出し、上を仰ぐ。星空の星は間引いてあるようだった。

 「浪漫」などというものははかないからこそ、価値あるものなの
かも知れない。そう思った。

「初詣」「ポアソン分布」「フラット3」 

121 :120:02/01/04 21:32
訂正:昌子→晶子です。
マサコじゃねぇ(w。
ケアレスミス。鬱。

122 :名無し物書き@推敲中?:02/01/04 22:41
初詣の列はなかなか短くならなかった。数年ぶりに天候に恵まれた正月だ。
小さな神社では、参拝客を3列にならべるフラット3作戦で列を裁いていた
が、客のほとんどは2人連れのカップルや、4人連れの家族だ。横3列に並べ、
という指示はほとんど守られていない。

神社側は客の到着が率λのポアソン分布に従うものとしたM/M/1の待ち行列
理論から参拝客の列の裁け方を何度もシミュレートしこの日にそなえたが、
参拝客の到着率はそもそもの仮定を大幅に上回っていた。混雑は神社の敷地
内部だけでなく各種交通機関にまで及び、初詣をあきらめて自宅でテレビの
ニュースを見ている市民に優越の種を提供することとなりそうだった。

次ぎは「評価」「訪れ」「家畜」

123 :名無し物書き@推敲中?:02/01/04 23:30
ふいに訪れた家畜保険所の検査官が言った一言は、
「本検査に回しますから、今から解体作業はストップして下さい」
バカを言って貰っては困るのだ。年の瀬押し迫って、従業員の家族も
あるのに、事もあろうにBSE陽性だと?
オマエ、本当にBSE陽性だとでも思っているのか……
問い詰めたい。小一時間問い詰めたい。
本当は『BSE陽性』言いたいだけ、ちゃうんか?
憤り殺気立つ我々に、涼しげな顔で彼は言った。
「私は心から同情してるのですが、この検査液がですね」
その時、私の中で何かが弾けた。

--------------------------------------------------
次は「デフレスパイラル」「ワイドショー」「亡国」

124 :名無し物書き@推敲中?:02/01/04 23:45
お題の「評価」を「検査」と勘違いしてません?
それとsage進行じゃないとマズイかな?

125 :うはう:02/01/05 00:34
「デフレスパイラル」「ワイドショー」「亡国」

 「いいか、皆の衆」教祖は続けた。
 「インフレはこの世の地獄。共産主義は亡国の教え。
  デフレスパイラルはマスコミが造った幻影なり!
  これらから逃れるため、我が唱える千万教が・・・」

 次の言葉を聞いて、誰もが耳を疑った。
 「・・・信者一人につき壱千万円をあげます!」

 効果はてきめんだった、信者登録するだけで壱千万。
 ワイドショーで報道されると信者は爆発的に増えた。
 信者は、全員、指定のホテルで10泊研修を要求された。

 「なんか普通のビジネスホテルですなあ、一泊いくらでしょう」
 「それがですね」もう一人の男は笑いながら言った、一泊百万円らしいと。

 なんだ、そんなカラクリだったのか。1千万もらって1千万の宿泊代。
 でもまあ、豪華な気分になっただけいいか。教祖も物好きだなあ。

 それから5年後、恐ろしい事がおこった。
 景気が回復してしまったのである。豪華な気分になっただけで・・・?

 ※こんなのありかな・・・
 次のお題は気分を変えて:「スイカ」「市民プール」「塩素」でお願いします。 

126 :名無し物書き@推敲中?:02/01/05 02:26
「スイカの種を遠くに飛ばした方が、負けた方に何か一つ命令できることにします」
そんなことから始まった「縁側種飛ばし大会」も、一応男である京太の勝ちで幕を下ろしそうだった。

勝利を確信した京太はまだ残っている果肉に貪りつくと、横目で冬華の顔を伺った。
市民プールから帰ったばかりなので、二人とも石けんのいい匂いなどするはずもなく。ただ鼻につく
塩素臭が辺りに漂っているだけだ。
けれども、まだ乾いていない冬華の髪はどことなく色っぽさを漂わせており、少しばかり京太をどぎまぎさせた。

「……ずるい」
「は?」
突然口を開いた彼女に、京太はスイカに口を付けたまま向き直った。
泣きそうな顔で、一生懸命涙は流すまいと耐えている幼なじみの顔にどきりとした。
何か言わなければ泣いてしまう。そう思ったのだが、京太の口はうまく言葉を紡ぎ出せなかった。
「何がずるいの?」
自分で自分を殴りたかった。京太はしまったと思いながらも、冬華の方をじっと見ていた。
「私が……」
「うん」
「私が勝って、今度の花火大会、一緒に見に行こうって言おうと思ってたのに。京太が勝つなんてずるいよ」
京太は思わずスイカをのせた皿を取り落とすところだった。あまりにも下らない理由に脱力していた。
「そんなことだったの……?」
「そんなことって何よ! 大事なことなんだから!」
掴みかかろうとする冬華だったが、京太がぼそりと呟いた言葉で途端に大人しくなり、
「うん、なら……絶対だよ?」
と子供のようにはにかんだ。

それから一週間後の花火大会で、浴衣を着た冬華と京太がクラスメイトに目撃されたのは、
また別のお話である。

次のお題は「幼なじみ」「朝」「進入」の三本で。……って、こりゃ話を指定しているようなもんだなw

127 :「幼なじみ」「朝」「進入」:02/01/05 02:41
 もうすぐ夜が明ける。ミッション#23。地球の裏側で無味乾燥の
名前を与えられた作戦行動が開始されているはずだった。私は
落ち着かず通信機の前を行ったりきたりしながら、報告を待った。

 ……進入作戦、すべて成功……
ノイズ交じりの通信機から前線キャンプからもたらされる。司令部が
沸いた。通信士を押しのけてマイクを握る。
「守備は、死傷者は」
……死者1、重軽傷4、我々は最小限の犠牲で作戦をやりとげました……
相手の声が興奮しているのがわかる。
「よくやった、死傷者の氏名を」
ノイズの向こうから、氏名とID番号が告げられる。
「そうか、了解した。重傷者の運搬にヘリを派遣する」
しばらく考えて、付け加えた。「酒も一緒にな」
通信機の向こうの歓声が聞こえる。残りの通信を通信士にまかせ、

 私は司令室のブラインドの隙間から外を覗く。日は既に昇り、朝の
静謐な空気に満ちていた。
 要領の悪い奴、唯一の死者、幼なじみの彼を思った。

次は「夕暮れ」「試供品」「実感」

128 :「夕暮れ」「試供品」「実感」:02/01/05 03:19
「なんか、実感湧かないな」
圭子は少しはにかみながら腕を絡めてきた。
「なんだよ、自分が催促したんじゃないかよ」
俺はふざけて口を尖らせた。
「そうだけど。だってちゃんと聞いておきたかったんだもん」
繋いだ手を大きく前後に振り回す。絡めた指に優しく力が込められる。
「これからもずっと一緒だね」
圭子の横顔は夕暮れに染まっている。嬉しそうに笑いながら。
「ずっと一緒だ。そのまえに式を挙げなくちゃな」
「私、チャペルでの結婚式が夢だったの。ウエディングドレスかぁ。今日からダイエットしなくちゃ! それにエステも。とりあえず、この前もらった試供品のパックをしてみようっと」
「その前に料理の勉強してくれよ」
「大丈夫、明日からあなたのお母さんに習うわ。お姑さんとは上手くやっていかないとね」
すっかりその気だ。でも悪い気はしない。何よりも前よりマシなものが食べられるようになる。

129 :128:02/01/05 03:22
ごめんなさい
次は「カレー」「別れ」「寒い」

130 :「カレー」「別れ」「寒い」:02/01/05 13:10
 インドやタイなど本場のカレーがさらっとしているのに、日本のカレーはとろっとしてい
る。不思議に思ったことはないだろうか。これにはちゃんと理由がある。
 第一の理由は米の違いである。米の原産地に近い本場では、ぱさぱさと離れの良い食感の
長粒米を食べる。この食感が生きるのはスープのようなカレーである。これに対し日本で
は、寒冷地向けに品種改良されたもちもちした食感の米を食べる。この米を使う場合には、
粘性のあるカレーの方がまとまりも良く食べやすい。
 第二の理由は気温の違いである。本場に比べて寒い日本の気候では、本場のようなよく流
れる液体カレーを広い皿に流しては、早く冷めてしまう。小麦粉などを加えて半固形化し、
少し深さのある皿に盛る日本のカレーには、保温性を高めるための工夫がなされている。文
明開化の先人の知恵が、あのとろっとした独特のカレーを生んだのだ。
 このように、カレーをはじめ食文化が様々な形に別れていく過程には、食材や気候が大き
く影響しているのである。

次は「添付」「アドレス」「ウイルス」で(w

131 :名無し物書き@推敲中?:02/01/05 13:55
1月5日 晴れ
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
今日、久しぶりにあの人からメールが来た。
私のメーラーからは削除したアドレス。でも、私にはすぐにわかった。
あの人と別れてから、もう半年が過ぎた。
初めて一人で誕生日を過ごした。
初めて一人でクリスマスを過ごした。
久しぶりにお母さんと二人でお正月も過ごした。
お母さんは嬉しそうだったけど、どうして帰ってきたかは聞かないでくれた。
3が日も終わり、帰省ラッシュのJRに耐えていつものアパートに戻った。
一人のアパート。寒くて、暗かった。
寒さで震える身体をコタツに入れ、卓上にあるノートパソコンを開く。
年末から溜まったメールが100通ほどあった。寂しくて出会い系掲示板に出入りしていたせいだ。
その中に、あの人からのメールがあった。
「I LOVE YOU」と書かれたメール。添付ファイルも一緒にある。
私は嬉しかった。
あの人は、私のアドレスを削除しないでいてくれたんだ。
涙がとめどなく流れた。
一晩中、液晶の画面を眺めながら泣き続けた。

朝になり、私は迷っている。
このウイルスメールを開くかどうか。

あの人のアドレスは入力し直した。

もしも感染したら。
いつかあの人の元にも「I LOVE YOU」と書かれたウイルスメールが届くだろうか。
そのとき彼は・・・

私はマウスに手を置き、カチカチと確かめるようにクリックした。

次は「湾岸」「ボード」「出会い」

132 :「湾岸」「ボード」「出会い」:02/01/05 15:17
季節の恋二題

夏)出会いから 別れるまでの 短さよ
   ボード片手の 湾岸の恋

冬)出会いから 別れるまでの 短さよ
   ボード片手の ゲレンデの恋

#次は「体」「目的」「建前」で(w

133 :体・目的・建前 :02/01/05 18:09
街中で厳つい風体の男が強烈なボディーブローを鳩尾に捻り込んだ事は記憶している。
けれども、そのあと私がどうやってここに来たのかは憶えていない。
気付いたら私の体は麻縄で、硬い鉄製の椅子に括り付けられていた。

十畳ほどの窓もない一室で、この奇妙な現状を冷静に見詰めていると、
白衣を着た老紳士が扉を開け入室してきた。後方には私を襲った男もいる。
「今までよく見つかりませんでしたね。その点は誉めてあげましょう」老紳士が口を開いた。
「なんの事だ?」
「おや、あなたのほうがその件に関しては御存知だと思いますが?」
「だから、何を言っているんだ?」
「ほー、稀に自分の記憶を保身の為に消去してしまう『種族』がいるらしいのですが、あなたは・・・」
老紳士はそう言いながら、私の眼前で立ち止まった。
「私はね、建前上は民間の研究機関で働いている事になっているのですよ。
ですが、実際は当局の要請であなた達『種族』を駆除するのが仕事なんですよ」
「ちょっと待て。なんの話だ」
そう叫んだ瞬間、老紳士は私の口腔に錠剤のようなものを放りこんだ。
「これで、あなたも楽になりますよ」そう言い残して、二人は部屋を出ていった。

奴等の目的は何なんだ。そして私は一体・・・

#次は「妊婦」「こうもり」「メッセージ」でお願い。

134 :「妊婦」「こうもり」「メッセージ」:02/01/05 19:19
「新郎新婦の入場です!」
ウエディングマーチとともに奴ら2人が入ってきた。
新郎妊婦の入場か、そう思えるほど新婦の方は太っていた。

本当はこんな式などに出る気はさらさらなかったのだが、
会社の上司の結婚式だ。
これに出ないとなると、ただでさえ悪い俺の会社での株は
さらに悪くなることだろう。
はっきり言って俺、いや俺をはじめとする俺の同期の連中は
こいつのことが嫌いだった。
今日はちと高いレストランでビールでも飲みに来た、そんな気分だ。
いつものように、上司の悪口を肴に一杯やることはできないが。

「・・・では次に新郎の叔母の白井様よりお祝いのメッセージを
いただきましょう。」
まるでこうもりのような黒ずくめの服を着た女が、
新郎がいかに優れた人物かについてまくしたてる。
うるさいな、こうもりは人間に聞こえないように超音波で喋ってなよ。
俺はそう思ったが、もちろん口にださない。

「いやー、素晴らしいメッセージありがとうございます。
 新婦の和子様もこんな立派なダンナ様を持つことができてさぞかし
 幸せでしょう。」と司会である俺は言った。

俺は、人間に聞こえないほうの、頭の中では、罵詈雑言を並べたてていたが、
聞こえるほうの言葉では美辞麗句を並べ立てていた。

ふん、俺こそどっちつかずのこうもり野郎じゃないか、と自嘲気味につぶやいた。
もちろん、頭の中でだが。

次は「約束」「回数券」「リクエスト」で

135 :踊るボボ人間:02/01/05 20:30
「約束」「回数券」「リクエスト」

いったい私はいつまで回りつづけるのだろうか。
少女から手渡された 回数券を使ってこの奇妙な乗り物にもう何時間も乗ってい
る。もう十枚近く使ったのだが一向に減る様子が無い。 むしろポケットの中のそ
れは前よりも厚みを増して増えつづけているようにさえ思える。 私は少女と初め
て遭った時のあの不思議な雰囲気を思い出していた。
一度もあったことのない女のコだったのに彼女は私のことを知っていた。私の
名前、通っていた小学校の名前、可愛がっていた死んでしまった犬の名前、 子
供の頃大好きだったテレビ番組、初恋の人、 大嫌いだったクラスメイト、 誉めら
れて嬉しかったこと、 叱られて泣いたこと、第一志望の大学に落ちたこと、 憧れ
ていた業界に就職できたこと、親友との約束を破ってしまったこと、初めてできた
彼女、誰にも知られたくなかった秘密。全てのことを彼女は知っていた。
忘れてしまいたかったことや懐かしい思い出、私は何故か涙を流していた。 泣
くなんてことは久しくなかったのに。
それらのことをもう一度整理しようとしたとき、晴天の霹靂とでもいうかのように
ブザーが鳴った。一瞬にして私の思考は掻き消された。

アナウンス「さてこの人生の夢破れ悲しくも路上生活を余儀なくなくされた絶望し
た男をはからずとも現実につなぎとめている記憶はいかがだったでしょうか。 次ぎ
はどんなリクエストが視聴者の皆さんから届けられるのでしょうか。次週をお楽しみ
に」

次ぎは「踊り子」「はいから」「タイムリープ」

136 :名無し物書き@推敲中?:02/01/05 20:32
文章長すぎる奴ばかりだな

137 :名無し物書き@推敲中?:02/01/05 20:45
↓感想、意見はこっちがいいと思うよ・・

http://cheese.2ch.net/test/read.cgi/bun/1005641014/l50

138 :名無し物書き@推敲中?:02/01/05 23:10
とてつもない数の踊り子達が、黒くえぐり取られた時空の裂け目からタイムリープしてくる。
圧巻だった。恐怖を覚えるよりも先に、むしろ感動した。
江戸時代に廃れたはずのあの踊りが、今、目の前で繰り広げられているのだ。
さらに、
「おい、あれを見ろ!」
と、誰かが叫びつつ指を突きだした。その先にはもう一つの裂け目が生じており、
まるで壊れた自販機のように自転車に乗った女性を吐き出し続けていた。
なんということだ。あの自転車の型は少なくとも昨今の物じゃない。
大正初期、いや、明治の中期から後期にかけて製造されたものに違いない。
それを駆るは……ああ、これは現実なのか! 袴の下にブーツを履き、薄紫の縦縞の入った着物を着ている
麗しき彼の人らはまさしく「ハイカラさん」である。
筆舌しがたいとはこのことか。胸に溢れるものを言葉で表現できないのが悔しい。悔しすぎる。
せめても、と私はその光景を目に焼き付けることにした。
じわり、じわり、と滲む景色が白く薄れていき……
私は目が覚めた。

次は「にんじん」「桑の実」「おしゃれ泥棒」

139 :名無し物書き@推敲中?:02/01/06 01:52
「にんじん」「桑の実」「おしゃれ泥棒」

 うちの妹はO・ヘップバーンの「おしゃれ泥棒」がいたく気に入
ったらしい。クルクル変わるジバンシーの衣装がうらやましくてた
まらないようで、母に端切れで何着も趣味の悪い服を作ってもらっ
ていた。

 しかし、所詮ど田舎の小学生なので、片っ端から泥だらけにして
しまう。「泥棒」に行ってくすねてくるのがにんじんだったりする
のだ。一度桑の実の汁で口元・胸元・指先をベタベタの紫に染めて
帰ってきたことがある。

 母はそんな妹を見て、ケタケタと笑った。妹も笑いだし、私もつ
られて笑った。

#お題は「ロック」「カレーライス」「Aクイック」

140 :名無し物書き@推敲中?:02/01/06 13:51
Aクイックってなんですか?

141 :勉強中(M:02/01/06 20:58
次の試合で敗退すると、我々のチームは2部リーグに降りなければならなかった。
「何とかしなければ」
監督はそう思ったに違いない。
練習中の体育館にロック・ミュージックが響くようになったのも、
そんな監督の苦肉の策だったのだろう。
バレー・ボールはある意味とてもリズミカルな動きを要求されるスポーツだから、
アップテンポのロック・ナンバーをBGMにしての練習は効果があったのかもしれない。
入れ替え戦に臨み、我チームは「Aクイック」を多用し、接戦を制した。
試合後、監督が久しぶりに御馳走してくれたのはカレーライスだった。
きょう、帰宅途中の道筋を歩くうちに、何処からともなくカレーのにおいが流れてきて、
そんなことを思い出したのである。

次:「バード・ウオッチング」「油揚げ」「伝統芸能」

142 :名無し物書き@推敲中?:02/01/06 21:39
 これは銀河系の森でバード・ウオッチングを行なうような計画だ。一羽のツバメの為に悠久無限の宇宙を駆け回るのはあまりに馬鹿らしく額に合わないだ。
 「これで27人目です。」
 部下が

143 :名無し物書き@推敲中?:02/01/06 21:41
↑わっごめんなさい。
間違って書きこんでしまいました…。

144 :名無し物書き@推敲中?:02/01/06 21:52
↑問題なし、
よくあることさ。

145 ::「バード・ウオッチング」「油揚げ」「伝統芸能」:02/01/06 21:52
ママは舞台に立てと言う。
僕は、そんな肩肘構えた伝統芸能が大嫌いで、いつも御付の目を盗み
隅田川の中洲へバードウオッチングに繰り出していたのだが、そのうちに
僕の行く先も皆に知れてしまったらしい。それでも、近頃では気を使って
いるのか好きにさせてくれている。
そんな或る日、ふいに腹が空いたのに思い至って、僕は傍らの幕内と出涸
らしの御茶に手を伸ばそうとした。すると頭上を掠めて、大きな鳶が稲荷
寿司をさらっていってしまった。
都会育ちなのだろうか上手く掴めずに油揚げだけを攫って……
何故だかは解らないが、その事があって以来、僕は自分の行く道に打ち込
んでいる。
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次は「年始参り」「鏡割り」「海水浴」で

146 :「バード・ウオッチング」「油揚げ」「伝統芸能」:02/01/06 22:23
いつのまにか近所の寺の境内から鐘をつく音が聞こえ出した。
つけっぱなしにしているテレビからは紅白歌合戦。
「白組、白組は何票でしょうっ?数えるのは日本野鳥の会の
皆様です!!」
アナウンサーの幾分興奮した声が響く。
しかし、バード・ウオッチングだけでなく色々やってんのねえ。
程よく煮えた年越し蕎麦を器に移し、きざみ油揚げと葱を乗せた。
フワリと湯気が立ち美味しそう。
3人分用意して気付いた。
(ちがうちがう。今年からは2人でいいんだった)
一人娘は11月も末に嫁いでいったばかりだった。
テーブルの上の写真立てには、新婚旅行先のバリでの幸せそうに
微笑む二人の姿がある。
その横には、お土産の恐ろしげなお面。
バリの伝統芸能・バロンダンスでのお面を模したものだそうである。
「お父さん、お蕎麦できたわよー」
眠たい目をした夫を起こす。
ああ、いつのまにかこの人も白髪になっちゃって。
もちろん私も、なんだけど。
ふと、思った。
今年は、いいえ、今年も良い年になるといいな。


被ってしまったけどせっかくなので。
お題は前の方と同じ「年始参り」「鏡割り」「海水浴」
でお願いします。

147 :うはう:02/01/07 00:28
 父の海外出張も無事終わり、6年ぶりに帰ってきた日本。
 彼は、さっそく彼女をお年始参りに誘った。

 小6で別れて以来、久々に会った彼女は以前と変わぬ面影だった。
 彼はさっそくスカートめくりを試みた!6年前と同じ様に・・・

 その時、猛烈な嘔吐と頭痛が彼を襲った。
 理由はわかっていた。
 パブリックスクールでの厳格な生活。度重なる懲罰と鞭打ちが彼を変たのだ。

 「頑張るんだ!」彼は自分を励ました。
 海水浴の時を思い出すんだ、みんなパンツ一丁に近い状態じゃないか。
 ほら、彼女だって和服の裾を持って待っててくれてるじゃないか・・・頭痛は止まない。

 「大丈夫っ洋服に着替えてくるから!」たまりかねて彼女は言った。
 洋服なら、ミニスカートなら、きっと元のアホな彼に戻ってくれるに違いない。
 彼女一人だけ、洋服で鏡割りを迎えてくれたのは、そういうわけなのだ。
 あの鏡餅の様に、自分への条件付けが粉砕される事を彼は切に願った。

 ※削ってぎりぎり14行。やっぱし長い。足は短い。
 次のお題は:「お年玉」「凧」「世界平和」でお願いします。

148 :「お年玉」「凧」「世界平和」:02/01/07 01:17
凧の糸が切れて飛んでいってしまったと妹が泣いた。
あまり激しく泣くので、爺ちゃんから貰ったお年玉の
残りで買ってやると言ったが、まだ泣きじゃくるので
しまいに腹が立ってきた。
世界中のそこかしこで戦争だ紛争だ闘争だ何だと
起こっているのに、今しがたも起こっているかもしれ
ないのに、凧が何だ。
凧が何だ。凧が何だ。
そんなもん世界平和の役にも立たねえ。
まったくおめでてーな。お前は。
そう毒づくと妹はぽかんと口を開けて、僕を異星人を
見るような目で、見た。
僕は途端に恥ずかしくなり、こんな年端もいかない
幼い妹を叱るような自分にした親を、大げさに言えば
世間を、呪った。


次は「女スパイ」「フレンチトースト」「定規」で
お願いします。

149 :「女スパイ」「フレンチトースト」「定規」:02/01/07 01:26
 女には向かない職業、ってのがある。本来男のものである仕事場に
女が進出してくると碌なことがない。女スパイ、女性知事、女流作家、
わざわざ女とつくのはそれがもともと男のものだからだ。男スパイ、とは
誰も言うまい。
 女は女らしく、杓子定規で測ったような事務仕事でもするか、
そうじゃなければ結婚して日曜の朝ごはんにフレンチトーストと
ハムエッグを作っていればいいのだ。

 ところが、あの女、女の癖に、俺の上司だ。俺が今職安の窓口の列に
加わっているのだってあの女のせいだ。ちょっと文句いったからってクビ
なんてさ。

#嫌な男だ。
#次は「血みどろ」「羽子板」「没」で。

150 :名無し物書き@推敲中?:02/01/07 01:31
「お年玉」「凧」「世界平和」

 叔父……父の一番若い弟だった……はお年玉袋の表に、必ずでか
でかと「世界平和」と書いていた。対した額が入っていたわけでは
ないので、ありがたみは感じなかったが、そのことだけは印象に残
っている。弟とは役立たずのことを「世界平和」といって陰で馬鹿
にしていた。

 そんな叔父に召集令状が来たのは去年の3月のことだった。頬を
紅潮させながら、「お国のために……」と出征の演説をぶつその姿
を見て、やっと正気に戻ったかと思った。皮肉なことに、彼が前線
に投入された5ヶ月後、戦争が終わった。彼は帰ってこなかった。

 今日、僕は「世界平和」と表にでかでかと書いた凧を揚げている。
凧は風で上へ上へと揚がっていき、白い影が青空に溶けていく。

#お題は「下校」「デート」「爆弾処理」

151 :150:02/01/07 01:38
うへぇ。思いっきりかぶってるな。
筆が遅すぎた。失礼。

お題は>>149の「血みどろ」「羽子板」「没」でお願いします。

152 :名無し物書き@推敲中?:02/01/07 01:44
「血みどろ」「羽子板」「没」「下校」「デート」「爆弾処理」

 手先が器用だったからだろう、爆弾処理班に配属されたのは。
配属以来、失敗したことがなかった。
 地盤陥没の危険を調査中に大戦中の不発弾と見られる爆弾が
見つかり、小学校の登下校のルートに近い土地だったためか、早急に
撤去すべしという厳命が下った。よくあるタイプの不発弾で簡単に
片がつくものと思っていた。

 油断していたもかもしれない。

 血みどろになりながら、やっととりつけたデートの約束を思った。
顔中が煤だらけだろう。羽子板で負けた男のように。こんなまぬけ
面では嫌われてしまうかな。

「汚水」「ファイト」「ブックエンド」

153 :「血みどろ」「羽子板」「没」:02/01/07 01:57
同じゼミの黒田君が羽子板抱えてやって来た。
お互い正月することも無く、ひとつ羽根つきでも
ということに相成りました。
羽根つきなんて、簡単と見くびったのが悪いのか
僕は完敗した。君だけにこっそり打ち明けるが
十回やって一回も勝てなかった。
「酒、酒をおごれよ。酒」と黒田。うれしそう。
「何でだよ」
「室町の昔から羽根つきの敗者は酒をおごるものだ」
勝ち誇る黒田のやつ。ちくしょう。ちくしょう。
羽根つきなんて、所詮女子供のスポーツだ。
正月だから羽根つきなんて没個性極まりない。
僕の心は今完膚なきまでに打ちのめされ、切り裂かれ
引き裂かれた。
僕の心は血みどろだ。


・・・ひとあし遅かったみたい。
お題は前の方と同じ「汚水」「ファイト」「ブックエンド」
でお願いします。

154 :「汚水」「ファイト」「ブックエンド」:02/01/07 02:32
高橋さんは美しかった。
平凡な女子生徒達の中で群を抜いて美しかった。
例えるなら、汚水に浮かぶ白鳥だった。
ヨッチャンの中のアッコちゃんでもいい。
私は放課後になるといつも図書室の2階、南側の
窓へ向かった。
ここからは、グラウンドの様子が一望できる。
高橋さんのテニス部の練習も見える。
図書館の設計士さん、あなた神。あなた天才。
もうすぐ「ファイト」「オー」「ファイト」「オー!」の声が
聞こえてくる。
天使の福音が。
分厚い百科事典の棚の側、ブックエンド越しに僕はそっと
顔を近づけた。


「マッチ棒」「鉛筆」「食物繊維」でお願いします。

155 :名無し物書き@推敲中?:02/01/07 02:38
「汚水」「ファイト」「ブックエンド」

『戦う君のことを〜 戦わない奴らが笑うだろう〜♪』

今、オレは汚水の中を進んでいる。下水に逃げ込んだワニを追って。

『ファイト! 冷たい水の中を〜♪』

しかし、オレはいままで履歴書を一体何枚書いたんだろう。

『身体を震わせて登ってゆけ〜♪』

左のブックエンドから右のブックエンドまで、余裕で行くな。

#眠れん。
#お題は「斧」「茸」「鱸」

156 :名無し物書き@推敲中?:02/01/07 02:48
「斧」「茸」「鱸」 「マッチ棒」「鉛筆」「食物繊維」

 いまどき珍しい樵が職業だ。斧を振り回し、木を切っている。
現在は伐採の季節ではないので、耳に刺した鉛筆で木々の
成長をメモして回るのが主な仕事だった。合間に下生えをかき
分けて、茸を探す。マツタケではないが、天然のものは美味い。
 そろそろ休憩にしよう、とアイスボックスから知り合いの漁師
に貰った鱸を出す。
 マッチ棒で火をつけて、その場で調理し、食す。
 美味。
 茸もあぶって食す。
 美味。
 そういえば、食物繊維が足りないな、今日のメニューをみて
思った。

次は「ウーロン茶」「ごみ収集」「空箱」

157 :「ウーロン茶」「ごみ収集」「空箱」:02/01/07 03:17
まいどおなじみのごみ収集車の音楽で目が覚めた。
びっしょり汗をかいていた。
頭痛い。気分が重い。口の中が嫌な感じ。
ふたを開けたまま放置していた、ペットボトルのウー
ロン茶をひと口飲んだ。うまく飲み込めない。
嚥下できない。
辛い。
苦しい。
心のどこかがひりひりする。
あたしのせいだ。
あたしはあなたに酷いことを言った。
部屋の片隅に転がった空箱。
あなたの服とか入ってた箱だったのに。
あなたは出て行った。
これが現実だ。


次は「野球」「剣山」「スキー」で。

158 :「野球」「剣山」「スキー」:02/01/07 03:38
 カッコいいスキーウェアや板、なんてものはない。
どちらかといえば歩くスキーだ。
「かなり歩きますからね、それにこちらのほうが小回りが効きます」
幹事である後輩の市井が言った。市井は北国出身だからスキーなんて
お手の物だろうが、俺たちのほとんどは違う。こんな剣山のように切り立った
山肌をすべることなど不可能だ。だいたい普通のスキー場のように華やかな
女性スキーヤーがいるわけでもない。そう告げると奴は平然とこういった。
「ちょっとぐらいハードじゃないと合宿になりません。何もナンパしに
きたわけじゃないんですよ」
「それはそうかも知れないが市井……」
俺たちは野球部なんだぜ。

#スポーツ2種類は辛い。
#「炎」「相撲」「潜水艦」

159 :SF好き:02/01/07 07:10
「炎」「相撲」「潜水艦」

イノセント地球降下部隊の潜水艦から出てきたのは相撲レスラータイプの甲虫戦士、
何を考えているんだと、トラブルバスターの男は大型デラメーターの引き金を引く。
対艦、対宇宙戦艦モードの地獄の炎が解放された瞬間、
島国の入り江は沸騰を通り越して水蒸気爆発、敵潜水艦は素粒子に還元されていた。

#次は「火山」、「神経毒」、「テロ」でよろしく。

160 :「火山」「神経毒」「テロ」:02/01/07 14:19
我々研究班は荒居山の中腹へと辿り着いた。
ここは100年前までは活火山であったが、今は休眠状態
である。
「隊長、大変です。オオスズメバチの大群が!」
茂みの奥から叫ぶ声がする。
「脱出だ!各自キャンプ地点まで脱出せよ!」
「隊長、鷹城隊員と中元隊員の2名がやられました」
そう報告する加東隊員の声が妙に冷静なのが気になった。
「ところで隊長。ご存知ですか?」
加東は不敵な笑みを浮かべ、義手を突き出した。
「オオスズメバチの神経毒ってフグ毒そっくりだって」
その手のひらには、獰猛な、大きな、蜂。
計られた!これはテロだ!!私に対する!!
私は無我夢中で通信機に向かって叫び続けた。
「氏村隊員!氏村!聞こえるか!氏村ッ!!」

次は「牛車」「帽子」「万華鏡」でお願いします。

161 :牛車・帽子・万華鏡 :02/01/07 16:32
杉村光子は隆の実家が金持ちだって事は承知していたが、それは予想を遥かに越えるものだった。
どこぞやの寺院の入り口のような門をくぐりぬけ住居の玄関まで辿りつくのに、
5分はかかった気がした。いや、それは錯覚なのだろうが、その時はそう思った。

通された30畳ほどの座敷には様々な骨董品が飾られている。
床の間にはやんごとなき御方が牛車に引かれて周遊している掛け軸が飾られている。
光子は、一人静寂とした和室で正座していると自分は場違いなんじゃないかという思いが次第に強くなってきた。

気を落ち着かせようと深呼吸をした時、隆とその父親が現われた。

「お待たせ、光子」隆の柔らかな声が投げかけられた。
が、光子はその声には反応せず、隆の背後を凝視していた。
―何?あの帽子みたいなかつらは・・・
光子は隆の父の不自然な髪型をまるで万華鏡を初めて与えられた少女のように真剣に見つめ、
そして思わず笑みを零した。
「ほー、杉村君はなかなかいい笑顔を持っているね」
光子の第一印象は良好のようだ。

次は「幻」「軍手」「トラベリング」で御願い。

162 :「幻」「軍手」「トラベリング」:02/01/07 20:47
「これは、幻の古墳に違いない」
汚れた軍手で持つ刷けが小刻みに震える。
件の捏造事件からというもの、周囲や家族の目は冷たく助手のなり手もいない
状況で発掘作業は自分一人で全てこなすしかなかった。
それも遂にむくわれる時がきたのだ。外壁に損傷の痕跡は無かったので、すく
なくとも千五百年以上は手垢のついていない重文級の大発見であろう。
昂ぶる興奮を抑えながら朱色に染まった石棺とおぼしき塊に手を掛け、慎重に
蓋部分をずらし中を覗き込み、言葉を無くした。
「なんだ、こいつは? まるで生きてるようじゃないか」
私の目に映ったのは、装飾具を身に纏う眠っているとしか思えない古代人の姿
だったのだ。
先程までの高揚感は消えうせ、いいようの無い不安が私を支配してゆく。
古墳に仕掛けられたトラベリングマシンを偶然発見する主人公が、タイムパト
ロールに追われる身となる……そんな小説の一場面が脳裏をよぎった。

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次は「沈没」「虚無」「軍団」で

163 :名無し物書き@推敲中?:02/01/08 00:57
「沈没」「虚無」「軍団」

艦体ノ傾斜九十度ニ達ス
弾庫内ニテ主砲弾滑リ、信管激発シテ炸裂誘爆ヲ惹起ス
一撃必殺ノ徹甲弾、敵ヲ撃タズシテ我ガ腹ヲ裂クトハ
数百ノ戦友 ソノ肢体ヲ四散セシム
嗚呼、一瞬ニシテ生ズ数百ノ死 数百ノ虚無
ソノ魂魄ノ行キ着ク先ヤ如何ニ
昭和二十年春 海駆ケル祖国ノ軍団 最後ノ巨艦沈没ス
徳之島北西二百海里 水漬ク屍 ソノ数三千

#よいお題なので久々に文体模写やってみました。浮いてたらスマソ。
#次は「蓋」「猿」「アンテナ」でお願いします。

164 :名無し物書き@推敲中?:02/01/08 04:13
「蓋」「猿」「アンテナ」

俺はアンテナに通い続けている。巨大な蓋のようなアンテナはどんな微弱な電波でも
漏らさないようにするためだった。制御室で受信記録をチェックするのが俺の日課だ。
少しでも意味ありげな通信を発見すると、コンピュータルームに籠り、クレイを回して
解析作業にはいる。スーパーコンピュータはあらゆる暗号のパターンを用いて入力信号
を分析し、結果を世界中の言語辞書と照らしあわせる。俺はどきどきしながらディスプ
レイに向かい結果が出力されるのを待つ。しかし、通信がなんらかの言葉になっている
ことは稀であったし、それが意味のある文章になっていることはさらに稀だった。ハード
ディスクには猿が目をつぶってタイプライタを打ったような文章だけが溜っていく。

絶望だけが募っていった。もう他に知的生命体と呼ばれるものは居ないのか。
地球最後の生命体である俺が、宇宙最後の生命体なのだろうか。

俺はアンテナに通い続ける。

#「カンナ」「卵」「清流」

165 :勉強中:02/01/08 08:30
代々受け継がれた特性のカンナで削りだされた木片が
鶉の卵のような形になると、名匠は最後の仕上げにはいった。
木片を紙やすりの上で転がし、表面のバリを取る。
あとは鮮やかな色の漆を塗れば完成である。
毎度のことながら、名匠は漆が乾くあいだ、
この木片が清流の渕に沈み、竿が撓ると同時に掌に伝わる渓魚の手ごたえに思いをはせるのであった。

次:「引越し」「当座預金」「臨時国会」にて

166 :少し長いな、すまん。:02/01/08 22:44
新しい部屋の匂いに心が弾む。意味もなくにやけていた自分が、少し可愛く思えた。
「ついに、私も一人暮らしだー!」
身を捩り、内腑の奥底にまで堪っていた喜びを天に突きだした掌から解放してやる。
新生活の楽しみというやつを全身で味わうためだ。過去は過去。今は今のことを味わうためなのだ。
「あ、テレビ出さなきゃ」
そうだった。まずは生活の基本、テレビジョン様を設置しなければならないのだ。
なんとか引越センターが運んでくれた段ボールを開け、まだ開けてない箱の上にテレビを置いて
素早く配線を繋ぐ。自分の部屋で使っていたやつだからこの辺りは簡単だ。
私は主電源を入れると、暴れる心臓を押さえながらリモコンのスイッチを押した。
さて、記念すべき新居での初番組は……。
「そんなことだから! そんなことだから! この国を悪くしているのは……」
チッ、よりによって臨時国会の中継か。しかも電波で有名な葵議員が映るとは。
私はケチが付いたような気がして、そのまま電波に力を供給しているプラグを引っこ抜いた。
未開封の箱が山積みの部屋で、静かになったテレビがもの悲しさを誘った。
「……少し、気分転換でもするかな」
手持ちの鞄に入れてきた通帳を取り出し、その金額をじっと凝視する。ゼロが五つあって、その先に五の文字。
普通預金と当座預金の区別も付かない私だが、預金することは素晴らしいと思う。
なぜなら、こんなにも人を幸せにしてくれるのだから。

現金で、下らないことで機嫌を直す自分が、私は大好きだ。
引っ張り出した布団を被って私は眠りについた。きっと明日も良いことがある。そう考えながら……。

次のお題は「荷物」「交番」「赤い風船」

167 :「荷物」「交番」「赤い風船」:02/01/09 00:17
風呂敷に包んだ荷物を大事そうに抱えた婆さんが尋ねてきた。
「こけかいちょるたかしんかたへは、どげんすらゆきつくかおしえちもらいてんやけど」
チラシの裏に鉛筆で書かれた手書きの地図には三丁目のマンションの名が書かれ、横
に大きく『タカシ』と書かれていた。婆さんは、その紙切れを私に見せ「孫に会いた
いのだ」というようなことを国言葉で喋り続ける。
右に曲がって通りに入って三本目の辻を左に曲がった二件目のマンションという旨を
私は必死に説明したが分かって貰えず、行き先も分からないまま放り出すのも気が引
けたので建物の前まで案内をする破目になった。
正月の双六で二マス戻るを引いたような気分で引き上げてくると、今度は道端で泣い
ている小さな女の子と母親の会話が聞こえてくる。
「ほら、泣いてないで。あそこの交番で、お巡りさんに取ってもらいましょう」
なんの事かと元旦の空を見上げと、電柱にからまった赤い風船がふわふわと浮かん
でいるのが目に入った。

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次は「張り子」「研究者」「レール」で

168 :名無し物書き@推敲中?:02/01/09 01:05
 「張り子」「研究者」「レール」

 むせ返るような臭気に嘔吐感を堪えながら足を踏み入れる。
「まだ二年目でこれか……お前さんも運がないな」
 試薬が並ぶ棚の上に飾られた張り子の虎の口元からは血が滴り、白衣の研究者の首筋には
獣が噛みついたような裂傷が見える。鑑識によるとほかに致命傷らしきものどころか、かすり傷
一つ見あたらないそうだ。失血性のショック死だろうとベテランの鑑識は言う。
 研究者がうつぶせに倒れている窓際の床には、時間と共に乾き始めた血溜まりが彼の周囲2
メートルにわたり広がっていた。カーテンレールが折れ曲がり、引き裂かれた白い布が赤く染まっ
ている。その布には、彼がつけたのか乾いて茶褐色になった手形が伸びていた。
窓にも血しぶきがかかったのだろう、幾筋もの線が見え、その向こうには野次馬となった学生達
が制服に遮られている。
「ひどく奇妙ですね」
 張り子の虎が動き出して人を襲うわけがない。にもかかわらず首筋に残る咬傷だけ。不安が表に
現れる声だったのか、佐伯さんは不敵に笑って頷いた。
 彼には、これが一連の事件への幕開けとなる予感はどこかでしていたのかもしれない。


#次のお題は「たらこ」「土星」「情熱」でよろしゅ

169 :勉強中(M:02/01/09 01:46
2007年、

170 :勉強中(M:02/01/09 01:49
↑げげ!やってもうた!
夜更かしするとこれじゃけん、
スマソ、もうオチます。

171 :名無し物書き@推敲中?:02/01/09 03:54

「たらこ」「土星」「情熱」+2007年


2007年に発表された太陽系の各惑星への移民計画は急速に進んでいる。
計画から数十年、いくつかのアクシデントはあったものの、火星、木星、
と外惑星が順々にテラフォーミングされていった。
次ぎのターゲットは土星である。この計画にはすでに可住化された火星や木星から
多くの技術者や労働者を募って行なわれた。こういった計画の障害になるのは、
宗教的な地球回顧願望だ。しかし、今回の現場の参加者の多くを占める若者は
地球外で産まれ一度も地球の土を踏んだことがなく、くだらない郷愁とは無縁である。
前向きな情熱と若さとで、着々と作業を進めて行った。
遠くへと、より、遠くへと。若者は地球から離れることになんのためらいも
見せず、人類の勢力図の拡大だけをひたすらに目指した。
若い彼らにとって残念なのは昼食の弁当につく握り飯の具がタラコではなく
梅干しだということだけだった。

#「精霊」「政令」「精励」

172 :うはう:02/01/09 08:09
「精霊」「政令」「精励」

 大都市の廃棄物を一手に引き受ける、巨大ゴミ処理場・・・
 誰も行きたがらないこの場所に、三人の男達がいた。

 皆、精励賞をとる働き者だが、その出身は不明だった。
 どうやら兄弟らしく、二男坊がやや喧嘩っ早いきらいもあったが
おおむね仲良く仕事をこなしていた。

 彼等がここを去った理由は、先日でた「不要物廃棄法」だ。
 家庭にある不要物に限り、無料で引き取る政令。
 新聞でこれを見た朝、三人は固く深刻な表情で何やら話し合っていた。

 東京数百万世帯。
 ファミコン・冷蔵庫・CD・ポスター・玩具・・・
 時代を偲ばせる様々な「廃棄物」が棄てられてきた朝、彼等はここを去った。
 置き手紙。「ぼくたちは、こんなむごいことできません。さようなら。」

 山の様に棄てられた流行品を前に、所長は悟った。
 「そうか、あの3人は精霊だったのだ。あの「だんご三兄弟」の!」

 ※会社に遅れてしまうー;
 次のお題は:「春」「妖精」「分子」でお願いします。

173 :名無し物書き@推敲中?:02/01/09 12:29
20XX年、とうとう地球に最後の日がやってきた。
最終兵器は、分子再構成装置。地球上を構成する全てのものを、
分子レベルから作り替えてしまうという恐るべき兵器だった。
そして、その恐ろしい威力は、開発者たちの予想すら遙かに上回った。
敵国のみならず、全く関係のない第3国、果ては自国の全てまで
破壊し尽くし、がれきの山にしてしまったからだ。地球は、完全な
死の惑星と化した……かのように見えた。
しかし、そのがれきの山の中に、僅かに動く影があった。一人の
少女だった。最終兵器が発動されたとき、少女はその軍事施設の
保育施設にいた。絶対に安全とされた強力なシェルターは、なんとか
一人の少女の命を救った。
しかし、人類最後の生き残りであるその少女も、やはり致命傷を負っており、
残された時間はあと僅かだった。
少女は薄れゆく意識の中で、兵器が発動する直前に、先生に読んで
もらっていた絵本のことを思い出していた。その絵本は「永遠の春」と
いう本だった。争いに閉ざされた厳寒の国で、ある少女が妖精に
お願いをする。「この国を永遠に春のような、暖かな国にしてください」
妖精はその願いを叶え、その国に永遠の春をもたらした。人々は
暖かな気候の中で、いつしか争いを忘れ、国に平和が訪れる、という
話だった。
少女は、うわごとのように、小さな声でつぶやいた。
「永遠に春のような、暖かな国にしてください……」
その言葉に、がれきの影にあったマイクと、音声認識装置が反応した。
そして、その信号が非常用電源で作動し続けていた分子再構成装置に
新たな指令を送った。
その瞬間、地球上の分子が再構成を始めた。がれきと焼け跡と死の
世界は、見る見るうちに形を変え、若草が柔らかく茂り木々は若葉で萌え、
そして花が鮮やかに咲き乱れ、世界は暖かな日差しに包まれた。

地球は、暖かな星として生まれ変わった。そして、木々や草花、
柔らかな日差しに見守られながら、少女は眠りに落ちるように、
息絶えた。

#「鉄橋」「初恋」「ソーセージ」

174 :勉強中(M:02/01/09 16:48
休日の河川敷は家族連れで賑わっている。
うららかな春の陽射しを浴びた子供たちが走り回わり、
あちこちでバーベキューの煙がたちのぼっている。
遊びつかれた子供が鉄板でほどよく焼けたソーセージを無心に頬ばるのを眺めるうち、
私は持って来たツルゲーネフの「初恋」の文庫をデイ・パックからだすのを止めてしまった。
新緑の生い茂る土手に寝転び目を瞑ると、遠くの鉄橋を列車が渡ったのか、微かにごうという音が聴こえた。

次:「楽器」「台車」「発表試乗会」にて

175 :「楽器」「台車」「発表試乗会」:02/01/10 00:07
この前、マニア向けの発表試乗会ってのに行っ
たわけ。これがすごいんです。
某社の製品なんてほとんどレプリカとは判らない
精緻なディテール。滑らかなフォルム。
まさにノーベル賞モノのド迫力。
台車で運ばれてきた途端、歓声ともため息とも
つかない声が漏れてた。
で、さっそく試乗してみたんだけど、もう最高。
声も出ない位最高。
ただ乗ってる内に、音律の狂った楽器みたいな
音を立てだすのがつらかったな。
何の試乗会かって?バイクでも車でもないよ。
大きな声じゃ言えないが、まあ・・・オランダ人
形っていうのか・・・そんな感じで。
ひとつ察してくれ。


スポーツ紙風俗欄のアメリカンジョークっぽく。
次は「毒薬」「襖」「事務所」でよろしくお願いします。

176 :妄想100%バカ:02/01/10 02:41
 開きかけたドアの向こうに立つ、まだ若い娘の顔には見覚えがあった。
確か以前の依頼人の娘で、何度か事務所に来ていたはずだった。
 だから娘が思いつめた表情でこちらを見つているのに気づいたとき、
正直、私はうんざりした。かっての依頼で知った娘の補導歴のことが瞬間
頭をよぎったからだ。
「あのう」と娘がいった。まるで依頼人になれると信じきっているかの
ようだった。
 私は、応えるのも面倒なので、何もいわずに事務所の中に逆戻りし、ストール
に腰掛けると、懐からタバコを取り出して火をつけた。
 娘がどう反応するか楽しみだったが、案の定、私の後から事務所に入り、当たり
前のように依頼人用のソファに座った。
「あのう」
「また襖の奥から、見知らぬ男でも出てきたのか?」
 面倒なので、依頼人になられる前になんとか帰そうと、私は今までで最も最悪な
対応をした。……つもりだった。しかし足りなかったようだ。そして次の瞬間、
私はそうしなかったことを激しく後悔した。
「違います。彼の家の押入れの中から青酸カリ、……毒薬が出てきたんです」

 原僚風…というか実際、原僚に是非続編を書いて欲しい。
次のお題、「青い」「狂気」「少女」…なんだか簡単そう。
というか自分がそうだったから、次の人にもそうしないとなんだか悪いので。

177 :青い・狂気・少女 :02/01/10 03:39
ラッシュアワーで社会が忙しく動き出す時刻に、
オープンテラスのコーヒーショップで朝食を取るのが俺の最近の日課だ。
毎朝カプチーノとチーズトーストなんて云う欧米風の洒落たメニュー。

食後もちびちびとコーヒーを飲みながら暫くそこに居座る。
狂気とも云う様相で会社に遅れんが為だけに必死で走るOL、
だるそうな顔で通学するうら若き少女、
社会に失望したが為か下を向きながら歩く中年男性・・・。
俺はそんなやつらを睥睨しながら優越感を味わう。

一人悦に入りポケットから取り出した両切り煙草を吸い、
不健康な紫煙と夜間に植物により浄化された大気を混ぜる。
そして何処までも青い空を背景に、たゆたう煙がはぐれ雲になるまで見守る。
世の流れと逆行してゆったりと時を過ごせる俺は幸せ者だ。

え?俺の職業?失業手当てという給料を貰い、自由を享受するのが仕事さ。
笑いたきゃ笑いやがれ、この野郎・・・。


#次は「放浪」「神教」「ポルノショップ」でお願いします。

178 :名無し物書き@推敲中?:02/01/10 03:56
放浪神教ポルノショップ

幾度の夜明けを繰り返したのか、もう数えていなかった。指折り数えるには
太陽は強烈すぎた。
ラリーの半ば、砂漠の真ん中で道に迷ったあげくに車のエンジンをやられて
から数日が経つ。ナビを勤める相棒がアウトドアに詳しく、的確なアドバイス
をくれなかったらとっくに干からびて死んでいただろう。
昼間は砂を掘った日陰で眠り、夜は砂漠を放浪する。空腹のあまり目覚めた
俺は、真上にある太陽に目を細めながら、遠方を見やった。
街だ。街が見える。よく遊んだ神社の鳥居の赤さが遠くに揺れている。
おい、俺は相棒を起こす。街だ。
「そんなわけないだろう、ここは日本じゃないんだぜ、幻覚だ」
いや、そんなことはない、あの鳥居を見ろよ、赤くて目立つ、そういっても
取り合わない。
「なにもないじゃないか。どこまでも砂漠だ。お前、神教徒だったな、幻覚まで
信心深いのか」
わざわざ両手を丸めて望遠鏡を覗く仕草がいやらしい。
じゃあ、あそこのネオンは見えないか、あのポルノショップのやつだ。

不信心者の相棒も、今度は黙りこんだ。

次ぎは「パウダー」「チューリップハット」「けんちん汁」

179 :また長いな、すまん。:02/01/10 15:54
「貴方にはこれが必要なの」
少し低い、きつめの声音をした女性がいきなり台所に現れた。手には胡椒瓶のような物を持っている。
チューリップハットを目深くかぶっているためによく顔は分からないが、
艶やかな唇だけでも浩一郎は心を鷲掴みにされかかった。
もしも帽子をかぶっていなかったら……自分はどうなっていただろう?
浩一郎が茫然と思っている間に、謎の女は手に持っていた瓶の中身を火に掛けていた
けんちん汁にぶちまけた。
黒い粉、と言えばいいのだろうか。しかしそれは様々な色が混ざった黒で、
どこか淀んだ溝のような、深く引き込まれる混沌のような印象を浩一郎に与えた。
ひどい匂いが辺りを包み、意識を奪われそうになる。
「あ……お、おい! 何をするんだ君は! それに、一体いつの間に僕の家に忍び込んだんだ!」
浩一郎は奈落へと飲み込まれていた心を引き上げ、自らが優位に立てるよう声を張り上げた。それは
得体の知れない恐怖に打ち勝つための剣に過ぎない。だがそれもすぐに折られることとなった。
女が帽子を脱ぎ去ったのだ。氷のような視線が浩一郎を射竦め、その唇が薄く開かれる。
「これは貴方を救うための薬、エレルデンパウダー。そして、私の存在を確実なものにする鍵」
「な、何を言ってるんだ……?」
「どうでもいいことよ、きっと。でも、大切かも知れないこと」
女が踵を返して歩き出した。すうっと溶け込むようにその輪郭が薄くなっていく。
「また会いましょう。いつか……」
彼女の口の端が、微かに笑っていた。

それから十年が過ぎた。三十半ばを超えた浩一郎も良き伴侶と巡り会い、一人の女子を授かっていた。
ある時、望未と名付た娘が浩一郎の元に駆け寄り、その足に抱付いた。何だろうと訊いてみると、
顔を上げた望未は、父を嘲笑うかのような笑みを浮かべた後、
「また、会えたでしょう? お父さん」
そう言った。

浩一郎の脳裏で、あの女が見たこともない笑顔を浮かべていた。くっくっという声が聞こえてくる。

次は「アルト」「フォルテッシモ」「葬送曲」です。

180 :勉強中(M:02/01/10 18:45
この街のアフロ・アメリカンの慣例に従い、
R・Jに所縁のある人々は目に涙を溜めながらゴスペルを歌った。
教会の扉が開き、棺が担ぎだされると、
チャーリーのアルト・サックスはピアニシモからフォルテシモへ移行し、
葬送曲は、まさにクライマックスを迎えようとしていた。
R・Jの亡骸は遺言の通り、シカゴ行きのグレイ・ハウンドが通るルート139沿いの墓地に葬られた。

次:「設計図」「給与明細」「蛍光灯」でおねげーしますだ。

181 :名無し物書き@推敲中?:02/01/10 18:50
「アルト」「フォルテッシモ」「葬送曲」

 葬送曲の作曲を依頼された。

 その人は、私にとっては大先輩、いや恩師といえる人だった。そ
の恩師の人生のラストを飾る場に、私の曲など畏れおおいと断った
のだが、香典代わりに是非と、老い先短い本人に頼まれては、断り
きれるはずもなかった。

 私は悩んでいた。ブリッジのところのアルトテナーのパートがど
うしても決まらない。ずぶずぶと焦燥感だけが心の底に煮詰まって
いる。

 そうだ、先生だったらどうするだろう。そう思った途端若い頃の
記憶が蘇ってきた。……悩んだときには他の音楽を参考にしなさい。
ブルース進行などどうだろう……最初の仕事の時のアドバイスだっ
た。気付いたときにはブリッジの部分をスッカリ書き換えていた。

 翌日、病床の本人にスコアを持っていった。
 「わすれものだな。」といって、フォルテッシモを書き加えてく
れた。

#お題は「鍋」「高周波」「ホバークラフト」

182 :かぶりゴメソ:02/01/10 18:52
お題は>>180の「設計図」「給与明細」「蛍光灯」でおねがいします。

183 :名無し物書き@推敲中?:02/01/10 19:42
「設計図」「給与明細」「蛍光灯」「鍋」「高周波」「ホバークラフト」

給与明細を蛍光灯に透かしてみる。裏から見ても表から見ても、
安月給は安月給でしかなかった。調理用家電会社に勤めて数年、
担当しているのは電気鍋の設計だ。全体にむらなく火が通る
技術は電子レンジの原理を応用した高周波を用いたもので技術的
には高度なものだが売上は芳しくない。
皆が「うんてんしゅさん」に憧れるガキの頃から、のりものを
作る側になりたいとおもっていた。ガキのころからの工作好きが
昂じて工学部に入学したところまではよかったが、大学院を終えて
卒業するころには世は未曽有の就職難だ。希望していた会社には
すべて落とされた。
俺が引きたい設計図は四駆やホバークラフト、あるいはヘリコプタ
であって電気鍋や保温ポットではなかったのだが。
うすっぺらい明細をもう一度灯に透かす。ゼロの数は増えも減りも
していなかった。

「編集」「ニット」「閉店」

184 :名無し物書き@推敲中?:02/01/10 20:11
「編集」「ニット」「閉店」

そのばあさんは、唇をひん曲げてにぃっと笑ってシャッターを閉める。
「もう閉店だよ!」ガラガラガラ、ピシャン!
道行く人の視線が痛い。
俺は照れ隠しにニットの衿を引き上げて見せる。
しがないタウン誌の編集の身に、木枯らしの冷たさがしみる。
ああ、またおやっさんにどやされるな……
ポケットに両手を突っ込んでふて腐れて帰路をとぼとぼと歩いていると、
突然目の前に誰かが立ちふさがった。
気が立っていたこともあって俺はこんかぎり嫌そうな表情を作ってジロリと睨みつけてやった。
そこに立っていたのは、こともあろうにさっきのばあさんであった。
「おやおや、ご機嫌斜めじゃな。ふぁふぁふぁ」
誰のせいだよ!という叫びが喉をついて出そうになった。
「ほれ、これが見たいんじゃろ?」
俺は自分の目を疑った。そこにあったのは、ばあさんの若かりし頃の写真。
俺が何週間もかけて資料を漁ってやっと実在を確認した写真が、そこにあったのだ。
「ばあさん、どうして……」
「なぁに、たまたま思い出話がしたくなっただけのことだよ。ただ、店先じゃそんなマネできないからねぇ、ウチでゆっくり話してあげようと思ってな」
そして、ひと時のデート。
こんなカップルもアリかな、なんて思ってみたり。


次は、「日本刀」「深山幽谷」「蜜」

185 :妄想100%バカ:02/01/10 23:10
「日本刀」「深山幽谷」「蜜」

 その森の向こうに広がる山々の連なりは、深山幽谷といった面持ちで、
訪れる者たちを強く拒絶するかのような険しさがあった。
 そのせいか思いのほか美しかったにも関わらず、森を訪れる者は少なかった。
 がしかし、それはむしろサトシたちにとっては好都合といえた。
 二人がやってくるとき、森はいつも甘い蜜の匂いで二人を奥へと誘(いざな)い、
二人は森の中を背徳の薫りで満たした。
 ユキはサトシよりも二つ年下で、小柄で華奢な少女だった。そしてサトシよりも
遥かに冷静で、確実に獲物を仕留めた。
 ユキの精神はいつも切れ味のいい日本刀のように鋭く研ぎ澄まされ、得物のジャック
ナイフで確実に相手の喉を切り裂いていった。
 返り血を浴びて赤く染まったユキの顔には、いつも何の感情も感じられず、それは
サトシにある種の敬意を抱かせずにはおかなかったのである…。

次のお題、「赤い」「百合(花のゆりです)」「夢」


 

186 :名無し物書き@推敲中?:02/01/10 23:56
百合の花がぼとりと花弁だけを落とした。
鉄に似た匂いが部屋中に広がるのが嫌でも分かる。
がくがくと震える手を抑えることは出来なかった。
握られた包丁。それも血染めの。
「違う。私がやったんじゃない。私が悪いんじゃない。
夢・・・?そうこれは夢に違いないわ。ああ、早く醒めて!」
躍起になって否定するものの、思考は既に現実世界の『罰』を
想像し始めていた。同時に失われるであろう日常すらも・・・。

水道。最大に開かれた蛇口からは怒り狂ったように水が流されている。
「落ちない・・・。ああ、落ちないよぉ!」
勢いよく迸る水は疾うに赤いものを排水溝に送り込んでいる。
それでも彼女の目にはまだこびり付いていると映るらしい。
やがて皮膚は裂け、彼女自身の血が手を赤く染める。
その痛みに彼女自身、気付かぬはずはないのだが・・・。
気が付かないのはこれが夢だからか。それとも心神喪失だからか。

次のお題、「ミキサー」「アンバランス」「幕末」

187 :名無し物書き@推敲中?:02/01/11 02:42
少女が早足で道を歩いている。凛とした顔立ちが少しばかり大人びて見えるが、
背の高さは道行く女性から頭一つ分くらい取り除いたくらいのものだった。
鴉の濡れ羽色をした髪の彼女が着物を着ている今の姿は、まるで日本人形のようにも見える。
「ミキサーン!」
その背後から、駆け足で近づいてくる長身の少年の姿があった。幕末の動乱から早二十年。
金色の髪をした人間も珍しくはないのだが、この少年の美貌は行き交う女性の視線を集めるに十分な物だった。
少年はミキと呼んだ少女の隣に追いつき、荒くなった息を整えようと深呼吸をし始めた。
ミキは横目で顔を見ようとしたが、少年のそれは遙かな高みにある。それが彼女の勘に障ることであった。
「もう少し離れて歩いてくれないかしら。貴方の側にいたくないの」
――私が、子供に見えてしまうから。
秘めた想いは口に出さず、ただ感情のままに口走ってしまった。これでは少年に好かれるはずもないと内心で後悔した。
だが少年はそよぐ風の如き、綻ぶ花の美しささながらの笑みを浮かべ、少女を優しく見つめていた。
「ソレデモ、僕はアナタノ傍にいたいデス」
その鮮やかな紅色をした唇が少女にとって甘すぎる言葉を囁く。
「ば、馬鹿ね。人前でそんなこと言わないでよ、恥ずかしい……」
くすみ一つ無い、彼女の雪のような白い肌がほんのりと朱に染まる。それは嬉しくもあり、恥ずかしくもあった
彼女の心情を如実に表わしていた。
それきり二人は言葉を交わさず、大通りを並んで歩いていった。
背の高さも髪の色もまるきりアンバランスな組み合わせであったが、見る者全てを幸せな気持ちにさせる
不思議な雰囲気を醸し出していた。

次は「秋晴れ」「一年生」「アナウンス」でよろしく。

188 :「秋晴れ」「一年生」「アナウンス」:02/01/11 04:47
一年目の浩太が備品のテッシュペーパを盗んで照る照る坊主を
製作したのも、初めての遠足を楽しみにしていたからに他ならない。
一年生にして備品を無駄遣いしたことで大目玉を食らった彼の努力
が認められたのか、当日は気持ちのいい秋晴れだった。
備え付けのスピーカーからアナウンスが流れ、仮出所が可能な
囚人の番号を順に告げていった。

次は「役者」「実験」「サイドシート」

189 :名無し物書き@推敲中?:02/01/11 14:04
(穏やかな陽を浴びて そこに佇んでいる君。
隣にいてくれることがとても嬉しい。
この実験は巧くいくよ 君が見守っていてくれるからね。
あんなに嫌なふりをしないでよかったのに。
あんなに逃げる真似をしなくてよかったのに。
……まぁ 愛に試練はつきものだから仕方ないけどね。
駆け出しの役者が与えられる役のような今日の君。
でも もう大丈夫。
僕が君をヒロインに変えてみせるよ…)
史雄は奄美大島で手に入れたクスリを左手に握り締めながら、
「装置」のある研究室へ、国道三号線を北東に進み続けた。
サイドシートに座っている由加里の死後硬直は解け始め、
だらりと伸びた手には幾つもの注射の跡があった。


次は「ソネット」「野菊」「禁じられた遊び」

190 :「ソネット」「野菊」「禁じられた遊び」:02/01/12 01:01
「Kに捧げるソネット」

目を閉じれば浮かぶのは
君の髪にかかる蜘蛛の巣
禁じられた遊び
鳥肌の立つような

夕日に影は長く
野菊摘み取り
翳す君の手透きとおり
血潮は紅く流れゆく

わが心は知らずか
空あくまで広く
空あくまで曇りなく

目を開ければ見えるのは
コンクリートに落ちる影
流されゆく君の影


ソネット=Sonneto(14行詩)に。変型ですが。
次は「布団」「落語」「こんにゃく」でお願いします。

191 :名無し物書き@推敲中?:02/01/12 01:55
「布団」「落語」「こんにゃく」

本稿ではこんにゃくによる布団の作成を試みる。現在、布団の素材として
用いられているのは、綿やスポンジなどであるが、これらは非常時に食用
として用いることができず、素材としては不完全といえる。寝具として用い
られる食用品としては蕎麦がらが存在するが、これらは枕などの比較的
小規模な寝具にしか利用できない、という欠点がある。本稿は落語ではなく
真剣な研究であるため「枕」ではなく布団の作成を試みる。

「プラスチック」「プラトニック」「ゴム印」

192 :妄想100%バカ:02/01/12 02:35
「布団」「落語」「こんにゃく」

 豚汁なのに、ユキのお碗の中はこんにゃくばかりだった。しかもシイタケまで
入っている。
「母さん何よこれ! こんにゃくばっかじゃないの! それからシイタケは嫌い
だから入れないでって、いつもいってるでしょ!」
「うるさいわね! あんたのためを思ってやってるんじゃないの!」
 クミコはそういうと、おもむろに自分の椀から箸でシイタケを一つつまみ、
ユキのお椀に入れた。
「何すんのよババア!」
「親に向かってババアとは何よ! ババアとは!」
「まあまあ、やめないか二人とも」
 シゲルは困ったことだと思いつつも、いつものように二人に声をかけた。
「ほら、今日もテレビで面白い落語やってるよ」
 これで全ては丸く収まるはずだった。
 だが、この日はそうはいかなかった。
 何故ならユキの我慢も遂に限界に達していたからである。
「落語なんて今時はやんねーんだよジジイ! 毎日毎日面白くもねぇのに
見せられてこっちは迷惑なんだよ! 座布団貰って嬉しい奴の気なんか
知ったこっちゃねーんだよ!」
「ユキ! お父さんに向かって何ですか、その口の利き方は!」 
「うるせー! もう嫌なんだよ! こんな生活!」
 ユキはクミコ目掛けて箸を放り投げた。箸は一直線にクミコへと飛び、
思わず顔を覆ったクミコの手に当たって、床に転がった。 
 瞬間、シゲルは目に見えない何かが崩れ去るのを感じた…。

 次のお題、「銀」「砂糖」「カナリア」

193 :妄想100%バカ:02/01/12 03:21
「プラスチック」「プラトニック」「ゴム印」「銀」「砂糖」「カナリア」

 ユキは砂糖を注ぐと、銀のスプーンでカップをかき混ぜた。そしてそれから
少しだけ上目遣いにシンジを見つめると、再びカップを見つめてぽそりと
いった。
「ねえ、私たちっていつまでプラトニックなのかな…」
「……」
 予想もしない展開だった。心臓がバクバク鳴った。
 シンジはなんとか堪えようとしたが、右手に持つプラスチック製のコップが
カタカタと音を立てた。
「ねえ」
「う、うん…」
 と、いったものの、高級そうなカナリア色の服に身を包んだユキ、それに引き換え、ゴム印とかいう
訳のわからないロゴのTシャツを着た自分…。
 明らかに不似合いだ。シンジはいまいち、決断に踏み切れずにいた…。

 かなり苦しい。特にゴム印…。
次のお題、「雪」「ワイン」「チューリップ」 

194 :名無し物書き@推敲中?:02/01/12 03:57
砂糖で作られた菓子を食べながら、私は夜が明けるのをじっと待っていた。
何も起こらなければそれで良し。万一何かが起こるのならば、傍らに置いた銀の剣で
訪れる危難を払わねばならない。出来なければ、死が待っているだけだ。
私は牙を持つカナリア。危機を察知し、必要とあらばそれを排除することが仕事となる。
それが生きている理由であり、生かされている理由でもある。

この地に巣くう生き物は人と獣、そして化け物である。人は道具を発明し、土地を耕し、
家畜を育ててその数を増やしてきた。無論、数が増えれば食い扶持が増えるということで、
人々は絶えず新たな土地を求めて開拓を進めねばならなかった。
そこで問題となったのが化け物の存在である。何者をも恐れぬ彼らは人を喰らい、田畑を踏みにじり、
一つの村を壊滅させることもしばしばだった。開拓すれば村が消え……。
そんなイタチごっこが数十年続いたとき、ある男が一つの可能性を見いだした。それは、
「まず開拓する土地に一人の人間を置いておく。そして次の日に其の者が生きていれば、
そこは安全である。化け物がいないか、倒されたかしたからだ。もし囮が食い散らかされた後があれば
その土地は諦める。化け物は我々が領地を侵害しない限りそうは襲ってこないからな」
というものだった。これが今の「カナリア」という存在を生んだ。
剣を持ち、自らを囮にしてその土地の化け物をおびき寄せる。倒せれば良し、倒せなければ死。
法外な報酬の代わりに、生命を餌に化け物を狩る。それが……。

私が目を閉じ、しばしの休憩を取ろうと思った時、すぐ近くで茂みの擦れるいやな音がした。
風ではない。獣はここまで殺気を放たない。――奴らだ。
「来たか……いいだろう。斬り姫と呼ばれた私の力、貴様等に見せてくれる!」
私は剣をとり、音のした方へと駆け出した。体の中を熱くたぎる血が駆け巡っていた。

生きたい。ただそのことだけが頭を支配していた。


書いてしまったので一応。
お題は次でやります。

195 :名無し物書き@推敲中?:02/01/12 04:17
「雪」「ワイン」「チューリップ」
「銀」「砂糖」「カナリア」

玄関の扉を開けただけで良い匂いに包まれた。
「お帰りなさい。今日はちょっと腕を振るってご飯作ったわよ」
出迎えた妻も珍しく薄化粧などしている。
「ワインを買ってきた。それからこれ、お前にプレゼントだ」
「まあ、なにかしら」
答えるまでもなく、美しい鳴き声が響いた。
「あら、カナリア」
「子供代わりだ。家に世話をする生き物がいると良いと思ってな」
息子が結婚して独立してから、家の中が静かで暇だと妻がこぼしていた。
妻の料理を肴にワインを飲んだ。こんな夕食は久しぶりなので少し照れた。
食後、ワインの酔いを冷ますつもりで窓を開けた妻が、小さな歓声を上げた。
「あなた、雪」
見ると庭の木々が砂糖をまぶした菓子のように白く染まっていた。
チューリップの球根が眠っている花壇も雪で覆われていた。
「こういうの何て言ったっけな、一面の……何世界だっけ」
「白世界……じゃなかったわね。お互い物忘れがひどくなってきてない?」
笑う妻の肩に、久しぶりに腕をまわしてみたりした。
私たちの、銀婚式の夜だった。

>>193が、自分の出したお題で書くハメになってて可哀想なので引き受けてみました。
次は「麓」「詰め」「最下位」でお願いします。

196 :名無し物書き@推敲中?:02/01/12 04:20
温室の中で、それは空を見ていた。
しんしんと降り積もる雪は彼にとって珍しいものだったに違いない。
触れればどのような感じがするのだろうか、暖かいのか冷たいのか。
柔らかいのか、それとも石のように硬いのか。
色々な想像が、彼の中で膨らんでいく。

その時、彼の世話をしてくれている少女が現われ、自分の方に歩いていることに気が付いた。
手には水を一杯に湛えたじょうろを持っている。
「なあに?」
彼は話しかけたが、少女に理解し得るはずもなかった。種族の違いはコミュニケイションの上で
厚い壁となってのし掛かってくるのだ。所詮植物の彼が、人である少女と言葉を交わすことなど出来はしない。
だが、
「それじゃあ、お水を上げるからね」
少女は彼の言葉に答えるかのように囁くと、手に持っていたじょうろから慈雨を降らせ始めた。
一瞬驚き、身をこわばらせた彼だったがすぐにその緊張を解いて水を吸い上げ始めた。
身体を巡る新鮮な水を感じながらも、彼はずっと雪を見つめていた。
まるで恋人を想う娘のように。空から下りてくるあれに、いつか触れたいと。

彼が温室から解放されたのは春も間近という時期だった。
ワインレッドの美しい花を咲かせた彼は、チューリップと書かれた札の前に置かれて
買い手を待っていた。
根は切り取られ、茎から直に水を吸い上げてはいるがそれも焼け石に水だ。
後少しで自分は死ぬんだろうなあと思いながら、彼は空をじっと見ていた。
もう降るはずのない雪を待ちつつ……。

お題は継続で。ああ、自分書くの遅いなあ……。

197 :麓・詰め・最下位:02/01/12 11:29
未明に降り始めた雨は一向に止む気配を見せず、やがて記録的な降水量を
更新するかのように思えた。
草木も眠る静寂を破って、その光の玉はリズミカルな躍動をいつしか止める。
けたたましいエンジン音は、太古の時代を思わせるこの静かな山の麓には
どう考えても不自然なものに違いなかった。
光の玉はやがて一筋の線となり、黒い影を浮かび上がらせる。
この土砂降りの雨の中姿を現したのは、更に不自然な女の姿だった。

レインコートに身を包んだその女は、乱暴に車のトランクを開くとおよそ
女の力とは思えない勢いで、中から一つのズタ袋を引き出した。
続けてシャベルを取り出すと、憑かれたように地面を掘り起こし始めた。

小一時間も経った頃、地面は優に人間一人入られるくらいの大きさになり
ズタ袋は当然のように無造作に投げ込まれた。
その刹那、ズタ袋の脇から中に詰められていた「何か」の一部が覗いたよう
だったが、女は気に留める様子もなく今度は土を元に戻し始めた。
時折閃く雷光は、雨に濡れた女の顔を怪しく照らし出していた。

天が哭いたあの日から数日後、女の元に一通の書簡が届いた。
女は恐れと悲哀が入り混じった面持ちでその書簡に目を通していたが
やがて火がついたように泣き出した。人目憚ることなく――
その書簡にはこう書かれていた・・・。
「不法投棄マラソン  あなたの結果は最下位でした★
         罰ゲームはブタ箱 365泊366日の旅★」

次のお題は「針」「新月」「鴉」でおねがいします。

198 :100 ◆18GD4M5g :02/01/12 11:49

針の落ちた白い音色
鴉の背に煌めいた
針は愛を刺し通し
鴉の翼を血で染める

針が奏でた黒い音色
新月の見上げる天高く
針の乾きを歌に乗せ
新月は地へと帰り死ぬ


想像力の貧困きわまりなき駄文・・・ はあ。

199 :名無し物書き@推敲中?:02/01/12 11:51
>198
お題ください

200 :100 ◆18GD4M5g :02/01/12 11:51
スミマセン、次のお題も197のままでお願いします。

201 :「針」「新月」「鴉」:02/01/12 12:27
新月の夜、真暗闇にまぎれるようにして
御寮人さんは戻って来はりました。
「清松どん、うちの居場所どこにもあらへんみたい」

前の満月の夜に出て行かはったきりでしたので
もう半月近うなりますやろか。
あの日、庭の前栽の松に隠れるように佇む
御寮人さんの姿を見咎め、声を掛けたところ
「うち、もう嫌だす。こんな針の筵のような毎日。
もう死んでしまいたいわ」と何時になく激しい物の
言い様して、嗚咽を漏らし始めはりました。
わては、日頃の旦さんの御寮人さんに対する酷い
なさりようを知っていたため、その、出過ぎたことで
ございますが、暫く御実家なり何処となり、身を隠さ
はるように、お勧めした次第でした。

戻って来はった御寮人さんのお雛さんのようなお顔
は幾分おやつれになり、その御髪が鴉の濡羽の様
に黒々と冴えているのが返って痛々しゅうて、わて
は思わず御寮人さんの白い手をそっと我が手に収
めてました。

次は「バーベル」「口紅」「小鳥」でお願いします。

202 :名無し物書き@推敲中?:02/01/12 13:34
彼はナルシストだった。
たった一晩も欠かさずに行っているバーベルのトレーニングのおかげで、
その肉体ははちきれんばかりの厳しい筋肉で包まれている。
「どうだい?」
彼は自身ありげにポージングし、いちいち僕に見せつける。キモイ。
「なんでもいいけど、口紅だけはやめといた方がいいんじゃないか?」と僕は忠告した。
彼の隆々とした筋肉には油が塗られ、そして真っ黒のスパッツ一枚。ピチピチだ。
これだけでもキツイものがあるのだが、さらには、
なんとも情熱的に真っ赤な口紅を恥ずかしげも無く使用しているのだから、居た堪れない。
「色を変えてみたのだが……前の方が良かったか?」
おまけに彼は根本的な勘違いをしている様だ。
更に、ここが街の公園だと言うのだから彼には常識的な感覚が一切欠落しているとしか思えない。
勘弁して欲しい。
正直、この頃の僕は彼に対して生理的嫌悪感を抱いていた。
いつ縁を切ろうかと悩んでいたほどだ。

しかし、その時だった。

ふと、彼の岩石のようないかつい肩に、一匹の小鳥が止まったのだ。
「ハハ…」
彼は喜び、女神のような優しさと慈愛に満ちた微笑を湛えた。
それは素晴らしかった。
彼と小鳥とは相まって非現実的な魅力を帯び、
まるでギリシアの彫刻のように完成されていた。

そう。あの時から、僕は彼を愛している。


次は「包丁」「チャイナドレス」「カメレオン」でおながいします。

203 :包丁・チャイナドレス・カメレオン:02/01/12 17:54
中国という国はおよそ考えられるものは何でも食材にしてしまう国だ。
「四足のものなら椅子以外は食べてしまう」という揶揄が如実にそれを表わしている。
カメレオンも例外ではなかった。むしろ「至高の珍味」として珍重されているほどだ。

WTO加盟を目前に控え、活気あふれる北京に降り立ったのは数日前のことだった。
着いてすぐに私はある違和感に囚われた。皮膚に空気の強張りを感じるといった類の
多分に感覚的なものではあったが。

十五年前、私が初めてこの国を訪れた時、この国は正に喧騒と動乱の最中だった。
―― 天安門事件。あの時も確か、私は空気の強張りを感じた。
今私が感じているこれと、十五年前のあれがもしも同じものだとするなら・・・
この国は再び、いや正確に言うなら―― 何度も繰り返してきた―― 時代の転換期
に差し掛かっているのかもしれない。

他国人の私のそんな憂慮など気にも留めないといった様子で、市場はいつもの日常を
迎える。ここに来ると私はただ疲れていただけかもしれないと、ほうと息をつける。
今や行きつけとなった北京飯店。チャイナドレス姿のウエイトレスが私を奥に誘う。
厨房から大きな中華包丁を握ったまま、チーフを務める王が顔を出した。私を見ると
いつものようににいっと人懐こそうな笑顔を見せる。
ここは世界の情勢や歴史の必然なんかとは全く切り離された世界のように思える。
いや、それはなにもここに限った話ではなく、私の祖国、私の育った街にも同じ風景
があるのだ。大衆が暮らす何気ない日常。それが心地よく感じられる私は紛れもなく
こちら側の人間なのだ。この煌煌たる平凡。いつまでこれが続いてくれるだろうか・・・。

204 :203:02/01/12 18:04
おっと。次のお題は「デジャヴ」「未来」「はした金」
でお願いします。失礼しました。

205 :妄想100%バカ:02/01/12 18:55
「デジャヴ」「未来」「はした金」

 ユキは声をかけると、少しだけシンジに微笑んで見せた。もう無理をしているようには
見えなかった。
「あのねシンジ…、デジャヴって信じる?」
「デジャブ?」
「そうデジャヴ」
 シンジがどう応えようか迷っていると、ユキは黙って窓の向こうを見つめた。一階の病室に面した
窓の向こうの中庭で、親子連れらしい三人組が仲良く遊んでいた。シンジはユキの視線
に気づいたが、どう声をかけていいかわからなかった。
「ねえシンジ、私たちの未来って、きっとああなるよね」
「あ、ああ。きっと、ああなるよ」
「そうよね…」
 そういってユキはふふと笑った。その瞳から涙がこぼれ落ちた。シンジはまたユキを傷つけてしまった
ような気がして、いたたまれなかった。だが違っていた。
「あのねシンジ、私、今日ね、私とあなたと私たちの子供と三人で遊ぶ夢を見たの」
「……」
「それでね。何故か分からないけど、それって近い未来のことだと思ったの」
 そういってユキはシンジを見つめると、優しい微笑みを浮かべた。
「きっとね、近い将来そういう風になって、そのときの私はこう思うんだわ。あれはデジャヴだったんだって」
「うん、そうだね」
女は強いな、とシンジは思った。まだ心のどこかで落ち込んでいる自分が、酷く情けなかった。
 はした金しか稼げない自分だが、これからは精一杯ユキを支えていこう。
 シンジは硬く心に誓った…。

次のお題、「過去」「トランプ」「白昼夢」

206 :踊るボボ人間:02/01/12 20:53
「過去」「トランプ」「白昼夢」

少女はトランプをめくる。 ハートのクィーンを引き当てる。 占うは運命の人。
過去にすでに出会った人なのか、現在その存在に気づかずにいる人なのか、未来で
出会う理想の人なのか。少女はもう一度カードを見つめる。部屋の明かりは消して
いる。唯一の明かりである、窓から差し込む月の明かりに照らされたカードは怪し
く映った。ハートのクィーンの意味するものが何か、クラスメイトとの会話で知っ
ていた彼女は微笑む。白昼夢に似た感覚が少女のなかに鮮明に浮かびあがる。授業
中にぼんやりと窓の外を眺めながら考えていた思い。まさにそれが占いの結果とし
て表れたのだ。

#中と半端な終りでスマソ
#次ぎは「タンポポ」「乙女」「パスタ」
#

207 :名無し物書き@推敲中?:02/01/12 21:14
「タンポポ」「乙女」「パスタ」

「タンポポ」という映画があった。「お葬式」に続く、伊丹十三監
督の出世作となった作品だ。トルシエの通訳をしているフローラン
・ダバディというフランス人はコノ作品が大好きだという。

”ラーメンウェスタン”と銘打たれたこのコメディは、1人の女性
がダメラーメン屋を再建するため、研究に研究を重ね、麺にインパ
クトを着けるため手打ちほうれん草パスタを使い、処女三人を風呂
に1時間入れてとった「乙女だし」スープで競合店を退けるという
荒唐無稽な内容だった。

1年間に及ぶ厳しいオーディションの末「入浴乙女」に選ばれたの
が、加護亜依、辻希美、飯田香織の3人だった。華々しいデビュー
を飾った3人だったが、すらりとしたオトナっぽい容姿を持つ飯田
が本当に処女なのか?と国民的な議論を呼んだことは、記憶に新し
い。

#次のお題は「鹿」「鞠」「犬」で。

208 :過去・トランプ・白昼夢:02/01/12 21:15
過去に記憶のない汗が顔中に噴き出すのが自分でも分かった。
この汗はなんと形容するべきなのか?冷や汗?違う。脂汗?それも違う。
そもそもオレは何故、こんな汗をかく破目に陥ったのか。嗚呼、あの時・・・。

場末の薄暗い雑居ビルの地下。毎週木曜の深夜、非合法カジノが開帳されていた。
多重債務に苦しむ若者。カネの匂いに敏感な山師。そして一癖も二癖もありそうな胴元。
そこには「カネ」を自己の価値観の中心に据える亡者どもが集まっていた。
オレがこのカジノの存在を知ったのは全くの偶然だった。
行き付けのショットバーでたまたま―― 今思えばそうではなかったが――
隣に座った男が教えてくれたのだ。一晩で上手くいけば一千万稼げる場があると。
半信半疑で、レートの低いトランプの勝負をしてみた。ブラックジャックというやつだ。
結果は一晩で三百万の浮き。そんなバカ勝ちが三週ほど続いた。

白昼夢にうつつを抜かした三週間から半年が過ぎ、今や多重債務者の一人となったオレは
凝りもせずに木曜の晩にこの場所に居た。今夜こそはこんな暴利とおさらばしてやる。
今となっては薄給でも実入りのあった生活が懐かしい。しかし、オレは止まるわけには
いかない。今夜が最後の勝負になるだろう。オレの運命を決めるカードが配られた・・・。

209 :207:02/01/12 21:29
しまった。微妙に間違ってる。
恥を忍んで、最後の一節変更。


1年間に及ぶ厳しいオーディションの末「入浴乙女」に選ばれたの
が、加護亜依、石川梨香、矢口真里の3人だった。華々しいデビュ
ーを飾った3人だったが、石川って本当にウンコするの?と国民的
な議論を呼んだことは、記憶に新しい。


#次のお題は「鹿」「鞠」「犬」で。

210 :208:02/01/12 21:31
うわっ。投稿遅すぎ・・・(汗)済みません・・・。

「鹿」「鞠」「犬」

山深いこの地方では、野生の鹿を見るのは珍しいことではなかった。
昔ながらの正月の風習の残る旧家の庭先で、鞠つきをしていた少女は
特に驚く様子もなく、鹿の姿を視界に収めた。
それよりも驚いたのは、番犬のタロが突然憑かれた様に吠えはじめたことだ。
鹿は軽いステップを踏むように山に吸いこまれていった。
少女は憂いを含んだ目でその姿を見送った後、タロに非難の目を向けた。

次のお題は、「今生の別れ」「桜」「爆音」でお願いします。

211 :妄想100%バカ:02/01/12 21:35
「鞠」……読めん。ひょっとして俺だけか。

212 :踊るボボ人間:02/01/12 21:43
>211
「まり」
>209
肝心な三人目の名前がなくて小一時間泣くとこだった(w

213 :209:02/01/12 21:45
>>211
鞠=まり。
てんてんてんとつく「まり」のこと。

ちなみに
鹿=鹿島アントラーズ
鞠=横浜F・マリノス
犬=ジェフ・ユナイテッド市原
サッカーファンの隠語

214 :妄想100%バカ:02/01/12 21:53
「今生の別れ」「桜」「爆音」

 また一つ、また一つと爆音が鳴るたびに零戦が空へ舞い上がっていく。
そしてその度、敬礼で見送る整備兵たちの間からは、必ずといっていいほど、
すすり泣きが漏れる。
 彼らはこれが今生の別れであることを、今やはっきりと悟っていた。
 神風特攻隊とは名ばかりの、自殺行為であることを、その場にいる誰もが
知っていた。
 しかし、死に行く仲間をとめられる者は誰もいなかった。
 飛行場の脇には一本の若い桜の木があった。
 そこにはまだ遅咲きの花が残っていたが、零戦が飛ぶたびに風に煽られて
はらはらと、花が散った。それから少しして、戦争が終わった…。

次のお題「ギター」「バイク」「青春」

215 :妄想100%バカ:02/01/12 21:54
みんな、レスどうも。

216 :ギター・バイク・青春:02/01/12 23:25
僕の高校生活は灰色だった。
同級生たちは恋に、部活に、バイトにと様々な青春を謳歌している頃
僕は一心不乱に勉学に打ち込んだ。
それはひとえに人生の成功者になる為で、クソの役にも立たない時間の
浪費は僕の美学からすれば忌避されて然るべきものだったからだ。
クラスでも目立つ存在だったAはプロのミュージシャンになる、などと
僕からすれば異性の注目を集めたいだけの下らないポーズをアピール
しながらギターの弾き語りをしていた。
顔も頭も三流のSは不良ぶる事で自らの浅薄なアイデンティティを確認
するしか仕方がないようで、校側で禁止されているバイクの免許を無断で
取得したりしていた。
僕はそんな同級生たちの救い難い虚栄心を鼻で嗤いながら、成功した自分の
未来の姿を夢想するのが常だった。
そして現在、僕は檻のついた病院で日々を送っている。風の便りにAが自費
発表ながらも、一枚のアルバムを出したと聞いた。
僕はこの不公平で努力が報われない歪んだ社会をいつか正してやるつもりだ。

次のお題は、「宗教」「朝」「陽光」でお願いします。

217 :名無し物書き@推敲中?:02/01/13 00:06
「宗教」「朝」「陽光」

 それはヨーロッパの古い白黒映画だった。

 画面には1人の少女が映し出される。逆光で撮られた朝の陽光が
美しい。少女は敬虔なキリスト教徒だった。清楚な中に若々しい色
香を漂わせ、恋人との逢瀬を心待ちにしている。結婚するまでに貞
操を守らなければならないことに内心苦しんでいる。

 しかしクライマックスで物語は急展開する。恋人に呼び出されて
待ち合わせ場所に向かう途中、賊に襲われ、乱暴に犯されて、それ
を苦にして命を絶ってしまう。

 彼女の両親は神に一心に祈る。ひたすら神に祈り続けてきた私た
ちに今こそお恵みを賜りたい。哀れな娘の命を再びこの世に。する
と彼らが跪くその足下に、こんこんと泉が湧いてくる。

 それがラストだ。

 宗教とは難しいものだと思った。

#ベルイマンの「処女の泉」。誰か観たヒトいるかな?
#お題は「便器」「泉」「美術館」

218 :死刑執行人:02/01/13 01:42
いいかげんくたばれよ、ネット界の汚物。

219 :名無し物書き@推敲中?:02/01/13 15:50
その日も酷く酔いつぶれて、家に帰るなり威勢良く便器に戻してしまった。
(畜生、明日も学校なのに…)
ベッドにたどり着くまでの悠久の時、ふらつく足元を支えるのに精一杯で、
私の脳は、この言葉をリフレインする以外には何も機能していなかった。
酒が入ると眠くなるのが私の習性であったが、この日は何故か目が冴えていた。
明かりを消した部屋の隅にある本棚の本、その一冊一冊の題名が読めるほどだった。
憂さ晴らしとして、私はこんな日は大抵、散歩に出かける。
郊外にある私の家から北側にある坂を登ると、そこから町の景色が一望できるのだ。
酒も抜けきっていない体に、その急斜面は死人に鞭打つようなもので、
坂の途中で二度ほど吐いたものの、どうにか坂の天辺に辿り着いた。
天辺には昔、全市町村に一億円ずつばら撒かれた時に建てたという美術館があったが、
こんな辺鄙な場所に来る物好きな人が多いはずはなく、二年前に借金にまみれて潰れた。
玄関先に作られた人工の泉も、今となっては枯れ果ててしまい、
この建築物自体が、大きな抜け殻と化してしまっている。
当時としては、前衛的だったのかもしれない八角形の天井でさえ、
蜘蛛の巣そのものに見え、淋しさを際立たせているようだ。
それなのに、未だ自動販売機だけは活動している。
その情けない抵抗が、さらに廃墟を惨めに見せていた。


次は「風のたより」「ネコ」「交差点」で

220 :風のたより・ネコ・交差点:02/01/13 17:30
「交差点にある駄菓子屋のおばあちゃんが亡くなったそうだね」
「おじいちゃん寝たきりなのに、どうしてそんな事知っているの?」
三津子は不思議に思い、祖父に問うた。
「風のたよりだよ、三津子」
「風のたよりって何?」三津子は黒真珠のように綺麗な瞳を輝かせる。
「それはな・・・、お、さっそく風のたよりが来たぞ」

祖父が縁側を指差すと、軒先にショルダーバッグを肩から下げたネコが佇んでいた。
「こんちはー。風のたよりでーす」
ネコはしゃがれた声で挨拶をするとバッグから一葉の紙切れを取り出し、縁側にそっと置いた。
三津子が挨拶をしようと思い口を開いた時には、猫の姿はもう消えていた。

体が不自由な祖父は「すまんが三津子や、あれをとってきてくれんかな」と孫に頼んだ。
が、三津子にはその声は届かず、ただ一心に日の当たる縁側を見つめ続けるだけだった。
暫くの間、三津子の網膜にはその猫の残像がこびりついて離れなかった。

次は「仏」「テンプラ」「酪農」でよろしく。 

221 :勉強中(W:02/01/13 22:17
文明開化のご時世でございます。
最近では、お江戸の街でも異人さんが歩いているのをたまに見かけるようになりました。
あっしの奉公先は伴天連料理のテンプラってやつを食わす処でして、
深川の八幡様門前ではちょっと知れた店なんです。
さて、昨夜は備前屋さんが接待でうちの店を使ってくれました。
なんでも仏国から来た、という異人さんがあっしが揚げるテンプラを悦んで食べてくれました。
異人さんは本国で「酪農」と言う草原で牛をたくさん飼う事業を興しているそうです。
帰りがけに「チーズ」という牛の乳からできた珍しい食い物をくれましたが、
どうも、あっしには口に入れる勇気が....

次「再開発」「親睦会」「ボランティア」でお願い。

222 :再開発・親睦会・ボランティア:02/01/13 22:55
カーテンの隙間から射し込む光が京介の顔を容赦なく照らす。
京介はゆっくりと起き上がると、玄関先の新聞を寝ぼけ眼で取りにいった。
紙面には大きく「大物政治家 佐藤氏 収賄疑惑で書類送検」との見出しが踊る。
何でも、過疎化の進む地方の再開発に絡んで、業者と関係閣僚との口利き料を
親睦会と銘打って開いたパーティーの席で受け取っていたらしい。
そういえば、一年ほど前にも違う政治家がボランティア奨励という名目で国民皆
奉仕を義務付ける法案を検討中だとか言っていた。
京介は深く溜息をつくと、何故、政治は腐敗するのかと考え込んだ。
民主主義は確かに現在考えうる最高の政治形態かもしれない。しかし、「再選」が
ある以上、政治家は集票出来る政策、人気取りの政策をいつまでも続けるだろう。
これが民主主義の最大の穴なのではないか? これに代わる形態はないのだろうか?
そこまで考えた時、京介は自嘲した。それを考え付いたところでオレに何が出来る?
そして、京介はいつもの日常に戻っていく。政治が変わらない一番の原因を放置したまま。

次のお題は、「夕暮れ」「旅人」「捨て駒」でお願いします。

223 :「夕暮れ」「旅人」「捨て駒」:02/01/14 00:10
 捨て駒のように使われたことに不満があるわけではない。
そもそも陛下のためなら、命などいくらでも投げ出す覚悟で
いたのだ。
 それでも、宰相の罠に嵌ったかたちで、敵陣に突入し無駄に部
下を死なせてしまったのは無念だった。引き止めるものもあった
がわたしは軍を辞めた。陛下が辞めるな、といって下さればあるいは、
とも思ったが、陛下はわたしのことなど関心がないようであった。
 各地を転々としながら、死んだ部下たちの墓標に手を合わせる
ための、そのためだけの旅人となった。供える花も、あわせる顔も
なかったが。
 祈り続ける生活をしていると、まだ戦いたい、という痛烈な思いに
気づく。もう戻るわけにはいかないけれど。
 夕暮れが、わたしに影を落とす。影は未練と後悔の分だけ、長く
ながく伸びていった。

「狂人」「トイレットペーパー」「淡水」

224 :「狂人」「トイレットペーパー」「淡水」:02/01/14 02:08
 誰もいない貯水棟の高い高い天井に、かん、かんという音が響く。
ビルほどもある大きなタンク。その側面を螺旋状に這う階段を上る
博士のことを見た人があれば、きっと階段が何段あるか数えている
か、そうでなければ何かの儀式を行っているのだと思ったろう。

 むろん、博士の脳中にあったのは、階段の段数などではない。

 海水淡水化装置の権威として、このコロニーに赴任して三年。そ
の間に結婚もした。子供もできた。すべては順風満帆に見えた。そ
れなのに……。浅墓な考えで、下水処理槽と淡水化装置を統一した
時から、破滅は始まっていたのだった。
 流れ込むトイレットペーパーの残滓が、少しずつ槽内に蓄積して……

 管理室のスタッフが異変に気づいて騒ぎ始めていた。もちろん、いまさら騒いだところで、もうどうにもなりはしない。
 今一番必要な人間は、どこを捜しても見つからなかった。
 貯水タンクの濾過フィルターに、狂人がひとりかかるまでは。

「りんご」「窓」「満員」でお願いします。

225 :「りんご」「窓」「満員」:02/01/14 02:27
 いつのまにか車窓の風景が日本海からりんご畑に変わっていた。
文庫本に栞をはさみ、荷物を纏める。ひなびた駅とくたびれた駅の
間をさびれた線路で結ぶ路線も年末のこの時期だけは満員だった。
 田舎路線沿いを故郷に持つのが自分だけではない、と思うと感慨深
く、周囲の乗客をそっと盗み見る。客層は洗練されており、古い電車や
東北の地名には不似合いだった。都会で仕事や夢を持ち、過ごしている
人々なのだろう。故郷に持ち帰るのが錦なのか疲労なのか、それぞれ
違うにしても。

 なぜ、北へ向かうのか。

 目的地の改札を出ると、踏み固められた根雪の上にわずかに新雪が
積もっていた。雪よけを施した駅前のロータリーの木々の陰から、同じ
駅で降車した客を伺った。先ほどは気づかなかったが、同じ電車に乗って
いたらしい。あの刑事の姿も見えた。

「土」「ペットボトル」「指向」

226 :土・ペットボトル・指向:02/01/14 16:41
あのラインを越えたらオレの高校サッカー人生の幕が降りる。
歓喜に沸く相手チーム。そして悔し涙にむせぶ自陣営。
昭利と敗北とが誰の目にも明らかになる瞬間。
とうとうオレたちはインターハイ出場の指向を果たすことなくピッチを後にする。
清涼飲料水が半分ほど入ったペットボトル。
オレは無心にそれを飲み干した。口の端からこぼれた液体が地面を濡らす。
もうオレはこんな風にガブ飲みしても誰からも何の叱りを受けることはないのだ。
灼熱の太陽が容赦なく部員たちを焦がした夏。先を争って水飲み場に殺到しては
練習中の急激な水分摂取は控えろと、何度も監督に怒鳴られた。
今は―― あの時の抑圧から解放されて無心に飲み干すことが出来るのに――
何の味もしなかった。ただ、不味かった。
足元にこぼれた清涼飲料水が、土の色を周りに比べてひときわ濃く変える。
オレは最後の夏が終わったことを改めて知った。

次のお題は、「真夜中」「あからさま」「自暴自棄」でお願いします。

227 :名無し物書き@推敲中?:02/01/14 16:43
ペットボトルを腹から半分に切り分け、口の方はごみ箱へと直行させる。使うのは底の方だ。
プロの手つきで錐を手に取り――まあ、ドライバーでも何でも良いが。親の敵とばかりに底に突き刺す。
突き刺す、突き刺す突き刺す突き刺す! ……手が疲れる。
さて、これくらいで良いかなと思えば、次に大きめの石を敷き詰める。さらに小さな砂利を敷き、
ここで登場するのが栄養たっぷり、臭さ抜群の鶏糞配合特別腐葉土。
切り口まで一センチほど残して詰めて、後は花の種でも植えてしまえば立派な……
立派か? いや、立派だ! うん、立派な鉢植えの完成だ。
後は芽が出るまで水をやり続ければ……。

一週間後。乾ききった土の上に、干からびた芽が横たわっていた。
花を育てることは指向性が強く、短気なやつ、忘れっぽいやつには向かないらしい。
つまりあれだ、言うなればその……、

「素人にはお薦め出来ない」ってこった。

次は「憂い」「衝動」「激情」

228 :227:02/01/14 16:44
悪い、かぶった。
お題は226のでやってくれ。

229 :妄想100%バカ:02/01/14 17:44
「真夜中」「あからさま」「自暴自棄」「憂い」「衝動」「激情」

 カスミはきっと大丈夫だよ、といって慰めてくれたが、適合者が見つかるなど、
ありもしない希望だ。たださえ少ない日本の骨髄バンク登録者の中から、自分にあった
骨髄を持つ者が、見つかるものか!
 あからさまな友情などいらなかった。むしろこれから仲間たちから遅れていくだろう、
自分がいっそう惨めに思える。
 真夜中だったが、思わず叫びたい衝動に駆られた。
 狂ったように叫んでしまえばいい。
 いっそこのまま自暴自棄になって、狂ってしまおうか。
 だが……
 きっと大丈夫だよ…
 憂いを含んだカスミの、あの優しい瞳。
 それが心のどこかで、狂気へ走ろうとする私を押し戻そうとする。
 まだ私は、例えありもしない希望にでもすがりつき、精一杯あがかなければ
ならないのだ…。

次のお題「神の選択」「プロ」「夜明け」

230 :名無し物書き@推敲中?:02/01/14 18:23
 ぼくはここにいる。口も開かず、音もたてず、誰とも視線を合わさず、耳を
そばだてることさえせず。呼吸の方法はおぼえているので、かろうじて生き
ているのだと思う。ぼくはここにいる。ジャケットのポケットに両手をつっこみ、
背中を丸めて、足を組んで、目の前には冷えたコーヒーのカップがある。あ
と15分も経てばマニュアル通りにウェイトレスがおかわりを勧めにくるのだ
ろう。彼女の微笑はプロとして完璧で、ここにいるぼくの存在をやさしく無視
するだろう。でも、ぼくはここにいる。窓の外は薄くなった闇が冷たく漂って
いる。夜明けが近いとわかっているけれど、ぼくはここにいる。始まる一日
があることに、耐えられるかどうかはわからない。乱暴な神の選択に痛め
つけられるのも、いいかもしれないと思った。
 花屋が開くのは、午前九時だ。自分では動けない生き物に会いに行く。
刺のある花に顔をうずめるぼくが、そこに居るまで、ぼくはここにいる。

次は、「指輪」「豊年満作」「三行半」でお願いします。

231 :妄想100%バカ:02/01/14 18:30
>>229
「激情」抜けてる…。修正は…まあいいか…。

232 :名無し物書き@推敲中?:02/01/14 21:56
レベルたけーな。手が出せないよ。

233 :名無し物書き@推敲中?:02/01/14 22:38
舞い散る桜の花びらの下、初々しい笑顔をたたえて校門をくぐる新一年生。
同伴の親たちは心配そうに、そんな児童たちの様子を眺めている。
「ゆかりも今ごろはこんな風に無邪気に笑っているのかな……」
埃にまみれて真っ黒の作業服を着た男が、作業の手を止めてその光景に見入っている。

散々悩んだ末に左手の薬指の指輪をはずしたあの日。
生まれたばかりの娘を捨て、大恋愛の末結ばれたはずの妻を三行半に
してまで選んだ夢。
そして夢破れて日雇い労働者にまで身をやつしたこの数年間。
失ったもののあまりの大きさに、男は溜息をつくしかなかった。
―― もしも一つだけ願いが叶うのならば。
望むのは娘の豊年満作な生涯。それ以外には要らない。

「バカヤロウ!! 何を手を止めてやがる!! 」
浅黒い肌の太った男の怒声が響く。
正気に返ったように、男はまた作業を始めた。

234 :233:02/01/14 22:41
お題を忘れた。
次は、「突風」「紅潮」「車輪」でお願いします・・・。

235 :妄想100%バカ:02/01/14 23:28
「突風」「紅潮」「車輪」

 今日もシロは食事をなんとか平らげると、庭の片隅にある三輪車をぼんやりと見つめた。
 持ち主がいなくなってから久しいそのボディーは錆とほこりで薄汚れ、その後輪は
庭に忍び込んだ子供たちの、心ないいたずらによって壊されていた。
 しかし、シロの目には今日も三輪車は真新しく映った。
 そしてその目には、三輪車の傍らにたたずむ少女の姿も映し出されていた。
 シロの視界の中で、少女は紅潮した林檎のような頬を膨らませると、いきなり
大声で叫んだ。
 シロのばかぁ!
 シロは思わず立ち上がった。そして吼え返そうとした。
 と、いきなり突風が吹いた。車輪の外れた三輪車は風に押されると、あっけなく倒れた。
軋んだ音を立て回る、残った後輪の回転が止まるよりも早く、少女の姿はシロの目の中から掻き消えた。
 シロは残念そうに息を吐いた。するとなんだか自然にまぶたが重くなったので、また眠りについた。

次のお題、「ルール」「フィルム」「海」

236 :「突風」「紅潮」「車輪」:02/01/14 23:36
 テレビや読書、といった入院の暇をつぶすのに最適な趣味を
持たなかったからギプスをはめた足を不甲斐なく眺めながら、
ぼんやりと過ごす以外なかった。ときおり左足が痒い、と感じる
ことはあるが、看護婦を呼ぶのもわずらわしく、痒いはずがない、
と念じながら白いギプスを眺めてごまかすのが常だった。
 バイクで山道を走行中、横殴りの突風にやられた。慌ててハン
ドルを切ったが、車輪はあらぬ方向へもつれ、なし崩しに転倒した。
あんな天気の日にバイクなんて乗らなければ良かったのだが、悔
やんでも遅い。

 できる限り早く、あの娘に逢いたかった、それだけだったのだ。

 怪我と無為な退屈と引き換えに、有意な事実も得ることができた。
俺の見舞いにくるような人間は誰もいない、ということだ。あいつも
含めて。
 また、ギプスの中の足が痒くなってきた。俺にできるのは白いギプスを
見つめるだけだ。

#かぶったけど、書いたので出します。
#次は>>235のルール、フィルム、海で

237 :、「ルール」「フィルム」「海」 :02/01/14 23:47
 海の上には海の上のルールがある、と船長はいった。
まるで自分が法律であるかのような物言いに俺は反感を
覚えたが、無理やり取材を承諾してもらった以上、我侭は
いえなかった。
 貨物船に豪華客船のような設備が期待できるわけはなく、
船旅は最低だったが、成果は順調、いや予想以上だった。
働く船員の姿を取材している、と見せかけて、俺は条約違反
の密輸物を追い、フィルムに収めていった。
 陸にあがったときが楽しみだ。あの船長に一泡吹かせてやる
ことができる。海だろうが、陸だろうが、人間社会には人間
社会のルールがあるんだ、船長さん。

「アナウンサー」「フロン」「栞」

238 :勉強中(W:02/01/15 00:00
この半月ほど紅潮がつづき、男衆は漁に出れずにいたが、
今朝、海に久しぶりに青みが戻った。
さっそく数隻の船が沖の漁場へ向かったが、
お佳代が浜小屋で地引網の繕いをしていると、
役場のサイレンが鳴った。
慌てて外にでてみると、空は既に曇り、ごう々と風が唸り、
砂ぼこで目も開いていられないほどだった。
にわかに突風が吹き、浜小屋の横に停めておいた自転車が倒れた。
その反動で回っている車輪を見つめながら、
お佳代は確信した、沖へでた船がもう港へは戻らないことを。

次:「中華包丁」「香水瓶」「シナリオ」にて。

239 :勉強中(W:02/01/15 00:04
↑げげ!遅レス、スマソ!
おいらのお題は無しね。

240 :、「ルール」「フィルム」「海」:02/01/15 00:09
「ウイル、奴等に人間世界のルールを教えてやってくれ」
ホノルルで聞いた言葉が、俺の意識の底で繰り返された。
あの時の借りを返す為に、我々は広大な海を越えてやってきたのだ。
「ジョンにフィルムをしっかり回す様に、しっかり伝えておけよ」
俺はそう言って従兵を怒鳴り飛ばすと、柄にも無く呼吸を整える。
「よし、艦を風に立てろ。エンペラーの寝室にプレゼントをくれてやれ」
その言葉を待っていたかの様に、一斉に皆が動き出した。
やがて、全速で進むホーネットの甲板を鈍い足取りで鈍重そうな陸軍機
が飛び立ち、遥か北方を目指し見えなくなった。

-----------------------------------------------------
げ、遅かった。お題は237ので。

241 :名無し物書き@推敲中?:02/01/15 00:10
「アナウンサー」「フロン」「栞」 「中華包丁」「香水瓶」「シナリオ」

 シナリオ通りことが運ぶとは考えていない。筋書きは
あくまでも予定に過ぎず、現場では臨機応変に対応せねば
なるまい。中華包丁の刃を和紙で包んで、鞄にしまう。
 環境問題に関して、考えるところがないわけではない。
確かにこのままフロンガスが増加すれば地球は滅んでしまう
かもしれない。しかし、フロンガスの使用を止められると
俺の工場が滅んでしまうのだ。
 人気者気取りのあのアナウンサーが世論を煽動するのを
辞めさせなければならない。写真週刊誌の女子アナ特集
から栞の挟まれたページを開き、相手の顔を確認する。
じっくりと脳裏に焼き付けて、アパートを出て、テレビ局へ
向かった。ドアを閉めようとして部屋を振り返ったとき、鏡台に
置かれた彼女の香水瓶が視界に入った。貧しさに耐えかねて
出て行った女。
 そういえば、あのアナウンサーに似ていなくもない。

「劇団」「乳液」「二重あご」

242 :「突風」「紅潮」「車輪」:02/01/15 00:11
坂道を下ると、町子の自転車の車輪がきしむような
音を立てた。
後ろから、自転車の音がためらうように近づき、追い
つき様に小さな声で「おはよう」と言った。
振り向いて、町子は驚いた。いづみだった。
いづみはうつむいたまま小声で、それでも先ほどより
は幾分はっきりした声で、言った。
「ごめんね、町子」
「何が」
「藤原君と付き合ってるってこと、言わなくて」
いづみの色白な顔が、紅潮するのが横目に見えた。
「別に」
町子は声の震えを押し殺すように素っ気なく言った。
違う。いづみは分かってない。
いづみは私が藤原のことを好きだと思っているみたい
だけど、そうじゃない。
(私はいづみを藤原に取られたことが口惜しいんだ)
これが当たり前のような友情と言えるのかは分からな
いし、単なる仲の良い友人間のやっかみみたいなもの
であるのかもしれない。
そして、その感情の蓋を開けるのが、町子自身恐ろ
しくもあり、どうしてよいのか分からなかった。

一月の突風が、自転車を走らせる二人の間を吹き抜
けた。
乱された前髪を直すふりをして、町子はそっと涙をぬ
ぐった。

次は「アオザイ」「水」「バイク」でお願いします。

243 :242:02/01/15 00:13
うわー無茶苦茶遅かったみたいでスミマセン!
お題はなかったことに。

244 :名無し物書き@推敲中?:02/01/15 00:23
「アオザイ」「水」「バイク」「劇団」「乳液」「二重あご」

 劇団員の安月給では、車なんて買えない、買っても維持できない、
というのが私の悩みだった。やむなく、バイクで稽古場に通っている。
バイク、なんてかっこいいものでは本当はなく、原チャリというやつだ。
 金がない、というのは私だけの悩みではない。劇団員の皆の共通の
悩みだった。乳液や化粧水が買えず、水だけの洗顔で肌を手入れして
いる女性もいるし、近所のパン屋でパンの耳を買うのはたいていうちの
者だ。次の出し物の蝶々婦人で使う衣装のアオザイや軍服も継ぎ接ぎ
だらけの手作りというありさま。
 そうやって工夫して作った衣装の出来が悪いわけではなかったが、
ジャンクフードの生活が祟って二重あごの俺がかっこいい軍人役が
似合わないのは、きっと貧乏がいけない。

「厄除け」「クールボックス」「筋肉痛」

245 :名無し物書き@推敲中?:02/01/15 00:31
「ただいま入りました情報によりますと、フロンガスにより破壊されたオゾンホ……」
テレビからやかましいアナウンサーの声に耐えきれず、東海は電源をオフにした。
キィキィと軋むロッキングチェアから起きあがり、読みかけの本に栞を挟みかけた所で、
ふと手が止まった。無駄かも知れない、と思ったのだ。
しかし念のため、と一応葉脈だけになった木の葉を挟んでおき、キッチンへと向かった。
キッチン、むしろ台所と称するが正しいそこの流し下から幾つかの刃物を取り出す。柳刃、刺身、文化……
菜切り、サバイバルナイフ。数々の包丁が並ぶ中で、唯一異彩を放つ軍用の大型ナイフを手に取ると、
「はっ!」と気合いを込めて玄関へと投げつけた。
ぎあっ、という悲鳴と共にどさりと重い荷物の倒れる音がした。それだけだ。包丁を纏め、ベルトに差す。
玄関を出る前に、靴箱の上に置いてあった小瓶をポケットにねじ込んだ。シャルルの五番、武器だ。

ボロイ貸家を後にして、東海は歩き出した。十数本の包丁がカチカチと音を立てる。
空はすでに恐ろしいまでに青くなっている。急がなければ。……すでに手遅れかも知れないが。
その時、UVにより身体を浸食された犬が苦痛の咆吼を上げながら東海に走り寄ってきた。
「狂ってるのか……。いま、楽にしてやるからな」
素早く香水瓶を開け、犬の鼻目がけて中身を散らす。きつい匂いが辺りを漂い、犬がその場でもんどり打った。
さらに追い打ちをかけるように中華包丁を抜き放ち、犬の顔面に投げつけた。命中、死亡。
血の匂いがシャルルの五番と混ざり合い、得も言われぬ香りを生み出した。
東海は顔を歪め、
「これもシナリオ通りだと言うつもりか、羽島?」
天に向かって唾を吐き捨てた。

遅れたけど一応。んでお題は継続。

246 :「厄除け」「クールボックス」「筋肉痛」:02/01/15 06:05
二人の作家志望の男が釣りをしています。一人の男が言いました。
「釣りはのんびりやるのが醍醐味。家には玄関先の厄除け用に鰯一匹持って帰る程度が粋さ」
もう一人の男はこう言います。
「釣りは釣果が勝負。二十匹も上げて腕が筋肉痛になるくらいじゃないと駄目だね」
二人のクールボックスを開けてみましょう。
のんびり派の男のボックスには鰯が一尾。釣果派のボックスには二十尾。なるほど。
では二人の心の奥底の本音も開けてみましょう。
のんびり派「俺も本当はたくさん釣れるくらいに上達したほうが良いのだろうな」
釣果派「俺も本当は家計のためにおかずを釣らなくても良い身分になりたいな」
いつしか彼らの話題は読書量と人生経験のどちらが大事かという議論に移っています。
「読書で先人に学ばなければ新しい小説は書けまい」
「いや自ら経験して思索しなければ独自の小説は書けまい」
そこへ二人が憧れる一流の作家が通りかかりました。彼も釣りに来ていたようです。
作家が自分のクールボックスを開けると、たくさんの魚がぎっしりと入っていました。
二人の男の目の前で、作家はそれらの魚を惜しげもなく海に放してしまいました。
そして厄除け用に鰯一尾だけを持って、のんびりと帰っていきました。

次は「空き袋」「計画」「間接的」でお願いします。

247 :名無し物書き@推敲中?:02/01/15 11:20
 年が明けて三日目。私は居間で寝転んで正月気分を味わっていた。しかし、そうこうして
いるうちに子供達が遊びに連れて行けと騒ぎ始めた。嫁が、「ここでガオレンジャーが見ら
れるわよ」と、近所の住宅展示場の広告をそつなく取り出してくる。無料か。無料で楽しめ
るのなら、それにこしたことはない。「お子様にはお菓子進呈」の文句にもつられ、家族で
出向いた。会場についてみると、ガオレンジャーショーが始まるまでまだ時間がある。暇
つぶしにモデルハウスに入った。整った外観、美しいキッチン、日当たりのよいリビング。
嫁の眼の色がだんだん変わってくるのが、わかる。やばいと思い始めた頃に、これ以上
ないタイミングで係員が声をかけてきた。「プランだけでも立ててみられませんか?」
嫁はすっかりその気になっている。パソコンにちゃかちゃかと数字を入れて、あっという間
にその係員は、30年ローンを組み上げていた。「いかがですか? ご計画だけでも早くか
らたてておかれる方がよろしいですよ」 係員のにこやかな笑顔。嫁の頭の中には「新居で
過ごす一家の休日」が、すでに完成済みのようだ。プリントアウトされた「ご試算プラン」を手
に、私に擦り寄ってくる。「月にこれだけのローンだから、今払っている家賃と比べたら、二
万円しか変わらないでしょ。お父さんのお小遣いから二万円回してもらえると、マイホームが
買えるわねえ」それは、間接的に小遣いを減らせと言っていることに他ならない。やられた。
完璧にハメられた。外ではガオレンジャーショーの開始をつげるアナウンスが響いている。
お菓子の空き袋が舞い散る展示場で、私はタダほど高いものはないと再度学んだのだった。

次は「少林寺拳法」「分別ゴミ」「ワクチン」でお願いします。

248 :うはう:02/01/15 16:45
 寅さんが帰ってきた。旅先で入院してたけど、無事退院してきた。

 「うん、私も喧嘩だけは強かったからね、少林寺拳法道場でも経営しようかと」
 「「私」って・・・兄ちゃん!?」
 さくらはどこか心配してる。

 「あ、社長、今日は自分が分別ゴミやるから」
 「と、寅! かわったなあ」
 「なあに、いつも世話になってる、せめての御恩返しです」
 どこか空ろな表情で、ゴミを分別してゆく寅さん。

 「お兄ちゃん、頭に傷が?」
 「あ、これね。院長がなんかワクチンだからねと言って・・・」
 「・・・・・・お兄ちゃん」
 全てを悟ったさくらは、うずくまったまま顔があげられなかった。

 「男はつらいよ最終回・ロボトミーだよ寅次郎」 完

 ※なんでこんなの思いついたんだろうと^^;
  次のお題は:「漫才」「サナトリウム」「ワンピース」でお願いします。

249 :名無し物書き@推敲中?:02/01/15 16:48
 昼下がりの屋上。
「シャオリンチェンを習いたいの」
 彼女は口の端を緩めた。
「そう。あなたたちの言葉で言う少林寺拳法ね」
 振り向く彼女の髪の毛が踊った。
「本当は永春拳や燕青拳が好きなんだけど、やっぱり北なのかなって」
 繊手で柳髪を梳りながら、また空を見上げる。
「天巧星浪子燕青って知ってる?」
 春間近の空は、どこか寂しかった。
「知らないの? そう……私ね、今だから言うけど……」
 彼女は木の葉のような軽さで、僕との距離を零にする。
「分別ゴミって、分けてもやっぱりゴミだと思うのよ。ね?」
 傍にいるはずの、彼女の姿が滲んで見えなかった。
「いらないものはゴミなのよ」
 それから暫くして、彼女が南米に旅立ったことを知った。
僕はただ、彼女がきちんと風土病のワクチン接種を受けたのか、
そのことだけが気になっていた。

250 :名無し物書き@推敲中?:02/01/15 17:11
ネタかぶったので


「どもどもども」
「はいはいはい」
「うちらこうやって漫才やらさしてもらてるわけですが」
「はいはいはい」
「いろいろと苦労も絶えないんですわ」
「はいはいはい」
「この前もどっかおサナトリウムに営業に行って来ましてん」
「はいはいはい」
「ってあんさん、それしか言えまへんのかい」
「そんなことありまへん」
「だったら、普通にしゃべりなはれ」
「それがなぁ」
「それがなんじゃい」
「そこの客席のワンピースのお嬢さんがすごい別嬪さんでしてなぁ」
「それがどないしたん」
「あまりの神々しさに参拝してたんですわ」
「はぁ、何やそら」
「はいが三つでさんぱい」
「あんさんとはやってられませんわ」
「わぁ、どつかんといてぇ。こうこうこう」
「今度は何や」
「こうが三つで……」
「こうさん言うんやろ」
「あぁ先に言わんといてな」
「「どうも〜、失礼しました〜」」


次は「マフラー」「新聞紙」「このわた」でお願いします。

251 :あのね:02/01/15 17:12
>>249 ワラタ

252 :名無し物書き@推敲中?:02/01/15 17:43
「このわた」「新聞紙」「マフラー」

 このわたがとにかくムカツク。

 彼女が手縫いのマフラーをプレゼントしてくれた。それは
いい。しかし、何故マフラーにわたが入っているのだ。全体
が突っ張ってしまって、首に巻き付けるのが一苦労。それを
必死に顎で押さえつけて走らなければならない。

 顎がプレッシャーに負けてマフラーが撥ね飛ぶ。小脇に抱
えた新聞紙の束も、オマケにダバダバ落ちる。どうしようも
ないやるせなさに全身がふるえる。しかし、マフラーを巻か
ないわけにいかない。彼女がこの早い時間に起きて待ってく
れているのだ。くそったれ!と叫びながら首にこのやっかい
なモノを巻き付ける。

 しかし彼女の強情にも困ったものだ。
 「マフラー」と「まくら」を間違えたと一言認めてくれれ
ば、こんなに苦労しなくて済むのに。

#次のお題は「白湯」「仕事「競売」で。

253 :名無し物書き@推敲中?:02/01/15 18:57
「白湯」「仕事「競売」
おいおい、これはねえよ。
これじゃ書く気がしないよ。
俺は嫉妬心のかたまりだからね。

「切ない」「悲しい」「嬉しい」

254 :うはう:02/01/15 22:36
 「白湯」「仕事」「競売」「切ない」「悲しい」「嬉しい」

 第14王女。宮殿行事の端で立っているだけが仕事の一日が、また終わる。
 睡衣に着替え、窓を閉じようとしたその時、彼女はそれを見つけてしまった。

 それは、深手を負い、気を失った黄金色の髪の若者だった。
 彼が、「異種族狩り」で追われている一人だという事はすぐに解った。
 とっさに部屋に匿い、白湯でもてなし、介抱した。
 なぜ? どうせ殺されるかペットとして競売されるだけなのに・・・彼女は悲しい。

 意識をとりなおした彼は、深く礼をしてこう言った。
 母が身を挺して自分を逃がしてくれたこと、自分が種族の最後の一人であること。
 そして、そんな自分の命も、もう残り少ないだろうこと。だから・・・

 「助けてくれたのにすまない、娘よ。しかし、私は、種族を伝えねばならない!」
 「そんな、そんな・・・」彼が言おうとしている事は彼女にもわかった。
 彼の手がローブを落とし、月の光の中に影が浮かび上がった・・・

 「さらば娘よ。種族の母となってくれて嬉しい。私の役目は、やっと終わった」
 瀕死の体で彼は去った。闇の中に野卑な狩人の声と、いくつもの銃声が聞こえる。
 それを聞く彼女は、ふるえる手で、彼から渡されたある大事なものを握っていた。
 彼が彼女の前でローブを脱いで全裸になり、「ぬおぅ!」と生み落とした一つの青い玉子を。
 「そんなのって・・・あり!?」彼女はなぜか切ない。

 ※お答え:あります(^^)
 次のお題は:「七夕」「夕刊」「刊行」でお願いします。

255 ::「七夕」「夕刊」「刊行」:02/01/15 22:50
探していた作家の新作が夕刊に紹介された。
近日刊行と言われ続け、六年越しにやっと出たのだけれども
なんだか、ちょっとだけ寂しい気持ちになるは何故だろう。
「待っている間の高揚感が一瞬で引く感じ?」
誰も居ない自分の部屋で、声に出してみた。きっと、七夕の
夜の織姫と同じ気持ちなんだろうな。

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次は、「藁」「馬鹿」「嫉妬」を捻ってみてみて。

256 :名無し物書き@推敲中?:02/01/15 23:20

「藁」「馬鹿」「嫉妬」

 「ハーイ!ハーイ!」

 僕はかなり小さな頃から目立ちたがりだった。
 成績も良く、今から思えばかなり嫌な奴だった。

 ハイ、鈴木くん。先生は笑顔だ。
 僕は誇らしげに正解を述べる。
 「溺れるものは藁……」

 突然、ひときわ大きな声が響く。
 「馬鹿をもつかむ〜!!」

 教室がどっと湧く。
 一人立っているオレは晒されている罪人のようだ。

 また、アイツか。
 僕にとって、嫉妬という感情はいつも身近なものだった。

#お題は「サンバ」「DVD」「刑務所」で。

257 :うはう:02/01/15 23:56
「サンバ」「DVD」「刑務所」

 それは、お定まりの2時間ドラマだった。
 いわれなき殺人容疑をかけられた恋人の話。

 番組は緊迫の展開を1時間半は続け、警部はついに調査を再開した。
 「この時間では、あの人は現場に行けたはずがありません、警部」
 「しかしですなあ、お嬢さん」
 「ここに、彼が1時から聞いていたというDVDがあります。
  これが終わるまでの時間を量れば・・・」

 気乗りがしないまでも、ストップウオッチ片手にDVDを一緒に見る警部。
 それは、リオのサンバのDVDだった・・・「サンバで、リオで、ビバ・サンバ!」
 番組とはおよそ似合わない、陽気なサンバが30分は続いた。

 すると突如! 恋人がDVDに合わせてサンバを踊りだした。
 「あ、サンバ!サンバ!」警部も一緒に踊ってる!

 留置所の中で、冤罪をかけられた主人公が話した。にこやかに。
 「犯人はどうなったかって? 私の生命はどうかって?はっはっは。
  見てください。
  貴方が見ていた「土曜ワイド劇場」は、既に23分も過ぎてしまっているのですよ。
  これは10時51分からの次の番組「お笑いGP」です」

 まったく、民放はこれだから・・・

 ※某映画のパクリだけど、古い映画だからきっとばれない・・・と思う^^;
  次のお題は:「アルミ」「藤棚」「空中回廊」でお願いします。

258 :257:02/01/16 00:07
失礼しました。「刑務所」と「留置所」じゃ大違いなんですよね、法的にもきっと。
見逃してやってください m(_ _)m

259 :名無し物書き@推敲中?:02/01/16 01:14
みっしりと張り巡らされた蔓が足場となり、藤棚は一種の空中回廊となっていた。
髪の長い少女が尻込みすることなく、その上をスタスタと軽快に歩いている。
「本当に大丈夫だろうな! 落ちたら責任取ってもらうぞ!」
その背に声がぶつけられた。振り返る少女。その赤い瞳に映る馬鹿。
まだ一歩を踏み出せず、回廊の入り口で叫び立てる少年が哀れだった。高々十メートルの高さで、
どうやったら怪我をするというのだろうか。気でも触れたのだろうか。少女は疑問だった。
ところで、この感覚は人外の者である少女ならではなので、少年の恐怖は当然とも言える。
彼の名誉のためにそれだけは記しておこう。

さて、閑話休題。少女は溜め息を吐くと、少年に向かってこう呟いた。
「怖いのなら帰れば? そもそもあんた必要ないんだし……邪魔なのよね」
聞こえるか聞こえないかのぎりぎりの音量だったが、悪口は自然と耳に入るもので、
「何だとこの野郎! お前が心配で付いてきてやってんだろうが!」
少年が力強く足を踏み出した。軋む蔓、悲鳴を上げる藤、落下時に味わう浮遊感。
「うわああああっ!」
落ちた――いや、落ちかけた。どうにか身体が引っかかり、胸の辺りで釣られる形となって少年は助かった。
「助けてくれ! ちょっ、お、落ちる!」
助けを求められて、少女は再び溜め息を吐いた。仕方なく近寄ろうとするうちに、頭に浮かぶ考え。
(アルミと酸化鉄の混合粉末にマグネシウムで点火すると膨大な熱を発するテルミット反応が……)
今の状況と全然関係なかった。意味もなかった。いや、あるにはあるが……それは言わぬが花というやつだ。
「そっと、そっとしろよな。いた、痛いって! もっと優しくしろよ!」
注文の多い少年を引っ張りながら、少女は思っていた。
(そう言えばこいつ誰? 私も誰? そしてここは何処なんだろう……)

……作者も設定していなかった。


次は「雪景色」「氷柱」「常夏天国」

260 :名無し物書き@推敲中?:02/01/16 01:34
少年は寂しかった。
ここには何も無かった。
平野にそびえるこの塔の頂上を目指して、必死になっていたあの時に、少年が思い描いていたような楽園は、ここにはありはしなかった。

足元の小石が少年の靴に触れて、手摺のあいだから転げ落ちた。二、三度何かに当たる音がして、それきり何も聞こえなくなった。
少年は坐り込んだ。だらしなく両脚をひろげてみても、だれもとがめはしない。
この高みにまで登ってくることのできる者は、少年をおいて、ひとりもいない。

少年の手の指がアルミニウムの床を掻いた。
少年が塔によじ登ることを始めたころ、蔓と蔓のあいだにはさんで剥がした爪ももう、元のように治った。

この空中回廊をさまようようになって、もうどれだけたったのだろう。
先を競って藤棚を駆け登っていた頃のことがまた脳裏に浮かんで――

少年は立ち上がり、また歩きだす。
こんなふうに懐旧をかき消すことにも、もうずいぶん慣れたものだと思った。

次は「しっぽ」「祖父」「泡」でお願いします。

261 :うはう:02/01/16 01:54
「雪景色」「氷柱」「常夏天国」「しっぽ」「祖父」「泡」

 街は一面の雪景色。あかぎれの手で、一人の少女がかごを抱えてこう言います。
 「マッチはいかがですか」「マッチを買ってください」
 マッチはひとつも売れません。意地悪な祖父のお仕置きが待ってます。

 終電も出ちゃったし、人通りも途絶えた街。
 氷柱が下がった窓越しに、暖かい暖炉が見えます。
 「そうだ、マッチを擦れば、少しでも!?(うううっ)」

 その時、少女の隠された位相変換能力が発揮され・・・次の瞬間、少女はハワイにおりました。
 「ああ、暑い、暑いわ」
 マッチ売りの少女はビキニに着替えましたが、それでも慣れない暑さはこたえます。

 「マッチを買ってください」・・・売れるわけがありません。
 「そうだ、マッチを擦れば!」・・・もっと暑くなりました。
 これでは、せっかくの苦労も水の泡です。
 しかし、熱上昇より熱低下の方が困難だという事実を知りました。
 熱力学の真理のしっぽをつかんだ、マッチ売りの少女の物理学への躍進はここに始まるのです。

 ※思えば、中世にもハワイはあったのですね(<意味なし)
 次のお題は:「歌劇」「勇敢」「下駄箱」でお願いします。

262 :名無し物書き@推敲中?:02/01/16 02:25
 突然こんなお手紙を差し上げて、あなたの迷惑も考えないわがままな娘だとお思い
になるかもしれません。それでもかまいませんから、どうか一度だけでも、最後まで
読んでください。
 わたしがあなたのことをはじめてお見かけしたのは、おととしの文化祭初日の騎馬
戦の時です。あのとき、あなたは、赤組の最後の一つの騎馬になって、白組のみんな
から集中攻撃を受けたのに、勇敢にも敵の本陣に突っ込んで、敵の騎馬を十近くも倒
していましたね。わたしは、白組の応援席にいながら、あなたの騎馬が負けないよう
に、つぶされないように、それだけを思って見ていたんです。
 そして翌日の歌劇発表会、わたしのクラスの出し物で、わたしが台詞につまった時、
客席から「がんばれーっ」って声をかけてくれました。その声のほうを見たら、あな
たがいて、あの時はいままでで一番うれしいと思いました。見ず知らずのわたしを応
援してくれたのは、きっとたまたまなんだろうけど、それでもあの時から、わたしの
心はあなたのことだけでいっぱいになってしまったんです。
 ほんとうにお話ししたこともないあなたにこんな無礼なことをしてごめんなさい。
 読んでくださってありがとうございました。

PS 下駄箱の番号は職員室で調べてしまいました。ごめんなさい。


次は「水増し」「大理石」「ついたて」でお願いします。

263 :名無し物書き@推敲中?:02/01/16 02:28
「常夏天国」「歌劇」「勇敢」「下駄箱」

 不況だ、不況だ、といわれている今、リゾート開発に
乗り出すのが、どれほどリスクの高いことか、わかって
いるつもりだ。私のプランは、一年中使用可能なプール
とあらゆるオブジェ、食べ物でで盛り上げられる夏のムード、
常夏天国、といったありきたりなものではない。
 勇敢というよりは無謀、天才というより馬鹿、の所業に
見えるかもしれない。しかし、わたしな事業の成功を
確信している。
 まず、アトラクションのレベルが凡百のリゾートホテルとはけた
違いだ。マジック、歌劇、雑技。夜毎、昼毎くりひろげられる
ありきたりなショーでは物足りない。我がホテルでは、
人生を疑似体験することが可能だ。
 学校、職場、街角。すべてが再現されているシミュレーション
ゾーンを設け、他人の人生、理想の人生を追体験できる。
毎日、下駄箱にラブレターが詰まっていたなんていう人生も
シミュレート可能だ。もてないあなた、ぜひどうぞ。

#つぶれる。こんなリゾート。常夏天国が抜けのようなので足してみた。
お題は262で。

264 :「水増し」「大理石」「ついたて」:02/01/16 02:42
 広い屋敷のどこへでも自由に歩きまわってよい、という許可は
得ていた。ただし、三階の奥の間は例外だ、とも。大理石をはじめ
とする豪華な建築材料をふんだんに使った屋敷中を探検してまわ
った。すばらしい意匠だ。はじめはただ感激するばかりだった。

 次に湧いたのは怒りだ。ここに引き取られるまでの孤児としての
生活がどんなものか、話る必要もないだろう。
 そのいっぽうで、当たり前のようにこんな邸宅に住んでいる人種も
いるのだ。現在の自分が幸せだからそれでいい、というような根の
浅い問題ではない。怒りはいつしか臨界点を超え、一度も姿をあら
わしたことのない屋敷の主人、わたしの祖父だと名乗る人物、へと
向けられていった。

 奥の間へ続くついたてを蹴飛ばし、異変に気がついた執事が止める
のも聞かず、つきすすむ。と、そこには廊下がなかった。いや、床自体
がなかった。通常の三階建てよりずっと高い距離から落下しながら、
このからくりが読めた。あのジイさん、建物を水増ししてやがった。
屋敷には「奥」なんてない。正面半分だけしかなかったのだ。

「ジェル」「看護士」「囚人」

265 :「ジェル」「看護士」「囚人」:02/01/16 17:01
ジェラシーなんて、僕には関係のないものだと思っていた。だけど、町で彼女を見かけたとき、
ルビーの指輪の歌詞が頭に浮かんだ。相手の男は俺の親友だ。いや、親友だった男だ。それを
看過できるほど俺は利口じゃない。思わず詰め寄り、語気を荒げて彼女に向かう。奴は僕から
護るように彼女を後ろに下げた。その行為が一層僕の感情を昂らせた。だが、奴は喧嘩好きだ。
士気を鼓して、僕は殴りかかった。案の定、返り討ちを受けてワンパンチで伸された。すぐに
囚われた宇宙人のようにして無理矢理起こされると、腹に膝、頬には肘の大セール。周囲には
人集りが出来ていたが奴はやめない。彼女もとめない。僕は静かに眼を閉じた。


次は「人参」「妊娠」「コサックダンス」でお願いします。

266 :人参・妊婦・コサックダンス:02/01/16 22:01
妊娠した女性はそれまでに見せなかった食の好みを示すそうだが、
うちのかみさんもその例に漏れず、変なものを欲しがった。

急に人参を食べだした。
とにかく腹が減ったら人参を齧る、齧る、齧る。
おまえは兎か、おまえは馬かと、何度もなく罵ったが、その罵声にもへこたれずに、彼女は人参を食べ続けた。
まあ、体内のβカロチンが欠乏しているのだろう、という風に解釈してその奇妙な行動は黙認する事にした。

けれども彼女が次に取った行動は問題だった。
急にコサックダンスを習い始めたのだ。
妊婦の受講を容認する講師も講師だが、身重の癖にダンスを始めるかみさんもかみさんだ。
ふんばったと同時に胎児の頭が出てきたらどうするんだろう。
適度な運動は体にいいらしいが、それにしたってコサックダンスは激しすぎる。
頼むからおまえは安静にして健康な子供を産むことだけを心がけてくれ。
それだけが、俺の切なる願いだ。

そんな俺の願望とは裏腹に、彼女は今日もダンス教室に出かけた。

#次は「王様」「芝生」「スタート」でおねがい。

267 :妄想100%バカ:02/01/17 00:58
「王様」「芝生」「スタート」

 11PMが終わってから、トゥナイト2は午前零時の王様になった。
 他に見る番組がなかった訳でもないのだが、王様になった。
 シンジは芝生の上で寝転びながら、ため息をついた。
「トゥナイトって三月で終わるらしいよ」
 それは昨日、ユキから聞いたショッキングな話だった。
 最初はユキの話の出所が2chだというので、ネタだろう、と思ったシンジだったが、
自ら他のサイトで検索してみるとどうも本当らしいので、信じざるおえなかった。
 四月からは、いったいどんな番組がスタートするんだろう?
 一瞬、考えようとしたシンジであったが、すぐに思い直してつぶやいた。
「どうでもいいや…」

次のお題「ヒマワリ」「坂道」「アルカロイド」   

268 :「ヒマワリ」「坂道」「アルカロイド」:02/01/17 02:23
 これ、アルカロイドの分子モデルにそっくり、隣りを歩いていた
白衣の女がかすれた声で私にささやく。彼女が指差したのは
坂道に沿って連なる大輪のヒマワリの軍になかに、どこか悲しげな
小さな一輪であった。中央の種は落ちたのか、もともとなのか、幾つ
かが欠けている。
 ほら、このあたり、と規則正しく並んだ種の上にいくつかの六角形を
なぞる。
 そう示されても文科系の私にわかる分子モデルなんて二酸化炭素が
せいぜいだ。アルカロイドといえば、ヘロインやモルヒネの成分だが、
いったい六角形の分子モデルなんてベンゼン環ぐらいしか思い出せない。

 痩せたヒマワリを見つめる、痩身の女。痩せても枯れてももとは女医
だっただけはある。自分の人生を駄目にした成分のモデルはよく覚えて
いるらしい。ヒマワリは太陽に向かって咲き、見つめる私たちは光に
背を向けていた。

「ゴール」「グル」「便秘」

269 :「ゴール」「グル」「便秘」:02/01/17 14:25
「あった、あった」
ほっとした様子で真里菜は2chの身体・健康板の中から目当てのスレを見つけてクリックする。
――便秘を治したい
昨日、真里菜が立てたスレであった。
もうかれこれ半月も排便がなく、真里菜は途方に暮れていたのだ。
たくさんのレスがついていた。
「やっぱり、便秘で悩んでる女の子って多いのね」
そうつぶやいて真里菜はひとつひとつ順を追ってレスを読んでいった。
しかし、そこに書きこまれていた便秘解消法はどれも真里菜が一度は試し、効果のみられなかったものばかりであった。
「はー、所詮2chってこんなもんよね」
  96 名前:病弱名無しさん :02/01/02 13:27 ID:???
   便秘を治したいだと!?糞スレ立てんなや、ゴルァ!!
「なによー、96まできていまさら言わないでよ」
しかしそこには親切な一文が添えられていた。
――おれのスレへ来い。
そのURLに真里菜は希望の光を見たと思った。
96のスレは、身体・健康板創設以来引き継がれている伝統ある便秘解消法スレだった。
さっそく真里菜はそこの住人となり、同じ悩みを持つ同士とともに日夜便秘を治すためあらゆる健康法を試すこととなった。
2週間経った。真里菜はいまだ便秘に悩まされていた。
「おかしいわ。このスレのみんなはどんどん便秘が治っていうのに、どうしてわたしだけいつまでも解消されないのかしら?」
その疑問をスレに書きこんでみた。すぐさまレスが返ってきた。
『ゴールはここだよ』
真里菜はレスに貼られてあるURLをクリックした。
  861 名前:病弱名無しさん :02/01/16 20:02 ID:j3356Cae
   あの女笑えるよなー。マジで豚足食ったり、
   夜中3時にいったん起きて腹筋333回やる、とか実行してんだぜ。
  862 名前::02/01/16 20:37 ID:hjLrw4Jz
   でも、なんだか飽きちゃったな。
   新しいの来ないかな?
  863 名前:病弱名無しさん :02/01/16 21:51 ID:OWypxUIU
   >>862
   じゃあ、おまえが次のカモをみつけて来いよ。
「なにこれ・・・みんなでわたしを騙してたの?ここの住人みんなグルになって?」



270 :269:02/01/17 14:36
長くなってごめんなさい・・・。
次は「肩凝り」「襲撃」「プレリュード」で。

271 :うはう:02/01/17 21:54
「肩凝り」「襲撃」「プレリュード」

 「ごめんなさい、肩凝りがひどくて」議員は体調悪そうに、国会に向かう。
 たしかに肩凝りはした、動悸・めまいもあった。でも・・・それらのことは、全て結果だ。
 原因は他にあった。それはわかってた。ずっと前からわかってた。

 今日でもう8日目・・・秘書官にこぼしても、笑い話ですまされるだけ。
 彼等にはわからない、便秘のつらさなんて。これは女性議員の宿命なのか? 

 今日も政敵の襲撃が始まる。 
 彼等の提案は「パソコン使用制限法」・・・これはいけない、なんとかせねば。
 その時である。彼女に、祝福ともいえる便意のプレリュードが訪れたのは。
 よりによって、投票の直前に!

 今だ、今トイレに行けば・・・しかし票読みは厳しく一票を争う情勢である。
 今を逃せば次はいつ出るかわからない。
 しかし、1億人の民意をとるか、たった1人の便意をとるか。答えは明白である。
 
 投票は終わった。なんとか政敵はくいとめた、たった一票差で。
 「また便秘がひどくなっちゃった。頭痛に肩凝り、議員病よね」
 記者がわっと笑う。彼等にはわからない、偽らざる本音だということは。
 「さようなら、便意さん(涙)」

 ※「肩凝り」が強引ですみません。この3題を見るとどうしても(笑)
 次のお題は:「カメラ」「世界」「鹿せんべい」でお願いします。

272 :名無し物書き@推敲中?:02/01/18 00:42
のんちゃんなあ、きみ、気がついてへんかったかもしれへんけど。
高校一年の時の遠足。高校やったら、もう遠足て言わへんか。
校外学習言うんかな。奈良行ったやろ。明日香村見て、薬師寺見て。
奈良公園の鹿も見たなあ。いや、鹿はどうでもええんや。あの時、ぼく、
初めてのんちゃんの私服姿見てん。いっつも学校やったら、セーラー服
やろ。のんちゃん、背が低うて、制服着てたら、なんや制服に着られてる
みたいやったけど、あ、ごめん。あの時、ピンクのトレーナー着てたやろ。
ものすご可愛い思た。ぼく、カメラ持ってたから、どないかして写真撮れたら
ええなあ、と思てた。そればっかりやったわ。今から思たら笑うけど。きみが
鹿せんべい、鹿にやってる時に、たまたまみたいに、シャッターチャンスや、
言うて、写真撮ったやろ。今やから言えるけどな、あれ、ずっと狙ろとってん。
はは。笑うやろ。なんかこんな事思い出してしもた。あれが、ぼくがきみの
写真とった最初ちゃうやろか。あれから、ぎょうさん写真とったな。二人の
写真も、子供らと一緒の写真も。あ、ぼくな。一枚、気に入りの写真があるねん。
机の一番上の引き出しに「写真」て書いた封筒に入れてあるからな。あれ、
使こてくれ。何に、て。はは。決まっとるやんか。なんや。泣いとんのんか。
そんな世界の終わりみたいな顔せんと。写真とってまうぞ。チーズや、ちーず。
大丈夫や。春までは持つて、せんせ、言うたはったやないか。
春になったら、また、奈良行こか。そうや、のんちゃん、ピンクのトレーナー着て
えな。え? もうおばちゃんやから恥ずかしいてか。
かまへんやんか。
──な。

次のお題は、「四六のガマ」「バナナ」「爆撃」でお願いします。

273 :名無し物書き@推敲中?:02/01/18 01:02

「カメラ」「世界」「鹿せんべい」

 新婚旅行は世界一周だったというのが、妻の口癖だった。

 恥ずかしいからやめてくれと、何度も頼んだのだが、妻は相手に
もしなかった。特にタチが悪いことに、子供達にまでそれを吹き込
んでいた。

 押入れを掃除すると、古いアルバムが出てきた。子供達ももう大
きい。本当のことを教えても動揺などするまい。子供達を呼びつけ
るとアルバムを開く。

 妻は色あせた写真の中で古寺を背景に笑っていた。別の写真では
鹿せんべいを持った手に鹿に突撃されて怯えていた。新婚旅行は国
内だった。子供達はなにも云わなかったが、目を真っ赤にしていた。
気付けば私もそうだった。

 古いアルバムは、一緒に出てきたカメラとともに妻の棺にお供え
することにした。

#かぶりスマソ
#お題は継続で。



274 :うはう:02/01/18 01:49
「プロジェクトX 〜ナパーム弾を5千発調達せよ〜」

 クラーク中尉は言った。
 「やります。やってみましょう。来週までにナパーム弾を5千発、祖国のために!」と。
 しかし翌日、補給路は敵兵に閉ざされてしまった。
 中尉の前に、大きな壁が立ちはだかった。

 (S.E.「ぷろじぇくと・えっくす!」 談話4分)

 そんな時、ふと彼の目についたのは現地の集落だった。
 「そうだ、村を襲撃をして材料を接収しよう」
 それは危険な選択だった、しかし中尉はそれに賭けようと思った。

 ・・・襲撃は成功した。しかし、部下の一人がこう叫んだ。
 「中尉、大変です。ここにはバナナしかありません!」
 しかし時間がない、中尉は村人達を強制動員し、バナナから油を精製した。
 40度を超える夏の太陽。中尉の額には、四六のガマの様な脂汗が浮かんだ。

 そして七日目の朝日が昇りかけた時、中尉の手には5千発目のナパーム弾が握られていた。
 夜空を照らす大爆撃の光の中で、彼は祖国の事を思った。
 彼は、間に合ったのだ。

  (ここからバックにエンディング曲)
  年が明けて2002年。中尉は街で、ふとある老人と出会った。
 「おお中尉、お懐かしい。私はあの時襲撃され、故郷を焼かれた村人です
  積もる話がたくさんあります。みんあ待ってます。ぜひ聞いて下さい」

 南洋の田舎にある、小さな焼け焦げた小屋。ケーブル中尉の苦労はここに記されている。

 ※無条件でついつい見てしまうあの番組・・・悪用が心配だー(笑)
  次のお題は:「麦」「テープ」「蚊取り線香」でお願いします。

275 :うはう:02/01/18 01:52
失礼しました、長すぎれす。(これでも10行は削ったんですが^^;)
省略された行です、お恥かしい;

次のお題は:「麦」「テープ」「蚊取り線香」でお願いします。

276 :「麦」「テープ」「蚊取り線香」:02/01/18 06:01
 夜通し騒ぐような習慣は絶えていたが、線香だけは欠かさないのが
俺の田舎の通夜だった。少し休んだら、という妻の声を無視し、数時間
ごとに位牌の前の線香を取り替える。冷房もない田舎家だったが、雑多な
植物の茂る広い庭から蚊取り線香の臭気が混じった涼しい風が吹き込ん
できた。
 除虫菊と伽羅との香りが入り混じった八畳の和室で、麦酒を飲みながら
闇夜に浮かぶ父の遺影を見つめていた。十年ぶりの父の顔は黒いテープ
を巻かれた額に囲まれ、それが空白の十年の間でいつ頃撮られたものな
のか、分からなかった。最後に分かれたあの日よりも老けているような、
そうでないような。
 庭の草木は網戸越しでぼやけ、父の遺影も曇って見えた。

「付箋」「苦戦」「悪銭」

277 :名無し物書き@推敲中?:02/01/18 15:40
「付箋」「苦戦」「悪銭」
朝の早くから突然、あそびに来た、と言って有香がうちの本棚を物色していた。
「暇だから何かおもしろい本貸してもらおうと思ってね」
「おまえ、幼なじみだからって勝手に人んちあがってんじゃねえよ」
「なあに、この本?」
有香は本屋のブックカバーがついたままの分厚い本を指差した。
「それは……」
「付箋がいっぱいついているけど」
「そ、それは……なんだっていいだろ」
有香は挑戦的な眼差しでおれを一瞥するとすばやく本を手に取った。
「やめろ!!」
おれは有香からその本を取り返そうとした。力ではおれの方が上だ。だが有香は何ともすばしっこいのであった。
苦戦の末どうにかおれは本を取り返すことができた。この本が万一有香に知られでもしたら、何を言われるかわかったもんじゃない。
有香は悔しそうにしていたが、気に入った本を何冊か見繕うと、帰っていった。
玄関まで見送ったおれに、靴を履きおえて有香はにっこり笑った。
「悪銭身につかず、だよ。じゃあね」
くそ、ばれていたのか――。
二浪して入った三流大学を7年かけてどうにか卒業し、就職浪人3年めのおれに引き換え、小さなころから優等生で、広告会社では男勝りに活躍している有香。
あいつだけには知られたくなかったのに。
おれは力いっぱい本を投げつけた。
壁にぶつかったはずみでブックカバーがはずれ、床に転がった。
『パチンコ必勝法―入門編―』
やけに派手な表紙がいやにおれの心を悲しくした。

次は「哀愁」「レクイエム」「月夜」でどうぞ。

278 :「哀愁」「レクイエム」「月夜」:02/01/18 17:22
 月夜、鈍色に光るそれは少女の肌を犯していた。
 紅く神衣を染め上げて、少女の嗚咽に合わせて律動する。
「禍禍しき深淵の主たる貴公の名を唱えよ」
 少女は口唇を嘗めて言う。微塵も意力の衰えを見せない。
「神意に惑い、聖が属に堕ちた貴女に名乗る名など持たぬ」
 そう言葉を紡いだのは誰だったろうか。
「同胞にも呆れられ、己が影からも忘れられ」
 巨大な剣を体内に抱いたまま、少女は哀愁を刻んだ面で私を指す。
「憐憫など無用」
 また誰かが言葉を紡いだ。いや、私なのか?
「ならば唄おう。貴公の未来を憂う為に」
 少女は薄く嗤っていた。その頬を潺湲と涙が濡らしている。
「今一度訊こう。宿命を受け入れるか?」
 私の問いに、少女は静かに首を振った。
「そうか」
 次の瞬間には少女の小さな首は宙を舞っていた。そして赤茶けた
大地に転がる。だが、世界へ、大地へ、天空へ、そして私に手向けら
れたレクイエムが止むことはなかった。
 
 
 次は「血」「闇」「布」でお願いします。

279 :名無し物書き@推敲中?:02/01/18 17:52
「血」「闇」「布」

真夜中に目が覚めた。階下で物音がした。
そっと部屋を抜け、キッチンの扉をゆっくりと開けてみる。
闇の中に立ちつくしている有香の後姿。
声をかけようとしたそのとき、有香の手に、窓から差す月明かりに反射した冷たい刃物の光を見た。
有香はさっと包丁を振りかざし自分の喉をめがけて振り下ろす。
わたしは咄嗟にかけより、有香の喉に自分の手をかざした。
次の瞬間、有香とわたしは一斉に叫んだ。
手のひらに鋭い痛みが走り、滴る血は、床にぽたぽたと音をたてて大小の円を描いていく。
悲鳴を聞きつけて母が飛び起きてきた。
母はわたしの怪我に気づき、側にあったふきんで止血をした。
「いったい、どうしたっていうの」
咎めるように母が訊く。
わたしは、白い布にみるみる広がる赤い染みをみつめながら黙っていた。
妹が自殺をしようとしていた、なんて母に言えるわけがなかった。

次は「いたずらぎつね」「アルバム」「群像」で。

280 :名無し物書き@推敲中?:02/01/18 19:24
元旦の朝、敏江は早起きしてパソコンの電源をオンにする。
やがて、立ち上がった画面の細かいアイコンを確かめるように見て、
ひとつ舌打ちする。最近すっかり細かい文字が見えなくなってきた。
老眼鏡をかけてから、メーラーのアイコンを確認するようにクリックする。
──397通の新着メールがあります。
彼女は、ひとつひとつのメールをゆっくりと読む。記憶のアルバムを
一枚ずつ繰りながら。遅くまで校庭で野球をしていた良二は、真っ黒に
焼けた甲子園球児の群像の中に、幼い頃の面影を残したままの顔で
笑っている。ノートにぎっちりと「いたずらぎつねのごんた」のおはなしを
書いていた真由子は、童話新人賞を受賞した。あの子には子供が生ま
れた。この子は結婚した。また、別の子はパートナーと別れて新しい人生
に足を踏み入れた。彼女が一緒に暮らした日々は、みいんな小さな小学生
だったのに。変われば変わるものだ。でも、変わらないのは、「戸田先生」
と、誰もが呼んでくれること。還暦を過ぎてしまったけれど、こうやってみんな
からのメールが読めるなら、老眼鏡かけても、頑張ってパソコンしなくちゃね。
敏江の手の中で、マウスがまた、かちりと鳴った。

次のお題は、「春夏秋冬」「両開き」「代理」でお願いします。

281 :いたづらぎつね・アルバム・群像:02/01/18 19:49
「とうちゃんが若い頃にな、<いたずらぎつね>ていう伝説があったんだよ。
映画でも、それをモチーフにした群像激が結構評判になったりしてな」
「ふーん、それってどんなきつねさんなの?」
「人間にばけたきつねがな、いろいろな悪さをするんだ。
例えばハンサムな男性に化けたきつねが若い女性をたぶらかしたり。それからね」
そういうと、父親は本棚から学生時代のアルバムを取り出しました。
「あきら、この写真を良く見て。この男の子の右手が消えているじゃないか。
これはとうちゃんなんだよ。そして、実は・・・」

父親は「俺はきつねなのさ」と、あきらを驚かせようとしました。
よくある恐怖話で息子を怖がらせようとしたのです。
けれども、そこにあきらが割って入りました。

「ごめん、とうちゃん」そう言うなり、あきらはくるっと後方へとんぼを切りました。
すると、あきらはきつねになってしまいました。
「ごめんよ。少しからかってやろうと思ってとうちゃんの子供になったんだ。
でも、あんまりとうちゃん達が嬉しがるもんだから、つい・・・」
「いいんだ、あきら。そんな事、前から分かっていたから。あきらが白状してくれてよかったよ」
「とうちゃん、ありがとう。このままずっと親子でいてくれる?」

父親は深くうなずくと、あきらを力いっぱい抱きしめました。

#お題は280ので。

282 :名無し物書き@推敲中?:02/01/19 00:06

「春夏秋冬」「両開き」「代理」

 代理人業というのは、忙しい。

 選手達はまだ子供だ。遊びたい盛りの若者を一つのことだけに集
中させるというのは、本当に骨が折れる。そのために全ての雑事を
親代わりになったつもりで引き受ける必要がある。春夏秋冬、休む
暇などない。

 しかもビジネスの相手となるクラブのお偉いさんは海千山千。両
開きのドアのようにオープンな心ではいられない。とにかくストレ
スがたまる。

 昨日も一人の子供が、会って欲しいヒトがいる、と云いだしてき
た。女か?と問うと黙っている。図星だ。何故俺に会わせるんだ、
と聞けば別れたいんだと言い出す。女の後始末までやらされるのか。
やれやれだ。

 会ってみれば、本当に幼い、ただ身体だけは十分発達したおバカ
ちゃん。しかし、俺の結構好みのタイプだ。弱みは握っている。自
分のものにしてしまおうかと一瞬悪い考えが浮かぶ。

 いやいや、俺は品行方正で通ってる。選手からの信頼が一番のメ
シのタネだ。ああ、でもこの下半身のうずきはどうしてくれよう。

#次のお題は「洞窟」「赤」「垂直落下」で。

283 :うはう:02/01/19 00:53
「洞窟」「赤」「垂直落下」

 人知れぬくらい洞窟が、彼等の住処だった。
 好きでこんな所にいるわけじゃない。問題は財政なのだ。

 「いやです、いやです、そんな仕事!」彼女は泣いて拒否した。
 元は裕福なパリジェンヌであり、一時は名バレリーナと騒がれた彼女が
こんな仕事をOKする筈がない。皆も、その気持ちは痛いほどわかっていた。

 「わかってほしい。この仕事か、リストラしか、みちはないんだ」
 「リストラって・・・」彼女は息を呑んだ。意識が垂直落下する衝撃だった。
 「私、こんな体じゃお嫁にもいけません!」
 赤のマフラーで涙を拭く。しかし、その両目さえも、実は高価な義眼なのだ。

 仕方なく仕事をすることになった。彼氏と一緒にモデルの仕事だ。
 モデルというと聞こえはいいが、平たく言えばサラ金のイメージモデルだ。

 幾多ものシャッター音とフラッシュに耐える様に、彼女は彼の胸に囁いた。
 「わたしプリマだったのよ、正義の味方だったのよ、信じて、お願い・・・」
 「わかってるさ、003」
 それでもポーズは崩さない。仕事に忠実な009なのであった。

 ※しまった、このネタでは30代以上にしかわからない(笑)
 次のお題は:「電信」「蒸気」「観葉植物」でお願いします。

284 :「電信」「蒸気」「観葉植物」:02/01/19 02:27
 機関夫は日に焼けた諸肌を脱いで石炭をくべる。
 ヘッドホンを着けた電信係の男は卓上の一点を見つめながらモールス信号を打つ。
 信号はすべて「進行」。特別急行に通過待ちをさせながら、貨車を一両だけつけた真っ黒な機関車の吐く煙がはるか後方に広がりながら伸びる。

 蒸気機関の発する熱が機関室からあふれて乗務員の肌を汗に濡らす。
 窓を開けても直らない上気した顔を振り向けて電信係が叫ぶ。
「列車長! 管制室からの通信です。
 軍用鉄道の通行許可が下りたことにより本列車の経路を以下のとおり変更する。
 ……」

 制服の袖をまくり上げた運転士が、手を上げて遠くの腕木式信号を指差す。
「信号、よし!」
 やがてそれはぐんぐんと大きくなって、風のように列車の脇を過ぎ去る。
 運転台の傍らに置かれた小さな鉢植えの観葉植物が、暑さにしおれたようになってうつむく。
 駅員が敬礼する小さな駅のホームがまた風のように過ぎ去る。
 列車長は今一度時計を見た。
 そして、はるかに続くレールの先を見た。


#次は「光」「こだま」「望み」でお願いします。

285 :名無し物書き@推敲中?:02/01/19 06:30
「光」「こだま」「望み」

仮に光の波長が発光時と同じならば、すべての星の光は地球に届き、
夜は星々で満ちるはずである。しかし、実際には遠ざかるものから発光
された光の波長はドップラ効果で長くなり、赤色に、ついには肉眼では
見えなくなってしまう。夜空の星々のすべては見えない、この単純な
事実は宇宙は膨張している、というビックバン理論の礎を与える。また、
宇宙空間のあらゆる方向から観測される微弱な電磁波もビックバン理論を
裏付ける。これは、宇宙起源の大爆発のこだまであり、宇宙が同時に
起こったがために全方向に均等に観測されるのである。このまま膨張を
続ければ、エントロピーは増大し、やがて臨界点を迎えるであろう、と
言われてきた。宇宙の死である。しかし、この熱的死は閉鎖系宇宙を
仮定した結論であり、エントロピーを外部に排出することのできる開放系
の宇宙ではこのような結末は避けることができる。実際、宇宙は巨大な
離散構造である開放系宇宙だという考えが一般的であり、宇宙の先行き
にはまだ望みがある、と言える。

「倉」「木」「毎」

286 :うはう:02/01/19 10:50
 とある近未来。
 環境ホルモンによる深刻な生殖能力低下を補うため、画期的なロボットが配布された。
 「生殖能力つきジゴロ・ロボット」(ああ、下品なネタ!)

 顔はジュード・ロウ。知力は人間の91倍。体力は6600倍。
 主人の細胞を体内で増殖させて使う。もちろんラジカセも標準装備!
 これでは、とてもかなわない。人間の男は「倉庫ゆき」である。

 「貴方の子よ・・・」すまなさそうに呟く身重の妻に、夫は微笑む。
 彼は出かける。精一杯の体面を維持しながら。
 「仕事に行ってくる。ロボットの相手を頼むよ」

 毎月「1」の日。廃墟で「ロボット破壊ショー」が催される。
 廃棄ロボットが派手に破壊される。群集は喝采を送った。

 団長を務めるのは彼だった。朝の優しい表情など、もう、かけらもなかった。
 彼は破壊する。ロボットを。ジゴロ・ロボットは、特に念入りに。
 「さあ、このロボット! 精巧に美男子を真似た顔で、人を騙す。
  一体どれだけ人間を愚弄すればいいのか!?私は、人間の尊厳を守るため」

 ・・・うそつき。

 ※今度は新しい映画のパクリ・・・スピルバーグ監督、スマソ。
 次のお題は:「神」「人間」「ロボット」でお願いします。

287 :うはう:02/01/19 10:54
・・・あ、「木」がぬけてます。ごめんなさい。
「「1」の日」を「木曜日」に差し替えてください。
月1回以上増えて、ロボットには災難かもしれません(笑)

288 :名無し物書き@推敲中?:02/01/19 15:45
神は人間を創った。
人はロボットを造った。
ロボットはやがて人を支配した。
そして神は死んだ。

次は「網」「金券」「モロッコ」で。

289 :名無し物書き@推敲中?:02/01/19 16:02
うららかな日差しが降り注ぐ五月の夕暮れのことだった。
わたしは営業の外回りに疲れ、ふと目にとまった金券ショップに、
ふらふらと吸い込まれるように入っていった。
何かを購入するという明確な目的があったわけではない。ただ、なんとなく。
ショーケースの中には、さまざまな種類のチケットが並んでいた。
わたしは意味もなくそれらを眺めていった。
すると、一枚のチケットが目に止まった。それは映画の割引優待券だった。
『モロッコの熱い夜』
それは嘗ての恋人とふたりで初めて観に行った映画だった。
その恋人はもうこの世にはいない。
去年の夏、北海道で行われた地引網体験ツアーに参加した折、
不慮の事故で永久に帰らぬ人となってしまったのだ。
わたしは不意に彼女のことを思い出し、涙が溢れそうになるのを堪えて、
店を出た。

街は夕暮れに包まれていた。真っ赤に燃える夕日が静静と沈んでいく西の空は、
映画で見たモロッコの夕焼けにそっくりだった。

次のお題は、「天使」「病院」「修行」でお願いします。

290 :名無し物書き@推敲中?:02/01/19 16:22
「すみません。署名お願いします」
 仕事を終え家路を急いでいた私は突然そう声をかけられた。最寄り駅駅前のエントランスは、
私と同じ帰宅途中の人が大勢いた。好青年と言ってもいいほどに清潔な若者が渡すペンを受け
取りながら、彼が持つ紙面に眼をやる。
『看護師という名称に断固反対!』
 私は絶句して、その青年の顔をまじまじと見つめてしまった。それを彼は、何か勘違いした
らしく、
「看護婦は看護婦です。看護婦は看護婦だから看護婦なのです。白衣の天使、いや昨今は白色
だけでなくピンク色のナース服もありますが、だからといって、こういう言葉狩りを許しては
いけないと思うんです。看護婦はいわば病院という聖域で修行に励む神官なのです」
「あの……」
 私は彼の熱弁を遮るように口を挟む。
「あなた、もしかしたら巫女の処女性について信じてます?」
「はい!」
 若者は明朗に肯定した。私はその清々しいまでに澄み切った青年の純情に打たれ署名をした。
「ありがとうございました」
 言って青年が渡してくれたチラシには、某有名ギャルゲーメーカのブランド名が印刷されて
いた。


次は「禁止」「工作員」「取捨選択」

291 :名無し物書き@推敲中?:02/01/19 22:35
非常ベルがけたたましく鳴り出した。
「くそっ」
CIA秘密工作員であるミック・ランディは短く舌打ちした。
南米コロンビアにある麻薬カルテルのボス、イワン・カルロスが所有する、東京のオフィスに、
ミックは単独で潜入していた。
潜入捜査の目的は、近く行われるニューヨークの組織との大きな取引に関する情報収集。
最近、組織は各国政府の目を背けるために、しばしば第三国で取引を行う。
その情報を得て、極東支部が動いているのだった。
そして、正確な日時と場所を特定したら、その情報を持って一度支部に戻る。
それが今回のミッションだった。
決して交戦してはならない、と上官から厳命されていた。
「どうすればいいんだ」
ミックは、鳴り響くサイレンと組織の者達の入り乱れる足音を聞きながら、考えた。
戦うか、逃げるか。取捨選択に迫られる。
そうしているうちにも、足音が近づいてくる。
工作員には、たくさんの禁止事項がある。そのひとつに、同盟国での諜報活動の禁止がある。
ここは日本だ。銃撃戦になっても、決して表沙汰にはできない。
「よし、いちかばちか、あの窓から脱出しよう」
オフィスはビルの七階にある。素直に飛び降りれば、間違いなく死ぬだろう。
しかし幸い、このビルの下には、向かいに建つホテルのプールが三階部分に設えられている。
うまくそこへ落下できれば…。
ミックは意を決して、窓に向かって走った。

次は「ルーズソックス」「豪華客船」「文庫本」

292 :ルーズソックス・豪華客船・文庫本:02/01/19 23:48
「全く、最近の若い者はなってない」
聞くところによると、この言葉は古代ギリシャの先人たちも口にしていたとか。
今も昔も「若い者」は年を重ねた者にとっては不可解なものなのかもしれないが
最近とみにそう思うようになった。
「そこの女子高生!電車の中でルーズソックスに履きかえるな!」
「スーツを着こんだいい大人が、公の場で漫画なんか読むんじゃない!
小説の文庫本でも読んだらどうなんだ!子供じゃあるまいし・・・」
「車内で携帯電話で話すんじゃない!誰もオマエの話なんか聞きたくないんだ!」
ひとしきり文句を言ってみる。ただし心の中で。
下手に注意なんかしようものなら、なにをされるかわかったものじゃない。
これでも年に一回は豪華客船でクルーズを楽しむ身分だ。いざこざは避けるに限る。
それに今日は真知子を抱く日だ。さて、今日は何を買ってやろうか?

293 :292:02/01/19 23:51
済みません。次のお題は「吸血鬼」「夢想」「衆目」でお願いします。

294 :名無し物書き@推敲中?:02/01/20 01:03

「吸血鬼」「夢想」「衆目」

 吸血鬼というのは、魔女と同じで、敵国の誹謗や政敵を追い落と
すための一種の政治的クリシェだった。

 それは、民間の精霊信仰と結びつき、より一般的なものとなって
いった。民衆の間に広く根深く浸透し、衆目を集めて行われる、む
ごたらしいリンチの理由付けに利用された。

 それが、美しい闇のイメージを持って語られるのは、ブラム・ス
トーカーを初めとする吸血鬼文学や後の映像のおかげだが、その夢
想に力を与えたのは、倫理を越えた圧倒的な力にどうしようもなく
引きつけられる、人間心理の深淵であるに違いない。

#「サメ」「亀」「愛の力」

295 :「サメ」「亀」「愛の力」:02/01/20 02:10
 もうこっちへ来てから2ヶ月が経とうとしている。ようやく、というより、もうすっかり
こっちの生活に馴染み、溶け込んでしまっている。やっぱり南洋は素晴らしいよ、うん。
 で、キャシー、これから僕が書くことに驚かないでほしい。信じられないかもしれないが、
何しろ本当にあったことなんだから。あれは、実に不思議な体験だった。
 先週の満月の日。その夜は、どういうわけか寝付けないので、浜辺まで散歩に出かけたんだ。
そしたら、遠くの波打ち際に沢山の松明が燃えているのが見えた。ちょっと怖かったけど、
どうしても気になったので近づいてみた(君も知っての通り、僕は足の速さには自信があった
からね)。で、近づくと、そこにいたのは村の若者達だった。集まって何やら地面を掘っている。
何かと思ってみてみれば、どうやら亀の卵のようだった。
 僕は、体の中から激しい怒りと、正義感みたいなものが沸々と湧き上がってくるのが分かった
(いくら勉強が嫌いだからって、僕だってハイスクールの授業でやった、海亀の絶滅危惧のこと
くらいは知っていたさ)。
相手は7,8人はいたと思う。こっちは一人。しかし、僕は恐れなかった。例えこの身が危険にさ
らされようとも、地球の平和のためには闘わなければならない。それが誇りある☆★☆国市民の使
命であると思っていたからね(ねぇ、ちょっとは誉めてやってよ、そん時の僕は、まるでバットマ
ンかシュワルツネッガーのような心境だったんだから)。
 で、持っていた銃を奴等めがけて乱射したやったんだ。奴等、慌てて海に飛び込んでいったよ。
アハハハ。冷血なる野蛮人どもめ、サメにでも食われろだ!!
 で、そこでだよ。そこで奇跡は起こったんだ。僕が銃を撃ち終え、敵を掃討した後、なんと、卵が割れ、
子亀が次々に海に飛び出していくではないか!!亀たちは僕を感謝と愛情を表した目で見つめながら、
次々に海に入っていった。
 おお、なんと素晴らしい愛の力よ。僕は感動のあまり、その場で時間の経つのも忘れ、亀たちの最後の
一匹まで見送ったんだ。
 どうだい、キャシー、いい話だろ?楽しんでくれたかい?もう眠いから今日はここまで。じゃ、また。


296 :名無し物書き@推敲中? :02/01/20 02:13
ちと長くなってしまった。すまん。
次は「わさび」「朝日」「毎日」で。

297 :名無し物書き@推敲中?:02/01/20 02:28
リュック・ベッソ監督、ジャン・レノ、広末涼子出演 映画WASABI(わさび)記者会見にて

「では、質問はございませんか?」
「毎日新聞ですが、広末さん、ジャン・レノさんの印象は?」
「とっても、やさしくて、素敵な方です」
「他に質問はございませんか?」
「朝日新聞ですが、広末さん、小泉首相の靖国神社参拝問題についてですが、、」

「、、、、、逝ってよし」


次のお題はリュック・ベッソ監督がらみで「ブルー」「タクシー」「エレメント」

298 :名無し物書き@推敲中?:02/01/20 02:49
オレは自動車修理工場で働いている整備士だ。
社長は厳しい人だが、オレを可愛がってくれている。
好きな車を毎日いじれるし、これといって不満はない。

電話が鳴った。
事務所のソファで休憩していたオレは、机の上の受話器を取った。
「もしもし」
「もうすぐウチの車が行くから、オイル交換頼むわ」
電話の相手は、得意先の一軒である、亜細亜交通の車両担当者だった。
「わかりました」
オレは、電話を切った。
数分後、工場内に、赤いタクシーが滑り込んできた。
ドアのところにブルーの字で「亜細亜交通」と書いてある。
オレが事務所を出て行くと、車を止めた運転手がドアを開けて降りてきた。
「電話あった?」
「はい、ありましたよ」
「そっかー、じゃあ頼むわ。俺、ちょっとコーヒー飲んでくるから」
「わかりました」
そうオレは言って、タクシーに乗り込んだ。その時、歩きかけていた運転手が振り向いた。
「ついでにエレメントも換えといてくれる?」
「わかりました」
オレはタクシーのドアを閉め、車を工場に入れた。

次は「馬」「プラットホーム」「スピーカー」で。

299 :「馬」「プラットホーム」「スピーカー」:02/01/20 03:33
 俺はウェイトリフティングで天下を取る、そう言って実家を飛び出してから、今
日でちょうど12年。干支も一回りして、あれから4回目のオリンピックだ。
 1回目はテレビで見ただけ。2回目は国内予選の下の方でサヨナラ。
 今のコーチにめぐり合ったのは、その後だったな。俺が昼間っから酒を飲んで駅
のホームから落っこちたときに、すごい力で引っ張り上げてくれたのがあの人だっ
たんだ。
 それからはもうコーチの言うことは何でもしたさ。あの人はアメリカ育ちで英語
しか喋れない人だから、俺も必死で英語の勉強をしたよ。ただコーチの言うことを
聞きたい、それだけのためにさ。
 前回のオリンピックでは日本代表になれるかとも言われたけど、結局なれなかっ
た。まああの時の俺じゃあ、もし出ていても世界じゃ通用しなかったろうけどな。
 それで今回だ。
 俺は世界選手権も取って、雑誌やなんかも金メダル候補筆頭って言われてる。
 自分で言うのはおかしいかもしれないが、俺もそう思うよ。
 ただ、一人だけちょっとやばいのがいる。いまプラットホームに上がってるあい
つだよ。あいつだけは注意しないといけない。あんな間の抜けた長い面をしていて、
すごい馬力を持ってるんだ。

 おっと、スピーカーが呼んでるよ。
 まあ待ってな。勝って帰ってくるぜ。



#「わさび他」で書いたら時代は馬になっていてがっかり。

300 :299:02/01/20 03:35
しまった。お題は「壁」「てんぷら」「ビニール」でお願いします。

301 :名無し物書き@推敲中?:02/01/20 04:19
うまいてんぷらを食っていたら、腹がへってきた。
いかんな、とつぶやきながら一気に平らげた。
ますます腹が減ってきた。しかし胃は満腹だ。
どうやら壁にぶちあたったらしい。
このままでは食欲に追いつかれる。
食欲に追いぬかれると、どうなるか。
永遠に、食欲は、満たされない。
口の奥から、ビニール袋を引っ張った。
胃の中のものが全て取り出された。
おれは袋を捨てると、急いで追加注文を頼んだ。
空腹に殺されないように。

次は「線香」「望遠鏡」「麦畑」でお願いします。

302 :名無し物書き@推敲中?:02/01/20 12:42
海に面するなだらかな斜面に墓石がたくさん並んでいて、
真上から降り注ぐ夏の日光が短くて濃い影をくっきりと地面に落としている。
その墓地に足を踏み入れた途端、どこからともなく甘い線香の香りが風に乗って漂ってきて、
ぼくは軽い眩暈を覚えた。
アイツがバイクの事故で死んだのは、三ヶ月前の満月の夜のことだった。
深夜、ガードレールに激突して、アイツはあっけなく逝ってしまった。
いい奴だった。
あの夜ぼくは、家のベランダにお気に入りの天体望遠鏡を出して、満月を鑑賞していた。
まさかアイツがバイクで事故を落としたなんて考えもせず、月の美しさにみとれていた。
アイツが死んだと知らされたのは、翌日の朝だった。

死んだ時、アイツのポケットには「ライ麦畑でつかまえて」のペーパーバッグが入っていたという。

次は「スパイラル」「サランラップ」「木魚」

303 :名無し物書き@推敲中?:02/01/20 12:56
「俺は魚屋になる」

そう思って、族を辞めて、半年、遂に俺の店がオープンする、今日は俺の舎弟達も
手伝いにきている。

「アニキ、このトレイに魚いれたんですけど、どうすりゃイイすか?」
「おう、サランラップで巻いておいてくれ!」
「アニキ、このサンマの値段は幾らにしておきます?」
「そうだな、開店記念だ、100円にしておけ!」
「あ、アニキ、それじゃあ原価割れっすよ、せめて、200円に、、、」
「バカヤロー!、今はデブ・スパイラスってやつよ、それぐらいの値段をつけねえと
客はこねえんだよ!」
「あ、アニキ、それを言うならデフレ・スパイラル、、、」
ポカッ!
「バカヤロー、細かい事気にするな、よし、俺の手書きのかっこいい看板をかけろ、
【鮮魚、金太郎】、オープンだ!」

【木魚 魚 金 太 郎】

「兄貴〜、字が違うッスYo〜!」


次のお題は、、「秋刀魚」「ロシアンルーレット」「仏像」

304 :名無し物書き@推敲中?:02/01/20 15:51
「秋刀魚が食いてえなあ」
こんな危機的状況で、と笑われそうだが、オレはふとそんなことを思った。
連中のアジトである倉庫に引きずり込まれたオレは今、五人のマフィアに取り囲まれている。
椅子に体を縛り付けられ、そこだけ自由になっている右手には拳銃が握らされている。
「ほら、どうした?早くコメカミに銃口を当てて引き金を引けよ」
連中の一人が言った。奴らは全員拳銃をオレに向けてニヤニヤと笑っている。
もしもオレが今握っている拳銃を奴らに向けたら、一斉に蜂の巣にするつもりなのだ。
「なあ、楽しいだろ。ロシアンルーレットだぜ。弾倉に弾は一発しか入っていねえんだ。
さあ、早く撃ってみろよ。おまえだって、一応は男だろ?」
笑い声が響き渡る。オレは覚悟を決めて目を閉じ、引き金に指をかけた。
その時、いきなり倉庫の扉が開き、「そこまでよ」という声がして、眩しい光が差し込んだ。
逆光の中、マシンガンを手に立つシルエットが浮かび上がる。
相棒のエレーナだった。優雅に波打つ金髪の輪郭が、後光が差すように輝いている。
それはまるで観世音菩薩の仏像に似た、美しく力強いシルエットだった。
彼女の背後には、ずらりと警官隊がひかえている。
「ケン!もう大丈夫よ」
エレーナの声が甲高く反響する。
オレは気が抜けたように、拳銃を持った右手をだらりと下ろした。


次のお題は「人工衛星」「ざるそば」「システム手帳」で。

305 :名無し物書き@推敲中?:02/01/20 17:18
「人工衛星って知ってるか?」
口からざるそばを豪快に垂らしながら、隣に座っている男が話しかけてきた。
「いや、……なんだそれは?」
俺がそう答えると、男はずるずると蕎麦を啜り、ろくに噛みもしないで飲み込んだ。
確かに蕎麦は噛むもんじゃないと言われるが、さすがに体に悪いんじゃねぇかと思わせる。
「ああ、そうか。しらねぇかぁ……」
悲しそうに呟くと、男は再び蕎麦に箸を伸ばした。椀に溜まっている汁に漬け、一気に口に放り込んだ。
「ふぁのな、俺のふぃいふぁんの頃の話なんだけふぉよ。っく、昔は空高く打ち上げた機械で天気なんかを
調べてたんだとさ。んで、それが人工衛星って言うらしい。お前さん、こんなこと信じられるか?」
「嘘だろ? 天気もクソも、この空じゃあ関係ないだろ」
俺は闇の広がる空に目をやり、答えた。

百年ほど前の戦争で、すでに地球に空はない。漠々とした黒が埋め尽くし、
陽光の一欠片すら地上には届かない。この事実を知っているのはよほど勉強した歴史学者か、軍関係者ぐらいだ。
無論ここにいる二人はそのような人種ではないため、かつての地球を知りはしない。

「ああ、俺もそう思う。やっぱ歳だからボケてんのかな……」
眉間に皺を寄せて、男は再び蕎麦を食い始めた。俺はもう食い終わっているので勘定を済ませると席を立った。
「それじゃあ、おさきに」
名も知らぬ男にそう言いつつ、俺は懐からシステム手帳を取り出した。今日の予定は、と。
ああ、あの会社に行って部下の不始末を謝罪すんのか。だるいな、ったく。
俺は上手くもない口笛を吹くと、そのまま雑踏の中へと身を投じた。

昔がどうだろうと、今は今なのだ。飯を食うには仕事をしなければ、だ。

次のお題は「神無月」「柿」「紅葉」

306 :名無し物書き@推敲中?:02/01/20 19:18
久しぶりの広島だった。土産店でばら売りの紅葉まんじゅうを買い、
ホテルに入る。正式な土産は帰りにでも買えばいい。荷物を置いて
着替え、冷蔵庫の上に置かれた急須とポットでお茶を入れて、先程の
まんじゅうを開ける。
ひとごこちをつけて、鞄を空け、するめや柿のたねといったつまみ
を取り出した。こういったホテルでは客の持ち込みは嫌われるが、
つまみぐらいならいいだろう。壁に張られた料金表に顔をしかめ
ながら、冷蔵庫からビールを取り出す。酒も買って来ればよかった。
デスカウントショップの3倍近い値段だ。
ジュース200円、ウィスキー(小)1500円、法外な値段表から目を背け、
隣に張られたポスタサイズのカレンダーに目を向ける。一年分の日付
と広島の四季が掲載されている大型のものだ。「10月(神無月)」と書
かれた欄から今日の日付、10月8日を確認すると、さて、赤くなって
いる。何の日だったか、と考えて思い当たった。ハッピーマンデーだ。
よくみれば下に小さく体育の日、と書いてあった。
他にどんな休日が変わったのか、とカレンダに目を走らせる。休日では
ないが、広島らしく8月6日には原爆記念日、と書かれていた。上には
「8月(葉月)」。神が無いのは10月じゃなかったのか、心中でつぶやいた。


「割引」「細胞」「後学」

307 :「割引」「細胞」「後学」:02/01/20 19:50
「銃殺隊、前へ」
いわれの無い罪状で拘束された私は、弁護士も居ない軍事法廷で
有罪を言い渡された。罪状は騒乱予備罪、よって死刑である。
「銃、構え」
兵達が、無機質な音を立て小銃を標的に向けた。
「最後に、言っておきたい事は或るか」
執行指揮官が私の耳元へ語りかける。
「後学の為に教えて欲しい。事後、私の死体はどうなるのかな」
後学? 私は、どうかしてしまったらしい。それを知ったところで
何に役立てられるというのか……
それでも、私は自分という生き物が居た証明の行く末を知りたかった。
「では、教えてやろう。貴様の細胞群はジャパネットタカタへ割引販売
され、一級市民達の疾病克服の為に再利用されるのだ」
再利用? 一級市民? 奴等の肥しになるなんぞ糞喰らえだ。
「他に言う事は無いか」
逃れがたい絶望と少しばかりの高揚が私を包み見えざる空へ言葉を吐いた。
「ニチャンマンセー、ヒロユキハカミ」
俺は、何を言ってるんだろう?
「狙え、……撃て」
焼けるような感覚と消え逝く意識の中で『逝って良し<俺』と呟くが
言葉には為らなかった。

--------------------------------------------
#ごめん、長すぎたかも知れない。
次は、「サウンド」「弟」「クリスマスイヴ」で


308 :名無し物書き@推敲中?:02/01/20 22:20

「サウンド」「弟」「クリスマスイヴ」

 サウンドトラックが上がってこない。

 クリスマスイブの封切りなのだから、もう上がってこないとにっち
もさっちもいかなくなる。自主映画だからといって学生の弟に仕事を
任せるのは、やっぱり無謀だったか? ぎりぎりの期限で上げられて
はダメ出し修正もできない。

 ということで今弟の部屋の前にいる。呼び鈴を押しても反応なし。
合い鍵でドアを開け、部屋にはいると案の定爆睡中だ。叩き起こして
やろうと思ったが、机の上のMDが眼にはいる。間違いない。この仕
事のものだ。待ちきれず、それをステレオにかける。

 とても懐かしい、懐かしい響きだ。ハーモニカのパートが実にいい。
どうやらコレは使えそうだ。いつの間にかこいつも成長していたんだ
な。俺のバンドの曲書かしたときはとても使えたもんじゃなかったの
に。よだれを垂らしている寝顔をひたひたと叩く。

 ついさっきと正反対のことを考えている現金な自分に、少し苦笑い
する。

#次のお題は「女」「包容力」「戦国時代」で。


309 :うはう:02/01/21 00:21
「女」「包容力」「戦国時代」

 「大河ドラマ・利家とまつ」を見終わって、彼は呟いた。
 「おかしい、いくら戦国時代とはいえ、こんな包容力のある男ばかりなわけない」

 「またか」という表情で、彼女は食事の後片付けを始める。
 それでも彼は止まらない。
 気に入ってた「北条時宗」が終わった反動もあった。

 「大体だ、今の政治家なんて、嫁さんに頭が上がらない包容力以前の人ばかり
  じゃないかぁ。どうして戦国時代だけが特別なんだ、集団的DNA変異なのか
  これはきっと・・・」

 論理は一気に飛躍した。
 「一種のプロバガンダに違いない。包容力が標準値以下の50%の男の立場はどーなる(涙)」

 苦笑しながらお茶を入れる彼女。

 トイレから小さな声で携帯電話

 「エレーン、ばれそうよ。処置をお願い」
 
 ※関係ないけど・・・今回の大河ドラマ。「はずれ」では(笑)
 次のお題は:「謎の」「保健室」「大宇宙」でお願いしまふ。

310 :名無し物書き@推敲中?:02/01/21 00:29
「女」「包容力」「戦国時代」

だって、僕ちん、何にも出来ないんだもの。
女の人といっしょに住んで、ご飯食べさせてもらって、
たまには同じベッドでご奉仕して眠ったり、ね。
そういうことくらいしかできないの。
僕ちんがいるだけで、とっても和むっていう人、たくさんいるよ。
僕ちんは、そこにいるだけで、衣食住には困らないの。
包容力のある女の人って、好き。
もし僕ちんが戦国時代の武将だったら、どうなってたかなあ。
武将にはなってないかなあ。小姓、…小姓さんかもしれないな。
あ、マサミちゃんの車の音だ。
おかえりのチューしないと、マサミちゃん怒っちゃうんだよねー。
元女子プロレスラーのお笑い芸人似で、あんまり触りたくないんだけどねー。

「マサミちゃーーーん、おかえりいぃぃぃー」


次回「カレールー」「ティーバック(←パンツじゃないよ)」「豆電球」
お願いします

311 :310:02/01/21 00:30
ああああ、カブッた!

次回は「謎の」「保健室」「大宇宙」です。
6語使ってもいいよ…



312 :名無し物書き@推敲中?:02/01/21 00:35
「おい、加藤。君の今月の営業成績、これはなんだ?」
銀縁眼鏡がイヤらしい課長代理に呼ばれた加藤は、いきなりそう叱責された。
(うっせいヤローだな、まったく)
加藤はそんなことを考えながら、しかし表面的には深刻そうな顔を取り繕っていた。
(こいつは口を開けば成績、成績って。言うだけだったら鸚鵡でも言えるぞバカ)
確かに加藤の営業成績は、決して誉められるようなものではなかった。
しかし加藤は、昼間の仕事は生活のためと割り切っているので、
課長代理の言うことなど、ほとんど意に介してはいないのだった。
加藤は、美大出の、画家の卵だった。アルバイトでイラストの仕事もしている。
いずれはそちらの方面で生計を立てたいと思っていた。
「今の時代はな、食うか食われるか、ビジネスの世界も戦国時代なんだよ。
君には、危機感が足りないようだな」
(おいおい、今度は二流企業の課長代理が、危機感かよ。全く、おまえは村上龍かってーの)
「僕なりに頑張っているつもりなのですが…」
加藤は答えながら、昨夜の女のセリフを思い出していた。
『ねえ、夢を追いかけるのもいいけど、今、お仕事辞めちゃったら、
私達どうなるの? 食べていけるの? 私、あなたのこと大好きだけど、
男の包容力って、どんなに奇麗事を並べても、やっぱり経済力だと思う。
別にお金持ちじゃなくても全然構わないけど、生活に不安があるのはイヤ』
加藤が、仕事を辞めようと思っている、と切り出したとき、女はそう言った。
確かに女の言う通りだった。イラストの仕事は、ボツを食らったら、金は入ってこない。
今の営業の仕事なら、とりあえず成績が悪くても、毎月二十日には給料が振り込まれる。
しかし、金だけが、本当に男の包容力なのか?
「とにかく、来月こそ、もっと頑張ってくれよ」
課長代理が言った。加藤は、はい、と答え、自分の席に戻った。
そして椅子を引いて座る直前、誰にも見えないように、机の下のゴミ箱を小さく蹴っ飛ばした。

次は「カヌー」「スリッパ」「野球場」でお願いします。


313 :名無し物書き@推敲中?:02/01/21 00:41
うわわわ。ダブルでカブッてしまった。
次は「謎の」「保健室」「大宇宙」です。

何なら、
310さんの「カレールー」「ティーバック(←パンツじゃないよ)」「豆電球」
と、自分のお題を加えて、九語使ってもいいですが。
ってか、九お題縛りが読んでみたいような…。


314 :9題 :02/01/21 01:46
「はい、紅茶」先生はいつものように一つのティーバックで僕と先生、二人分のダージリンティーを入れた。
今日のカレーも格別に上手かった。
市販のカレールーを使わない、彼女特製のカレーだ。
もうこれを食べる事はないだろう。先生はレシピを教えてくれるだろうか。

保健室で始めてあった瞬間から僕等は恋に落ちた。教師と生徒の関係を凌駕する、激しい情熱が二人を襲った。
僕は先生に大宇宙をも覆ってしまうくらいの恋心を抱いた。先生も同じだった。
 
誰もいない野球場でのランチ、カヌーをやる為に行った信州のキャンプ場、そして、初めての夜・・・。
背徳感を感じながら僕らは何度も逢瀬を繰り返した。
ありきたりの道徳観念より、もっと尊大な思いを共有していたから。

けれども、今、僕等の関係は消えかjけの豆電球のように微かな点滅をしている。
謎の密告文で僕等の間柄は公の前に晒され、別れざるをえなくなったのだ。

「じゃ、行くね」僕は専用のスリッパを脱ぎ、ワークブーツを履く。
「うん、じゃ、またね」先生はいつものように「またね」と言った。これが最後だと信じたくないのだろう。
僕は先生の顔を凝視して、深く鮮明に彼女の顔を脳裡に焼き付けた。
そして、最後の柔らかなキッスをした。仄かに紅茶の香りがした。

#次は「深夜」「光合成」「マクロ」でお願い。

315 :「謎の」「保健室」「大宇宙」:02/01/21 01:54
「頭が痛い!保健室へ連れてってくれ。」
ハゲた薄汚いオヤジはそう言って走り高跳びの授業中僕の学校のグラウンドへ入ってきた。
担任が迷惑なので構内から出て言ってくださいと困った顔で言うが男は
「ウーウーアーアー」と言ってその場に頭を抱えて倒れ込んだだけ。
困りかねた担任は僕たちをほったらかしにして援助を求めて職員室へ向かったみたいだ。
こんなキチガイを前に生徒だけを残しておくのは的確な判断とは言えないだろう。
もし襲われたらどう責任をとってくれるんだ、とグチっている矢先クラスのR子が着ていたTシャツを無理矢理剥がされた。
「この中にぃー大宇宙がーーーーーー」
結局被害はR子が乳首を晒しただけに留まり僕の学校の話題を独り占めした謎の男は保健室のようなところに収容されているらしい。

次のお題は「液晶テレビ」「腹筋」「鳩時計」

316 :九題ッス:02/01/21 02:10
カヌーに乗った謎の親父が橋の下の川を流れている。祥一は自分の目を疑った。
この川はカレールーによる汚染が烈しく誰も近寄らない。この橋など年間通行量が二百人未満なのだ。
祥一はその男が気になり、橋を急いで渡り土手に降りた。鼻を突く独特の臭いより、好奇心が勝った。
「おじさん、どうしてそんなことしてるんですかー!」
「ああ? これが格好いいか坊主ー? んなら俺のハイセンスな船近くで見せてやっから、ちょっと待ってろ」
親父は応え、岸に船を寄せ始めた。こうしてみると奇抜な船であった。船首に豆電球を幾つも取り付け、
船腹には無数のスリッパを結びつけてある。まともなセンスじゃないことは分かった。
「よぉ。この船の価値を認めるとは、やるなぁ坊主。まあ近づきの印に、これでも飲めや」
親父はどこから出したのか、ポットの湯をカップに注ぎティーパックの紅茶を差し出した。
「え、飲むの?」と祥一が受け取るのをためらっていると、がははと笑って親父はこう言った。
「毒なんざ入ってねぇよ。もしおめぇが倒れても、ちゃんと学校の保健室に連れて行ってやるさ」
言ってる意味が分からず、祥一は目をきょとんとさせて親父を見つめた。親父が眉を顰めて笑う。
「今のは一流のジョークさ。ほれ、笑え。……まあそれは良いとして。なあ、野球場ってこの川下れば良いんだよな?」
「え? ああ、うん」
そう答えると、親父は「うんうん。間違っちゃいねぇな」と嬉しそうな顔をした。
確かにこの川を下れば川下球場があるが、別に交通手段はいくらでもある。祥一は何故かと親父に尋ねた。
「ああ、何で川を下ってるかって? んじゃあ、お前さんはこの大宇宙の出来た由来を知ってるかい?」
「ううん。でもさ、そんなこと誰にも分からな……」
「そうさ、分からない。……俺もさ。どうして川を下ってるのかわからねぇんだよ。ま、強いて言えば何となく、だな」
なんかすごいことを聞いたような聞いていないような。祥一は呆然とした。
「おっと、いけねぇや。それじゃあな坊主。遅れっちまうから俺はもう行くわ」
親父は紅茶をぐいっと飲み干すと、オールを手にして船をこぎ始めた。流れに乗り、
どんどん遠ざかっていく。その背中はどこか男らしかった。
祥一も家に帰ることにした。とりあえず、日記に書いておこうと思った。

くっ……長すぎたか……。しかも遅い。まあいいや一応投稿。
お題は継続で。



317 :6題:02/01/21 02:12
深夜3時、、俺の部屋の鳩時計からそろそろ鳩が出てくるころだ、、

何時の頃からだろう、俺の生活は昼と夜が逆転してしまった、、、
退屈しのぎに机の上の液晶テレビをつけてみる、
「あなたの腹筋はたるんでませんか?、そんなあなたにアブドーラ・ブッチャー」
くだらん、通販番組だ、、俺はテレビを消した。

部屋に置いてある観葉植物には一日中、光があたっている
昼は太陽の光、、、夜は蛍光灯の光、光合成が進んだせいか、高さが3mになって
しまった、育ち過ぎはよくない、俺はそう思って、部屋の電気を消す事にした、、

部屋は、マ・クロになった、、、、、、

俺は、お題を考えることにした、
「サブマリン」「ガンダーラ」「電気ポット」

318 :名無し物書き@推敲中?:02/01/21 21:35
飛行機がホノルル空港に着陸した時、僕と彼女は完全に睡眠不足だった。
何せ日本時間ではまだ午前三時過ぎなのだ。なのに、窓の外には南国の眩い日差しが降り注いでいる。
テロのせいで閑散とするイミグレーションを抜け、個人客用の出口から外に出る。
僕達はタクシーに乗ってワイキキへ向かった。
ホテルに着き、一泊分余計にリザーブしてあるので、すぐにチェックインした。
チャージが安いので部屋には期待できない。
しかし、通された部屋は、まあまあだった。景色こそ海は見えなかったが、広さは充分だった。
ただひとつだけ気にいらなかったのは、冷蔵庫はあったが、電気ポットがない、ということだった。
これではインタスントコーヒーすら飲めない。
でも、まあそんなことはたいした問題じゃない。どうせ明日にはここをチェックアウトして、
カハラに住むおじさんの別荘へ移るのだ。
先にシャワーを終えた彼女が、体にバスタオルを巻きつけたまま、早速ガイドブックを開いている。
「ねえ、おばさんのお家に落ち着いたら、明後日にも、このサブマリン・ツアーというやつに参加してみない?」
「ああ、いいよ」
眠くてたまらない僕は適当に返事をして、シャワーも浴びずにベッドに横になる。
「何? 寝るの?」
「ああ、ちょっとだけ。体力を温存しておかないと、今夜はおじさんに誘われてるんだから」
「ディナーでしょ? そんなのご飯食べるだけじゃない」
「それは甘いよ。まず間違いなくご飯の後、カラオケに連れて行かれるんだ。
そして酒を飲まされ、歌を歌わされる」
「歌えばいいじゃん。どうせまた、ガンダーラとかモンキーマジックとか、
リアルタイムでは知らないくせに、ゴダイゴとかいうグループの歌ばかり歌うんでしょ?」
「ああ、そうだよ」僕は面倒くさそうにこたえる。「そしておじさんはひたすら石原裕次郎を歌う」
僕は重くて堪らない瞼を閉じた。静かに睡魔が忍び寄ってくる。
部屋は空調が効いていて涼しい。
彼女がラナイに通じるガラス戸を開いた。心地よい乾いた風が部屋に吹き込む。
僕はその風の香りを嗅ぎながら、すうー、と眠りに引き込まれていった。


次は「天守閣」「アシカ」「引きこもり」で。


319 :名無し物書き@推敲中?:02/01/21 21:38

「サブマリン」「ガンダーラ」「電気ポット」

 普段は無口なオヤジだが、この時間だけは人が変わる。

 「オイコラ、山田を出さんかい!山田を!」
 確かに「サブマリン」コールが球場にも響いていた。
 「あー、もう。遊んどる場合ちゃうやろ!カーブやカーブ!」
 俺は上を見上げて時間を確認する。9時を40分も回っている。
 
 何故、こう「スポンサー」という奴はお節介なのだろう。なにも
試合終了まで放送を続けさせなくても、お天道様は怒るまい。こっ
ちだって見たいドラマがあるんだ。それにうちの親父は怒ると怖い
んだ。それも人一倍陰湿でな。

 50分。
 「残念ですがココで一部の地域の皆様とは……」
 テレビに向かって、理不尽な罵倒を繰り返すオヤジを無視して、テ
レビのチャンネルに俺はかじりつく。カチャ。電気ポットのCMなん
てどうでもいい。カチャカチャ。

 「ガンダ〜ラ ガンダ〜ラ ゼイ・セイ……」

 俺は白く燃え尽きる。最近2回に1回はこのパターンだぞ。
 凹む俺をシカトして、オヤジはまだ吠えている。 
 
#わかるヒトだけわかればいい。そんな心境。
#次のお題は「ヘタクソ」「トイレ」「熱い夜」。

320 :319:02/01/21 21:39
かぶりスマソ。

お題は>>318の「天守閣」「アシカ」「引きこもり」で。

321 :うはう:02/01/21 22:15
「ヘタクソ」「トイレ」「熱い夜」「天守閣」「アシカ」「引きこもり」

 三重県の、とあるうらぶれた動物園に「アシカさんショー」がある。
 しかし、何百人に一人くらいの子が、もう一つの小さなプールに気がつく。
 小さな薄汚れたプールに、アシカが1〜2匹。

 「ママ、あのアシカさんたちは?」
 母は知らない、あれは「引きこもりのアシカ」であることを。
 ノンビリ屋で芸に疎く、「ヘタクソ」と罵られ、隔離され、芸達者な仲間とは違う
浅いプールで、熱い夜を過ごすのだ。
 そのプールの近くには、ペンキの剥げかけたトイレと、管制塔の様な塔がある。
 アシカたちには、きっと支配者の住む天守閣に見えることだろう。

 細い通路を隔てた、目と鼻の先で彼等は見るのだ。
 ちゃーんと芸ができる仲間たちが、綺麗なプールで芸をして餌をもらうのを。
 「芸の仕込み」に文句があるわけじゃない。
 これを見た子供が、運悪く「学校の仕組み」に気付いてしまうのが、私はコワイ。

 ※本編はフィクションであり、この動物園及びアシカは架空のもの・・・かな^^;
 次のお題は:「パン」「太陽」「運動会」でお願いします。

322 :名無し物書き@推敲中?:02/01/21 22:58
パン、太陽、運動会、、俺は課題を見てほくそえんだ、簡単過ぎる、、

「季節外れの太陽が照りつけるグランドにて、運動会のパン食い競争がおこなわれた」

まてよ、書いて見たが簡単すぎる、こんな事では感想に「アホ」とか書かれてしまう、
俺は急遽、ひねりを入れてみた。

「パンパースを履いた、太陽戦隊サンバルカン、運動会といえば、奇面組の雲堂塊って
キャラがいましたね、、」

ひねり過ぎて訳がわからん、俺はさらに時間をかけて考えた。

「丸太、、、陽子の太ももはまさしく丸太だった、しかも顔はパンダに似ている、
何で俺はこんな女を好きになったんだ、、、そう思っていると彼女がのしかかってきた
それが俺の運? 重力?、会ってしまった、そう、出会ってしまったのが運の尽き」

うむ、最後が訳わからんがまあイイだろう、俺は送信ボタンを押した、、

みると、考え過ぎたせいか、既に別の奴が同じお題の書き込みをしていた、スマソ、、、


次のお題 「ハイスクール」「戦隊」「丸太」

323 :うはう:02/01/22 00:07
「ハイスクール」「戦隊」「丸太」

(問題編)豪華女学校で原因不明の病死が続発。家族は黙して死因を語らず。
 「白朝顔ハイスクール」という名に恥じぬ、白亜の立派な校舎。怪死は毎冬発生。

 休み時間、女生徒は切羽詰った表情で、各自戦隊を組んで廊下を爆走する。
 「あのハゲデブ校長でしたら、右の部屋ですわ」と、どこへだか走り去る。
 言葉こそ丁寧だが、余りにひどすぎる言い草・・・しかしその言葉通り、校長は
丸太の様に太って、ピッカピカに禿げていた。さすがに生徒の人気も悪い。

 大理石の校舎は冷える。「ちょっと」と中座した警部は、はっと気付いた。
 学園に仕組まれた、見えざる殺人装置に。

(解決編)「校長、犯人は貴方だ!」15行しかないから最初に要点を言う警部。
 「大理石で冷える、出口も少ない巨大な校舎・・・これが「毎冬」の原因です
  校長、貴方は生徒にハゲデブと言われ復讐心を抱いていた。

  貴方のこの秘密のリモコンは、大校舎に唯一のトイレを故障させるものですね?
  生徒達が、休み時間の度にトイレの争奪戦を演じるのも当然です。
  あの死因を、恥を忍んで親が教えてくれました・・・皆、膀胱炎と尿毒症です!」
  「ううっ!」校長は、携帯トイレ椅子に崩れ落ちたのだったのだった。

                 「女子高校生・膀胱殺人事件」 完

 ※やっぱし下品か(なにをいまさら^^;)
  次のお題は:「初雪」「天衣無縫」「くずかご」でお願いします。

324 :名無し物書き@推敲中?:02/01/22 00:42
わたし自身について少し語ろう。
わたしは若かりし頃、科学戦隊ゴレンジャーの一員だった。
現在三十代以上の方ならご存知かと思うが、わたしは大変な人気者で、よって多忙だった。
ただ、嘗てわたしが何色の隊員であったかを、ここで明かすことはご容赦願いたい。
というのも、職務柄、引退した今であっても、わたしを逆恨みしている悪党がいないとは言い切れないからだ。

わたしは所謂帰国子女で、コロラドのハイスクールを卒業後、日本に帰国し、国立大学で学び、科学戦隊に入隊した。
訓練は厳しかった。しかし、わたしは耐えた。悪を許さない強い正義感が、あの頃のわたしを支えていたのだと思う。
その思いは、丸太のように太く、揺るぎなく、強固なものだった。
そして、隊員として最前線に立つ頃には、その思いは魂の結晶ともいうべきレベルにまで研ぎ澄まされていた。
今、思い返してみても、科学戦隊として正面から悪と対峙していた現役時代は、わたしにとって輝かしい記憶である。
その眩き目くるめく時間は、平和を切に希求し、そして人間を愛するが故の、わたしの魂の戦いであった。
わたしは青春を、いや、己の全人生を賭けて、悪と戦った。一片の後悔もない。そして、わたしは燃え尽きたのだ。

しかし、引退してスイスの山荘で老後の穏やかな日々を送っている今、
果たしてわたしがしてきたことに、どれだけの意味があったのだろうかと、ふと思う。
ネット経由で伝えられる日本の現状を見るに、悪は絶えるどころか、
巧妙に進化し、ますます増殖しているようであるからだ。
だが、わたしにはもう残念ながら、往年のように悪と戦う体力も時間もない。
なぜなら、わたしはもう余命幾ばくもない身なのだ。わたしの体は現在、病魔に冒されている。

向こうで愛するワイフが呼んでいる。風が冷たくなってきた。今夜はシチューだと先ほどワイフが言っていた。

日本の未来ある若者よ。わたしにはもう何の力もないが、愛する祖国の未来を頼む。
美しく、そして素晴らしい我が祖国の未来は、君達の肩にかかっているのだから。

次のお題は「コーヒー牛乳」「ステルス爆撃機」「トイレットペーパー」でお願いします。


325 :名無し物書き@推敲中?:02/01/22 00:44
カブってしまった。。。
次は「初雪」「天衣無縫」「くずかご」で。

326 :「初雪」「天衣無縫」「くずかご」:02/01/22 00:50
 甥の昇平はもうすぐ8歳になる。最近のガキにしては素直で天衣無縫
な好ましいガキだ。
 もうすぐ8歳になる7歳の昇平は、もうすぐ8年になる7年と何ヶ月か
のうちのほとんどを病室ですごしていた。最近はベッドから降りることも
できない。自分の病状に気づいているらしく、たまに遊びに行っても会話が
途切れがち、途切れた会話の隙間に人生を問われるのが恐ろしく、病室へ
の足は遠のいていた。
 久しぶりに見舞った帰りがけ、8歳の誕生日のプレゼントの希望を聞いた。
雪がみたい、雪が降るところがみたい、という。
 ここは九州でも暖かな土地で、雪が降ることはめったにない。昇平が
生まれてからは一度もないはずだった。なんとか考えてみるよ、と
あいまいな言葉を残して病室を出たが、当てなどない。もうすぐ訪れる
8歳の誕生日に向けて、無為に思案をめぐらした。

 しかし、もうすぐ8歳だった昇平は8歳にはならずに死んだ。最後に、
叔父さん、ありがとう、初雪をありがとう、とつぶやいて死んだ。

 雪なんて降っていなかった。

 あれは、火山灰だ。朝になればくずかごに詰められて捨てられる、
桜島の灰だ。昇平、灰は雪とは違う。だけど、一度は熱いマグマだった。
お前が死んで灰になって埋められても、私はお前を忘れないよ。

>>324「コーヒー牛乳」「ステルス爆撃機」「トイレットペーパー」で

327 :「コーヒー牛乳」「ステルス爆撃機」「トイレットペーパー」:02/01/22 01:02
 ステルス爆撃機はレーダでは感知できない。だからといって
野放しにしていいわけはない、これは戦争だ。なんとか、ステルス
に対応したレーダをというのが私たち研究班の使命だった。
 予算はろくに出さないくせに、口ばかり出してくる司令部にうんざり
しながら、連日、夜を徹して分析した。が、なかなかうまい対策は
浮かばない。好きだったコーヒー牛乳から乳成分と糖分を抜いた
味気ないブラックでカフェインの摂取に努める。あの「姿なき敵」を
なんとかしなければ、犠牲者は増えるばかりだ。
 戦争は感覚を麻痺させる。爆撃機の飛行気乗りが、あるいは
でかいのを出した後でトイレットペーパーがないことに気づくような
お茶目なパイロットかもしれない、なんてことは考えられなくなるの
だ。
 あれに乗っているのは食事も排泄もしない、鬼。コーヒーにミルクも
砂糖も入れない非人間だ、とブラックをすすりながら自分を鼓舞する。

「電撃」「みぞれ」「くびれ」

328 :楽屋落ちはこれだけにしときます。:02/01/22 01:04
「初雪」「天衣無縫」「くずかご」

『初雪がふると、近所の公園はグチャグチャになった。
 子供が面白がってハシャギ回るからだが、その中をロードワーク
のコースに設定している俺としてはとにかく迷惑としか思えない。
 今年はゴミ箱が薄汚れた雪でイッパイにされており、その溶けた
汁がずっとコースをぬらして……』

 ここまで書いてふと考える。

 「天衣無縫ってナンだ?」

 脳味噌は相変わらずスッカラカンだ。
 しょうがない。web辞書で調べてみよう。

てんい-むほう 1 【天衣無縫】
(名・形動)[文]ナリ〔天女の衣には縫い目がないということから〕
(1)詩歌などにわざとらしさがなく自然に作られていて、しかも美しいこと。
(2)性格が無邪気で飾り気がない・こと(さま)。天真爛漫(てんしんらんまん)。
「―な人柄」
                   <Powered by 三省堂>

 む……“わざとらしさがなく自然に造られていて、しかも美しい”ですと?

 すごいお題を振るな。

#かぶりスマソ
#お題継続「コーヒー牛乳」「ステルス爆撃機」「トイレットペーパー」で

329 :さらに訂正:02/01/22 01:07
↑お題は「電撃」「みぞれ」「くびれ」で継続。

330 :名無し物書き@推敲中?:02/01/22 03:08
「電撃」「みぞれ」「くびれ」

 最悪だった。なんでこんな日にシフトが入っているのか。
灰色の空からこれまた灰色の塊が降ってくる。
道路はみぞれとそれが溶けた水にまみれてひどい状態だ。
 そんな日でも当然注文は来る。
俺は後のボックスにピザ二枚とコーラ四つを入れて街を走っている。
このバイトをはじめたおかげで大夫細かい路地に詳しくなった。
近道をするために俺は信号の一つ手前で左折した。
 その時
すぐ前に傘を差した女性。
何故かかなりな薄着だ。この天気だというのにコートも着ていない
ジーンズとシャツのみ、腰のくびれのラインが際だっている
そしてあろう事か俺はそのラインに見とれてしまった。
 次の瞬間、彼女の後ろ姿は消え、脳天に電撃が走る。
景色がまわる。そのまま原付は横になって
濡れたアスファルトの上を塀に向かって滑っていった。

次は
「写真」「祇園祭」「ジャングル」で


331 :「電撃」「みぞれ」「くびれ」:02/01/22 03:13
「博士、時空転移装置、準備オッケーです」
「うむ。よし。では、いくぞ。レッツゴー・フューチャーじゃ〜」
   ・・・
「は、博士、起きてください。博士」
「う、うむ…。村井…君か。無事かね、君は…。お、おお、これは…」
「そうです。未来ですよ、博士。成功です。我々は成功したんですよ、博士」
「し、しかし、村井君。変わった未来じゃな、ここは。道行く人を見給へ。目、
それから乳が異様に大きく、まるでアニメのキャラみたいではないか」
「言われてみれば…。ああっ、博士、メーターが故障してます。文字盤にはうっ
すらとMとWの文字が見えるだけです。なんでしょうか、これは?」
「メディア・ワークスじゃよ、村井君。…またの名を電撃ワールド。ゲーム、ア
ニメ限定の世界じゃ。恐らくマシンが時空のくびれに足をとられ、ここへ不時着
したんじゃろう。ここは時空を超越した異次元じゃ、脱出は難しいぞ、村井君。
下手に悪あがきをすると、“死のみぞれ”が降ってくるしのう」
「し、死のみぞれ?」
「うむ。ドラクエを連日やった後に出るTVのノイズ現象、それがここでの“死のみ
ぞれ”じゃ。これが来ると、もう世界の終わりが近い」
「じ、じゃ、我々は、いったいどうすれば…」
「“死のみぞれ”がくるまで、頑張ってみるか、もしくは…」
「もしくは?」
「キャラ萌え〜、のまま、一生楽しく暮らすかじゃな…」
「…博士、まさか最初から…」


332 :331:02/01/22 03:16
ありゃ、直してるうちにかぶってしまった。すまん。
お題は、上の方ので…。

333 :名無し物書き@推敲中?:02/01/22 10:00
「写真」「祇園祭」「ジャングル」

 現地のコーディネータと落ち合う地点まで、まだ数キロはある。このままなら確実に間に合わない。
彼は思うだろう。私たちはジャングルの猛獣にでも喰われたのだと。
 私は写真家だ。
 それも人跡未踏の地を好んでファインダを覗く。大自然の息吹を直に肌で感じ、風の匂いを嗅ぎ、
 大気の澄明さを讃える。そして、それを一枚の写真という媒体に封じ込めるのだ。それは遙か昔から、
 人が人ならぬものと対峙するときの儀式なのだろう。ある種の呪物と言えた。
 私はコーディネータ、名は確かドランとか言ったか、彼の案内でこの密林の奥深くまでやってきた。
だが、いつもの悪い癖がしゃしゃり出て単独行動をしてしまったのだ。ファインダ越しに覗く世界は、
まるで異世界で、私はただの傍観者であることに没頭してしまう。そして、このざまだ。
 あらかじめ、何かあった時のために合流場所を決めておいたが、それも無意味になってしまった。
「あとの祭りか」
 数時間早く戻っていれば十二分に間に合っていたのだ。私は慨嘆の溜息を吐く。
 物音がした。
 後ろの茂みがざわめいた。
「誰だ!」
 叫んだ声はむなしく、木々に吸い込まれた。
 そこにはこのジャングルで最も凶暴で、最も貪欲で、そして最も優雅なネコ科の猛獣がいた。ドラン
は何と呼んでいただろう。思い出せない。
 それは音も立てずに歩み寄ってくる。
「なぁ、あとの祭りの祭りって祇園祭のことだって知ってるか?」
 呼びかけながら、私は最後の煙草を胸ポケットから取り出した。
 
 
次は「ウィルス」「マタニティ」「ペアチケット」で。


334 :◆SpLWlLC. :02/01/22 13:52
「ウィルス」「マタニティ」「ペアチケット」

マタニティにも学割が利くような時代、
とっくに感情の起伏などは無くなっていたと思ってた。

仕組まれた憎悪は何処までも平行線で、
飽きに飽きた友人たちは次々とウィルスを飲み込んで死んだ。
「娘さんにもあげなよ、どうせだから。天国への、ペアチケットってとこだな」
親友は最期に笑って、ピンクの錠剤を二粒くれた。
私は一つを半分に砕いて、犬と娘に分け与えた。

彼らはウィルスと自分が混じる何秒かの時間を表すのに、
一様に『天国』という表現を用いた。
なんて陳腐な表現なんだ、と怒りを覚えた。

錠剤は水に溶かすと透明で、おりもののように粘性を持ち、
グラスの中を動き回る。
私はその様子を見ることで、いつも通り、今を生きている。


次 「翻訳」「保冷剤」「ラブ」 で宜しく願います。

335 :名無し物書き@推敲中?:02/01/22 15:15
俺達は遂に不審船を拿捕することに成功した。

「隊長、やつらは一体なんの目的でこの船で日本に、、」
「おい、これを見ろ、これを持ち込む為に命がけできたんだ!」
見ると、そこには保冷剤をびっしりつめられたコンテナに、透明なカプセルが
いくつか横たわっている。外国語と思われる説明書きもついている

「液体爆弾?、まさか?」
「何処の言葉だろう?、誰か翻訳出来る奴はいるか?」

一人の退院がカプセルを丁寧に取りだし、その説明文を読んでみた、、

「ラブラブ・ボンバー2002、、って書いてあります、、、、
な、なんですか?、これは?」

俺達は呆けにとられた、いったい何で、こんなとぼけた物を?

「とりあえず、鑑識に回そう、カプセルを元通りにしまえ」

その時、しまおうとした隊員の手が滑った、カプセルは床に落ち、割れ、
そして、怪しげな煙が蔓延し始めた!

「う、うわーっ、た、退避しろっ!」
「た、隊長、だめです、ぼ、僕は隊長の事が、前から好きで!」
「ば、バカ、お前、男同士で、だが、俺もお前のことが好きだったんだ!」
「ああっ、僕もです隊長!」

その後、日本国内は男同士、女同士で愛し合うようになり、生産力は低下、
さらに世界に愛と平和をというスローガンを上げて自衛隊を解散、ヘタレ国家に
なってしまった。

あの不審船に詰まれていたカプセルは敵国の最終兵器だったのだ。

次「不審船」「スローガン」「ホットドック」でお願いします

336 :名無し物書き@推敲中?:02/01/22 16:15
「不審船」「スローガン」「ホットドック」

【ワシソトン11日=共同】アーミチージ米国務副長官は十一日、昨年十
二月の不審船銃撃・沈没事件について「不審船は北朝鮮の船だと思う」
と述べた上で、「日本政府の断固とした対応」を高く評価する考えを示
した。
 また、副長官は韓国を訪れた際、立ち寄った飲食店でホットドッグを
注文したが、出てきたのが熱々の犬料理だったエピソードを語り、終始
和やかなムードで会見は行われた。米政府高官が、不審船事件で米国の
立場を示したのは初めて。

 副長官はまた、二月中旬に予定されるブッシュ大統領の訪日について
「小泉純一郎首相の構造改革を支持する。米国と世界は力強く健全な日
本(経済)を必要としている」と述べ、小泉首相が掲げるスローガンを高
く評価するとした。


次は「公園」「炎」「裸エプロン」で。

337 :名無し物書き@推敲中?:02/01/22 17:33
嫌な夢を見た。
とっくに切れたあの女が、なぜかウチのキッチンにいて、
あろうことか裸エプロン姿で味噌汁なんかを作っていやがる夢だった。
目覚めた時、オレはぐっしょりと寝汗を掻いていた。
口の中もネバネバとしていて不快で、たまらずナイトテーブルの上の煙草に手を伸ばした。
なんで夢になんか出てきやるんだ。しつこい女だ。
オレはライターを点火し、その炎に、唇に咥えた煙草の先を近づけて、火を移した。
ため息混じりに煙を吐く。
昨夜カーテンを閉め忘れた窓の先に、鮮やかに朝の光を撥ねる公園の樹木が見えた。
いい天気みたいだ。このところ晴天の日が続いている。風が吹くたびに葉が揺れ、光が踊る。
あの女は、オレに隠れて浮気をしていた。
だから、ブン殴って、この部屋から追い出してやったのだ。
なのに、またノコノコとオレの夢の中になんかに現れやがって…。
どういうつもりだ? もう、おまえには騙されねえぞ。
オレは短くなっていた煙草を灰皿に揉み消すと、出勤の支度を始めた。

次は「ベッド」「アワビ」「ロケット」で。


338 :名無し物書き@推敲中?:02/01/22 17:54
パソコンの電源を落とし、机に参考書やノートを広げて、
シャープペンを持つのと殆ど同時に、筆箱の隣に置いてあった携帯電話が鳴り出した。
チャゲアスの「ロケットの樹の下で」のメロディが流れる。
発光した画面を見ると「コウジ」の名前と電話番号が出ていた。
「もしもし」
「あっ、ツヨシか? オレだよ。何してた?」
いきなりコウジの声が聞こえてきた。
「勉強に決まってるだろ。明日、生物の小テストじゃん」
僕とコウジは高校二年で、親友だ。ふたりで、エラリークイーン気取りで探偵小説を書いている。
「今さあ、2ちゃん見てたんだけど、いつものあのスレ、ほら『この三語で書け!即興文ものスレ』」
「ああ」
僕は気が無さそうに答える。僕達は時々あのスレに書き込んでいて、お互いにそのことは知っているのだ。
「でさあ、今度のお題が『ベッド』『アワビ』『ロケット』なんだよ。
その三語で連想するっていったらさあ、もうアレしかないじゃん、アレ。
ベッドの上で、アワビにロケットを突っ込んで…、ってさ。
でも、もしかして337ってお前じゃないのか? なんか文章の感じが似てたんだけど」
「違うよ。オレは今、明日のテストに備えてアワビの生態を勉強してたところだ」
「そうか、違うか」
「違うよ。でも、あのスレ、官能系はNGだから、アレ系の話はマズいよ」
「そうだよなあ」
「まあ、次の人のお題が出るまで待つか」
「そうしろよ。じゃあ、忙しいからもう切るぞ。
おまえも2ちゃんばかりやってないで勉強しろよ」
「ああ、あとでやるよ。邪魔したな」
「別にいいけど。じゃあな」
「バイバイ」
僕は、通話を終えると、ケータイを背後のベッドの上に放り投げた。
再び、勉強に取り掛かる。

フフフ。笑いが込み上げてくる。
やっぱりアイツ見てやがったな。絶対釣れると思ったんだ。
そう、あのレスを書いたのはオレ……。コウジ、スマソ。

自主規制のため、連続カキコ、スマソ。
次は「数珠」「餓死」「結婚式」でお願いします。


339 :踊るボボ人間:02/01/22 19:42
「数珠」「餓死」「結婚式」

自己PR:失敗例

 私は逆境に強いです。学生時代一人暮していましたが、交友関係を広げて
いくうちに仲が良くなって結婚しようという話まで行きました。しかしその
人は詐欺師で、結婚式の日取りを決めてその費用を渡した後姿をくらました
のです。ショックを受けましたしお金がなくなって一時は餓死寸前という状
況にまでなりました。しかし私はそこでダメになることをせずに、数珠のよ
うに一つ一つの事柄を本や警察の方や弁護士の方に相談しながら解決して行
きその詐欺師からお金を取り戻すことができました。
 もし問題が起こったとしても解決策はあるはずです。悪い状況でもふさぐ
ことなく行動を起こすことが大事だということを得ました。


次ぎ:「メロン」「カントリー」「ABC分析」



340 :名無し物書き@推敲中?:02/01/22 22:34
カントリーマアムは、私の大好物だ。あのじっとり具合が微妙で、たまらなくよい。
カントリーマアムを頬張り、ネットをしながらなんとなく思い出したのは、あの男だった。
男は、私の通う学校の講師をしている。
私が受けている「ビジネス講座」の講師として、学校からわざわざ招かれているのだ。
どうしてあんな男が。虫唾が走る。
今日はたまたま、一番乗りで教室に入った。
あの男は、既に講壇にて講義の準備をしており、私は彼に軽く会釈をすると、先週のノートを広げた。
ABC分析。たしか、売れ筋の商品から、A,B,Cとランク付けするヤツだったような。
ノートに影がおちる。いつの間にかあの男が私の席の前に立っていた。
「君は、熱心な生徒だねえ…君みたいな生徒だと教え甲斐があるよ…」
私は適当に相槌をうつ。するとあの男は、言ったのだ。
「君は結構胸が大きいんだね…いつもみてたけど、ん?Cカップくらいかなと思ってたんだよ…
あ、ABC分析って、胸の大きさを分析することじゃないよ…うふふ…」
戦慄がはしった。だが幸い、他の生徒が来た。まさに神の助けだった。話はそこで終わった。
カントリーマアムの新しい袋を開け、口に入れる。
チャイムがなった。誰だ、こんな時間に。「はい…どちらさまですか…」
「僕だよ…」ねちっこい声。紛れも無い。あいつだ。
丸いレンズの中央に、マスクメロンを持ったあの男が、にたにた笑いながら立っていた。
どうやって、ここを知ったのだろう。ガタガタと体が震えだす。
「ここ開けてよ…」

341 :340:02/01/22 22:36
次回は
「焼海苔」「マニキュア」「グラジオラス」でおねがいします。

342 :名無し物書き@推敲中?:02/01/22 22:45
ABC分析,企業活動を活動単位に分類し,それぞれにどれだけのコストがかかっているかを計算する手法.
活動基準原価計算(Activity Based Costing)の略.
カントリー.注目物産計測(COUNT Remarkable Yeilds)の略.企業活動における主要な製品に関しての
売上高統計.
メロン.(MErit LOcated Numbering)限定利益計算の略.ABCでの分類のうち,とくに利益に大きく関連する
部門にバイアスをかけて算出するコスト計算.より綿密なコスト見直しをはかることができる.

343 :342:02/01/22 22:46
お題忘れ.しかも遅れ.次は>>341の「焼海苔」「マニキュア」「グラジオラス」


344 :名無し物書き@推敲中?:02/01/22 23:17
今まで、私を虜にした店はなかった。

どんな高級クラブも、一流のバーテンがいるというバーでも、
私を満足させる店は無かった。

だが、何気なく入った、この店は違っていた。
派手さは無いが美しくまとめられた装飾品、きちんと教育された女の子
飾ってあるグラシオラスの花もセンスがいい。

私はこのような完璧な店を仕切っている、マダムに興味をもった、
いったい、どんな女性だろう?、私は心を躍らせる。

やがてマダムが登場、完璧なスタイル、知的な顔、上品な化粧、
マニキュアが塗られた細く白い指先、、、

「いらっしゃいませ、当店のマダム、ゆり子でございます」

マダムは優しく微笑んだ、その歯には先ほど食べたと思われる焼海苔の
破片がついていた、私は一気に萎えた。

次のお題「大八車」「クレムリン」「パラボラアンテナ」


345 :うはう:02/01/22 23:54
「大八車」「クレムリン」「パラボラアンテナ」

 共産党独裁政権、崩壊前夜。
 クレムリンの赤の広場に、処刑用の大八車が現れた。
 だれも見る者などいやしない。
 さんざん甘い汁を吸った、共産党幹部のせめてもの、うさばらしなのだから。
 処刑人は、斧を振り上げた。
 大八車の上で、それは粉々に砕け散った。
 外国から国民に真相を伝えてきた、衛星放送のパラボラアンテナが。

 ※あんまり地味で、書いてて面白くないー^^;
 次のお題は:「玩具」「実物」「人身御供」でお願いします。

346 :名無し物書き@推敲中?:02/01/23 00:37
「玩具」「実物」「人身御供」

彼女は遠く、玩具のように小さく見えた。白無垢に身を包み、長老たちに
囲まれて山道を歩いて行く彼女を茂みからそっと見守った。幼い頃から
想像を重ねた花嫁姿の彼女が現実となって目の前を歩いているというの
になんの感慨もなかった。嬉しい、そんなわけはない。相手は俺ではない。
悲しい、そうかもしれない。けれど、どうすることもできない。

空虚だった。

人身御供として山の神に嫁入りする彼女を、遠くから見つめているだけだった。
戦え、君は言うかも知れない。俺に何ができようか。既に戦い、敗れ、
実物ではなくなっているこの俺に。

「入試」「鳩」「ポケット」

347 :名無し物書き@推敲中?:02/01/23 01:30
俺は街を出た。高校を卒業して三日後のことだった。
ボストンバッグひとつ、背中にギターケースを担いで、夜行列車に飛び乗った。
カネは無かったけれど、ポケットには入りきらないほどの夢が詰まっていた。

一応、地元の大学の入試は受けた。滑り止めも含めて、全部合格だった。
でも、俺は夢を選んだ。どうしても音楽がやりたくて、その夢を捨てきることは出来なかった。
俺は、東京へ行く。
勿論東京の大学に進学するという選択もあったが、俺は自分を追い込んでやりたかった。
成功のあてはなかったが、スタジオミュージシャンをしている先輩を頼っての上京だ。

列車が動き出す。俺は他に誰もいないB寝台で、缶ビールを飲んだ。
車窓を淋しげな街明かりが流れてゆく。二本目の缶ビールを空ける頃、酔いが回ってきた。
俺は自分の顔を映す暗いガラスを見つめながら、鳩ぽっぽのメロディを口笛で小さく吹いた。

次のお題は「危機感」「最優先事項」「恥」で。

348 :名無し物書き@推敲中?:02/01/23 01:46
「入試」「鳩」「ポケット」

記憶の断片を探りながら、目やにでかすんだ視界の片隅に見つけた
タバコに火をつけようと次郎はポケットをまさぐった。
「参ったぜ....。」ライターではなく、出てきたマッチを見つめながら
次郎は時が止まるのを感じた。そして同時にどこからともなく降ってきた
パズルのピースがスローモーションで勝手に出来上がってゆくかのごとく、
記憶の断片が、次郎の二日酔いで激痛の走る頭の中でつながっていった。
鳩が飛んでたらジョン・ウーの映画だな、などと思いながら、すぐにこんな
状況下でどうして俺はこんな馬鹿なことを考えるんだろう、といつもの自己
嫌悪にさいなまれた。彼の横には、あせもに埋め尽くされた下乳を掻いて
いる裸の女が眠っていた。
彼女は昨日、8度目の医大入試試験の失敗を確信してやけになって入った
スナックでデブを売りにしていたホステスだった。
田舎に帰ろうかな、と「花子」と印刷されたマッチを見つめながら次郎は
思った。

遅れてなかったら次は「筋肉」「コンビ二」「和服」でお願いします。





349 :名無し物書き@推敲中?:02/01/23 01:54
ダッフルに身を包んだ少年が懐中電灯を手に道を歩いている。時間は午前七時十四分。
しかしもう空に太陽はないために、朝とはいえ街灯の少ない所では懐中電灯が必須であった。
彼が漸く交通の多い道に出て、電灯を鞄にしまった所で見知らぬ男に声をかけられた。
「……これから入試か? 大変だな受験生は」
クックッと喉の奥から笑いを漏らし、男は笑った。街灯に寄り掛かり、コートの内ポケットから
煙草を取り出した。一本抜いて口にくわえる。
「ところで、お前はどこの大学受けるんだ? ここいらだと……そう怪しむなよ。ただ興味が湧いただけだ」
「……どうして俺が入試に行くと分かったんですか? それに、いきなり話しかけられて怪しむなと言うのは無理です」
少年がはっきりと言うと、男はまた笑いを漏らした。今度はマッチを取り出して口の煙草に火を付けた。
……ボン! 突然煙草が爆発した。白い煙が街灯に照らされて煙幕となる。
「ま、俺が手品師だから分かった、ってんじゃあ納得いかねぇか?」
男がそう言った瞬間、翼を羽ばたかせる音が聞こえ、煙が風に流された。すると鳩を腕に乗せた男の姿が
闇に浮かび上がった。
「貴方……手品師なんですか? 本当に……?」
「俺は嘘は吐かねぇし、嫌いだ。それにお前……常人が鳩なんて出せると思うか?」
そう言われて少年は顔を輝かせた。テレビから娯楽が消えてすでに久しい。
まさかこんな所で本物の芸人に会えるとは。一度訊いてみたかったことを訊こう。そう思った矢先、
「くそ、時間だ。残念だがここまでだな。それじゃあ、試験がんばれよ。応援してやるからよ」
男はそれだけ言うと街灯を拳で叩いた。灯りが消え、男の姿が見えなくなる。それからすぐパチンと
指を弾く音が聞こえ、灯りが戻った。男の姿はもう無かった。
少年は目を瞬かせ、左右に首を振ったあと溜め息を吐いた。ややあってとぼとぼと歩き出した。
七時十五分で止まっていた彼の時計は、再び動き始めた。

次のお題は「危機感」「最優先事項」「恥」「筋肉」「コンビ二」「和服」の六題で。
ガンバ☆

350 :名無し物書き@推敲中?:02/01/23 01:56
「危機感」「最優先事項」「恥」「筋肉」「コンビ二」「和服」

 久しぶりの和服だからか、筋肉痛のようだ。普段とは違う歩き方、
力の入れ方を無意識にしていたらしい。パーティの途中、コンビ
ニに飛び込んで、サロンパスを買った。朝から和服だったとはいえ
同日中に筋肉痛が出るのだ、まだまだ若い証拠。年を取ると筋肉
痛というのは一日遅れ、二日遅れでやってくるものらしいから。
 にしても、卒業から十五年がたった高校の同窓会、さすがに
既婚者が多い。最近では三十をすぎて独身、というのも珍しくは
ないようだが、田舎の高校だったからだろうか。独身なのはわたし
を含めてほんの数人、危機感が募る。こうなったらこの同窓会で
まだ独身の同級生を捕まえて、交際に持ち込もう。独身者との
会話は最優先事項。結婚した友達の子供や配偶者のぐちなど
聞きたくない。
 ああ、だけどなんてことだろう。なんかにおう、と思ったらさっきの
サロンパス。せっかく決めてきたのに思慮を欠いてしまった。とんだ
恥。

#ガンバ☆った。
#次は「カート」「あげ」「鉄砲」


351 :遅いが、6題:02/01/23 02:22
「危機感」「最優先事項」「恥」「筋肉」「コンビニ」「和服」

 近頃、この辺りに頻発しているコンビニ強盗は、その手口の荒さと、素早さ
で警備会社はおろか、警察でさえお手上げの状態になっている。
 次々に襲われるコンビニ。その一番の犠牲者は、何といっても夜中に店番を
やらされているアルバイトの店員達である。彼らは、たかだか時給800円の
ために、あるものは前歯を根こそぎ折られ、またあるものは、身包みはがされ
た挙句、寒空の下に放り出され、生き恥をさらされるといった有様。
これでは、当然のようにアルバイトは次々に辞めていってしまい、とうとう、
この近辺のコンビニで夜のバイトをする者は独りもいなくなってしまった。
 困るのは、店主たちである。彼らにも、店がいつ襲われてもおかしくないと
いう危機感は、もちろん、ある。しかし、だからといってこの不景気の中、夜
中に店を閉めることは即ち、コンビニの廃業を意味する。
 しかし、彼ら店主達の最優先事項は、"自分の身を危険にさらさない"で、ある。
 ここまできて、もうオチが読めてしまった人も多いと思うが、そう、そこで
彼らは、破格の時給で夜中のエキスパート達を雇ったのだ。
 粋な着流しの和服の下には山脈のような筋肉を備え、頭は角刈り、指は4本の
エキスパート達を!!


;ああ、そうさ、遅いと分かっていて投稿したさ。だってここんとこずーと
ワンテンポ遅くて出せなかったんだぜ、くそ…(涙


352 :351:02/01/23 02:35
あ、もちろんお題は「カート」「あげ」「鉄砲」
のまんまよん☆

353 :名無し物書き@推敲中?:02/01/23 02:37
彼は自分の頭を鉄砲で打ち抜いた。
社会の矛盾、妥協の無意味さ、真実の痛み。君の作り出す思いをのせた歌詞は、
その魂を絞り尽くして発せられる叫びとともに世界中の若者に伝わったはずさ。
時代とともに駆け抜けていったカート・コバーン。
しかしあなたの叫びに共鳴した若者たちは成長した。そして矛盾を受け入れ、
妥協を容認し、真実に目をそむけるすべを身に付けてしまった。
これがあなたの憂い、絶望した世の中かい? だがこれが真実なのさ。
こぶしを振り上げ、訴え続けたことに対する結果がこれだけど、許してくれる
かい? これが氏よりもつらい「生け続ける」勇気だと信じる。
よりつらい選択をした我々はあなたを忘れはしない。そして、あなたの分まで
生け続けることを誓う。

*追伸 あなたの愛した妻、コートニーは豊胸手術をしていまやハリウッドスター
 です。

反則気味でスマソ。
遅れてなかったら次のお題は「リストラ」「コンパ」「めがね」で。

 


354 :リストラ・コンパ・めがね :02/01/23 03:12
この圧迫感は一体何なのだろうか。
何故にこの肥満体は私の隣を陣取ったのだろうか。
暫くぶりにコンパに出てみればこのざまだ。
他の男性はなかなかイケているのに何故私にだけこんな男が割り振られるのだろうか。
デブ・若禿・めがね・チビ、この世で最も私が嫌う要素をこの男は全て持ち合わせている。
さっきから意味もなく「暑いねー」などと呟いて手ぬぐいで顔をふいている。
顔面から発せられる蒸気でめがねが曇っちゃたりして、ほんと最悪。
私が上司なら間違いなくリストラしてやる。
席を移動しようとしてもこいつのでっぷりとした体躯が私を隅に閉じ込めて動けない。
端の席を取らなければよかった。私の先見の明のなさを呪うよ。
確か山崎とか言う名前だっただろうか。くそ、気色悪い。
でも、義理で話をふってやるか。

「あの、山崎さんて仕事何やっているんですか?」
「ぼ、僕?所謂ドクター・・・」
え?ドクターって医者なのこいつ。よりによってこんな醜男が医者だとは。
ま、それだったら少しウィットに富んだ会話でもしてやるか。
私が話し掛けようとしたとき、山崎はもぞもぞと喋りだした。
「ドクター・・・ビーン研究家」
なんだその職業は。私はこの男を視界からシャットアウトした。

#次は「帰国子女」「月桂樹」「交差」でよろしく。

355 :帰国子女・月桂樹・交差:02/01/23 10:17
「天は二物を与えず」なんて嘘だ。
正確には「天は才を偏って振り分ける」だろう。

キャンパスのマドンナ、ありさは帰国子女だ。だから英語がペラペラなのは当然にしても
それに限らず成績優秀で、芸能人顔負けの容姿(しかもナイスバデー)ときてる。
だからと言ってそれを鼻に掛ける様子もなく、むしろ裏表のない好感の持てる性格だ。
そんなありさだから、当然男たちが群がった。僕は届くはずもない高嶺の花に心を焦がす
愚は犯さず、ありさの姿を遠くから目で追うだけの存在だった。
ありさに比べて僕はと言えば、落第寸前の成績で十人並の容姿。当然と言えば当然だった。

「お肉の臭みを消すにはね、月桂樹の葉を入れればいいのよ」
ありさは料理まで上手だった。なんの気まぐれか、天は僕とありさを結びつけた。
有頂天とはこういう気分のことを言うのだろう。僕は今まで経験したことのない幸福に浸った。
しかしやがて、僕は酷い劣等感と敗北感に襲われるようになる。
人として、僕がありさに勝る要素は何一つなかった。一緒に居る事が苦痛に感じるようになった。
僕の中の臆病な防衛本能が、ありさとの距離を縮める事を許さなかったのだ。
そして僕は自ら別れを告げた。とうとう心が交差する事もないまま……

次のお題は、「レス」「エス」「ミス」でお願いします。





356 :「レス」「エス」「ミス」:02/01/23 11:07
クソッ、向こうからSS(エスエス)がやってくる、一人はレスラーみたいな体格の男、
もう一人はミステリアスな怪しげな男だった、
このままでは、見す見す俺はつかまってしまう!、ミスったぜ!

俺は咄嗟に目に移ったレストランにエスケープした、が、SS達は直ぐにここに入って来るだろう、、

しかし、彼らは入ってこない?、俺を見過ごしたのか?、そんな事はないはず?
外を見ると、SS隊員はエスニック調の服を着た女性と談笑をしている、
ミス・エストニアだ、彼女はコードネームでそう言われている、
彼女もレジスタンスの一人だ、彼女は今の俺にとってはレスキュー隊みたいなものだ。

「お客様、ご注文を」
レストランのウエィターが尋ねてきた、
「ああ、エスプレッソとエスカルゴを」
「かしこまりました、それから、ミスター、これもどうぞ」
そういって、ウェイターは小さな紙切れを渡してくれた
俺達の仲間内の暗号のが書かれていた、このレストランも連絡場所だったのか、、、
「エスレスエス、ミスレスエス、ミスエスレスミスレスエス、ミスレス
エス、ミスレスエス、ミスレスエスエスミスレスエスレス、、、、」
俺はそのエスとレスとミスと書かれた文字数を数え、次の任務を了承した。

次のお題は「水鳥」「ミステリアス」「大仏」

357 :「水鳥」「ミステリアス」「大仏」:02/01/23 14:58
彼女はプリマドンナだった。

「ほら、あそこに居る水鳥」
そういって彼女は足を少し引きずりながら池の方へと歩いていく。
池の側まで来るとかがみ込んだ彼女の隣に私も座った。
ちらりと彼女を盗み見る。その横顔は、悲しそうな放心したような、或いは自嘲気味に笑ったような、なんともいえないミステリアスな表情だった。
「あの水鳥、優雅に泳いでいるでしょう?でも水面下では足を必死に動かしているの。そうしないと沈んでしまうから……」
私と同じね、と彼女は呟いた。
バレリーナにとって、足の故障というものがどんなに絶望的なものなのか。バレエをやっていない私には見当も付かなかった。
元気出せよ。
そんな気休めの言葉など彼女には届かないだろう。
代わりに私はキーホルダーを彼女に差し出した。小さな大仏と鈴が付いている。
「……なあに?」
「持っていけよ、お守りだ。せっかく京都に里帰りしたことだしな」
私がそう言うと彼女は可笑しそうに笑った。

彼女はプリマドンナだった。


次のお題は「ボーダーライン」「デッドライン」「スカイライン」で。

358 :名無し物書き@推敲中?:02/01/23 17:23
「ボーダーライン」「デッドライン」「スカイライン」

午後11時すぎ、祐介は白いニッサンスカイラインを北へ向かって飛ばしていた。
「午前0時までに行かなければならないところがある」
突然そう告げたおれに有香は混乱した。
「午前0時に一体何があるっていうのよ」
「それがおれのデッドラインなのさ」
真新しいビルの建ち並ぶ界隈で、ぽつんとひとつ、時の流れに置き去りにされているように古いコンクリートのビル。祐介は車を停めるとその古めかしい建物の中へと入っていった。
腕時計に目をやると23:56。
「なんとか間に合ったぜ」
祐介はまっすぐ時間外窓口へと向かい、呼び鈴を鳴らすと、出てきた若い職員に言った。
「これを速達で」
差し出されたA4の茶封筒。祐介の汗と涙の結晶であった。
「一次選考通過のボーダーラインに到達しているかもあやしいもんだけどな、おれはこれに命かけてんだ」
郵便局員はそれには答えず、いたって事務的に「470円です」と言うのだった。

次は「裏知識」「構造的」「宮廷」で。


359 :名無し物書き@推敲中?:02/01/23 17:36
今日、僕はお気に入りのロックバンドのニューアルバムを買った。
CDのケースを裏返し、曲目を眺める。

ザ・シェイカーズ/スカイラインの彼方へ

#1 こじんまりとした愛
#2 のぞみ
#3 スカイラインの彼方へ
#4 レッドカードはいらない
#5 おまえの夢
#6 もう一度、逢いたい
#7 しらけるゼ 〜デッドラインを越えて〜
#8 ろんどん・はーと
#9 いつか、ふたりで

今夜、僕はイカしたあの娘とドライブデートなんだ。
このゴキゲンなナンバーをガンガン鳴らして、
朝まであの娘を帰さないつもりさ。
今夜こそ、ボーダーラインを越えてみせるぜ。
ヘイ、ベイビー、愛してるよ。

次のお題は「米軍キャンプ」「漬物屋」「曼荼羅」で。


360 :名無し物書き@推敲中?:02/01/23 17:37
カブリ、スマソ。。
お題は「裏知識」「構造的」「宮廷」で。

361 :「米軍キャンプ」「漬物屋」「曼荼羅」「裏知識」「構造的」「宮廷」:02/01/23 23:37
うだるような暑さの中、嘉手納まで足を伸ばしてみた。
広大な敷地を持つ米軍キャンプの建物群は構造的で、基地中央に配された
司令部施設が律令都市の宮廷然としている。
私は、敷地内に点々と見える日本家屋との対比に違和感を覚えてガイドに
尋ねてみた。
「なんで、米軍の嘉手納ベースに日本人が住んでんだ」
私の質問は折り込み済みだったらしく、ガイドの男は、にやついた顔で答える。
「あれは漬物屋さ。一フィートの時に運動家が買ったのはいいが、バブル
で転がされたあげくに本土の漬物屋が買い戻したのさ。地元じゃ有名な話
さ。漬物屋のおっさん、壁中に曼荼羅貼って大根を漬けてんだって話さ」
そいつは何ともドラマチックな変遷だ。関心しつつも、そろそろ仕事で客と
会う時間が近づいたので那覇へと引き返した。
私は、別れ際にガイド料に心持ち余分のチップを乗せて渡し、礼を言った。
「ありがとう、貴重な裏知識を貰ったよ」
チップが効いたのか、ずいぶんと機嫌の良くなったガイドと別れ、私も、客が
待つホテルを目指し、雑踏の一部にとけていった。

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次は「分岐点」「サウンド」「半透明」で


362 :うはう:02/01/24 08:09
「分岐点」「サウンド」「半透明」

 盲目の彼女には、「半透明の筐体」という言葉がわからない。

 「「五色の半透明の筐体」って何なのでしょうか?」
 「ううむ、それはだねえ」と家庭教師は悩む。
 「一つのものの向こうに、違うものが薄ぼんやり見えるのが半透明で・・・」
 こんな事説明してもはじまらないので、音で説明することにした。
 「いわば、小さく流れるBGMみたいなものですよ」 

 彼女は、ドビッシーのBGMの中で「東京音頭」を聞いてみた。
 演歌のBGMで「あしたがあるさ」を聞いてみた。
 童謡「赤とんぼ」のBGMが流れる中、YMOのサウンドを・・・とにかく頭が疲れた。

 この疲れを他に昇華するかしないかが、発明の成否の分岐点である。
 彼女は、この経験をもとに「海老餃子」を考案した。
 餃子の皮の薄味というBGMの中で引き立つ、海老の風味・・・
 そのぷるんぷるんした餃子の皮は、偶然にも半透明だった。

 だが、しかし・・・
 彼女は、いまだに「半透明」がわからない。

 ※「わからない」という事を表現するのは難かしいなあ;
 次のお題は:「メロン」「旧家」「丘」でお願いします。

363 :「メロン」「旧家」「丘」:02/01/24 13:33
申し分のない、青く青く晴れた朝でした。
丘の頂で、メロンを蹴りました。メロンはなだらかな斜面を転げ落ち、
ごろごろごろごろ転がって、ずっと遠くまでいってしまいました。
旧家で過ごした日に、そんな夢を見ました。部屋は暗く、木の壁は茶色く腐っていて、
いつも夕暮れ時の寂しさを漂わせていました。
お土産にもらったメロンを、マンションの屋上の端で本当に蹴ってみました。
メロンは見えない弧を描いて落ち、下の駐車場で潰れてしまいました。
その夜はとても静かでした。私は夢の中で、丘を下ってメロンを追いかけていました。
メロンは真昼の浜辺で潮を浴びていました。
ふと拾い上げると、メロンは私の手の中で崩れ落ち、潮に流されてしまいました。
私は、メロンが流れていった海をいつまでも眺めていました。


次;「ビスケット」「市場」「昇天」

364 :名無し物書き@推敲中?:02/01/24 16:55
昇天するために何が足りなかったのか考えていた。
死ぬのが怖い?。ふざけるな、死と昇天は似て非なるものだ。
死の世界に俺は希望を求めている、だから敢えて昇天と呼んでいる。
最後に食べたのはビスケットだった、俺がよく行っていた店の手作りの。
正直に言って不味い、だが、俺はそれでも臆面なく売るところが好きだ。
乗り込んだ車の中で、ふと、その味がよみがえった。

「―――市場へと逃げ込んだ強盗犯は先ほど逮捕されました!。
犯人は14歳の少年。逮捕時に「俺を殺せ、殺せ!」と叫んでいた模様です。
それでは一時、スタジオにお返しします」

次は、「珊瑚礁」「街路樹」「砂の女」


365 :名無し物書き@推敲中?:02/01/24 17:44
「珊瑚礁」「街路樹」「砂の女」

3年前、僕は美術館の警備員をしていた。
美術館は7時に閉館し、僕は一通り館内に異常がないかを点検して仕事を終える。
そのひとときが唯一、彼女と僕ふたりだけになれる時間だった。
2階へと続く階段の踊り場にある1枚の絵の前で僕は足を止める。
フレデリック・アーヴィングの「砂の女」。
黒い点描画で描かれている彼女は、いつもさみしげな眼差しを僕に向けてくる。
「おなかがすいたわ」
彼女は僕の姿をみるとそうつぶやいた。
「何が食べたいんだい?」
「そんなの珊瑚礁に決まっているわ」
「じゃあ、明日買ってくるよ」
僕は彼女に約束をし、帰路についた。
その夜、不審火で美術館が全焼し、僕は職と彼女を失った。
僕はいま、百貨店で働いている。
1日の勤務を終え、通用口を出ると粉雪が舞っていた。
駅まで続く街路樹を抜けて、僕はふと足を止めた。
通りでアクセサリーを売る外国人の女のさみしげな眼差し。
僕はつかつかと歩み寄り、赤い布の上に並ぶ商品を見る。
淡いピンク色の珊瑚で作られたネックレスがあった。
僕は迷うことなくそれを手にした。
「これをください」
女のさみしげな顔にふんわりと柔らかな微笑が広がった。

次は「お道具箱」「芥子」「凱旋門」で。

366 :名無し物書き@推敲中?:02/01/24 17:57
葬式の帰りは曇り空だった。
挨拶する親戚の声も耳に入らない。俺はまだ現実が信じられなかった。

あの日、あいつは 友達と珊瑚礁見に行って来る、と言って出かけていった。
が「友達?浮気相手の間違いじゃないか?」とおどけて聞くと「ばーか」と笑っていた。そして、それっきり。

二日後、連絡があった。女友達と一緒に、水死体で見付かった。高波にさらわれた、と電話の向こうであいつの母親が続けた。声が震えていた。
俺は電話口で間抜けのように「そうですか」と言う事しかできなかった。
そして、今日。喪服に包まれた会場で、あいつの写真は呑気そうに笑っていた。
棺桶に入ったあいつの遺体を、俺は見る気がしなかった。
不意に、頭に冷たい感触を覚える。見上げると、ぞうきんのような色した空から雨が降り始めていた。
たちまち、空気の匂いが変わった。俺は傍にあった街路樹の下にかけこんだ。とたんに雨足が早くなる。
雨音を聞いていると、あいつの事が思い出された。あいつの声、あいつの笑顔。今では、遠い夢のようだ。
「…砂の女」
不意にそんな言葉が思い浮かんだ。もう少しで手が届く所で、ふいっと海の中に溶けて消えてしまった、砂の女。
俺は声を抑えて笑った。ぴったりだな。
雨は、一向に止む気配が無い。

367 :366:02/01/24 17:59
うへぇ。かぶってしまった。おまけに次のお題かいてないし。
すいません。次のお題は<<365の方の「お道具箱」「芥子」「凱旋門」でお願いします。

368 :366:02/01/24 18:00
矢印の向き間違えた。良いとこナシ(;´Д`)

369 :名無し物書き@推敲中?:02/01/24 18:07
俺の馬が、これから「凱旋門賞」に出走する。
ホースマンなら誰でも夢見る、世界最高峰のレースだ。
しかも、俺の馬は、一番人気に押されている。
俺は紳士淑女のサロンと化している馬主席で、幼稚園の娘とふたり、
リッツの料理人に特別に作らせた、芥子をたっぷりと塗った特製のハムサンドをつまみながら、
悠然とターフを見つめている。

ゲートが開いた。俺の馬はいつもどおり後方待機策、絶好の手応えだ。よし!
俺は一代で今の会社を作りあげた。実業の世界で、俺は成功した。
そして今日、俺は馬の世界でも、輝かしい栄光を手にするのだ。

レースが終わった。俺の馬は、鼻差及ばず二着だった。
俺はがっくりと椅子にへたり込んだ。負けた…。
「ねえ、パパ」娘が鞄を開き、そこから幼稚園で使っている小さなお道具箱を出し、
その中から、小さなメダルの形をした消しゴムを摘み上げて、俺に差しだした。
「がっかりしないでパパ。これあげるから」
俺は邪気のない娘の顔に、涙が出そうになった。

次は「経典」「消臭剤」「鍵穴」で。


370 :「経典」「消臭剤」「鍵穴」:02/01/24 20:21

天竺へと旅立った三蔵は、ついに目指す経典を収めた書房の前にあった。
数百年来開いた事の無い鍵穴からは、書庫特有のかび臭い匂いが漂い
一行を衝動に駆り立てるに十分であった。
現代であったならば、恐らく学者連が合理的精神を振りかざして消臭剤
なぞを噴霧する状況であったと推測出来る。
けだし、三蔵達一行が訪れた時代は『いい時代』であったと筆者は心より
の羨望の念に耐えないのである。
---------------------------------------------------
最近長いので、たまには短く。
次は、「心霊」「冬山」「板違い」で


371 :、「心霊」「冬山」「板違い」:02/01/24 22:13
いやあ、昨日家で友達と飲んでたんだけどね。酔いの勢いで心霊スポットにでも行こうかって話になっちゃって。
知ってる?ここから近くに○×工場の跡地があるんだけどさぁ。
なんでも「そこの何処かに妙な石版が置いてあって、それに書かれた言葉見た奴は取り憑かれて気が狂う」ってウワサで有名でね。
で、友達数人とそこ行ったわけ。
いや、結構マジで怖かったよ。敷地真っ暗だしね。懐中電灯の小さい光だけが頼りで。
そうして10分くらい探し回ったかな?そろそろ帰ろうかって時に一番後ろの奴が「…板!」って叫んだんだよ。
慌てて振り向いたら、そいつうずくまってんの。ヤバイと思って話しかけたら「角材に小指ぶつけた」だって。
わかる?「板!」じゃなくて「痛っ!」だったんだよ。板は板でも板違い。

…え?何?寒いこと冬山の如し?うるせぇなぁ。仕方ねえだろこのくらいしかネタ無かったんだから。

次のお題は「髪」「香水」「レンタルビデオ」でお願いします。


372 :髪・香水・レンタルビデオ :02/01/24 22:42
昔観た映画を再び観たくなって、レンタルビデオ店に足を運ぶ事がある。
2度目に観るときは、昔その映画を観たときのシチュエーションがフラッシュバックする。

「髪結いの亭主」を観たのは10年以上前の春だった。
パトリス・ルコント監督のフランス映画だ。
背伸びしてインテリ振りたくて、彼女を誘って観に行った。
ある男性が理髪師の女性に恋焦がれて結婚し、そして愛し合う、そんな話だった。
彼女は素直に感動していたけれど、
僕はといえばあまりにも官能的な作品だった為に興奮して勃起していた。
その事実を隠したくて平然とした素振りを見せていたのだが、
しばらくしても僕のあそこは怒り狂ったように血走っていた。
そこに追い討ちをかけるように、その日の彼女は甘美で魅惑的な香水をつけていたのだ。
結局、その日僕らは初めて愛し合った。

そんな事を回顧しながら僕は2度目の「髪結いの亭主」を享受した。



#次は「過去」「加工」「滑降」で御願いします。

373 :名無し物書き@推敲中?:02/01/24 22:42
ちらちらと雪が降ってきた。わたしはマフラーを巻きなおし、
男と染め抜かれた暖簾がかかる、銭湯の入り口を見つめて、彼が出てくるのを待った。
小さく体を揺すると、抱えた洗面器の中で石鹸がカタカタと鳴った。
彼の、三畳一間の下宿にはお風呂がない。
やがて、彼が出てきた。
「待った?」
「ううん」
本当は洗い髪が芯まで冷えて寒かったけど、わたしは笑顔でそうこたえた。
彼が、白い息を吐きながら、わたしに頬を寄せて言う。
「香水の匂いもいいけど、今みたいに石鹸の匂いを漂わせてる君もかわいいよ」
「やだあ」
私は照れて、彼をぶつ真似をした。
「これからレンタルビデオを借りて帰ろうか」
「うん」
わたしは頷き、わたしたちは肩を並べて歩きだした。街灯が淋しく灯る路地は冷え込んでいたけれど、
繋いだ手はとても暖かくて、わたしは幸せだった。

次は「遠近法」「爪楊枝」「パンダ」で。

374 :名無し物書き@推敲中?:02/01/24 22:44
カブリスマソ。。。
次は「過去」「加工」「滑降」で。

375 :髪・香水・レンタルビデオ:02/01/24 22:51
「大学は出たけれど・・・」
郊外にある大手チェーンのレンタルビデオ屋。僕はここのアルバイト。
大学四年間でとうとうやりたいことも見つからず、不況の波も手伝ってこの体たらくだ。
ありさと別れて二年。あれから一度も会っていない。
今思えば、あの時が一番、僕が輝いていた時だったのかもしれない。
肩越しに後ろの風景が透けて見えるようだった、細くてつややかな髪。
近づけばほのかに香る香水のような石鹸の匂い。
これから先、僕の前にあれほどの女性は現れることはないだろう。
いや、仮に現れても僕の手に届くなんて奇跡は二度と起こらないだろう。
現在の僕の境遇が、端的にそれを物語っている。
「過去の住人になって生きていくのも悪くないかも・・・」
自ら輝きを放棄したあの日から、僕の時計は止まったままだ。

#355の設定で再挑戦。
次のお題は「反乱」「冒涜」「少女趣味」でお願いします。




376 :375:02/01/24 22:53
うげっ。かぶった・・・。
次は「過去」「加工」「滑降」で・・・。




377 :名無し物書き@推敲中?:02/01/24 23:31
「過去」「加工」「滑降」「遠近法」「爪楊枝」「パンダ」「反乱」「冒涜」「少女趣味」

「さすがに北海道の雪は違うだろ?」
シュプールを鮮やかに描きながら、オレは隣を滑降していく彼女に笑いかけた。
「まあ、地元のクサレ人口雪とは、加工の度合いが違うのぉ。あれは雪に対する冒涜じゃ」
だから自然雪だって・・・と言いたい気持ちを堪えて話を繋ぐ。
「過去にこのゲレンデで人殺しみたいなコースを滑ったことあるんだ。そこ行ってみる?」
「まあ、後でな。今はもう膝がガクガク言よるわい」
そこでオレたちは一息ついてロッジで暖をとることにした。
「しっかし、オマエのウエア。まるでパンダみたいなのぉ」
自分は少女趣味バリバリのウエアのくせに・・・と喉まで出かかった言葉を呑みこみ、
代わりにオレはビールを一気に流し込んだ。
「じゃあ、そろそろ行ってみようか?」
「そう焦んなや。こっちゃあ、まだ一服済んでないっちゅーねん」
彼女は爪楊枝を歯に突き立てながら、軽く一瞥をくれると煙草に火を点ける。
あの遠近法が狂ったような急斜面。あそこに連れて行ったらそのまままいてやる。
そんなオレの小さな反乱は端からお見通しのようだ。
ゲレンデで見る女の子は、確かに五割増くらいに見えるのかもしれない。
そんな後悔に身をつまされながら、オレは今後ナンパは慎もうと心に決めた。

#自己責任で九題消化。
次のお題は「肉」「脱力」「刹那」でお願いします。



378 :名無し物書き@推敲中?:02/01/24 23:40
「過去」「加工」「滑降」「遠近法」「爪楊枝」「パンダ」「反乱」「冒涜」「少女趣味」

 夏休み中に一枚、どんな絵でもいいから仕上げてくるように言われ、俺は、かねてより温めていた
題材の作品を、提出日より一日遅れたが、何とか仕上げ、担当の教授の下に持っていった。
 今回は、過去のどんな自作より時間と情熱を持って描いたし、それだけに自信があった。
題は、『反乱の決意の朝』。これだ。
 昼飯のカツ丼を食べ終えたばかりの教授は、爪楊枝をくわえながら覆ってある風呂敷を取った。
「ほう、これは・・・」
俺は、思わず唾を飲み込んだ。そして、次に出てくる賞賛の言葉を待った。
「まるで少女趣味だ、男にしては珍しい。ははは。気に入った。ただ、遠近法がむちゃくちゃでいかんな」
 は?遠近法が無茶苦茶だと?当たり前だ。それは俺が意識してやったんだ。美大の教授が聞いて呆れる。
ピカソだって、ドラクロワだって、シャガールだって、近代以降の作家は誰も遠近法なんて無視して描いて
るんだ。そんなことも知らないのか、この男は。こんな男が西洋画の、それも主任教授だなんて、どうかし
ている。芸術にたいする冒涜といってもいい。俺の頭は、口惜しさと憤怒で混乱し、爆発しそうだった。
 俺は何もいわず、教授の手からキャンバスをひったくると、そのまま彼の研究室を飛び出した。校舎の
階段を駆け下りながら、溢れる涙をどうすることも出来なかった。視界が滲み、前がよく見えない。俺は、
不覚にも階段につまずき、絵を落としてしまった。
 手から落ちた絵は、風呂敷を空中に浮かべたまま、そのまま階段を滑降して、正面玄関前で止まった。
「わ、なにこの絵、見てみて〜」
 下級生の女の子達だ。床の上に仰向けになって転がっている俺の絵をのぞき込んでいる。
 俺は、急いで涙を拭き、なに食わぬ顔で階段を下りていった。
「わぁ、かわいい〜。何これ〜」
「ね、可愛いよね〜、ディズニーみたいね」
 俺の足は止まった。
 その時、森の中で小鳥やリス、パンダや虎に囲まれて王女を抱きかかえる少年剣士の姿が、俺の目に
白雪姫の王子様とだぶって映ってしまった。

どうよ、九題。
次は「鼻」「花」「ハンナ」で。


379 :378:02/01/24 23:44
うわー、やっちまった。
しかも行切れて、すげー長くなってるし。
失礼。
お題は当然、「肉」「脱力」「刹那」で。

でもやっぱり6題のチャレンジャーがいてもいいかなー、なんて・・・

380 :378:02/01/24 23:48
しかも、「加工」入れ忘れてる・・・(鬱氏・・・

381 :名無し物書き@推敲中?:02/01/25 00:10
 「肉」「脱力」「刹那」

 脱力というのは結構大切な技術だったりする。

 筋肉の緊張を防ぎ、そして精神の緊張を防ぎ、次の状況にリアク
ションを鋭敏にする。力が抜けているからこそ、必要な瞬間に最大
限の力とテクニックを使い切ることが出来る。

 今僕の目の前には、目をつぶりキスを待っているあの娘がいる。
初めてのデートでこうなるなんて、考えてなかった。ああ緊張する。
身体が強ばる。どうすればいい。

 そうだ、人、人、人。手の平に書いて飲み込む。
 だめだ。まだ動悸が止まらない。

 そうだ、目の前の人がカボチャに見えればいいんだ。
 かぼちゃ、かぼちゃ、かぼちゃ

 バチーン!その刹那、強烈な平手打ちが飛んできた。
 緊張の余り「かぼちゃ」を口に出してしまったらしい。

 結論。やっぱり脱力は大切だと思う。

#6題の煽りに乗る能力・体力ともになし。
#ということで、お題は「鼻」「花」「ハンナ」じゃなくて「かんな」。
#固有名詞はやめておいた方がいいと思われ。

382 :名無し物書き@推敲中?:02/01/25 01:20
俺はタオルを頭に巻いて、仕事モードに入った。
柱用の木材に、かんなをかけていく。
この仕事に就いて三年、ようやく親方にもあまり叱られなくなった。
それでも、決して気は抜けない。まだ一人前になったわけではないのだから。

今日は風が強くて、鋸で出た細かな木屑が、あちこちから飛んできてかなわない。
間違って鼻から吸い込もうものなら、たちまちくしゃみがでて止まらなくなる。
それにしても、日本家屋はやはり趣があっていいと思う。
職人の魂が『家』という作品には込められている。
俺はそのことを深く心に刻みながら、
柱の一本一本に精一杯の情熱を注ぎ込んで、丁寧にかんなをかけていく。

ふと傍らの陽だまりを見ると、赤い小さな花が咲いていた。
俺は束の間、手を休めて、しばしその花を見つめた。
赤くて小さなその花は、花びらを強い風に煽られながらも、
それでも健気に力強く咲いていた。

次のお題は「流星」「ゴザ」「ストーブ」で。

383 : :02/01/25 01:26
「鼻」「花」「かんな」

師匠の銅像が記念館に建ってから一週間が過ぎた。 この
道で唯一華があると言われている人だからこのぐらいのこと
はなんてことはない。 連日連夜、ご年配の方々を中心に多く
の来客者があり、花なども贈られてきて師匠も喜んでいる。
しかし長年弟子として働いて来た私にとっ て一つだけ許せな
いことがあった。 製作当初から思っていたことだが、今夜こ
そそれを解決するための計画を実行することにした。
夜になり用意した道具を持って銅像の前に立つと同時に作業
に取り掛かった。道具はただ一つ、 かんなのみである。 力を
こめて銅像のある部分を削る。相手が相手なので時間は掛かっ
たが作業は完了した。
 大きく広がった鼻の穴、これでこそ師匠、これでこそ北島三
郎だ。鼻の穴の目立たないさぶちゃんなど本当のさぶちゃんで
はない。
 結局このことはばれて破門になったのだが悔いはない。私は
満足感でいっぱいなのだ。

次ぎは「ジェットストリーム」「えもんかけ」「のれんわけ」
感で


384 :踊るボボ人間:02/01/25 01:28
あら、かぶった。
お題は382のもので。

385 :名無し物書き@推敲中?:02/01/25 09:28
「流星」「ゴザ」「ストーブ」「ジェットストリーム」「えもんかけ」「のれんわけ」

窓の外には、対流圏上部の偏西風の中で発生するジェットストリームに煽られて薄い雲が水平になびき、平らになっている。
広々としたファーストクラスのシートに埋もれて僕はこれまでのことを考えてみる。
奉公先の主人に気に入られ、無理にとのれんわけされた老舗の和菓子屋の経営に行き詰った。
そして昨日、僕は何事もないふうな顔をして仕事を終えると、おかみさんに縫ってもらった仕事着のしわを丁寧に伸ばしてえもんかけにかけ、番台のゴザの上に短い書置きを残したきり、店を出てきてしまった。
なんだか妙に気持ちがぶれて落ち着かない。どうしてだろう――。
考えても仕方のないことのように思えて、僕は他のことに神経を集中させるべく客室乗務員の女に新聞を持って来させた。
老舗の和菓子屋を破綻させてしまうほど経営能力がない僕は政治経済には関心が持てず、新聞は社会面から読み始める。
「浅草の老舗和菓子屋全焼で死者5名」
それは僕の店だった。そして僕は、ゆうべストーブの火を消さなかったことを思い出した。
だけど、考えても仕方のないことだった。だってもうすべてが終わったことじゃないか。
窓の外へ向けた視界の中で流星がきらりと光って消えていった。

 なんか無理矢理ってかんじ。
 次は「明滅」「脅威」「驚異」で。

386 :名無し物書き@推敲中?:02/01/25 17:28
「明滅」「驚異」「脅威」

 雲ひとつない、暁の藍の空には、金星が明滅していた。見張り台の上で麻布に
くるまりながら空を見上げていた陽瞬は、その星を見つめながら、体の奥底より
滲み出てくるような不吉を感ぜずにはいられなかった。
しかし同時に、その時、なぜかは分からないが、自分の五体が大宇宙の中の塵ひと
つに帰する運命であることが、至極当然のことように理解できた。

 陽瞬が警護を命じられたこの南の砦は、長江にほど近い楚国との国境沿いの、いわ
ば最前線である。
楚人の武勇は、春秋戦国の頃からすでに伝説的ですらある。さらにここ数年、楚を襲
った飢饉のため、彼らは獣の如く凶暴に変貌していた。
かの地の、この恐るべき脅威は、昭王の知略をもってしても抑えることはできなかった。
すでに甚大なる犠牲の血は、払いすぎるほどこの地に染み込ませてきていたのである。
 陽瞬もこの砦への移動を命じられた時点で、すでに死は覚悟していた。

 空が明るさを増し、金星の光がほとんど消えかかった頃、南の地平が黒々とした土煙の
ようなものに覆われているのを見た。何万、いや、何十万の楚の大群が攻めて来たのか。
いや、違う。あの音・・・、地響きのような、地獄からの咆哮のような凄まじいあの音は、
人の出せる音ではない。では、いったい何なんだ。
 やがて陽瞬は、驚異の光景を目のあたりにした。黒い土煙は、見る見る上空に舞い上がり、
金星を、そして南の空全体を覆い隠していくではないか。
 それは何十万、いや何千万という蝗の大群であった。

次は、「家」「道」「ツバキ油」で

387 :名無し物書き@推敲中?:02/01/25 17:58
「アトピー性皮膚炎によく効くのよ」
そう言って叔母はわたしに中国のものだという、つばき油のボトルをくれた。
最近息子のアトピーがひどいと聞いて、わざわざ持ってきてくれたのだ。

わたしは今朝、突然叔母から、今日行くわ、という電話を受けた。
わたしたちがローンを組んでこの家に越してきたのは二年前だが、
叔母がこの家へ来るのは初めてのことだったので、わたしは電話で道順を説明した。
息子のアトピーについては、他の親戚の者から聞いたらしかった。

わたしは油のボトルをテーブルに置いてから、叔母にお茶を勧め、改めて礼を述べた。
「遠いのに、すみません。ありがとうございました。
わたしのあんな説明で道はわかりましたか?」
「大丈夫よ。まだボケてはいないのだから、ハハハ」
叔母は軽やかに笑ってお茶を啜った。
「早くよくなるといいわね」
叔母は息子のアトピーについて言った。
「ええ」
わたしはこたえ、もう一度ボトルを手にとってみた。
そしてラベルの効能書きを読もうとしたけれど、全て中国語だったので、殆ど理解できなかった。

次は「密林」「こけし」「亀裂」でお願いします。


388 :家・道・ツバキ油:02/01/25 18:24
残冬の気配がまだ残る早朝。薄明の中を身を縮めながら歩く男の姿があった。
身を切るような寒気は大分和らいだものの、まだ吐く息は白い。
幾分早足で歩を進めていた男だったが、大通りからやや狭い路地裏に方向を
変えようとした刹那、歩みを緩めた。既に右手は懐中から刀の柄に移されている。
男の視線が辻の暗闇に注がれる。はっきりそれと分かる殺気がそこから溢れ出している。
途端、男の背中に火のついたような激痛が襲った。続いて二の太刀。
咄嗟に抜き放った刀身で受けたものの、手が塞がったところを第二の刺客の斬撃が襲う。
あの辻から殺気を放っていた者だった。この斬撃で男は道上に倒れこんだ。
「もうよい。退くぞ」
薄れゆく意識の中、男はそれだけ聞いた。身体から流れ出す血がやけに暖かかった。
下手人は勤皇過激派なのは疑いようもなかった。巷で横行している「天誅」。
人が人を勝手な価値観で裁いて何が「天誅」か。これで世が変わると思っているのか?
まだ動く左手で、男は懐中からツバキ油を取り出した。家で帰りを待っている妻。
半年振りに会う妻への土産だったのだが、どうやら渡せそうもなさそうだ。
そして男はそのまま動かなくなった。

次のお題は「いななき」「電光石火」「破顔」でお願いします。

389 :名無し物書き@推敲中?:02/01/25 20:27
「密林」「こけし」「亀裂」「いななき」「電光石火」「破顔」

「とても奥深く続いていた。若き日に見た密林、それは、驚異なほど広かった」
講師は厳しい顔の年寄りだった。僕は眠い目をこすりながら話を聞いていた。
「・・若い頃、こけし職人に弟子入りしたことがあった。顔、そう、かすかな表情にすべてがあった。
密林の景色にも、かすかな表情の変化がある。それが道しるべになるんだ」
何だか話が変わっていたようだ。眠い。何もかも、どうだっていい・・。
隣のやつが、馬のいななきのようないびきを始めた。遠くで何かが吼えている。
「・・電光石火、とはこのこと。おれは、すばやく亀裂を跳び越え・・」
講師は僕たちが寝ているのに気づき、破顔一笑した。「わしの話は退屈だったかな」
あたりを見渡した。巨大な樹木や不気味な草、獣の呻き声。
僕は尋ねた。「先生、いつ、家に帰れるんですか」
「さあな。いつになることやら・・」
講師は力強く口を閉じ、ただ、木々の合間の太陽を見上げていた。

次;「赤ん坊」「宝石」「奮闘」でお願いします。

390 :「赤ん坊」「宝石」「奮闘」:02/01/25 21:09
 娘が16になったとき、宝石のついたこの指輪を渡すのが約束だった。
あのとき約束を交わした夫はもういない。わたしは一人でこの指輪を
彼女に渡さなければならない。
 あの子が生まれた日、はじめて歩いた日、まるで昨日のことのようだ。
とくにあの人が死んでからは、がむしゃらで、まだ父を亡くしたということの
意味を知らない娘に不憫な思いはさせまい、とがむしゃらに奮闘してきた
から、月日のたつのは本当に速かった。毎日が飛ぶようで、わたしが辛い
日のあの子、わたしが嬉しい日のあの子、あの子が嬉しい日のあの子、
あの子が辛い日のあの子。目を閉じるとあの子のすべてが流れていく。
 今日、あの子は16になる。しっかりした、立派な大人の娘。あの子に
指輪を渡さなければ。

 あの子が赤ん坊だったころ、遊びに来ていた友人がはずしていたのを
飲み込んでしまった指輪。笑って
「そのうち出てくるでしょ、あの子が大人になったらあげたら?」
許してくれた友人の指輪を。

#汚ねえ。
#「果汁」「レンタル」「ブックカバー」


391 :名無し物書き@推敲中?:02/01/25 21:32
胸がドキドキする。こんな気持になるのは、随分久しぶりだ。
僕は本屋でバイトしている二十歳の学生で、彼女はお客さんだ。
歳は二十二、三といったところだろう。
まだ、まともに話したことなどない。
「ブックカバーお付けしますか?」とか、「○○円です」とかその程度だ。
たぶん、彼女は僕のことなんて、何とも思っていないだろう。
街ですれ違ったって、気づかないに違いない。
実際、先日、この店の近くのレンタルビデオ店で、たまたま彼女と遭遇したのだけれど、
彼女は全く僕のことなど気にも留めずに行ってしまった。
僕はショックだったけれど、その時は、まあ、それも仕方ないことだ、と無理矢理自分に言い聞かせた。
今日も彼女は店に来ている。そして今、ハードカヴァーの本を手に、ゆっくりとカウンターに近づきつつある。
僕はカウンターの下に隠してある、果汁100パーセントのレモンソーダを一口飲んで、気を鎮めた。
今日こそ、何か気の利いたセリフを、と思う。でも……。
彼女が本をカウンターに差し出した。
僕は「いらっしゃいませ」とそれを受け取り、もう少しこの僕にも勇気があればなあ、と思いながら、
「1575円です」と言った。

次は「地球」「失恋」「方角」で。




392 :踊るボボ人間:02/01/25 21:39
「果汁」「レンタル」「ブックカバー」

どうやって話を切り出そうか迷っていることがある。
友達がレンタルショップで借りてきた本を又借りして読んでいたのだが、
ほんのひょうしでブックカバーを汚してしまったのだ。慌ててふき取っ
ったけどシミが出来てしまった。
 代わりのブックカバーが都合よくあるわけがなく途方にくれていたの
だが、もうこうなってしまったからには仕方ない、謝ることにした。言
い訳も考えてある。
 僕が果汁100%のジュースが好きなことを彼は知っているから、 それ
を飲みながら読んでいたらこぼれてしまったということにする 。 彼の
のことだから許してくれるに違いない。
 それにしても大変なことをしてしまった。恐るべしフランス書院。

次ぎは「電気あんま」「形態模写」「観音開き」

393 :踊るボボ人間:02/01/25 21:40
またかぶった。
お題は391さんので。

394 :999 ◆D0999.o. :02/01/25 22:12
「地球」「失恋」「方角」「電気あんま」「形態模写」「観音開き」

 これは秘密だけどぼくのうちの観音開きの三面鏡を通ると不思議な世界にいける。僕は
ママが出かけるのを見計らってこっそりと三面鏡をあけ、そっと鏡に足を踏み入れる。左
右の鏡に幾つも写る僕をくらくらと眺めていると、ふっと足元がなくなって、方角を見失
い、鏡の国へたどり着く。ここはきっと地球のどこでもなくて、宇宙のどこでもなくて、
僕らの世界とは別の世界。宿題も、失恋も、ママの小言もなにもない素敵な世界。
 鏡の国でまず最初に行くのはくじらやまのおばあちゃんのところ。おばあちゃんは足が
悪くてひざ掛けをかけて車椅子にいつも座っている。僕はおばあちゃんのために電気あん
まをおみやげにしたかったけど、電気があるかどうかわからなかったからやめた。
 おばあちゃんのいえの途中には声真似が得意なゲロックと形態模写が得意なスラッグが
いて、ふたりひとくみで僕を驚かせる。化けたスラッグの後ろから、こっそりゲロックが
声を入れる。でもゲロックはスラッグほど上手じゃないから、声でわかっちゃうんだ。ふ
たりはいたずらだけど、面白くていいやつら。
 ぼくはずっとこの世界にいたい、そうおばあちゃんに言ったけど、おばあちゃんは悲し
い顔をして首を振った。この世界のハサミは右利きのぼくには使いにくいからって、首を振った。

#なれないファンタジーを書くものじゃないね……
#「アクセル」「ターン」「コマ割り」



395 :「アクセル」「ターン」「コマ割り」:02/01/25 22:48
十ターン目だった。
スターリングラードを目前に控え冬将軍に祟られた独軍プレイヤーは
ゲームマスターであるところの私に新提案をしてきた。
それは、提案といえば聞こえがいいが将棋の『待った』のごとく無理難題
そのものなのである。彼の云う言はこうだ。
「我が軍は、友軍救出の為に鬼足で駆け付けたのだ」
意味不明である。近代戦において、この手のヨタは通用しない。
私の意を悟ったのだろうか、暫しの沈黙を経て再び彼は口を開いた。
「我が軍は、友軍救出の為機械化部隊を先行させ、アクセル全開で
戦場へ駆け付けたのだ。補給充足率は通常の半分で構わん。どうだ?
これで文句無いだろう」
目が座っていて怖かったが、それ以上に原稿に起こした際のコマ割りが
効果的であろうという事柄に、私は心を奪われていた。
春はもうすぐそこにある。
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次は「炎」「レバー」「審判」で


396 :999 ◆D0999.o. :02/01/25 23:26
「炎」「レバー」「審判」

 俺は最後の審判を下す神のように雛鳥を喰らっていった。
炎に翳し、じっくりと汁をたらす肉を炙る。レバーを串刺しにし、
滴る血液もろとも胃袋に押し込む。内臓は特に美味い。これ
だから焼き鳥はやめられない。

「春秋」「再発行」「防水」

397 :うはう:02/01/26 00:19
「春秋」「再発行」「防水」

 時は春秋戦国時代。中国。
 やっとの事で長江を渡りきった某武将は、困った事に気が着いた。
 「しまった、IDカードがビショビショ・・・」

 時と所を問わず、歴史の有名人がお世話になるIDカード。
 中国版は黄色の龍の印で、これがないと4年に一回の超時空パーティに出られない。
 あそこで情報を仕入れる事ができないと、彼は困るのだ。
 劉邦も劉備も、みんなこのカードのお世話になって時代を先取りできたのだ。

 「どうして防水にしなかったんだー!」
 長江は世界に類を見ない規模の川だった、こう広い国土ではID再発行もままならない。

 長江を渡ったとたん、大敗を喫する武将が多いのは、つまりはこういう訳だった。

 ※中国史が苦手で春秋戦国時代の人名が一人も思い出せなかった(涙)
  次のお題は:「パジャマ」「浴衣」「ジャージ」でお願いします。

398 :名無し物書き@推敲中?:02/01/26 00:36
「パジャマ」「浴衣」「ジャージ」

 放浪の旅の途中、まさか浴衣姿の女性に出会えるとは思わなかった。
このニュージャージに滞在する日本人が文化交流のために開いた
「祭」だという。やぐら太鼓、わたあめ、なにもかもが懐かしく、どこか
気恥ずかしい。
「ジャパニーズ」
興味深く見物していたら黒人の子供がそでを引っ張った。くりくりした目が
かわいらしい。「ユカタとキモノはどう違うの」
英語でそう尋ねられた。これは難しい問題だ。俺は日本人だが、多くの
日本人がそうであるように、日本文化には詳しくない。
「キモノはユカタに比べて正式な衣装です。ユカタは普段にも着ます。
それはしばしばパジャマとしてもきられます」
たどたどしい英語で答える。
「じゃあ、祭りはジュニアスクールのパジャマデーのようなものなの」
「いいえ、違います。祭りは神に感謝して一晩中大騒ぎするパーティです」
「夜のパーティか。じゃあ、やっぱりパジャマデーだね」

#ジャージが苦しい
#「史観」「小市民」「ズル」


399 :名無し物書き@推敲中?:02/01/26 01:58
司馬史観の最大の問題点は、「明るい明治」「暗い昭和」という、いかにも文学的な括り方をしている点で、
佐藤は常々、いまいち気に入らない、と思っていた。
文学者はおとなしく「お話」を書いてりゃいいんだよ、と思う。
だいたい、作家をありがたがるような連中は、所謂小市民と相場は決まっている。
そもそも作家などという人間は、一般社会に適合できない、はみ出し者だろうが。
いってみれば作家業なんて、「カタギ」の職業ではない。
学術的なことは、私達みたいな「学者」に任せておけばいいのだ、と佐藤は考える。
昔から餅は餅屋と昔から言うではないか。
作家として名声を得、そのうえ学術的分野においても評価が高いなんて、そんなのはズルい。
佐藤はそんなことを考えながら冷酒を呷った。
佐藤がこんなに荒れているのには、訳があった。
昨夜、佐藤は女に振られた。彼女は同じ研究室に勤める同僚だった。
佐藤自身、彼女の方も満更ではなかろう、と思っていたのだが、
いざ告白してみると、彼女には婚約者がいて、その彼の職業が、作家だったのだ。
しかも彼はベストセラー作家で、世間にも名が通っていて、
とどめを刺すように、佐藤よりかなりの色男でもあった。
「くそっ!」
佐藤はその夜一晩で、慣れない日本酒を一升も飲んだ。
そして当然、翌日はひどい二日酔いに悩まされることとなった。

次は「飛行船」「日記帳」「薔薇」で。


400 :999 ◆D0999.o. :02/01/26 02:37
「飛行船」「日記帳」「薔薇」

 姉は薔薇を育てることだけを唯一の楽しみにしていた。
彼女の薔薇への情熱は、園芸好きな家庭人の枠をはるかに
超えた、ブリーダのそれだった。
 彼女は毎日飼育日記をつけ、交配や資料に関するデータを
すべて記録していた。誰にも負けない薔薇を作ることが彼女の
夢だった。香りにおいてロザ・モスカータ、形においてロザ・シネ
ンシス・ミニマに勝る、完璧な薔薇が彼女の夢だった。

 けれど、薔薇と戦った彼女の生涯は、人間同士で戦うおろかな
人びとによって燃やされてしまった。彼女も、彼女の薔薇も、黒い
飛行船から落とされた爆弾で焼き尽くされた。
 未だにこの世界には完全な薔薇など存在しない。薔薇だけで
はない。戦争をやめれば実現する、多くの科学技術が未だ夢の
まま、時に燃やし尽くされようとしている。

「紙風船」「消印」「でがらし」

401 :999 ◆D0999.o. :02/01/26 02:46
>>400
毎日飼育日記をつけ→毎日日記帳に記録をつけ
に訂正させてください。日記帳がなかった。

402 :名無し物書き@推敲中?:02/01/26 07:00
「紙風船」「消印」「でがらし」

彼女から手紙が届いた。
消印を見ると、故郷から少し離れた港街のもの。
新しい夫と幸せに暮らしているらしい。
でがらしのまずい茶を飲みながら、私は手紙を
握りつぶしてくずかごに放りこんだ。
(こっちは独りで気楽なもんさ。ヘッ)
苦楽を共にしてあれほど愛し合った二人だったが・・・
「人情紙風船」という映画の題名を思い出してしまった。

403 :402:02/01/26 07:01
次回は「列伝」「のっぽの古時計」「阿波踊り」
でよろしく。

404 :名無し物書き@推敲中?:02/01/26 13:15
〜阿波踊り列伝〜

1274年 北条時宗、2度の元寇を阿波踊りで撃退
1635年 天草四郎時貞、十字架を担ぎ、阿波踊り、信者獲得
1642年 水戸黄門、阿波踊りで悪代官退治、うっかり八平衛、うっかりする
1781年 山本トメ吉、全裸で阿波踊りを踊り、一躍有名になる
1789年 マリー・アントワネット、「阿波踊りが出来なければ、
    ステテコ踊りを踊ればよいではないか」とのたまい、民衆の反感を集める
    フランス革命勃発、オスカル様も阿波踊り
1867年 ええじゃないか踊りと阿波踊りの全面戦争勃発、阿波踊り勝利する
1966年 ビートルズ、武道館で泡踊り、伝説となる
1969年 アポロ月面着陸、アームストロング船長、月面で阿波踊り
1985年 「できるかな」ののっぽさん、何故か古時計を担いで阿波踊り、
のっぽの古時計踊りと言われ、全米震撼
1988年 ジャストシステム社長 浮川和宣氏、PC−98を担ぎ阿波踊り、男を上げる
1999年 恐怖の大王とアンゴルモアの大王、阿波踊りを仲良く踊る


お次のお題「アポロ」「エッフェル塔」「ナイヤガラ」

405 :名無し物書き@推敲中?:02/01/26 16:53
>>404
どれも固有名詞ではなかろうか?

406 :名無し物書き@推敲中?:02/01/26 18:27
>>404
お題に固有名詞は禁止事項ですぜ旦那。

407 :名無し物書き@推敲中?:02/01/26 21:28
「アポロ」「エッフェル塔」「ナイヤガラ」

ハーイ!コンバンワ!
ピロスエの『マジでゲロ吐く5秒前』
今週はパリはエッフェル塔からお送りさせていただきま〜す!!
フランスのゲロマズ料理!ドーンと紹介しちゃいます。
ゲストにはジャン・ゲロさんに色仕掛けでだまくらかして来ていただきました。
「□※☆▽!」
ハイ!ジャンはもう車酔いでボロボロ!
その上高所恐怖症で準備はカンペキだそうです。

さて、今日の秒殺料理は
「明治『アポロ』のチリソース炒め」
「ナイヤガラワニの塩漬けのミソ煮込み」
「コウモリの睾丸の刺身}

ハイ!ジャン!シルブプレ!
「□※☆!!!!!!!!」

来た来た来た!来たみたいデスヨー!
5・4・3・2・1
「うべ〜〜!ゲロゲロゲロ〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」

ハイ、それではまた来週!!!!キャハ!

#まぁまぁまぁ。
#固有名詞良くないけど、架空の個人名とかじゃないし、あんまり厳しいのも。
#次は「悪巧み」「三段腹」「学校体育」



408 :名無し物書き@推敲中?:02/01/26 22:41
『これにて一件落着』
最後のセリフが決まったとき、
私はなんともいえない快感を感じるの。

勧善懲悪巧みな構成。
誰でも知ってる主題歌と、
ここ一番での派手なチャンバラ。
そうよ私は時代劇が好き。
学校体育のカリキュラムに、
殺陣を入れてくれないかと思うくらい。

ほんとはこの三段腹の悪代官や、
さっきすれ違ってた町娘の配役が通好み。
そこら辺がこの作品の魅力なんだけど、
誰も分かってくれないの。
でも、あなたなら分かってくれるわよね。
あらどうしたの、なんだか顔が引きつってるわよ?

#初投稿です。なんかダメでした。
#「スケッチブック」「注射器」「ゴミ袋」でお願いします。

409 :◆SpLWlLC. :02/01/26 23:15
「スケッチブック」「注射器」「ゴミ袋」

ぼくには特徴がないので、
誰もスケッチブックに留めておくことはできない。
誰も寄らない、近づけない、お母さんでさえも。

ぼくには特徴がないので、
先生が毎晩、注射器に特徴を入れてぼくに混ぜる。
動いているものが一瞬、止まって見え続ける。

ぼくには特徴がないので、
何かしてほしいとき、非常に、大きな声を出さなくてはいけない。
それでもたまに無視されるのでぼくは音波すら持っていない。

そんなぼくは、『ゴミ袋』というものに嫉妬する。
みんなのそれぞれを吸収して、しかもそれをぼくに見せ付ける。
傷つけてやりたいと強く願う日々がここ毎日だ。

(彼はこの後逃げ出します。逃げ出して街に出て、呆けて自分で帰ってきたのです)

ぼくには特徴はない、
べつにそれでいいんじゃないか。
べつにそれでいいんじゃないか。


#一行多いです。すいません。
#次は「瀕死」「ニクロム線」「チェック」で宜しく願います。

410 :名無し物書き@推敲中?:02/01/26 23:44
この度は弊社の電熱調理器をお買い上げいただき誠に有難うございます。
今回のご指摘の件ですが
「瀕死の小鳥を拾ってきたので暖めようと思い、電熱調理器にのせて加熱したところ
気がついたら熱くなりすぎて死んでしまった」、ということでよろしいでしょうか?
お客様にこんなことを申し上げるのは誠に心苦しいことでございますが
電熱調理器はニクロム線を利用した「調理用品」でございます。
「拾ってきた鳥を食べようとして調理器にかけたら元気になってしまった」
というような状況でございましたらもちろんそれは当社の製品の不備でございます。
お客様におかれましてはもう一度良く取り扱い説明書をチェックなさることをお勧め
致します。
そういうわけで、今回の件に関して当社からの保障は致しかねます。
どうぞ悪しからずご了承ください。

#次は「ベルトコンベア」「早朝」「豪華絢爛」でお願いします

411 :名無し物書き@推敲中?:02/01/27 00:32
早朝から長い列だ、店の前には豪華爛漫な花輪が飾ってある。

ここ、「大回転寿司」はオープン前から噂になっていた、とにかく変わった店らしいと

そう聞けば、回転寿司マニアの俺は黙っていられない、俺は前の夜から店の前に並んでいた。

やがて、店はオープンした、俺は颯爽と中に入り、席についた、が、中を見て驚いた。

回転寿司につき物のベルトコンベアが無いのだ、いったいどうした事だ?
やがて、目の前に寿司が並び始めた、一体、これから何が始まるのだ?

そう思っていると目の前の寿司が動き出した、コンベアも無いのに?

見ると自分の椅子の下にベルトコンベアがあって、俺の方が回っていたのだ。

ああっ、これぞ、回転寿司の地動説!、俺はカルチャーショックを受けて目が回った。

*お次のお題「エンジン」「すき焼き」「戦車」で

412 :402:02/01/27 07:02
「隊長!ふもとの街にて、今夜は全世帯すき焼きであります!」
部下の報告を受けて、私は奮い立った。
この山岳地帯に潜伏して十余年、わが部隊はこの日を
どれほど待ちわびていたことか。
好機逸すべからず。私は全部隊に号令を下した。
「ついに我々の決起すべき時が来た。今夜はすき焼き三昧
だぞ!総員乗車!エンジンかけろ!」
全山ゆるがすほどの拍手と歓声。総勢二百名の飢えた狼どもは
ことごとく戦車に乗りこみ、津波のように街へと攻めこんだ。

「隊長!美味しいであります!生きててよかったであります!」
古参兵も新兵も、感激のあまり涙を流して肉を噛み締める。
「泣く奴があるか!さあ、こっちも煮えている。もっと食え!」
これまでの艱難辛苦の日々を思い出し、いつしか私も涙声になっていた。
二時間後、全市のすき焼き鍋はことごとく空となった。街中に
我々を怨む市民の哀号が響き渡り、我々は去ることにした。
新たなすき焼きの地を求めて・・・





413 :402:02/01/27 07:03
次回は「天才」「裏道」「意地」でお願いします。

414 :うはう:02/01/27 11:41
「天才」「裏道」「意地」

 「織田伯爵、貴方が犯人ですね?」
 説明を終えると明智探偵は訊いた。
 さすが天才。あまりにもあざやかな謎解きに、一同は静まり返っている。

 ソファーに崩れ落ちた伯爵は、じっとうずくまりこう呟いた。
 「わしには、アリバイがある」
 一代で「織田帝国」と呼ばれた大企業を築きあげた意地が、その声にはあった。

 「探偵さん、わしには完璧なアリバイがあるのじゃ」
 迫力に押された小林少年が、思わずコーヒーの黒砂糖を落とした。
 うずくまったまま、人並み外れた素早さで、黒砂糖を拾う伯爵!
  
 伯爵はこう言った。
 「砂糖だ、甘いぞ、嬉しいな」
 勢い余って、明智探偵にコツンと頭をぶつける伯爵。
 彼は、四つんばいでドアの隙間をすり抜け、裏道の地面を掘って地下に巣をつくった。

 明智探偵も、小林少年も、開いた口が2分は閉じない。
 それは完璧なアリ這いだった。

 ※こんな結末・・・乱歩も書けないだろうな(恥)
 次のお題は:「洗剤」「潜在」「前菜」でお願いします。

415 :402:02/01/27 14:09
「ずいぶん遅いじゃないか」
エヌ氏はいらいらしていた。
「さっきから三十分も経つのに、前菜ひとつ持ってこない
じゃないか。どうなってるんだこの店は!」

「お待たせいたしました」
「遅いよ君!・・・えっ、何だこれは」
「前菜です」
「お汁粉じゃないか!」
「ええ。ぜんざいです」
「上にかかってる白い粉は何だ!?」
「洗剤です」
「何っ、この店では客に洗剤を食わすのか!?」
「そうさ。この顔を忘れたか。お前にさんざん虐待されて
死んだお前の先妻、エス子の弟エルだ!」
「げえっ」
エヌ氏は潜在的に危険を感じて逃げようとした。しかし、屈強なエルの両腕が
彼をつかまえて離さない。
「この店にお前がやって来たとは、まさに千載一遇の好機。
さあ、この洗剤入りのぜんざいを食って地獄へ行け!」

エルに口をこじ開けられ、洗剤風味のぜんざいを無理やり
流し込まれるエヌ氏。薄れゆく意識の中、彼は
亡き妻の面影を見ていた・・・


次回は「真剣勝負」「虫歯」「口笛」でよろしく。

416 :999:02/01/27 15:32
「真剣勝負」「虫歯」「口笛」

歯科医がこれほどの真剣勝負を強いられる職業だとは想像もして
いなかったし、大学でも習わなかった。泣いて暴れるガキの対処法
ならば、研修時代に痛いほど思い知らされたが。
もちろん、患者は多かれ少なかれ緊張しているし、歯医者が好きな
人間なんていないだろう。いきなり口笛を吹き出す女性の患者も
いる。こちらは「口紅を拭いて下さい」と頼んでいるのに、緊張の
あまり「口笛を吹いて下さい」と聞き違えるらしい。
今日の患者は口の周りを口紅で彩る女性ではなく、食べかすを
つけっぱなすガキでもない。立派な口鬚を蓄えた大人だ。だいたい、
相手が緊張しているからといってこちらも緊張する必要はない。
彼の治療を待つ付人のような男達の小指がないのに気付かなければ
たかだか虫歯の治療でこちらの手まで震えることはなかったろうに。

#ありがち。
#「役割」「指す」「発展」


417 :役割・指す・発展:02/01/27 16:22
教師は何面にもカットされ、きらびやかに輝く物体がついた指輪を手にかざした。
「問題です。これは何でしょう?」
児童の一人が大声で叫ぶ。「ダイヤモンドだよ。そんなん常識じゃん!」
その大声に釣られるかのように、教室中を児童達の笑い声が覆った。
「そう思うだろ。でもなこれは違うんだ」
教師は窓を開け、手に持っていた指輪を投げてしまった。
「あー」と驚嘆した声を出し、児童等はダイヤモンドが投げられた方角を指す。

「あれは巧妙に作られた硝子で出来た指輪なんだ。おもちゃの指輪。
硝子がダイヤの役割をはたしていたんだね。
けれども、みんなはきらきら光っている事やその形から頭の中で勝手に考えを発展させてしまった。
だから、高価なダイヤを捨ててしまったと思いこんだ。百円の価値しかないのに。
もっと自分で考えて実体をよく見て欲しい。
そして、そのものが実際には何か、という事の分かる人間になって欲しい。
先生が今回伝えたかったのはそういう事。はい、今日のお話は終わり、さようなら」

その夜、誰もいない校庭で蹲って何かを探している人影があった。懐中電灯の光がちらつく。
「あー、何処行ったんだよ婚約指輪。高かったのに」

#次のお題は「夕餉」「うやむや」「ライブ」で御願いします。

418 :999:02/01/27 17:14
夕餉うやむやライブ

夕餉の時間だというのに落ち着かない。呼んでもいないのに押しかけてきて
うやむやのうちに居座わっている男達が気になってしょうがない。何が面白
いのか、食卓に並ぶ平凡なおかずを眺めている。三菜一汁のメニューには
取り立て変わったところがないはずだ。
間がもたず、リモコンに手を伸ばしてテレビをつける。幾つかチャンネル
を変えると右隅の生中継を表すライブの文字とともに我が家が現れた。
「隣の晩ご飯」のキャプションが毒々しい。テレビマンを隣人にもった覚えは
なかったが。興味のないふりをして裏番組にチャンネルを変えてやった。

「とばり」「ヤマアラシ」「住民数」

419 :「夕餉」「うやむや」「ライブ」:02/01/27 17:37
書いてしまったのでとりあえず。

山間部にある過疎化の進むある農村。
テレビも地上波は国営放送ぐらいしか受信できない、文字通り陸の孤島。
ある家庭の夕餉。
「トマトもちゃんと残さず食べなさい」
「母さんだって、うんこ食べろって言われたら食べないくせに」
「食べ物とうんこを一緒にする奴があるかっ!ばかもん。」
「そうよ、屁理屈言ってないで、食べなさい!」
「うるさい、マザーファッカー、アンクルファッカー!トマトはうんこだ!」
「そんな汚い言葉どこで覚えたんだ!!嘆かわしい、、、いい加減にせんと土蔵に閉じ込めるぞ!」
「そうよ、言いなさい。誰の入れ知恵なの?」
土蔵といわれて一寸怯む。「テレビで、、」とうやむやに答える。
「テレビの?はっきり言え!!」
「お笑いのライブ番組みてて、、」だんだん声が小さくなる。
「ごめんなさい、、、」懇願するような目。
でも、このとき父親はもう決めていた。
3日前に導入したばかりのCSアンテナとチューナーは納屋の奥に放り込むことに。

#お題は>>418ので。

420 :うはう:02/01/27 21:49
「とばり」「ヤマアラシ」「住民数」

 「ヨーゼフ。明日、あの!コーカサスのヤマアラシ叔父さんがくるんだって」
 父さんも母さんも暗い顔でしたが、今年7歳のソーニャは嬉しくてたまりません。

 翌日、夜のとばりも降りようかという頃、叔父さんはやってきました。
 「いらっしゃーい!」と、満面の笑みで迎えるのはソーニャだけでしたが。
 「おー、久しぶり。ワニャー!」

 「お兄さん、お義姉さん、ワニャー!」「わにゃー!」(後のほうはソーニャです)
 食事。「おいしいなあ。ワニャー」「ワニャワニャワニャー!」
 世間話。「ワニャー!ワッワッ」・・・これさえなければ、性格もいいエリートなのに。

 1時間もすると、母さんは、こみあげる何かを耐えられなくなりました。
 伝染が始まります。「叔父さん、ワニャー!」「わにゃー!」「ワニャハッハ!」
 叔父さんとソーニャは、街に繰り出しました。もう止められません。
 限られた住民数のこの街は、深夜まで楽しそうな「ワニャー!」が・・・

 「「ワニャー叔父さん」とは、こういう話だったっけ? ナスターシャ」
 「「ワーニャ叔父さん」です!」秘書は叫んだ。
 何も、泣かなくてもいいじゃないか・・・

 ※自分もまだ読んでません。本当にこんな話だったら嬉しい(^^)
 次のお題は:「大黒柱」「通信」「仕様」でお願いします。

421 :「大黒柱」「通信」「仕様」:02/01/27 23:36
リストラされた。これで俺も無職の仲間入りというわけだ。
一家の大黒柱などと偉そうに威張れたのも昨日までだ。
「ただいま。」「おかえりなさーい。」
「あのさ、俺、、今日ね…」「あ、あなたお願いがあるのよー」
妻はおれの話などどうでも良いという素振りで、眉間にしわをよせながらいう。
「あのねぇ、このパソコンなんか通信がうまく出来ないみたいなの。」
「昨日あなたに設定してもらったときは、大丈夫だったのに。」
「ほら、全然つながらないのよー、みてもらえるかしら?」
裏の配線を辿り、コネクタやコンセントを確認する。問題なし。
ふと画面を見る。・・・
「おまえ、プロバイダに接続しないと繋がらないの当たり前だよ。」
「電源入れただけで繋がらないなんて不親切ね。」「そういう仕様なの。常識!」
思い出した。仕様だと言い張って、顧客の要求を突っぱねて怒らせて俺は、、
「そう、俺今日会社クビになったんだ!」

次のお題は「ファッションリーダー」「真空ポンプ」「座禅」で。


422 :999 ◆D0999.o. :02/01/27 23:42
「大黒柱」「通信」「仕様」

 インターネットには魔物が住んでいる。通信仕様を決定するIP
は現行のv4から広大なIPアドレスフィールドをもつv6へと以降が
はじまっている。
 インターネットの大黒柱とでもいうべきTCP/IPは日々その姿を
変え、ブロードバンド時代へと邁進している。IPv6では地球上の
すべての分子にIPアドレスを割り振ることも可能だ。

 もっとインターネットを。いつでもインターネットを。
 
 インターネットには魔物が住んでいる。否。インターネットが魔物
なのだ。2chでリロードを繰り返していると、そんな思いに駆られる。

#遅れた。
>>421の「ファッションリーダー」「真空ポンプ」「座禅」で


423 :999 ◆D0999.o. :02/01/27 23:53
「ファッションリーダー」「真空ポンプ」「座禅」

 ファッションリーダーともてはやされ、雑誌の表紙に祭り上げられて
いたのも遠い昔。いまや仕事といえば地方番組のレポータがせいぜい
というお寒い状況だ。
 あの頃の俺が、いかに調子に乗っていたのか、捨てるに捨てられない
当時のVTRを見ると良く分かる。どんなに飾り立てても本物のいい男には
なれないし、まして漢には絶対になれない。映画にでても若い女性、それも
目の肥えていない女性にしか評価されないし、歌はベストテンを賑わして
すぐにビルボードから消え、やがて人々の記憶からも消えた。
 諦めたつもりだった。
 けれど、真空ポンプでいくら空気を吸い出してもほんとうの真空は作れない
のと同じように、作り物の真空の中に僅かに残る空気のように、俺の中には
諦め切れない何かがあった。山にこもり座禅でも組んで、坊さんに渇を入れ
られれば、すべてを捨てられるのではないか、そう思ったこともあった。

 実行には移していない。残留分子のように俺の中に残る捨てきれない
虚栄心と名誉欲。その隙間に紛れ込んだ、きっと夢のせいだ。

#責任とって書いてみた。
#「賢者」「囚人」「秘密」


424 :名無し物書き@推敲中?:02/01/28 02:29
俺はヘマをして刑務所にぶち込まれた。

今度は凶悪で名高い、網走刑務所だ、、
俺はタコ部屋に案内された。
見ると一人の囚人が一段高い所に座っている、
その賢者とも思える掘りの深い顔つき、だが、目つきは鋭い、
おそらく、奴がこの房のボスだろう、俺は挨拶をする事にした、
「おひかえなすって、あっしは銀次というケチな悪党でございまして、、」
だが、ボスと思われる男は俺を睨みつけたまま、微動だにしない、
俺は恐ろしくなった、何かヘマをしたのだろうか?
「オイ!」
「うわぁっ」
別の囚人が俺の背中を叩いていた!
「ふふっ、そいつの秘密を教えてやろうか?」
「ひ、秘密?、こ、このお方の秘密ですか?」
「ふふっ、実はその人はもう、三年間も動いていないんだ」
「さ、三年間?」
「ああ、だから、多分、死んでいるんだ、その人は」
網走刑務所、何と恐ろしい所であろうか、、、、

次のお題「刑務所」「フォアグラ」「新幹線」

425 :◆SpLWlLC. :02/01/28 02:44
遅れていますが、書いたので。

「賢者」「囚人」「秘密」

俺は呼んだことないけどな、ああ。別に意外でもないっしょ?
えっウソ、俺のキャラに合わない?そういうの好きだろうってか(笑

いやいや、なんかあれだけ周りが騒いでるとさぁ、失せるじゃん、萎えるってかさ。
どうもだめだね、もう俺は雰囲気としてもう手を出せなくなってるよ、うん。
もののけ姫とか千と千尋とかこっぱずかしくてさぁ、なんかだめ。
ドラクエで『賢者いないとキツいよ』って言われても逆に作れない人間だから(笑

いわば情報操作じゃねー?一種の。あんだけテレビで流してたらさ、
そりゃ見に行くっての、なぁ?映画で言えばさ、うん。
ほいで向こうもそんな感化されたヤツをまた取り上げんじゃん、もういや、囚人みたいで。

あ、別に前々から呼んでる人で、感動してる人を、否定する気はさらさら無いよ、全然。
それは、言っとく。

マジで?呼んでみろってか?うーん…そうだなー、ここ今俺らしかいないっしょ…
やる?やるか…、よし、やろっか!?でもマジでこれ秘密にしといてよ。キミら信じてるよ(笑
あ、あるの?なんての、呼ぶ準備というか、あ、あるんだ。なにそれ蛙の心臓と、コウモリの羽に…


#慣れない路線で(好きですけど)やってみた。微妙。
#お題は「刑務所」「フォアグラ」「新幹線」 です。

426 :初参加@「刑務所」「フォアグラ」「新幹線」:02/01/28 13:06
揺れを体に刻みながら、俺は食事を続けた。新幹線に乗るのは久しぶりだ。ビュッフェで食事をするのも、
どのくらいしていなかっただろう。
俺は仔牛のカツレツにナイフを入れた。撫子色の断面は食欲をそそる。
正面に座った恋人は食べたがっていた好物のフォアグラが無いのに不平を言いながら、
代わりに頼んだローストチキンの骨を外そうと悪戦苦闘している。あんな物、俺は嫌い
なのだが。そもそもビュッフェのメニューにあると思ってたのだろうか。
俺はノンアルコールのカクテルを口に含んだ。
恋人は俺の視線に気付いた。にこりと笑って、食べる? と聞いてくる。俺は首を振った。
この恋人とした悪事…。それが会社にばれるまで、もうしばらく時間はある。
逃げてやる。刑務所送りになんか、なってたまるか。
逃げ切ってやる…。

次は「チョコレート」「化粧品」「パソコン」でお願いします。

427 :名無し物書き@推敲中?:02/01/28 16:40
「チョコレート」「化粧品」「パソコン」

化粧品売り場の女の子と付き合い始めて半年になる。
彼女は僕にはもったいないくらいの美人で、しかも家庭的な優しい人だ。
僕の部屋に泊まった翌朝、いつもおいしい朝食を作ってくれる。
「わたし、お料理よりもお菓子つくる方がもっと得意なの」
いつの日か、彼女は自慢気にそう話していた。
僕はそのときから、彼女の手作りのお菓子を食べられる日を楽しみにしていた。
クリスマスには、ケーキを焼いてくれるのかと期待してみたりしたが、彼女がくれたのは気彫りの象だった。少しがっかりしたけれど、手作りだと言うので、大事に箱に入れてしまってある。
そして、今日はバレンタインデー。一体彼女は何を作ってくれているだろう――。
仕事のあと、いつもの喫茶店で待ち合わせをした。
約束の時間通りに現れた彼女は、にこにこして僕にとても大きな包みを渡す。
「ありがとう、何かな?チョコレートかな?」
中から出てきたのはパソコンだった。僕が欲しがっていた最新のノートパソコンだ。こんな高価なものを……。嬉しくなってその場でパソコンを開いて電源を入れてみる。しかし、パソコンは起動しない。
「それ、チョコレートなの。びっくりした?」
え?僕はディスプレイを齧ってみた。ほろ苦いカカオの味が口内に広がる。
僕は彼女の芸術的とも言える才能に驚嘆し、彼女が僕の恋人だということを改めて誇らしく思った。
そのとき、箱の中で眠っている象の置物が僕の脳裏をよぎった。まさか――。
帰宅するなり僕はあわててクローゼットに走りより、奥の方から埃まみれになった小さな箱を取り出す。しかし、僕には蓋を開ける勇気がなかった。
あの象がお菓子だとしたら中はどんな惨状になっているか、想像しただけで恐ろしいことだった。

次は「常套」「警視庁捜査一課」「蝋細工」で。

428 : :02/01/28 17:13
「チョコレート」「化粧品」「パソコン」

 閉店間近のデパートの福引会場。そこにそのカップルは並んでいた。
女のほうは40も後半といったところで、一階隅の化粧品店の袋を大量に下げ
貰った福引券を嬉々として数えている。

「3回ですね」
俺がそういうと、女は指輪のめり込んだ太い指で慎重に福引を回す。
からからと小気味良い音がして、白い玉がぽとりと落ちた。
「残念。」
そういってティッシュを差し出すと、女は不服そうにもう一度、今度はやや乱暴に福引を回す。
結果は同じだった。
男の方が彼女を押しのけて前面に出る。甘ったるい香水の匂いが流れ込んでくる。
「だから言ったろ、パソコンなんて当たらねえよ。」
ビターチョコレートを溶かしたような毒声でそう吐き捨てると、
彼は福引を豪快に回した。
見たところ30にも満たないその男と、
隣の醜女との関係を推量するにははさほど想像力を必要としない。

「おめでとうございます。青玉は2等の温泉旅行ご優待です。」
きゃあきゃあと叫ぶ女をよそに、男は恨めしそうに俺を見た。
俺は当選を告げるベルを力なく振り回した。

どうも初参加です。いまいちまとまりませんでした。
次のお題「洗剤」「夜景」「革新」でお願いします





429 : :02/01/28 17:15
ア、被った。「常套」「警視庁捜査一課」「蝋細工」で。

430 :名無し物書き@推敲中?:02/01/28 17:49
その部屋には、所狭しと蝋細工の人形が並んでいた。
警視庁捜査一課の刑事、田上は、一瞬、息を飲んだ。
どれも見事な出来栄えであった。モチーフは男女様様である。
部屋が薄暗いせいもあって、それらは、まるで生身の人間のように見えた。
この部屋の持ち主、長島は、連続幼女誘拐の重要容疑者として全国指名手配されている。
田上は、数時間前に、匿名のタレコミ電話を受けて、こうして駆けつけたのだった。
同僚の井筒は、部屋の外で待機している。田上は、ドアのところへ戻り、井筒を呼び入れた。
井筒も、部屋へ一歩足を踏み入れるなり、そのあまりに異様な雰囲気に、立ちすくんだ。
が、しかし、すぐに、部屋の奥へと歩を進め、一体の人形の前に立った。
そして、ふざけた野郎だ、と呟くと、いきなり振り返り、自分の背後にあった人形の顔面を殴りつけた。
田上が驚いて声を掛けるより早く、その蝋細工である筈の人形が、くぐもったうめき声を上げて倒れこんだ。
それは容疑者の長島だった。
「どうして分かったんだ?」
田上は訊いた。すると、井筒は事も無げに答えた。
「こういうのは、こういう悪趣味な連中の常套手段なんですよ」
そう言った後、井筒は、唇を切って血を流している長島を立たせると、手錠を掛けた。

次は「鞭」「麻縄」「磔台」で。

431 :「鞭」「麻縄」「磔台」:02/01/28 18:23
「それでは、米田先生、どうぞ」紹介を終えた監査役の教師が、黒板の脇にどいた。
目の前には誰も立っていない教壇が残される。今からあそこに登らなければならない。
心臓がでたらめな方向に跳ね上がる。耳がわんわんなる。汗がしたたる。教室は静まり返っている。
生徒たちは−−だめだ、とてもじゃないが見る事ができない。
「米田先生?」大丈夫か、この実習生。そんなニュアンスに聞こえてしまう。
だめだ、動かなければ。磔台に上る囚人のような足取りで、なんとか米田は教壇にたどり着いた。
教壇をつかみ生徒に向き直る。一番前の女生徒と眼が合ってしまう。視界がゆれる。ぐらり。
何か、なにかしゃべらなければ。れんしゅう、どおりに、
「えーご紹介にあずかりましたわたくし米田です縁あってこのクラスで教鞭をとることに」
教鞭。教鞭って。今時言わねえよ。くすくすと笑い声が起こったのは
自己紹介が変だからか裏返った声のせいか黙り込んでしまったからか脂汗をしたたらせたこの顔がおかしいのかそれとも
ぐぎゅる、という音とともに下腹部に麻縄でしめつけられるような激痛が走った。
それが、小学生時代と同じアダナを付けられた教育実習生、米田の実習一日目の始まりだった。

「先輩」「ビタミン」「コンパス」で。


432 :名無し物書き@推敲中?:02/01/28 18:42
クラウンのファゴットはサーカスの人気者。
象のような大きいお腹を縞模様のだぶだぶズボンに包んで所せましと
転げ回る。子供たちはキャンディ・バーを握り締めてファゴットの滑稽な
仕草に夢中になる。ライオンのお尻にくれるはずの鞭を間違えて自分
のお尻に受けて泣きながら走り回るファゴット。みんな大笑い。
でもね、ファゴットは。
ぴんと張られた麻縄の上をまっすぐに歩くミス・ボビットが好きなのさ。
もちろん、誰にも誰にもファゴットは話さない。そんな事を一言でも言おう
ものなら、ファゴットの一番良く出来たジョークととられてしまう。
だから、ファゴットは。
今日も教会のイエス様にお祈りするのさ。
──ミス・ボビットが無事に綱を渡りきりますように。
だから、見てご覧。ミス・ボビットの出番の前のファゴットの顔は青いよ。
そして、見てご覧。ミス・ボビットの出番の後のファゴットの顔は赤いよ。
磔台の上のイエス様とファゴットだけの秘密だよ。

かぶりました。お題は>>431で。

433 : :02/01/28 19:58
>>432好き。

434 :999 ◆D0999.o. :02/01/29 02:43
「先輩」「ビタミン」「コンパス」

 声をかけるのもためらわれるほど、先輩は痩せていた。もともとは
ふっくらとした人だったが、今ではコンパスのようだ。
 入社直後の研修で直接面倒を見てくれた開発部の先輩で、研修を
終えて別の部署に配属になってからもよく一緒に飲みに行っていた。
その習慣も、開発のミスでライバル企業に水をあけられ株価が急落して以来、
数ヶ月は途切れていた。

 久しぶりに夕食をともにし、ゆっくりと話す機会を得たが、重要な
話題ほど切り出しにくく、他愛ない話に終始する。食事を終え、先輩が
バッグからビタミン剤を取り出したとき、やっと切り出すタイミングを掴
んだ。悩んでいるのなら、相談して欲しい、と。「単に忙しいだけだよ」と
先輩は笑った。

 サラリーマンの自殺が報じられるたび、なんとなく先輩の体が案じられ、
食事に誘った。彼は会うごとに痩せていっているようであったが、何もいえ
なかった。ビタミン剤が増えたようだった。きっと生きるための錠剤だ。そう
自分に言い聞かせ、また他愛ない話をして別れた。

# NEXT -->「忘れな草」「くさや」「パートナー」

435 :「忘れな草」「くさや」「パートナー」:02/01/29 04:18
「この強烈なにおい、マジで食べる人いるのぉ?っていうかクサすぎ!」
「仕方ねえだろ、そういうもんなんだから」
「もうだめ、あたし我慢の限界!」
「おまえが来たいっていうから来たんだからな」
分かっていた。彼女を人生のパートナーとして選んだ以上いずれはこんなときが来ると思っていた。
「よりによって実家がくさやの製造やってるなんて…教えてくれたらそれなりの覚悟して来たのに..」
「聞かれもしねえこと、わざわざいわねえよ」
彼女が行きたいなんて言わなければ、8年ぶりに実家に帰ることもなかったはずだ。
彼女は不機嫌だし、親父には相談もなく入籍したことで小言を言われるし、最悪だった。
結局予定を切り上げて、一泊もせずにとんぼ返りで自宅に戻った。


「うぅぅ、もう3日たったけど思い出すだけで臭ってくるような感じ。もう一生忘れられないぃ」
僕は、忘れな草を彼女に渡す。
「花言葉とか全然知らないんだけどね、まあ、俺の気持ちも分かってくれや」
「忘れな!クサッ!ってか?洒落にもなってないよぉ」
呆れ顔の彼女は、少しだけ嬉しそうだった。

次は「漢詩」「生理食塩水」「単車」で。

436 :二回目@「漢詩」「生理食塩水」「単車」:02/01/29 12:10
ぼくは車庫のシャッターを上げ、単車を磨いた。単車というあだなの愛車は原チャリ。
ぼくはこの救いようのない自分のセンスが好きだ。
(やばいな、やばいな)
磨いてあげると単車はうれしそうな色つやを出してくれる。
仕上げはいつも自家製生理食塩水。蒸留した水に1%の塩を足したもの。
それで拭くと、単車はいぶし銀のような、渋い風合いを出してくれる。
(なにか間違ってる気もする)
ぼくの大事な単車。かわいい単車。今日はどこへ行こうか?なにかするべきことが
あったような気がするよ。
(やばいな)
ぼくは単車を車庫から出した。
まぶしい日の光がぼくの眼を射す。
途端に脳裏に浮かぶ机のイメージ。書き散らしたノートとたくさんの資料。

・・漢詩をテーマにした論文、もう間に合わないよね・・・。


次は「アフガン」「公園」「人形」で願います。

437 :名無し物書き@推敲中?:02/01/29 12:54
書いたのでとりあえず・・・。
「漢詩」「生理食塩水」「単車」
彼が初めて付き合った恋人は華奢な体に豊満な胸を持つ肉体美な女だった。
「わたしのこの胸の中にはね、生理食塩水が入っているのよ」
初めて夜を共にした日、彼女は豊胸手術を受けていたことを彼に打ち明けた。
親からもらった体に傷をつけるということが彼には信じられなかった。
彼が次に好きになった女性は不思議な能力を持っていた。
初めて国語の授業で漢文を習ったとき、何の違和感も持たずすらすらと読めたのだという。
その才能を活かし彼女はまだ学生の頃から漢詩の解説や創作をし、わずかなりとも収入とその世界での名声を得ていた。
「君の清純そうなところが好きだ」
意を決して気持ちを打ち明けた彼に、彼女はぶっきらぼうに言った。
「わたし、あなたが思うような女じゃないわ」
彼女の言葉を理解しかねている彼に対しいらいらして彼女は金欲しさに売春をしていることを告白した。要するに金のない男はお断りだということらしかった。
その半年後に知り合い付き合い出した恋人は、見かけの派手さにひきかえとても家庭的な人だった。
彼女の部屋はいつもきれいに掃除されていて、週末彼が訪ねてゆくと、おいしい手料理でもてなし彼を幸せな気分にしてくれた。
そろそろ結婚を、と考えていたとき、彼女の部屋で古い写真を発見した。
特攻服姿で単車にまたがる十代の頃の彼女だった。
そしていま彼には新しい恋人がいる。
その恋人には髭がある。胸毛がある。脛には剛毛が生えている。
けれど、これまでの女たちと違い、新しい恋人は自分を偽らないし、飾らない。
同性愛という壁が彼の恋心を熱く燃え上がらせる。
この愛こそが本物なのだと――。



438 :名無し物書き@推敲中?:02/01/29 12:55
次は「アフガン」「公園」「人形」で願います。

439 :名無し物書き@推敲中?:02/01/29 17:47
結局のところ、僕達は現在のアフガンの情勢について、殆ど何も知らないといっていい。
ビンラディンがどうのこうのとか、アルカイダがどうのこうのとかいっても、
所詮はブラウン管の中の出来事にしか感じていない。
今日、原宿の雑貨屋で、ビンラディン人形を見かけた。
その横には、ブッシュ大統領とパウエル長官の人形が仲良く並んでいた。
どうせ、この程度の認識なのだ。
多くの日本人にとって、アフガンは、公園にある砂場みたいなものだ。
そこで幼稚園児が砂の城を造ったり、それに石をぶつけて遊んだりしているのを、
こらこらケンカはやめなさい、と言いながら遠巻きに眺めている、そんな感じだ。
果たして、こんなことでいいのだろうか。
僕は個人的に、そんな風ではいけないと思うが、ならばどうする?と聞かれても、
残念ながら今の僕には、わからない、としか答えようがない。
実際、本当にわからないのだ。

次のお題は「超ミニスカ」「太腿」「ルーズソックス」で。

440 :「超ミニスカ」「太腿」「ルーズソックス」:02/01/29 19:43
「それってさあ〜なんとかならないかな〜」
「えっ、何が?」
「そのさあ〜スカート・・・超ミニスカじゃないか・・・」
「似合わないかなあ・・・」
「いや、似合わないとかじゃないけど・・・」
女は含み笑いをしながら男の顔を覗き込む。
「・・・パンツをはいてくれとは言わないけどさあ、もうちょっと・・・
 せめて太腿が隠れるくらいのにしてよ」
「♪〜高校の時から全然変わってないね・・・」
「何が?」
「高校の時もさあ〜そのルーズソックスなんとかならないかな、って言ってた」
「・・・」
「さあ!そんな話は置いといてご飯でも食べに行こうよ!」

次のお題は「病院」「卵」「選挙」で。

441 :名無し物書き@推敲中?:02/01/29 20:01
病院は精神病院で、森の奥にあった。
濃い緑に囲まれ、その建物までも緑で染めていた。
そうカメレオン的特徴を持っている病院だったのだ。
病院は自己など持ってはいなかったのだ。

その病院で精神病者たちがローカルルールを作るとか言いだした時があった。
どの顔も小汚い、精神的に病んだ顔だった。
見てるものに、悪寒を感じさせ、吐き気さえ催させる顔だった。
しかし知能の低い彼らのこと。ローカルルールはなかなか決まらない。
そこで選挙によって代表を選び、首脳会談のようなものを行うことにした。
「それが民主主義のルールである」と「僕はチャーチルである」と口先でいう、
あの憎き男が言った。それに加担した名前が無いただの名無しであるようだのおかげで、
チャーチルの演説は成功した。
選挙は始まった。
それでもごたごたしていた。
立候補してる人間がだけでなく、立候補してない人間まで立候補しようとした。
立候補したある人間は自殺した。立候補したある人間は逃亡した。
結局選挙はまとまらず、代表をあみだくじで決めることになった。
「じゃん・けん・ぽん」
三人が選ばれた。
その内の二人は首脳会談の席に着いたが、後の一人は毒殺された。
代わりを名乗る不届き者が席を占めたが、誰も文句は言わなかった。
いや、言えなかったのだ。言わないのがルールだからだ。
そこで彼らは支離滅裂な調子で討論し、
時には訳の分からない参加者が飛び入り参加し、
選ばれた者は何度か拗ねて姿を消した。
結局、まとまりなどはなく、
この板の上のようなルールになり、以降病院は更に雑然とし、発狂者を生んだ。

ローカルルールが決まるまでの死者は3000人。
記録的な数字だった。

「雲」「汗」「のり」

442 :「雲」「汗」「のり」:02/01/29 20:44
「おじさん!!おはよう!!」
と、言って少年は今日もやってきた。
「今日も何か手伝わせてよ!!」
少年は無邪気な笑顔で私の腕をつかむと、ブランコの様に揺すりだした。
「じゃあ、今日もかき混ぜてもらおうかな」
「うん!!」
歯で下唇を噛みながらはにかんでいる少年は入り口に立てかけてある
樫の木でできたオールを持ってきて壺の中を力いっぱい混ぜ始めた。
力いっぱいと言うよりは自分の背丈よりも大きいオールに全体重をかけて
壺の中をかき混ぜているその姿はとてもいじらしい。
「おじさん!今日作った雲はいつ空に浮かぶの?」
「そうだねえ、明日は雨でたくさん雲が必要だから、もしかしたら明日
 浮かぶかもね」
「ほんとに!やったー!」
喜んでいる少年の額にはうっすらと汗が滲んでいる。
「でも、たくさんの雲が空に浮かんでるから、どれが僕の作った雲か
 わからないね」
「心配ないさ。のりがあるんだ」
「のりって?」
「君も学校で図工の時間に使うだろう?物をくっつけるのりさ」
「うん!!」
「それを使って作った雲は君のお家の窓から見えるところに貼っておいて
 あげるよ」

次のお題は「カエル」「契約」「メトロノーム」で。


443 :「カエル」「契約」「メトロノーム」:02/01/29 22:33
 この不条理な条文を前には、老若男女が差し出した血と肉はすべて無駄になる。しか
し、呪縛に似た国民の信念は彼の心を潰すほど縛り上げた。国民が流した血と涙で築き
上げた国の礎を、国の代表である自分の手でそれを踏み躙るような行動に、彼は十二分
に悲愴を承知していた。
 「あなたたちは敗戦しました。今、あなたがすべき仕事は、戦勝国である私たちのに
従い、わたしたちと属国になる契約を交すことです。」
 甚だ憎たらしい敵の声が静寂の中に響く。
 彼の心境はメトロノームのようにあわただしく揺れ動いていた。メトロノームは短距
離走者に向いている。最初はあちらこちらと東西を忙しそうに駆ける振り子も、やがて
ネジは切れ、燃焼し尽くしたかのように儚く止まってしまう。
 「カエルの頬冠りか。」彼は心の中で呟いた。
 決して目先が見えないわけではない。しかし、その千里眼は良い結果を見据えようと
はしなかった。水の一滴まで搾り取られて枯れてしまうかのような、メトロノームの運
命が見えていた。
 「敵を目の前にし、それに両手の指一本まで揃え跪き奴隷成り下がるとは、何たる皮
肉だろう。勇猛なる民よ、本当に申し訳無い。」
 彼は悔しさの涙で顔を崩した。

次のお題は→「都市」「方舟」「廃人」

444 :名無し物書き@推敲中?:02/01/29 22:54
>>441
卵は?

445 :名無し物書き@推敲中?:02/01/29 22:59
気が付くと、私は道に迷っていた。
この都市の中心に建つ城へ行きたいのに、どうやっても辿り着けない。
私は建築技師で、王様に請われてやってきた。これでは、約束の時間に遅れてしまう。
私は焦っていた。そのせいで、余計に道が分からなくなった。
町の人に城への道順を尋ねても、一向に要領を得ない。
だんだん私は苛立ってきて、そのうち、誰とも口をきかず、憮然とした表情で日暮れまでウロつき回った。
やがて、心身ともに疲れ果てた私は、廃人のように憔悴しきって、一軒の宿屋に投宿した。
そこオヤジが、夕食の時に、私の傍にやってきた。
「あんたかい?いま町で噂になっている、お城へ行きたいと言っている旅の人は?」
「そうだが、私は旅人ではない。建築技師だ」
「まあ、そんなことはどうでもいいが。このままでは永遠にお城へは行けまいとて」
「なぜ?」
私は疲れていて、イライラしながら、それでもオヤジの言い方が気になったので尋ねた。
「あんた、頭がおかしいんじゃないのか?お城へ行くのに、徒歩では無理に決まっておるじゃろ。
お城は一見、町の中心に建っているように見えるが、実際には、そこにあるわけでない。
あの城は、時の流れの中で浮遊しておるのじゃ。だから、時の方舟に乗らないと行けないとて」
オヤジはそういうと、ヒヒヒと笑った。私はその笑い方にムカついたが、努めて平静を装ってさらに尋ねた。
「どこでその方舟とやらには乗れる?」
オヤジがニヤニヤ笑って答える。
「ここから乗れるとて」
次の瞬間、とても硬い鈍器のようなものが私の脳天に振り下ろされた。
私は、何をする!と叫ぼうとしたが、その前にすべてが暗黒に閉ざされた。

次は「清廉」「運命」「観光」で。

446 :「清廉」「運命」「観光」:02/01/29 23:29
その日にたまたま観光で訪れた・・・
それを運命だと言って済ましてしまうのならそれでしかたがない。
ただこの日を境に私のその運命といったものは急速に悪しき方向へと
舵をとりはじめていた。
そして今日も煙草の煙が立ち込める薄暗い部屋で、
刑事の偏見に満ちた陰鬱な取調べを受けなければならない・・・
「とにかくさあ、お前しかいないんだから!!犯行を実行できたのは!」
必要以上に大きな声でまくしたてる刑事の声を聞いていると怒りを越えて
自分が惨めになってくる。どうしていわれのない事でこんな・・・
「だから僕はやってないですって!!清廉潔白ですよ!!
 もう帰らせてくださいよ・・・うんざりだ・・・こんなこと」
「馬鹿かお前は!?清廉潔白ってのはなアリバイがある奴の事を言うんだ
 俺たちの中ではな。だれもお前の気持ちなんか聞いちゃいないんだ!!」

次は「農薬」「海」「楽団」で。

447 :999 ◆D0999.o. :02/01/30 00:25
「農薬」「海」「楽団」

 分かりきっていたことだが、楽団との相性は最悪だった。彼らはわたしの
曲をたんなる「楽器いじめ」とみなして攻撃するが、あのタイミングで高音が
はいる重要性が、ホルンの音を極限まで引き伸ばす重要性が、まるで理解
できていないのだ。
 今度の曲のテーマは「海」だ。わたしは海が好きだ。曲を捧げるほどに。

 ところで、わたしは楽団だけではなく、妻とも相性が悪い。彼女はわたしの
音楽活動を自分からの逃避だとみなして攻撃するが、毎日家を空けて散歩
し曲想を得る重要性が、帰宅時間を極限まで引き伸ばす重要性が、まるで
理解できていないのだ。
 繰り返すが、今度の曲のテーマは「海」だ。わたしは海が好きだ。曲を捧
げるほどに。妻には一小節も捧げたことはないが。 

 わたしの食事からかすかに農薬のような匂いがした。食卓の向かいの
妻を見るが、彼女はいつもと変わらぬ風だった。音楽家らしい死に方が
できるかな、そう思いながらスプンのスープを口に運んだ。

次は「雑音」「極限」「慶事」

448 :うはう:02/01/30 01:20
「雑音」「極限」「慶事」

 今日は、なんと二度目の現場検証。警部は極限までに完璧さを求める男だった。

 「奥さん。娘さん。つらいでしょうけど、事件捜査のためお願いします」
 思いやりのある彼は、被害者の家族への心配りも細やかだ。

 「そして奥さんを乱暴した犯人は、ご主人を毒矢で殺害。はい、そこです」
 どんな雑音も許されぬ緊張した雰囲気の中、現場検証は続いた。
 「そして犯人は、娘さんを連れて逃亡! ううむ・・・」

 警部はいまだ腑に落ちない。「何か、何かを見落としている。ううむ」
 「ううむ」しながら家に帰る。娘さんも一緒だ。

 家に帰ると、最初の現場検証の時の娘さんが、エプロン姿で待っていた。
 幽霊ではない。足がちゃんとある事は、昨夜何度も確認した。
 瓜二つの娘さんを見ながら警部は唸る。「何か!何かを見落としている。ううむ」
 犯人が連れ去った娘さんが、どうして倍になってここにいるのか。

 とりあえず、今夜は御主人さん役の新任警官のお通夜に行かねばなるまい。
 事件を解き犯人を捕らえる事が、二人の殉職者を弔う何よりの慶事だ。

 ※行数がなくて、被害者の奥さんの事が書けなかったー(^^;
 次のお題は:「光子」「換気扇」「七つの秘宝」でお願いします。

449 :dai:02/01/30 01:23
ある日ある国ある地方の孤独な海岸に一指揮者、
彼は明日に迫った初公演を脳裏に苦悩していた。
「マズイ、非常にマズイ・・・」
さて、指揮者とは文字通り軍勢を率い指揮する業の担い手を指すが、
さてさて、彼は気付いたのだ、自らにはまず指揮する楽団がナイという事実を。
「マズイ、全くもってマズイ・・・」
そもそもの間違いはクラシックの何たるかも解さぬ凡庸な農業者がソレを望んだ事だろう。
今ココで彼の動機を白日に晒すなら色恋の話題に触れない訳にはいかないので止しておくが、
とにもかくにも彼は尽力してきた、愛用チョップスティック携えて。
「そんな一人舞台、喜劇じゃないか・・・」
捨て鉢ピエロを前に彼女の反応、落胆に肩を落とす様が目に見えるようだ。
残酷な未来予想図は現実味を帯びて想像された。
「お終いだ、俺は、俺達はもうお終いだ・・・」
悲嘆に暮れる道化師、涙に曇る。
頬伝う涙はやがて落下しツナギの膝を湿らせ、
その染みは彼の不安を代弁するかのように拡大してゆく。
そこでふと彼は膝から腰元へと視線を運んだ。
掛けられたゾウさんじょうろ、その中身は農薬だ。
「服毒自殺ってのもアリかもな・・・」
冗談とも取れない不気味な誘惑が彼の腰を上げさせた。
暗雲に包まれ始めた夕刻の空に歩を進める彼、足元を洗う白波が優しい。
ゾウさんじょうろに手を伸ばし、それから彼は天を仰ぎ見、掲げるその手を傾けた。
「あぁそうだ、雨が降ると良い、農薬純度100%の黒い雨が。」
海原に放たれた異臭の只中で楽観の心は穏やかになっていた。
「きっと降る、きっと降るさ。」
彼は「雨天決行」との宣伝表記を忘れていた。
そして、そうとも、明日にはきっと見られる事だろう、
大衆を背後にパントマイムの熱演振るう和箸の指揮者を、その彼を。

450 :dai:02/01/30 01:26
次は「うなじ」「バット」「既視感」でお願いしマス。

451 :dai:02/01/30 01:31
すみません、なんか同じネタで被っちゃったみたいですね、。
悠長に構えてて悪かったス、どーぞ俺の分は無視して進んで下さい。

452 : :02/01/30 08:48
光子は夫の孝則が一緒に部屋の掃除を手伝ってくれないことに腹を立てながら、それでいて、手伝ってもらうための策を講じていた。
娘の明子を寝室に派遣し、「おとタンあそぼ」と言わせるようにした。
明子に無理やり起こされた孝則は、不機嫌そうに、「何して遊ぶ?」と聞き返す。まだ寝ているんじゃないかというぐらいに頼りなく。
明子は、光子に出された指令を忠実にこなす、可愛い女スパイだった。
「冒険ごっこ。」
「ぼーけん?どこまでいくのよ〜」あくび交じりの孝則。
「おうち、七つのひほー、さがすの」
「七つの秘宝?」また光子の入れ知恵か、孝則はその手には慣れていても、娘を通されるとやはり弱い。
とりあえず、明子が飽きるまで付き合うのだけれど、明子は明子で、たまの休日に父と時間を共有するのはやはり楽しく、
いつもは嫌がるお手伝いも進んでやるどころか、まったく飽きないようだ。
「で、七つの秘宝は何処にあるの?」孝則が聞くと、明子はポケットから小さいメモを取り出し、見せた。
『ママの背の届かない所、油にまみれた羽を磨くべし』
「換気扇かよ〜」
「もーわかったの?」弱々しい父の叫びとは裏腹に、尊敬のまなざしの明子。
無邪気で父親が大好きな娘と、家じゃお尻を叩かないと何もしてくれない夫。
ありきたりで平凡すぎるけれど、退屈な日常への味付け方がわかりかけてきた光子にとって、
今の生活は何者にも変えがたい幸福なのであった。
 
 *はじめて書いたけど、むずかしー。皆すごいなぁ。
  次は「双子」「日直」「豪快」でお願いします

453 :みる:02/01/30 10:02
双子の弟――祐樹は、よくこんなことを言っていた。
「アニキ、ずっといっしょにやってこうな」
僕たち二人は、正確面で言えばまったくの正反対だった。
繊細で引っ込み思案の僕と、豪快で誰とでもすぐ仲良くなれる祐樹。
そんな僕たちだったが、凹凸がぴったりと合致するかのように、気が合った。
いつまでも、祐樹と一緒にいられると思っていた。それなのに……。

僕の隣の席には、クラスの日直によって花が生けられた花瓶が置かれている。
祐樹の席――かつてそうだった場所。
「ずっといっしょにやっていこうな」
祐樹の声が聞こえた気がする。
――もう、祐樹はいないのに。
――その約束が果たされることはもう無いのに。
神様、どうして?


へぼぃ……(滅
次は「笑顔」「風」「潮騒」で。

454 :名無し物書き@推敲中?:02/01/30 15:59
「笑顔」「風」「潮騒」

毎年この日は不思議と決まって雨が降る。
今年もやはり朝から小雨が続いている。
わたしはあの人がいちばんすきだったクリーム色のワンピースを着、白いユリの花束を助手席に乗せ車を出す。
車は霧雨の中を郊外へと向かう。
やがて視界がぱっと開け、助手席側の車窓に海が広がる。
路肩に車を寄せユリを手にとってわたしは海辺を歩きだす。
断崖の上に立ってきく潮騒がわたしをいっそう孤独にさせる。
黒い海面に花束を投げる。
風に煽られた白いユリが灰色の世界に映え、その光景に寂寥感をおぼえる。
曇った空にあの人の笑顔が浮かんだ。
いつまでも歳をとらないあの人の顔――。
50年という時間を重ねても一向に衰えることのない記憶。
この広い太平洋のどこかにいまもあの人が眠っていることを思いながら祈る。
これ以上わたしの大切な人の命を奪う恐ろしい戦争が2度と起こりませんように――。


455 :454:02/01/30 16:05
次は「凄惨」「エキセントリック」「艶然」で。

456 :うはう:02/01/31 01:01
「凄惨」「エキセントリック」「艶然」

 分担金を払わない同盟国への取り立ては、凄惨を極めた。
 今夜は彼の初陣。有無を言わせぬ「差し押さえ」の仕事だ。
 15歳の彼の目には、それは「略奪」としか見えなかったが・・・

 宮殿でその少女を発見した時、彼は叫んだ、教えられた通りに。
 「自由市民か奴隷か、答える様に。奴隷ならば本国まで連れてゆく」
 慣れないせいか、自嘲か。彼の声はエキセントリックな響きを帯びていた。
 
 一種どこか触れ難い気を発する少女だった。高貴な血筋だったのか。
 だが、彼女の答えはこうだった。「私は、宮殿に仕える奴隷です。連れてって下さいね」

 少年は「うんっ」と答えて、痩せた肩に彼女に抱えて船に向かった。
 「がんばってね」
 彼女の瞳に燃える宮殿が映り、どこか艶然とした表情さえ見える。
 「これでいい」と彼女は思っていた。
 強大でいて奢らず、略奪にためらいを知る若者。彼の国こそ自分に相応しい・・・

 船が帰り、国が栄え、少年が老いて死ぬまで彼女は彼の傍らにいた。
 繁栄は長く続いた。それはまるで、女神が守護してくれている様だった。

 ※なんかニュース見ながら書いてて・・・よくわかんない(^^;
  次のお題は>450さんの:「うなじ」「バット」「既視感」でお願いしまふ。

457 :「うなじ」「バット」「既視感」:02/01/31 09:53
彼には6才より以前の記憶がなかった。
――おまえは捨てられていたのを拾って育てられたんだ。
痴呆症の祖母が彼にそう話す度、両親は否定したものの、真相はわからなかった。
しかし彼がどんな境遇のもとに生まれたのだとしても、自分の家庭を持ち、ふたりの子どもの父親となったいまとなっては、どうだっていいことだった。
過去のことより、大切な家族の将来を考えなければいけない。
1月31日は結婚記念日だった。
彼は久々に残業をせず、7時まえに帰宅した。
玄関のドアを開けると8才になる長男の怒鳴り声と妻の泣き叫ぶ声がした。
慌ててリビングに駆け入ると、長男が金属バットを振りまわし暴れていた。
傍らでうずくまり、長女を抱える妻。長女の額からは血が流れていた。
突然の予期せぬ事態に狼狽した彼は、その刹那、目の前の惨状に既視感をおぼえた。
彼の脳裏に封印されていた記憶が再生される。
授乳をしている女の背後から、ゴルフクラブを手に忍び寄る少年。
少年は女のうなじめがけてゴルフクラブを振り下ろす。
畳に飛び散った夥しい量の血。ぐったりした女と赤ん坊。
少年は当時6才の彼だった。
彼は、実の母と妹を殺害し、その後帰宅した父親に包丁を突き刺し――。
「やめてくれ!!」
彼は叫ぶと、頭を抱えてうずくまった。
その声に長男は硬直したが、次の瞬間くるりと踵を返しキッチンに走ると、流しの中の包丁を掴んだ。

次は「福音」「激昂」「行動規範」で。

458 :「福音」「激昂」「行動規範」:02/01/31 15:29
とうとう犬は激昂した。
他の犬より過度に発達した顎の筋肉は、
今にも私を喰いちぎろうと小刻みに震えている。
もう我慢する事はない・・・その喜びに震えているのかもしれない。
よかれと思ってやっていたことが全て裏目をみるということもあるだろう。
しかし私は気づいていた。この犬の毎日が苦痛の日々であったことを。
すでに私が与えてやった福音書は、
爪だか牙だかに引き裂かれて枯れ葉の様に庭に散らばっている。
本当に悪かったよ・・・。でもわかってほしい。今日で最後だったんだ。
君が抜き差しならない状況だからじゃなくて。本当に今日で最後だったんだ。
今日、君に行動規範を教えて・・・これだってそんなにたいしたことじゃないんだ。
あくまでも基準なんだ・・・行動ののっとるべき基準・・・・それだけのことなんだ。
私は、もう何を話しても犬は聞いてはくれまいと思っていた。
だからこそ、この言い訳じみた説得をしなかったのだが、ふと犬の「ニイッ」っと
笑った顔を見ると、ああっ!やっぱりお前は利口だよと思わずにはいられなかった。

次は「逆手」「問答」「海蛇」で。

459 :999:02/01/31 22:52
「逆手」「問答」「海蛇」

卒業論文の発表は冷汗ものだった。賭けてもいいが、理学部生物薬理科の長い歴史のなか、
卒論の質疑応答で俺ほど主査にいじめられた学生はいないはずだ。論文のテーマは
「海蛇の脂肪酸の薬物効果に関する実験」というもので、漢方として用いられてきた
海蛇の効能に薬理学的な効果の裏付けを与えるための実験がメインだった。
発表の口調は慣れないせいもあってたどたどしかったが内容には自信があった。12分の
発表をなんとか終え、司会が質問は、と教官を見渡したとき、嫌な予感はした。主査の
目付が意地悪くゆがんだのを確かに見たのだ。もともと仲睦まじい関係でもない。
本来質疑応答に設けられた時間はたったの3分だが、問答は数十分にも及んだ。言及された
内容は主に副作用に関してのものだ。まったくのいいがかりだったが、相手とこちらとが
完全にすれちがっているだけに、それを認めるのが難しい。2年前に主査が発表した論文の
内容を逆手にとってなんとか反論し、「時間がありませんから」という司会者の声にも
助けられてその場を終えた。
疲れた頭とノートパソコンを抱えて研究室に戻ると実験につかった海蛇たちが水層の
なか揺れていた。実験中は愛しく思えた生物たちがうとましく思える。主査が蛇のような
しつこさだったせいだ。しかもあいつは毒にも薬にもならない。

なんとか15行。
「アイスクリーム」「義務」「横断」

460 :アイスクリーム・義務・横断 :02/01/31 23:49
彼女が持つチョコミント味のアイスクリームは、照りつける太陽に命じられるがままに溶けかけている。
ライトグリーンの塊が彼女の右手の人指し指に垂れた。
僕が咄嗟に彼女の手首を掴むと、アイスは重力に導かれながら灼熱のアスファルトの上に落下した。
「ちょっと何するのよ」甲高い声が響き渡る。
僕はその声には耳を傾けず、彼女のか細い指先をゆっくりと口元に寄せる。
その指には液体となったアイスクリームが付着していた。
僕は暫く見つめた後、あたかもその行為が義務であるかの如く彼女の指を口に含んだ。
ヨーロッパ大陸を横断し海洋を渡りこの日本辿りついたアイスクリームは、
僕の口の中で彼女の肉体と僕の舌を結ぶ掛け橋となった。

「きゃー!」突然、彼女は断末魔の叫び声を上げた。
「た、助けてください。この人、変質者です。誰かー」
彼女が何を叫んでいるのか僕には分からなかった。
けれども、彼女の声色は極上のクラシック音楽のようにいつまでも響き渡っていた。
僕はいつまでも恍惚感を味わい続けていたかった。
 
次は「コメディー」「急須」「邂逅」で御願いします。


461 :「アイスクリーム」「義務」「横断」:02/02/01 00:00
街角の交差点の信号が青に変わった。煙草に火をつけるために離していた手を
つないで道路を横断しようとしたその時後ろから肩を叩かれた。
下品な紫色のスーツを着た男だった。「よう!久しぶり!」男はニコニコ笑いながら
僕の彼女を一瞥して「ふーん」と鼻で笑った。彼女は怪訝な顔つきで僕を見つめ、「誰?」と尋ねてきた。
「ああ・・・アイスクリーム屋さんさ」と僕が答えると、男が
「いやさあ、別に今どうこうってことはないけどね。ただ先月の支払いがなかった
 もんだからさあ、困るんだよねちゃんと連絡してもらわないと。でも逃げちゃった
 かな?と、思ってたらこんなとこで彼女とデートしてるからさあ〜安心したよ。
 とにかくこれはあんたの義務なんだからしっかり果たしてね。」
そう言って男は僕らと反対方向へ足早に歩いていった。彼女は見下したような顔で
「何?変なところからお金を借りてるんでしょ!アイスクリーム屋だなんて馬鹿みたい!」
そう言ってつないでいた手を振りほどいて、これまた反対方向へ行ってしまった。
(お金は借りてるけどアイスクリーム屋ってのは本当なんだ・・・)
呆然としながら歩きだすと、けたたましい車のクラクションが交差点に響いた。
信号はすでに赤に変わっていた。

高利貸し屋=氷菓子屋ってことで。
次は「偽名」「皆勤」「暗記」で。

462 :461:02/02/01 00:02
すいません。かぶりました。
次は「コメディー」「急須」「邂逅」で。

463 :999 ◆D0999.o. :02/02/01 00:27
「コメディー」「急須」「邂逅」「偽名」「皆勤」「暗記」

 寝坊した。夜遅くまでコメディードラマを見て大笑いしていた
せいだ。いままで皆勤で通してきたのに。しかも今日はテスト。
学校は代返や代理や偽名や代筆が通用するほど甘いところじゃ
ない。
即効で着替え、食パンを口にはさみこんで出かける。急須に
お茶の葉を入れていた母が顔をしかめるが、かまっちゃいられない。
 遅刻ちこく、叫びながら玄関をでる。食パンを加えて走る僕は、
映画やドラマで使い古されてすっかり暗記してしまったシーンの
主人公のようだ。ドラマならここで可愛い転校生とぶつかったり、
幼馴染と邂逅したりするんだよな。妄想で頬を緩ませ、食パンを
ほおばる僕。
 
 僕だってあと3年で退職の教師なのだから、すこしはしっかりしな
くちゃ。

#「幻想」「島」「猫」

464 :みる:02/02/01 01:30
「幻想」「島」「猫」

猫は言った。
「僕はネズミは食べない。なぜならネズミは汚いからね」
しかしその島にはネズミと自分以外に生き物はいないのだ。
島中の食べれそうな草は粗方毟って口に放り込んだが、それは彼の胃を満たすには遠く及ばなかった。
彼の前を、さっきからちょろちょろとネズミが走り回っている。
彼が自分たちを食べないことを知って、彼を挑発半分にからかっているのだ。
しかし猫はそれに見向きもしない。彼はグルメなのだ。
こんな薄汚い下等生物を口にするくらいなら、餓えて死んだ方がマシだ。
それにしても腹が減った。既に三日まともな食物を口にしていない。このままでは舌が錆び付いてしまいそうだ。
この舌で、色々なものを味わってきた。
先週はイタリアの三ッ星レストランのピッツァ。その前は日本で特上マグロを食べた。
そんなことを思い出しながら、彼は目の前のネズミたちを眺める。
猫の本能か、だんだんと奴等が美味しそうに見えてくるのをぐっとこらえる。
大丈夫、もうすぐ帰れる。帰ったら次はどこへ行こう?ドイツでいいハムを貪るのもいい。中国の飲茶も捨てがたい。
そんな幻想を抱きながら、彼は今日も来ない助けを待ちながら、世界の食へと思いを馳せる。


次は「フランス」「埼玉」「右手」で

465 :みる:02/02/01 01:34
しまった、最後の文大失敗だ…。

466 :999 ◆D0999.o. :02/02/01 01:41
「フランス」「埼玉」「右手」

 わたしにとってフランスはもっとも身近な国だ。生まれたのは日本だが、
フランスの、パリの持つ渇いた、それでいて洒落た空気はなんとも心地が
よい。
 わたしはシャンゼリゼ通りを散歩するのを日課にしたい、と考えている。
秋には枯葉を踏み、夏には指で日差しを翳し、冬には長いマフラーを
二重に巻いて、ブーツを鳴らして歩くのだ。オープンカフェでメニューを
見ながらあれやこれやと注文するのもいい。ときにパン屋に寄り道して
フランスパンを紙袋の口から覗かせて帰ろう。ただの硬いパンもパリでは
ファッションになる。
 シャンゼリゼ通りを東へいったところにわたしの自宅はある。心ある
パリジェンヌはどうぞ、訪ねて欲しい。

 東へ向かう飛行機に乗って、そのあと電車にものって、埼玉県のわたしの
自宅まで。ファッションと文学と愛について語り合おう。

#「星」「ゲーム」「氷」

467 :dai:02/02/01 01:44
今晩もまた一つの体温が真冬のアスファルト冷えゆこうとしていた。
臓腑をそこら一面にぶとまけて死骸は一つの区切りを願いしばし時を待つ。
そして、そう、ココに私が初めて認識した事実とはつまりに有って然るべき義憤の欠如だ。
「然るべき」という断言もまた如何なる前提でもってソレを根拠付けるのか、
当の私という今では全くの不明瞭な立場からしか訴える道を持たない。
多分にこの物足りなさは悲しみのエラーとして生じたりのだ、と当の私は弱々しく叫びたい。
私には未だ有り余るほどの余生が続くはずだったのを突如切断された口惜しさといったらない、
と思うのだがコレは正常なコモンセンスから遠い感覚だろうか、。
現在という時期が有るモノとして話を展開するのだが、
さすれば当然また過去も有った訳で、いやきっと有る訳で、
そうなると自主性の関わらない次元には残像なり思い出なりを貯め込んでいた可能性は大きく、
しかしソレ等が一瞬のうちにパーツとなって世界中へと散乱してしまったのなら、
私はソレを探しに出掛けるだろうか。
いや、判然としない意識の中にも言い切ろう、
私はその時を経て出掛ける。
死は確かに有り私に責務という枷をハメるはずだ。
回想の中で意識の断片を繋ぎ合わせ、孤島を大陸に接続する業だ。
コレの表象として記憶は走馬灯となって現れる。
意識のパンゲアを完成させてようやく安楽の闇は訪れた。
こうして初めて私は私である事を降り、一つの幻想のカスとしての在り方を始めるのだ。

468 :dai:02/02/01 01:47
またやってしまいました、スミマセン・・・。
更新ボタンを押す事をサボってしまうから繰り返すんですよね、
以後気をつけます。
あと誤字脱字が多くてすんません、俺としてはかなり急いだもんで・・・笑


469 : :02/02/01 01:58
俺は右手にいっつも何かを持っている気がする。
今こうして氷のギンギンに入って凄く冷たいロイヤルアイスミルクティーを飲んでいるし、昨日は昨日でギターを弾いていた。
そんな俺の夢は世界平和。こんな濁った情勢の世界なんて面白いことは何一つ無いよ。
みんなは僕のことを偽善者だとか夢想家だとか言うけれど、巨大権力を持ったいぢわる大国と、信仰心や麻薬でヘロヘロになったイカれた人たちの殺戮ゲームなんか見たくないよ。
でももう僕はずっと前に星になったんだ。何も苦しむことのない世界へ・・・。

「ひもの」「爪」「宇宙」でお願いします。
ちなみにこの文は昔死んだ人をモチーフに書いています。誰でしょう?

470 :999 ◆D0999.o. :02/02/01 02:28
「ひもの」「爪」「宇宙」

 治郎が宇宙飛行士として次のシャトルに搭乗予定なのは俺にとっては
好都合だった。試作品の宇宙食について、実際のクルーから意見を聞く
ことができる。しかも、彼は十年来の友人だ、忌憚ない意見を聞かせてくれる
に違いない。
 今度の宇宙食は、とにかく凝った。忙しく動き回り緊張を強いられる
宇宙船のクルーにとって食事ぐらいは楽しくとって貰おう、という配慮だ。
従来の栄養価を崩さずに味にも十分に配慮し、素材もタカの爪や
鱶鰭などこだわったものを集めた。

「これもいいけどさ」
いまどき珍しい、黒髪黒目、純潔のニッポン人である治郎が言う。「ひもの
が喰いてえ。宇宙で。ばあちゃんの干した、干したての干物が」
「干したて、か」
難しい。どんどん太陽系から遠ざかるシャトルだろ。

#難しい。……お題が。
#「プレーン」「ビデオ」「恋」

471 :名無し物書き@推敲中?:02/02/01 02:34
最近、自分がどんどん枯れていく気分だ。
以前はお肌や髪の手入れを怠った事なんか無かったのに。
あんなに凝っていたネイルアートもやめていつのまにか爪は子供のものみたい。
このままどんどん私は乾いていって、ひものみたいに身体のどこにも
水分がないようなそんなババアになっていくのか。
くだらないラジオをもう何時間もつけっぱなしにしている。
何日も外に出ないでずっとしょうも無いことばかりしている。
私のこの身体がこの肉体がこの細胞が、あの綺麗な星が沢山輝いてる
宇宙の一部なんて。
そんなことがある訳無い。ある訳無い。

次は「梅」「採用」「辞書」でお願いします。


472 :名無し物書き@推敲中?:02/02/01 02:36
かぶっちゃった。ごめんね。

473 :名無し物書き@推敲中?:02/02/01 11:22
「プレーン」「ビデオ」「恋」
「梅」「採用」「辞書」

お気に入りの映画のビデオをレンタルしてきた彼女が意気揚々と自宅のあるアパ
ートに帰って来ると、ポストにでかい封筒がぶっささっていた。彼女は不運にも、封
筒の中身から真っ先に「不採用通知」という文字列を確認してしまい、おぼつかな
い足どりで階段を登っていった。
部屋に戻ると、薄っぺらな紙一枚と睨めっこを始めた。どう見ても、不採用である
から云々という内容しか書いていない。一応、辞書で不採用という言葉を開いたが、
やはり前向きな意味を持った言葉ではないようだ。あとは、それでも何かないかと、
じいっと見つめ続けるしか残されていなかった。暫くして、何か淡い恋心に似たも
のを抱くことはできたけれど、それは、込み上げる怒り、あるいは悲しみによる胸の
高鳴りだった。
いつものことだった。彼女は、お気に入りの映画を見ながら、これからどうしような
どと一人呟きながら、意地汚く、カップの底に残ったプレーンヨーグルトをスプーン
で何度も掬いあげて、それを舐めてを繰り返す。けれどヨーグルトは、あの、たま
にある梅のような酸っぱさを後味に残し、彼女はいよいよ腹が立ったことに気付き、
空になったカップをゴミ箱に叩き入れた。美しくも滑稽に、時は流れ去りゆく。

かぶったのがもったいないのでフォローしてみました。テーマは無職。
次は、「サーロイン」「足長おじさん」「1セント」で。

474 :「サーロイン」「足長おじさん」「1セント」:02/02/01 14:16
毎月の第一水曜日ほど憂鬱な日はない。
最年長であるジューディーは、一番損な役回りを押しつけられる。
どこの床も染みひとつあってはならないし、どの椅子も塵ひとつあってはならないし、どのベッドも皺ひとつあってはならない。
97人もうようよしているちびの孤児たちを、ごしごし磨き立て、櫛けずり、糊のきいているギンガムの上っぱりのボタンをとめてやらなくてはならない。まったく気骨の折れる日だった。
その日の夕食は実家が牧場を営む評議員さまからいただいたサーロインステーキだった。
「あんたも知っているだろうけど、ふつうは、16をすぎた子供は、ここに置かないことになっている」
リペット先生の皮肉めいた口ぶりが、久々の豪華な食事がもたらす束の間の幸福を掻き消す。
「孤児院としては当然これ以上はあんたを養育する責任はない」
翌朝かわいそうなジューディーは文字どおり路頭に迷っていた。
「おかしいわ。こんなことになるまえに足長おじさんがあらわれるはずじゃなかったの?」
道行く人が時折投げていってくれる小銭は、1セント硬貨ばかりだったが、ジューディーの気持ちはまだ前向きであった。
「早くこないかしら、わたしの足長おじさん」
しかし孤児院から追い出されたジューディーにはもはや足長おじさんと巡り合うチャンスもなくなったのだということに、彼女が気づくまでにそう長くはかからないだろう。

次は「陽炎」「広大無辺」「シェーマ」で。

475 :名無し物書き@推敲中?:02/02/01 21:29
age

476 :うはう:02/02/01 22:26
「陽炎」「広大無辺」「シェーマ」

 サウジアラビアの病院中、唯一の日本人の基に一人の男が運び込まれた。
 極端な衰弱。消化器系もあぶない。
 「エコー検査の画面」を見ながら、彼は村人に訊いた。
 彼はどこから来たのか?

 村人は言った。
 「この男は、広大無辺の砂漠の彼方から、シェーマに乗ってやってきた・・・」と。
 そんな無茶な、陽炎にゆらぐあの灼熱地獄をどうやって?

 「疑って当然だ。我々も驚いている。お前にも見てもらいたい、シェーマを」
 そう言って見せてくれたのは、熱風の中で半ば壊れかかった自動車だった。
 「数学の三角関数グラフ図」の様な、ごつい曲線美・・・
 車のネームプレートも半ば壊れかかって「I」の字がとれて「SMA」とあった。

 「シェーマ!」「おお、シェーマ」
 そうか。日産シーマか・・・

 ※普段お世話になれない高級車。スペルが「SIMA」でいいか自信ない;
 次のお題は:「メイド」「韻」「ジャパン」でお願いします。

477 :999 ◆D0999.o. :02/02/02 01:47
ジャパンという国にはブッキョーという宗教がある。ブッキョーでは韻が重要
視され、ブッキョーの経典ではしばしば韻を使ったダブルミーニングにより死
後の世界が記されている。ブッキョーによれば死後の世界にはテンゴクとジゴ
クがあり、パラダイスであるテンゴクに行くか、ジェイルであるジゴクへ送ら
れるかは、メイドに住むエンマ大王が決める。エンマ大王はニンジャを使って
人々の生前の行いを見張り、善人として人生を終えたタマシイにはお土産をく
れる。これをメイドのミヤゲという。テンゴクにはゲイシャがおり、タマシイ
をもてなしてくれる。逆に、ジゴクにはフジヤマがあり、ジゴクに落とされた
タマシイは裸足で標高数千メートルもあるフジヤマに昇らなければならない。

「戦士」「穴」「砂糖」

478 :名無し物書き@推敲中?:02/02/02 05:56
「戦士」「穴」「砂糖」

 娘の早紀子が騎馬戦に出場するという。
 当日の朝、初めて聞かされた事実に、私はただ呆然とするばかりだった。
 聞くところによると、原則男子生徒だけの競技なのだが、早紀子がどうしても出場すると言って
きかないので、結局教員達のほうで折れたらしいのだ。
 普段は引っ込み思案で、あまり運動神経もいい方でない早紀子が、またどうして騎馬戦などにそ
こまでこだわったか分からなかった。友達関係で特に悩んでいた様子もない。あるいは来年の私立
中学受験のことで我々には言えないストレスが貯まっていたのかも知れない。が、とにかく、今更
参加を止めさせることも出来ず、まもなく出番が来てしまった。
 やはり参加者で、女子は早紀子独りだけだった。
男子生徒の騎馬に跨った彼女は、先頭の、しかも真ん中に近い位置に陣取っていた。背筋を伸ばし
た姿勢でまっすぐに眼前の敵を見据える姿は、なかなかの戦士ぶりであった。
 開始のピストルの合図と同時に、両軍、一斉に駆け出し、土煙を上げてぶつかり合った。
 転倒する者、体操着を引っ張られる者、鼻の穴を引っ掻かれ、半べその者などが入り乱れた喧騒
の中、ひと際すばしっこい動きをする騎馬があった。早紀子達の騎馬だった。
 体重の軽い早紀子を乗せた騎馬は、それだけ早く動けるのだろう。背筋の伸びた姿勢のまま、臆
せず正面から突進していっては、たちまちの内に5つの帽子を左手に集めてしまい、なおも敵陣の
中を縦横に走りまわって奮闘している。
 そして、いつしか、たった一人の女生徒の思いがけない活躍に、それまで自分の子供のビデオ撮影
にしか興味のなかった観客達も、一様に彼女の騎馬に注目し始めた。湧き上がる大きな声援。
 私はというと、どういうわけだか目頭が熱くなってしまい、俯いて氷砂糖ばかりを噛じっていた。


次は、「火山」「文庫本」「日本酒」で。

479 :名無し物書き@推敲中?:02/02/02 07:13
「火山」「文庫本」「日本酒」

和彦は朝刊の一面を見て頭痛を感じた。
「確かに富士山は活火山だが、数日以内に噴火するだと?」
まともな新聞との認識を訂正していた和彦、観測地点に埋設されたセンサーからの記録紙に目を移す。
「和彦、富士山が噴火するって本当!?」
「大学では助教授と呼べと言ってるだろうが!
早くても数ヶ月以内だ。あの記者会見でどうやったら数日以内の噴火になるんだ」
駆け込んできた綾乃、読みかけだったらしい文庫本、コンビニの手提げ袋からは日本酒のカップ酒。
「本当だったらやけ酒をしようと買ってきたのに」
「! ……ヤバいな、マジになりそうだ。俺にも酒」
プリンター用紙を見ても判らない癖にと、覗き込んできた綾乃を押し倒す。
「こら、教え子に手を出していいのかな」
「都合のいいときだけ立場を使い分けるな」
マスコミ関係者が押し掛けようが、富士山が噴火しようが、新婚旅行中から呼び戻された和彦にとってこっちの方が重要なことだった。

次は「ゲーム」、「悪意」、「メガネ娘」でよろしく。

480 :名無し物書き@推敲中?:02/02/02 07:24
パパはこわいと おじさんはいいました
「酒をかっくらうと、あいつはやべえことになるからなあ。」
おじさんは急に俯いてしまいました 後ろを振り向くと、パパが
そのひょろひょろの体で立っていました パパ!
「スミスじじい、お前はクビだ」
おじさん、ひいと叫んで、だんなさまと、パパに土下座したよ?
どうなるのかな ぼく楽しみ
でもでもおじさん、パパが近づくと素早く後ずさり 手に持った
聖書に文庫本ビールびんやら投げたけど当たらなかった でも
ビールの中身はかかりました わざとかな?
わあパパすごい、噴火しちゃった おじさんは右手でひねり
つぶされました すごいなあとおもっていたら、ぼくの首根っこを
掴んで持ち上げてくれたよ そのまま二人でおうちに帰りました
まっかっかだよ トマトかな? わあい、甘い

ああ、かぶった。

481 :名無し物書き@推敲中?:02/02/02 07:25
噴火じゃなくて火山でした

482 :ゲーム・悪意・メガネ娘 :02/02/02 10:32
タイムマシーンが存在していたとして、以前の俺が現在の俺に会いに来たら開口一番こう吼えるだろ、
「貴様は何故にメガネ娘なんかとじゃれあっているんじゃ」と。

人間なんて生物の性癖なんて云うものは季節の移り変わりと共に変遷するのだという事を、
ケツの青い若造だった時分には理解していなかった。
メガネなんて云う物質を身に付けている女なんか、恋に恋する文学少女だったり、
ひねもすテレビに向かって安坐をし、ゲームなんぞに現を抜かすネクラ君なんだろう、と安易に決め付けていた。
悪意に満ちた眼差しでメガネを蔑視していた。

己が馬鹿だった。
メガネの魅力に気がつかなかったのだから、愚昧だった。

俺がアンチメガネ派から脱却し、メガネ娘至上主義に変貌したのは大学でK助教授と出会ってからだ。
彼女は長い黒髪を靡かせ、レンズの奥にはインテリジェンス漂う瞳を持ち合わせていた。
俺は刹那にK女史をリスペクトし、崇め奉り、彼女と桃色に輝く恋に落ちた。
その恋は波瀾の後に終息したのだが、俺の中でのメガネ株は高騰したままだった。
歯科医のA先生・同輩のT・バイト先のRさん、その他多くのメガネ娘に恋焦がれていった。

そして今、俺は都内の某眼鏡屋で働いている。吾が人生を捧げられるミューズを求めて。

#次は「紫」「ハーモニー」「突然変異」で宜しく。

483 :文谷良介:02/02/02 11:10
その朝、いつものように早く学校にやってきた飼育係の僕は、
ニワトリ小屋の中で呆然と立ち尽していた。
 そこには異様な光景があった。無数に飛び散った羽毛、倒れて
なかからえさがこぼれ出しているえさ箱、僕の足元に転がるちゃぼの
上半身、そして、ニワトリ小屋の隅からこちらのようすをうかがっている、
紫色の塊。
 そいつは、二つに割れた巨大な卵の破片の間で、フーフーと荒い息を
させてこちらを睨んでいた。僕が普通の人間だったなら、悲鳴を上げて
逃げ出したことだろう。だが、、、
 僕は彼が突然変異のニワトリであり、彼がいずれ人間の子供とそっくり
な風貌になるであろう事を知っていた。なぜなら、僕もそうやって
生まれてきたのだから。
 僕は足元のニワトリの死体の首を掴み、そっと口のほうへ運んだ。僕が
突然変異体であることが露見しないため、こいつは殺しておいたほうがいい
のかもしれない。僕はそう思ったが、目の前のこの世界で唯一自分と
同じ種の生物とにらみ合ったまま、ニワトリの肉が口のなかで奏でる
ハーモニーに身を任せていた・・・・。
 それから20年。僕はひとりの女と暮らしている。もちろんそいつは、
そのときの紫色の生物だ。僕は生かしておいたことを本当によかったと
思っている。彼女との子供は今朝200匹目が生まれたところで、人類
にとって変わるのもそう先のことではないと思っている。

 次は「トマト」「論理的」「紅葉」でたのみます。


484 :うはう:02/02/02 12:24
「トマト」「論理的」「紅葉」

 「船長! 人間がトマトに襲撃されています」
 久々に地球に帰ったら、これである。

 台所で主婦を襲うトマト。海で水着娘を襲うトマト。
 無数のトマトの体当たり攻撃を受ける防衛本部の車。
 街ではすでに、巨大トマトと人間の市街戦すら発生・・・

 「至急、攻撃準備!」東洋人の操縦士に命令する船長。
 「船長、それは論理的ではないと思われます」
  愛地球心にはやる船長を諌めたのは、耳の尖った副長だった。
 「トマトは高等植物のため、住民の一種です。惑星への政治干渉になります。」

 副長は考えた。トマトが人間を襲う理由は何か。
 きっと、公害のため赤いカロチンが作れなくなった彼等は、窮余の策として
人間からを奪おうとしたのに違いない。(←どこが論理的だ)
 他にカロチンを与えよう。そうだ! 真っ赤な紅葉をばらまこう。

 ・・・作戦は成功した。しかし、これで安心してはならない。
 春とか夏はどうするのか?

 ※紅葉がかわいそう・・・
 次のお題は:「人間」「おたまじゃくし」「乳酸菌」でお願いします。

485 :「人間」「おたまじゃくし」「乳酸菌」:02/02/02 15:07
ある平和な日曜日。
無学な山田家の家長、洋一はリビングでテレビの競馬中継に釘付だった。
競馬に頭なんぞ必要ない、と言いきってはいるものの、これまでたったの一度も勝ったことがない。
隣のキッチンでは4才になる娘が何やら難しそうな顔をしている。
この娘、洋一の遺伝子を受け継いでいるとは考えがたいが、IQ160の天才少女であった。
どうやら娘は口内炎を煩っている父親のために薬を作っているらしい。
口内炎治療に乳酸菌を培養するとは、まったくそんな専門的な知識をどこで仕入れてくるのであろうか。
「まったく、人間というのは不思議なもんじゃな」
と、おたまじゃくしのおじいさんは似つかわしくない親子を眺めてつぶやいた。
え?なんでおたまじゃくしにおじいさんがいるのかって?
そんなこたあ、知らんね。あのIQ160のお嬢さんに訊いてみな。
その昔、わしを田んぼでとっつかまえたお嬢さんは、わしが大きくなったら大嫌いなカエルになると知って、何やら難しそうな顔をして、見たこともない薬を作っていたからさ。

次は「熱感」「精悍」「新緑」で。

486 :名無し物書き@推敲中?:02/02/02 15:44
「精悍」の意味を俺は知らない、自分の知識不足をどうしても否めない。
二月二日、気だるい午後。掲示板に俺がこんなふうに書き込んでいる姿を見たら、
実家の親父がひどく不機嫌になるのは間違いないだろう。
自分の手をつけられない部分は全てを無きものとして考えている人だから。
「さて・・・、ここからは・・・・・・えっ!?。・・・嘘だろ、おい・・・」
よく見れば、テーマの最初は「感熱」ではなく「熱感」だった。
昨日の酒が抜けきっていないことと絡めようとしたのに・・・・・・目論見は見事に外れた。
そのおかげと言えばいいのか、左手のタバコがぽとりと指から外れ、机の上に小さな焦げ目を作る。
「ああっ!。もう、458!。お前のせいだぁ!」
明らかに自分が悪いことを棚に上げて、見えない相手に叫んだ。
インターネットはあらゆる意味で、バーチャルワールドをよりリアルに構成する。
  ―――タン  カチ




 

487 :名無し物書き@推敲中?:02/02/02 15:45
・・・あ、あぁぁぁ!、やっちまったぁ!!!」
左上の「書き込む」をクリックしたのは文章の確認でしかなかった。
それなのに、それなのに、「全責任を負うことを承諾して書き込む」までも勢いでクリックしてしまった。
「馬鹿、まだ『新緑』を入れてねぇだろうが!」
そんなことを言ってもどうなるわけでもなく、創作文芸板の先頭にある
  1:この三語で書け! 即興文ものスレ 第四幕(486)
を見て俺は苦笑いを浮かべるだけであった。
「あーあ、やっちゃった。・・・まあいいや、続きを書こう。

・・・次のテーマは、「アキナ」「あゆみ」「ゆうこ」でいっか」



 

488 :名無し物書き@推敲中?:02/02/02 15:47
すいません、わかっているでしょうが486=487です・・・。

489 :うはう:02/02/02 16:35
「アキナ」「あゆみ」「ゆうこ」

 母の葬式は密やかに行われた。飲んだくれの父も、人が変わった様に静かだった。
 位牌を持って長屋に向かう、父のあゆみは遅い。
 娘はまだ高校に入ったばかり。あとはまだ赤ん坊の息子の三人家族。

 「すまん。かあさんの服を着て、この靴を持ってみてくれんか・・・」
 父は娘に頼んだ。細い、消え入りそうな声だった。
 貧しく、髪をゆうことさえ出来なかった母の一張羅の着物と父の靴。
 断れるわけがない。

 「おお、お前、お前ー!」母の服を着た娘を見て、父は初めて涙を見せた。
 「かあさんのにおいだ。あの日球場にサインを貰いにきてくれた時のぉぉぉ!」
 ない胸に顔を埋め号泣する父を、靴を両手に放心した趣で見る娘であった。

 それから18年・・・
 カクテル光線の眩しい球場で、見えない素振りを見せる黒人選手が言った。
 「ヘイ、ボス。ソノスパイク、ズックジャナイカ。ヨクアキナイナ」
 「生意気なことをいうでない。さあ、魔球打倒目指して練習じゃい!」
 
 息子・飛雄馬から取り返してきた大事なスパイク。あの夜の事は、娘しか知らない。

 ※人名だとあんまり安易なので、わざと散らしちゃいました(笑)
  次のお題は:「コスモス」「草原」「銀河系」でお願いします。

490 :「コスモス」「草原」「銀河系」:02/02/02 22:57
 風が火照った頬に心地よかった。
夕暮れ。
花の名前は知らない。せいぜい知ってて…コスモス?ぐらいだ。
夕焼けの朱が花弁を染め、さらに赤く赤く。
 …そう言えば「コスモス」って、「宇宙」って意味だったような。
先人はこのかよわい花弁に、無限に広がる銀河系を見たのか。と一人思い。
 それに比べて自分の小ささ。
鮮血に染まった両手を夕日にかざし、その赤さに眩暈を覚える。
朱、朱、朱、朱、
いつの間にか草原は殲滅した敵と味方の屍体で覆われていて、
鮮やかな朱だった花は残らず踏みつぶされていた。

☆次は「母」「トロイの木馬」「聖剣」でお願いします。

491 :名無し物書き@推敲中?:02/02/02 23:33
遠い記憶の中で母は暖かく笑いながら、あなたならできるわよ、と、
私は何でもわかるのだから、あなたができるのもわかるのよ、と、
僕の肩を軽く抱きしめた。そのとき母は泣いていたかもしれない。
あれから長い時が過ぎた。
今、目に映るのは血と炎の赤に染まった大地。
トロイの木馬、と名づけられた計略。巨大な木の馬は歓迎され、
中に僕が潜んでいるとは知られず、敵城は迎え入れた、その結果が赤の地獄だった。
僕は城の門を内側より開き、兵を迎え入れた。それからは殺戮と焼き討ち。
恐るべき精密な奇襲、神のごとく何もかも知り尽くした戦略で暴れまわった敵だったが、
ものの見事に、瞬く間に滅んでいった。
僕は聖剣を強く握りなおした。すべての元凶を打ち倒さなければ、
戦いは終わらない。荘厳な石の神殿。中は静かだった。記憶の中のように。
母がいた。母、予言の神の巫女は微笑み、ゆっくりと腕を広げた。
母は生まれ故郷の敵国に迎えられ、敵にすべてを教えていたのだ。
ただ1つ、僕のこと、僕が木馬に潜み、城の門を開き・・・、母を殺すこと以外は。
僕は大声を上げて泣きながら、輝く剣を振り上げた。

次;「蝶」「震動」「空白」でお願いします。

492 :うはう:02/02/03 00:59
「蝶」「震動」「空白」

 蝶のように舞い、蜂のように刺す。それが彼のスタイルだった。
 しかし、さすがに20回目の防衛戦となるとキツい。
 頭にパンチを食らい、恐ろしい程の振動がチャンピオンの脳に走った。
 数秒の意識の空白の後、辛うじて立ち上がる、彼。

 彼は必死になって自分自身に言い聞かせる。
 「いつものスタイルを思い出せ。蝶の様に舞い」・・・後が思い出せない!
 どうも、あのパンチがいけなかったらしい。
 「蝶の様に、蝶の、蝶の・・・」
 仕方なく彼は舞い始めた。ただただリングを舞うだけだった。

 奇跡はそこからはじまった。 

 汗臭いマットの上に咲いた男の舞いが、観客とレフリーの心を捉えたのだ。
 「なんて優雅な動きだ」「あの足の動きは、既にバレエだ」
 バレエとボクシングでは勝負にならない。勝負は判定となった。
 挑戦者は25ポイント。チャンピオンは9.90が5人で49点。
 次回の公演が楽しみだ。

 ※案外マトモな話になってしまって残念!?(笑)
 次のお題は:「放射線」「涙腺」「廃線」でお願いします。

493 :Dai:02/02/03 05:03
ソレは毎夜の日課、眠り獲得に際する儀式、ノイジィな自覚との対話だ。
僕はブラウン管を介して明日とのコンタクトをとる。
不定の理を砂嵐に見出すまで僕はその行いを止めない。
平面と立体を分け隔てるモノは涙とともに流れ去り、
乾ききった涙腺の果てに僕は古き僕としての在り方を放棄するだろう。
代わって止めど無い放射線の主張が僕を満たし、
こうして僕は新たな糧、明日への気概を得るのだ。
そうでなければ今日は廃れたままに更新される事なく朽ちるばかりに違いない。
しかしこの試みを以って廃線は命を注入され、線路は青き息吹に振動を始める。
日々は刷新された、僕は終わらない。
ソレは睡眠、僕は再び今日を始める。







494 :Dai:02/02/03 05:06
まーたシンドイ話に仕上がっちまいましたねー、笑
次はもうちょい明るくポップなヤツに挑戦してみます、ヨロシク。
では次のお題は「ストーブ」「惰性」「アンプ」でよろしく。

495 :999 ◆D0999.o. :02/02/03 05:08
「放射線」「涙腺」「廃線」

 廃線となった鉄道沿いを同僚と二人、人を探して歩いた。同僚が照らす懐中電灯
の明かりが心もとなく線路を浮かび上がらせた。夜明けはまだ遠く、街の灯
も届かない。こんな時間に行方不明者が山に入るところを見た、という通報
があったことが奇蹟だ。
 私と同僚は言葉もなく歩いた。泥と草が枕木を隠していた。夜の中にいるとこの線路に
電車が走り人の営みがあったことが不思議だった。

「いたぞ」
同僚が前方を指して叫ぶ。確かに、いた。不明者はそこにいた。変わり
果てた姿で。同僚が不明者に走りより、顔を照らす。「死んでいるようだな」
 当たり前だ、ガイガカウンタは放射能の値が以上であることを示していた。
我々のように防護服を着ていない人間が長時間この放射能に当たれば。
「自殺だな」
同僚が言う。何十にも張り巡らされた有刺鉄線を乗り越えて危険地域に
進入することがその証だ。ここは新たな自殺名所になりつつあった。
 今や、立ち入る人はなく、走る鉄道もない、この場所で死んでゆく人々を
思うと涙腺から溢れるものがあった。

遅れた。次は>>494の「ストーブ」「惰性」「アンプ」で


496 :999 ◆D0999.o. :02/02/03 05:09
>>495
あ、放射能→放射線で。

497 :うはう:02/02/03 10:06
「ストーブ」「惰性」「アンプ」

 いまにも崩れそうな学生寮。
 歴史はあるが、エアコンはない。もちろんトイレは共同だ。
 ボロボロの木造だから「防火のためストーブ等一切禁止」
 今年の冬は寒い。

 講義から帰ると、惰性の様に旧式の真空管アンプのスイッチを入れる。
 数秒後「ボン!」という独特の音がスピーカーから聞こえる。
 ・・・といっても、今やレコードは発売されない、これは暖房用なのだ。

 隣の同級生のはもっと近代的だ。
 「やっぱり、アンプはサンスイのが一番あったかいわ」
 「これなら規制はだいじょーぶ。退学はイヤだしなあ」

 今、Pentium4搭載パソコンは、自分たちの間で垂唾の的だ。
 性能はおいといて、あの発熱量! 大きな電源も熱い。
 そんなお金があれば新しい寮にいける。のではあるが・・・。

 ※なんか、現実味にありそうな話(^^;L
 次のお題は:「8.5」「風呂」「監督」でお願いします。

498 :踊るボボ人間:02/02/03 13:55
「8.5」「風呂」「監督」

 「1」
 「2」
 「3」
 「4」
 「5」
 頭の中で数を数える。もうそろそろ「10」だ。足に力を入れて
立ちあがろうとした。と同時に甲高い音が鳴り響いた。
 「ピッピーー!」
しまった。また失敗してしまった。
 「まだ8.5秒した経ってないぞ。もう一回やり直しだ」
 「はい! すいません監督!」
 創設45年を迎えた名門の我が金盥高校風呂部の指導は厳しい。
自販機が使えなくなるくらいである。

次ぎ「たらい」「しずく」「湯」

499 :名無し物書き@推敲中?:02/02/03 17:34
「たらい」「しずく」「湯」

たくさんの荷物を抱え、私達は南に向かう。
らくだに乗り、砂嵐を避けながら彷徨う旅。
いつまで、またどこまで続くか、わからないこの旅。
しずかな砂漠の真ん中で、毛布に包まり眠る夜、
ずいぶん遠くに来たものとしみじみ思ってみても、
くる日もくる日も歩き続ける道のりは、終わるでもなく、
湯を沸かし、固いパンを齧る時間だけが、ただ一つの慰みに思う。

ちょっと、使い古された感もありますが、とりあえず。

次は、「時計」「日本刀」「火鉢」で。


500 :999:02/02/03 21:58
「時計」「日本刀」「火鉢」

 なくなった祖父の仕事は街のシンボルでもある大時計のネジをまくことだった。
祖父は死ぬまで、朝と晩の二回、欠かさずネジをまいた。僕はよく祖父の仕事
場に遊びに行った。記憶の祖父は、ひびの入った手を火鉢にかざして、僕が行く
と一番暖かな場所を譲ってくれた。
 寒い日の祖父はココアをつくってくれた。マグカップの剥がれかけたネコの絵柄
を覚えている。時計台の入口にある小さな管理小屋は彼の集めた雑多な収集物、
日本刀、根付け、それにパイプなどが溢れていた。決して整頓されているとは言い
がたいその部屋で飲むホットココアはとても美味しかった。
 止まりそうで止まらない、古い時計が不思議だった。そう祖父に告げると、「毎日
僕がネジをまいてやってる、当り前だ」と言われた。

 長じて僕はエンジニアとなり、時計の街から離れた。時計は祖父の死の数年後、
自動でネジがまかれるものに変更された。祖父の仕事は時計のネジをまくことから
疲れて古びた僕のネジをまくことに変わり、仕事場は管理小屋から思い出のなかにな
った。疲れて古びても、止まりそうでも、なんとかやってるよ、じいさん。


「かかと」「免除」「カラフル」




501 :名無し物書き@推敲中?:02/02/03 22:48
視界いっぱいに広がるカラフルな街並み。
どこもかしこも楽しそうな物で溢れている。
僕の田舎とは大違いだ。

「きょろきょろするのは構わないけど」
僕たちの担任に決まったらしい先生に注意される。
「寮までの道をきちんと覚えておくんですよ」
「はい」「はーい」「わかりましたー」
ここは世界最大の魔法都市、流石に世界最大だけあって
人も沢山いるし道も沢山ある。ちゃんと覚えないと。

それにしても結構歩く…
寮に入れば学校への多少の奉仕活動の代わりに
学費が免除されるって聞いたから寮に決めたんだけどな…
これじゃちょっと一人暮らしを考えたほうが良いかも…
「着きました」「え!?」
目の前がいきなり開けてそれらしい建物が現れる。
ずらっと並んでいるのは……先輩達?
「初めまして、新入生の皆さん」
スッと前に立った代表らしき女の先輩の言葉とともに先輩達が一斉にお辞儀をする。
そして同じ呼吸で一斉にかかとを打ち鳴らしたかと思うと、空一杯に紙吹雪と鳩が現れた!
「そしてようこそヴァーミリオン魔法学校へ!」
それは、疲れなんか一発で吹き飛ぶほどきれいな光景だった。

502 :501:02/02/03 22:49
スイマセン、ちょっと長くなりました。
次のお題は「映画」「香水」「スパゲティー」

503 :名無し物書き@推敲中?:02/02/04 00:04
「映画」「香水」「スパゲティー」

僕の大好きなお母さん。
いつもいい匂いがしてた。
それが香水の匂いだと知ったのは、ずいぶんと大きくなってからだ。
僕の大好きなお母さん。
日曜はいつも映画に連れて行ってくれた。
帰りはいつも喫茶店に寄って、ケチャップの真っ赤なスパゲティーを食べた。
そこのマスターが優しかったのには訳があったと知ったのは、つい最近のことだ。
僕の大好きなお母さん。
最近はずっと一緒に居てくれる。
映画には行けなくなってしまったので、毎日ビデオを借りてきてあげる。
僕の大好きなお母さん。
化粧台から見つけてきた香水をつけてあげる。
それでもだんだんと嫌な匂いがするようになった。
僕の大好きなお母さん。
僕を置いて出て行こうとした。
ケチャップのように真っ赤に染まったブラウスも、少しずつ固まって黒ずんできた。
僕の大好きなお母さん。

次のお題は「涙」「コンビニ」「携帯」でお願いします

504 :999 ◆D0999.o. :02/02/04 00:13
「涙」「コンビニ」「携帯」

 なんだかんだ言っても携帯って便利だよね。今や、携帯で
銀行振込なんかもできるし、ゲームだってできちゃう。
 2ヶ月前のクリスマスには携帯でプレゼントを注文して、
コンビニで支払い、受け取り。で、彼女にハイっ、と。
 話したいときにいつでも話せるし、そうじゃなくてもメール
がある。

 でもさ、いくら便利だからって、彼女の涙とさよならまで、
届けてくれなくてよかったのに。

「観梅」「ピアス」「マカロニ」

505 :うはう:02/02/04 07:35
「観梅」「ピアス」「マカロニ」

 その朝、彼女は朝から頭が重かった。頭痛もする。
 眠い目をこすりながら女子寮の食堂に降り、彼女はやっと事態を把握した。
 全ての寮生の両耳に、巨大なイヤリングがあるのだ!

 「怪人ピアス小僧・・・」彼女は怯えた様に呟いた。

 一夜にして何百もの乙女の耳に穴をあけ、イヤリングをぶらさげて去ってゆく。
 全く無痛で、マカロニの穴の様に易々とピアス穴をあけてゆく、その恐怖の技術!
 超合金でできたそのピアスは、彼でなければ外せない、極悪非道の犯罪者!

 だが・・・彼の最もケシカラン点は他にあったのだ。
 イヤリングの飾りはほとんどが梅の花で、食堂はさながら観梅の会だった。
 彼女は大急ぎでトイレにゆき、自分のイヤリングの飾りを見た。

 耳には、なんと、何本もの竹を模した門松のイヤリングが!
 「松・竹・梅・・・」
 彼女は少しだけ微笑んだ。

 ※・・・ピアスって痛そう;;;
 次のお題は:「桜」「錯乱」「昨晩」でお願いします。

506 :櫻・錯乱・昨晩 :02/02/04 17:40
櫻の下には屍体が埋まっている、と云ったのは誰で在ったか?

私が昨晩観た櫻には、首吊り人がいた。
其れは既に人としての機能を果たして折らず、只管風に揺られているだけだった。
股からは糞尿が漏れて折り、悪臭が立ち込めていた。
徐に拝顔してみると、其の顔には見覚えが在った。
水面に映し出される己が容貌と瓜二つで在ったのだ。
吾が薄弱なる精神の所為かと訝り、再度確かめたが、矢張り其の屍体は私自身で在った。
三度確認しても結果は変わらなかった。
等々私も錯乱したかと思ふと、自ずと冷静に成れた。
しかし、何故に私があそこで吊るされていたのだろう、否、自ら進んで首を括ったのか。
其れでは・・・私は一体何物であるのだろうか。
魂と成って肉体から乖離してしまったのだろうか?

私は今も苦悶している。
あの屍体は誰であるのか?そして私は一体何者であるのか?

櫻の下には屍体が埋まっていると云う。
あの櫻には屍体が吊るされている・・・。

#次は「不如帰」「トンネル」「ランジェリー」で。

507 :懐かしい ?:02/02/04 22:02
「不如帰」「トンネル」「ランジェリー」

”陽子 全て解決した すぐ帰れ” 新聞の3行広告がふと目に入る。
 多分 その”陽子”が、俺の脇で下着を脱ぎ散らかしたまま
 TVをぼぅっと見ている。白々した光にさらされた顔は
 職業の割りには、荒れていない。
 彼女の吸う煙草の灰が下着(ランジェリー)に落ちる。
  
 彼女がトンネルを抜けた先のここで枕芸者をしているのを
 ”父”は知っているのだろうか。

 外で不如帰が鳴く。もう一風呂浴びに行くか。

#次は 「苗場」 「折り紙」 「ガス」 で

508 :名無し物書き@推敲中?:02/02/04 22:40
「苗場」「折り紙」「ガス」

 どこにも間の悪いヤツってのはいると思う。今の俺がまさにそう
だ。ゲレンデで無茶やってケガした、とかならまだいい。そうでな
くて宿の階段で転んで足首ひねったのだ。バカ丸出しである。今、
ジンジンと痛む足首を冷やしながら、ストーブに当たってる。やる
ことがないので、ユラユラ揺れるガスの火を眺めている。

 ああ、今先輩達はどこら辺滑ってるんだろうな? 大体俺が忙し
い中このツアーに参加したのも先輩目当てだった。そろそろ真剣に
アプローチしよう、と一大決心で望んだのに。苗場の山は俺に恨み
でもあるのかな……

 カラーン。ドアが開く音がして、赤いウェアが見える。
 「よ!ヒロくん、元気してる?」
 「してないすよ。どうしたんです?」しかし顔はだらしなく緩む。
 「え、ちょっと忘れ物……はいこれ」
 先輩は、食堂の紙ナプキンで創った折り鶴を置いて、フフと笑っ
て出ていった。

 苗場の山は俺の味方なのかもしれない。

#次は「勝てない」「射殺」「犬」


509 :↑訂正:02/02/04 22:43
は、はずい……

折り鶴→折り紙の鶴

510 :名無し物書き@推敲中?:02/02/04 23:41
「勝てない」「射殺」「犬」

「だめだ。どうやっても勝てない」
泣き言を言うのは、隣に立つ僕の友人だった。
「あいつに勝てないと、進めないんだぞ」
「俺には無理だ。お前がやれ」
言葉だけ聞けばかっこいいが、それは自分の力の足らない事を他人に押しつける言い訳に過ぎなかった。
「俺には、もうこれ以上は無理だ」
「馬鹿な事を言うな。お前がいなかったら、俺はどうしたらいいんだ」
そう言うと、友人はいやらしく笑った。
「たまには自分で進む道を切り開くのも、いいもんだぞ」
そう言うと、友人は目を閉じた。
僕は向き直り、目の前の犬を射殺しようと銃をかまえる。

その戦いは、僕の財布が空っぽになるまで続いた。
おかげで今日は電車に乗って帰れない。

#昔よくやった。

「見習い」「TV」「果実」

511 :「勝てない」「射殺」「犬」 :02/02/04 23:58
##遅れたけど書いちまったので。

あの犬には勝てないと思った。だから射殺した。
そりゃそうだ。そのまま放置したら、俺の犬のほうがやられちまう。
そう思ったから、尖った目でこちらを凝視しながら走ってくる野良犬を猟銃で撃ったのだ。
一発だった。これで終わりだ。そのはずだった。なのに、、、
あろうことか、俺は仰向けに転がり、今まさに喉を食いちぎられそうになっている。

自分の飼い犬に。

なぜだ、、
だめだ、俺が殺される、、喉の激痛で気を失いそうになりながら、猟銃を握り直した。
まさか自分の愛犬を射殺する羽目になろうとは、、、
ガブッ!!「ぐあぁっ!」猟銃が手からこぼれた。
異変に気付いた犬がその攻撃の矛先を喉から手首へ移した結果だった。
「飼い犬に手を噛まれる」だな。
射殺は無理だ。もう、勝てない、、、勝てない、、、
朦朧と意識が薄れ行く男の視界には、愛犬と同じ色の斑模様の尻尾の犬の亡骸があった。
「俺って、犬死に、、だな」

#キーワードを全部3回以上使ってみました。
お題は前の「見習い」「TV」「果実」で。


512 :511:02/02/05 00:01
あう、
意識が薄れ行く男の視界には→意識が薄れ行く俺の視界には


513 :「見習い」「TV」「果実」:02/02/05 01:30
TVのブラウン管に映った映像を見て唖然とした。
半年前に私の農園で勤務していた男が映っていたのだ。
見習いとして働いていた彼は、先月に何の連絡もよこさず姿を消した。
私は彼の勤務ぶりには真面目な印象をもっていたので、何か事件にでも巻き込まれたのでは
と思い、八方手を尽くして彼を探したが見つからず、後は警察に任せたままになっていた。
しかし、彼が今、TVに映っているとなると答えは一つである。
私の開発したあの技術を盗み、ここに公開する気であろう。
何十年と研究に研究を重ね、やっとのおもいで辿り着いたこの発明を奪われるとは・・・
TV局に抗議の電話をかけようかと思ったが、もう何かどうでもよくなった。
「では、品種改良の・・・」TVから聞こえてくる女性の声が寂しく胸に響く・・・
・・・どれだけ優質な果実を開発してもそれを育てる人間がこれでは・・・
明日からは見習い達の品種を改良しなくてはと思ったのだった。

次は「スペア」「前例」「追突」で。

514 :Dai:02/02/05 01:34
ウチの音楽室は俺等の格好の集い場となっている。
楽器類を日光から保護する為か降ろされた暗幕に厚い防音壁、
呑みや交わりには最も適した場所だった。
そして今回の事件、教師連中は恐喝に関わった生徒を集めて永遠とも感じられる詰問を始めた。
しかしただ一人頭部からの流血を認められた俺だけがソレを免除された。
いつもは呆けたように大人しいアニオタの逆ギレを食らい警棒の一撃を受けたのだ。
ところが連中はヤツの親類がこの田舎きっての実力者とかの事情でこの件を隠蔽さぜるを得なくなり、
その為にも証拠となる俺ばかりは極力刺激を与えないようにしたいらしい。
「早く手当てしないと、ひどく傷じゃない。」
腫れ物を触るような応対の女教師に導かれ、俺は眼前の張ったケツに付き階段を降りる。
足元には血痕が確かな光跡として歩みをカラフルに反射していた。
振り返るとその情景は校内として場違いにシュールだったので俺は酷く可笑しな気分になり、
足元の血溜まりをかかとで擦り付けながら、手始めに先の女教師を犯ろうと決めた。
不運とは案外に利用価値の有るモノだ。

515 :Dai:02/02/05 01:38
スミマセン、またやらかしました、
500番のお題「かかと」「免除」「カラフル」で創作しちまいました、。
毎度お騒がせします、どうぞ俺のは無視して進んで下さい。


516 :名無し物書き@推敲中?:02/02/05 01:47
正午過ぎ。父親が電話口で叫んだ。
「吉和!誇れ!俺の息子であることを!」
東京でフリーター生活をしている僕は、さっき深夜の肉体労働バイトを終えて
寝ついたばかりだった。まだ頭が朦朧としている。
「・・・はあ?」
親父は3年前にリストラをうけ、その後は実家でミカンをつくっている。
なおも興奮して喋りつづける。唾があたりに飛び散っているはずだ。
「俺が3年もただのミカン作ってたと思うか?・・・ついに出来たんだよ!」
「・・・ミカン?」
「馬鹿野郎!ただのミカンじゃねえっつってんだろ!・・・すげえぞ。よく聞けよ。」

頭半分で聞きながら、僕はTVを付け、土曜お昼の情報番組にチャンネルを合わせた。
若い女の子がたくさんでてくるやつだ。

「・・・ミカンなのにな、皮がかてぇんだよ。すげえ甘くてなあ。
 でな、てっぺんの部分がぽこってしてんだ。でべそみたいにな。
 おい吉和。そんなミカン、いや果実だ。見た事あっか?世紀の大発明だぞ、おい!」
 
番組は珍しい新商品を紹介するコーナーに移っていた。
タレント見習いみたいな女の子が、大きめのミカンのようなものを持って
はしゃいでいる。
「うわぁ!面白いかたちー!でべそみたあい!あっまーい!!」


「おい!聞いてんのか?!なんて名前にしようなあ。やっぱりでべそがウリだからなあ。
 で・・・」

「・・・デコポン。」

「え?」


「一足遅かったな・・・親父・・・」



親父は今年還暦を迎える。


次は
「カレー」「肺結核」「新興宗教」で。

517 :名無し物書き@推敲中?:02/02/05 01:50
すいません。511のお題で書いてしまいました。
しかも長すぎて省略されてるし・・・面目ないです。

518 :「カレー」「肺結核」「新興宗教」de:02/02/05 02:24
持病の肺結核を昨日になってこじらせた俺は完全にその病魔の敗北者となって病床についていた。
しかも、俺は元来ひきこもりであり、一人住まいのアパートに住んでおり、
誰も俺を看病するものなどいなかった。
正直俺は誰かに助けに来てもらいたくて両親の家に電話をしたのだが、今となっては
遅し、両親とは絶縁しており、電話は通じなかった。
ピンポーン とチャイムが鳴ったときに、俺は薄弱な体で全力を出しドアに向かい
どなたですかと訊ねると、悲しいかな新興宗教の勧誘の女であった。
俺はいま肺結核ということを簡潔に伝えると、女はそんなの構いませんと
いうといきなり俺の部屋に侵入してきた。俺はこれは持病で数日したら治るからと
言ったが、女はワタシ大学でこういう経験あるんですというや否や、すぐに緊急的な看病を
してくれた。ひととおりのことを女が終えると、俺の冷蔵庫を勝手に空け、
カレーを作るわ、休んでてと言った。女は手際よくカレーを作り、小一時間後に
テーブルには立派なものができていた。
俺は感謝のあまり涙を流しその女の新興宗教に入るよと言った。
すると女は言った。
「何を言っているの?新興宗教なんかじゃないわ。」


次回お題
「流行」 「ひしめき合い」 「映った未来」



519 :「流行」 「ひしめき合い」 「映った未来」 :02/02/05 02:59
何も意味するものがない無機質な街を彷徨い歩くワタシ達。
レイユは友達のリサと何が欲しいというわけもなく、ただ高校が終わると
街の気分に溶け込むためにシブヤに来ている。
シブヤは流行の発信の街だけどワタシの目に映ったシブヤ未来は変わらないと
思う。シブヤってそういうものだと思う。たぶんワタシ達も数年後には
このシブヤも違うように見えていだなぁとレイユは思った。
ねぇねぇ、今日さー、サイアクだよー、と言ったのはリサだ。
どうやら、話を聞くと高校で遅刻過多のために担任から注意を受けたらしい。
そうだ、Sやんない?はじけようよ!!とリサは言った。
ワタシは特にそんな気分じゃないんだけど、この街が持つ魔力に押されてか
いいよ、と言った。
ワタシたちはいつも行っているお気に入りのクラブへと足を運ぶ。
ここでいつものプッシャーがいてすぐにSを手に入れることができるのだ。
二人で意味のない会話を繰り返していくうちに段々とワタシはリサの話だけに
相槌を打つようになり、ワタシは何かを考えてリサの話は聞こえなくなり途切れ途切れに
なっていった。通行人がひしめき合っている、シブヤは今夜覚醒する。

次回お題

「計画的」 「スルーパス」 「プラトニック」



520 :519 マジスマソ 訂正後の文章です:02/02/05 03:03
何も意味するものがない無機質な街を彷徨い歩くワタシ達。
レイユは友達のリサと何が欲しいというわけもなく、ただ高校が終わると
街の気分に溶け込むためにシブヤに来ている。
シブヤは流行の発信の街だけどワタシの目に映ったシブヤの未来は変わらないと
思う。シブヤってそういうものだと思う。たぶんワタシ達も数年後には
このシブヤも違うように見えているんだなぁとレイユは思った。
ねぇねぇ、今日さー、サイアクだよー、と言ったのはリサだ。
どうやら話を聞くと高校で遅刻過多のために担任から注意を受けたらしい。
そうだ、Sやんない?はじけようよ!!とリサは言った。
ワタシは特にそんな気分じゃないんだけど、この街が持つ魔力に押されてか
いいよ、と言った。
ワタシたちはいつも行っているお気に入りのクラブへと足を運ぶ。
ここでいつものプッシャーがいてすぐにSを手に入れることができるのだ。
二人で意味のない会話を繰り返していくうちに段々とワタシはリサの話だけに
相槌を打つようになり、ワタシは何かを考えてリサの話は聞こえなくなり途切れ途切れに
なっていった。ワタシたちのまわりには通行人がひしめき合っている、シブヤは今夜覚醒する。

次回お題

「計画的」 「スルーパス」 「プラトニック」


521 :名無し物書き@推敲中?:02/02/05 03:20
「犯人はあなたですね・・・」マヨネーズ警部は確信を持って言った。
「はは、馬鹿な・・・どこに証拠があるというんですか?」後藤の声が引き攣る。しかし、マヨネーズ警部は言葉をさらに強調して言った。
「これは実に計画的に練られた犯行ですね。あなたは彼女をまず、自宅に呼び出し、鍵をかける。
 そして、殺害した。あなたの仕掛けに彼女は見事にはまった。しかし、あなたは大事な点を見落としていたんです」
「一体なんだね?それは」横からケチャップ警視が尋ねた。
「彼女は家に入るとき、口紅を持ってきたんです。おそらく、どこかの薬局で購入したものでしょう。
それを彼女はあろうことか、あなたの家のゴミ箱に捨てた。しかもキャップを取らずに。あなたはゴミと
ともに、口紅を捨てたと思い込んだのでしょうが、ゴミ箱の中から、口紅の跡が検出されました」
「なるほど。それが事件解決へのスルーパスになったわけか」警視が感心して呟く。
「さて、もう一度尋ねます。どうして彼女を殺したんですか?」
後藤の目から涙が溢れた。
「ううう・・・俺は、あいつから金を巻き上げるつもりだった。プラトニック恋愛に見せかけて・・・
しかし、あいつは気がつきやがった!俺がうっかり他の女から貰った携帯のメールを消しておくのを忘れたんだ。
それを見つけた彼女は気が付いて、俺を難詰した。だから殺したんだ・・・ううう・・・」

後藤は逮捕された。事件は見事解決したわけだ。
だがしかし、マヨネーズ警部とケチャップ警視の戦いはまだまだ続く・・・。

「振り出し」「中国人留学生」「決戦」で。

522 :めんじ:02/02/05 23:06
「振り出し」「中国人留学生」「決戦」

解決したかに思われた2人の戦いに、思わぬ展開が待っていた。
後藤が取り調べ中、何者かに殺されたのだ。
死因は差し入れのカツ丼に仕込まれた手榴弾による爆死だった。
これでまた事件は振り出しに戻ったのだった。
マヨネーズ警部と部下のウスター刑事の地道な捜査の結果、
後藤と被害者の両方にかかわりのある一人の男が浮かび上がった。

すでにお気づきのこととは思うが、その男こそ、誰あろう、中国人留学生リャンである。
マヨネーズ警部とケチャップ警視の因縁の対決は、ついに決戦のときを迎えたのだった。

次、「藻屑」「スキー板」「断念」で。

523 :、「藻屑」「スキー板」「断念」:02/02/05 23:39
日の丸飛行隊、かつてはそう呼ばれていた威信ある日本ジャンプ陣に
暗雲が立ち込めていた。それは規則変更であり欧米の選手の方が有利となる
ことであった。それはただ規則というもので日本ジャンプ陣に影響を与えたわけでなく
精神的にもプレッシャーを与えていた。
選手たちはそれでも不満を言わずに、その不利益を技術で埋め合わせようと懸命に
努力していたが現実は厳しかった。
オリンピック最終予選、日本の選手たちはそれぞれ空の藻屑となって散っていった。
欧米の選手に完敗したのである。
もはやオリンピックまで時間がない、日本の選手たちにも断念の二文字が頭をよぎった。
そのときである、スキー板の技術者が選手の前にたち、新型のスキー板をかかえてきた。
なんとか間に合った、ワシ等の技術力をなめるなよとその技術者は言い、すぐにあとは
キミ達に任せたからと言って、そのスキー板だけ残し去っていった。
オリンピック本番、欧米列強を相手に日の丸飛行隊が復活した。

次回お題
「2ちゃんねる」「NHK」「京都」

524 :名無し物書き@推敲中?:02/02/06 00:34
「2ちゃんねる」「NHK」「京都」

京都温泉ホテル美人女将殺害事件を、自慢の推理力で解決したマヨネーズ警部は、
帰りの新幹線の中駅弁をほうばりながら東京の警視庁へと向かっていた。
幾つもの事件を解決してきたことで、そろそろ警視への昇格も見え始めてきたのだ。
こんな嬉しい気分は、この前2ちゃんねるで自分の立てたスレッドが初めてレス50を超えたとき以来である。
マヨネーズ警部は妄想にふけりながら、にやにやと笑っていた。
だが、しかし、新幹線内に悲鳴が轟いた事で、彼の甘い想像は吹き飛んだ。
何だ一体、などと思っていると、「殺されている!」という男の声が聞こえた。
慌てて立ち上がって、声のほうに向かう。
隣の車両の、真ん中の席の辺りに人ごみが見えていて、警部が除くと、女が包丁で胸を一突きされている。
こうして警部は、事件解決に乗り出した。
NHKのニュースが遠くのほうで聴こえた。まるで、この事件の解決の難しさを思い知らせるように・・・。

続く(のか?)

次のテーマは
「リピド−」「内閣不信任案」「目覚し時計」です。

525 :「リピド−」「内閣不信任案」「目覚し時計」:02/02/06 14:13
目覚し時計の世話にならなくなってもう一年がすぎようとしていた。
眠くなったら寝て、目が覚めれば起きて、起きている間はずっとインターネットで暇つぶし。
午後3時に目を覚まし、朝ごはんなんだか、昼ごはんなんだか、夕ごはんなんだかわからない食事をとっていると、テレビから、内閣不信任案が可決されたというニュースが聞こえた。
自慢じゃないが僕は総理大臣が誰なのかさえ知らない。
断っておくが、僕は母が心配しているようなひきこもりというやつではない。
世間から若干隔離した生活をしているとはいえ、ひきこもってなんかいない。
毎日、庭先で縄跳びだってしている。
「汗をかくことがすきなんです」と僕が言うと、
「汗を流すことは、エウロパ心理学では皮膚射精願望に当たります」と精神科医は言った。
「はい?」と僕が訊きかえすと、
「かなり強烈に抑圧されたリピドーが存在すると考えるべきでしょう」と精神科医は言った。
「自分自身を抑えきれなくなると、街中で衝動的に腕立て伏せをしたりすることがあります。この場合、警察に通報されかねません。一度本格的なカウンセリングを受けたほうが良いかもしれませんね」
断っておくが、僕はひきこもりなんかではない。
精神異常者でもない。
社会とは、とかく世離れした人間を疎んじるものなのだ、とつくづく思う。

次は「猛禽」「不遜」「千尋の谷」で。

526 :名無し物書き@推敲中?:02/02/06 22:43
「猛禽」「不遜」「千尋の谷」

 猛禽類というのは目がとんでもなくいいらしい。何でも数百メー
トル先の動くものなら完璧に認識できるんだそうな。

 ああ、俺もタカやワシになりたかった。
 そうであれば、自分の視線に気付かれることなく、不遜な楽しみ
にふけることも可能だったろう。

 そして千尋の谷間に思わず眼が釘付けになってしまったとしても、
こんな理不尽な暴力に晒されることもなかったろう。

 ああ、奥歯がグラグラしてるよ〜。

#次は「餡」「競売」「海流」で。

527 :名無し物書き@推敲中?:02/02/07 00:48
 締め切りから逃げるために、私は日本海を望む鄙びた漁港に来ていた。
そして、その界隈唯一と聞かされた旅館に部屋を取る。外見は倉庫か何かのようだが、
真新しく見えるのはペンキが塗り直されているからだろうか。
 出迎えた主人は不愛想が服を着て髭を生やしたような容姿だった。
「しばらくお世話になります」
「あぁ」
「日程は決まってないんで、いつまでお世話になるかは分かりませんが」
「あぁ」
 私は居たたまれなくなって、この旅館のことを聞いた老婆の話を切りだした。
「あの、何でもこの旅館には名物料理があるとか」
 言った途端、主人の目の色が変わった。
「日本海の荒波と海流に揉まれた魚介を餡にした饅頭のようなものだと……」
「その話、どこで聞きなすった」
「いえ、その道すがら……」
「それを注文されたとあれば、後には引けぬ」
「はぁ?」
「その料理には競売に掛けられることのない、黄金のユメナマコが必須。あとを
よろしくお願いします」
 主人は支度を整えると、漁に出かけていった。

 あれから1年が過ぎようとしている。結局、店の主人は帰ってこなかった。旅館の
ことを頼まれた私はその跡を継いでいる。都会での追われる生活に疲れていたせいも
あるのだろう。ここでの暮らしは私に平穏と安寧をもたらしてくれていた。
 そして、客が来た。疲れた顔した中年の男だ。
「あの、この旅館には名物料理があると聞いたんですが?」

次は「女神」「逮捕」「ネズミ」


528 :うはう:02/02/07 02:17
「女神」「逮捕」「ネズミ」

 「あの男・・・」
  と、彼女は細い指をあげる。
 「彼に気をつけよ。彼は罪をおかすであろう」

 彼女は、「時の女神」と呼ばれていた。
 60を超えたが、女神が10代でなければいけない理由はない。
 (もちろん10代の方が・・・)

 「以前逮捕された、あの女の人はどうなるの?」と、僕は尋ねる。
 「彼女は通りすがりのネズミの様なもの、心配するでない」
 しかし、彼女はこう付け加えた。哀しみを帯びた声だった。
 「可哀想に。彼女は湯浴みの刻に命を絶たれる・・・」

 予言は的中した。半裸で息絶えた女に、新聞記者のカメラが群がる。
 そして運命は巡り・・・結局、最初彼女が指摘した男が逮捕されたのだ。

 時の女神。
 その眼力は冴え渡り、時には配役を見ただけで犯人を割り出す。
 比較的火曜の方が簡単だ、ということであった。

 ※特に近頃のは安直だと思ふ。
 次のお題は:「卒業式」「式部」「部品」でお願いします。

529 :「女神」「逮捕」「ネズミ」 :02/02/07 02:30
#また少し遅れた

最近バイクの窃盗が多い。俺も被害者の一人。これは切実な問題だ。
構造物に固定して12個もロックをつけていたのに。明らかにプロの窃盗団の仕業だ。
警察は無能でやる気もないので当てにならない。
しかし、なんとしても盗人に制裁を加えたい。そこで、おれは罠を仕掛けることにした。
毎日張り込みだ。そして、今、目の前で餌に食いついた愚かな盗人。
勝利の女神は犯罪者の味方はしない。奴は敗残者として社会から抹殺される運命にある。
そして、奴は逮捕される前に、俺様に羽交い締めで弱らされた挙句、顔面をグーで殴られることも決定済みだ。
さて、奴に引導を渡すとしよう。
「俺のバイクに何さらしとんじゃ!ぼけ!」言葉を発した瞬間には俺は奴を羽交い締めにする。
「く苦しい、、はな、、せ、、くっ、」「このバイク泥がっ!!」大声で叫ぶ。
「ちがう、、誤解、、、で、、す、、、」「何が誤解じゃ!バイク運ぼうとしやがったくせに!!」
「マ、、ン、ホ、、ル」「??」俺はやや手を緩めた。
「あんたのバイク動かさないと、マンホールのふた開けれんでしょーがぁ!」「・・・」

大山鳴動してネズミ一匹。

##お題は>>528



530 :トリ:02/02/07 03:21
「卒業式」「式部」「部品」

 いかにも下請け工場の社長といった風情の山下が近付いて来た。ぎすぎす痩せているくせに、腹だけは出張って
 禿げた頭は油ぎっている。
 俺は近寄るな、と心の中で悪態をつきながら無言で部品のねじを回す。
 「今日は卒業式なんだ」
 相変わらず山下は唐突で、一瞬何を言われているのか分からなかった。
 「恵里子の」
 「ああ、そうなんですか」
 恵里子は山下のが溺愛している不細工な一人娘だ。下膨れの平安顔で、俺たち
 作業員の間では『式部』とあだ名を付け、親子共々嫌われている。
 「恵里子さん、卒業したらどうするんですか」
 「それなんだがね」
 山下が並びの悪い歯をむき出し笑う。
 「どうも恵里子は君と結婚したいそうだ」
 顔が凍りついた。山下は続ける。
 「可愛い一人娘の為だ。式はうんと豪華にやろう。もちろん君の借金は返す必要なしだ。悪い話じゃなかろう」
 言葉が出ない。絶対に嫌だ。
 俺はじっとりと汗をかいた手で鉄のペンチを握りしめた。

次のお題は「ブラインド」「おしぼり」「嘴」 

531 :「かかと」「免除」「カラフル」:02/02/07 20:09
 カラフルという表現にはあまりにかけ離れた、赤褐色の世界が眼前に広がっている
。ここが僕と、アヤカさんの世界。
 「ゴォォ」あ、もうディナーの時間か。今日はなんだろう。昨日の夜は中華そばだ
ったね。醤油味のわりに、あまりにも甘くて雑な味つけだったよね。ファミリーレス
トランっていうところで食べたんだね、きっと。その前の夜は、ご飯と、ポテトサラ
ダと、鮪の刺身だったね。僕も好きだよ、鮪の刺身。その前の夜も、さらに前の晩ご
飯のメニューも、さらには材料や調味料も、僕は覚えているよ。だって、それが僕と
君の愛の印だと思っているからさ。
 あれ?ビーフステーキだなんて、今日は贅沢だなあ。焼き具合はレアだね。いつも
は庶民的な味が好きな君なのに、今日に限って高級料理だなんて。今日は誰かと待ち
合わせだと聞いたけど、誰だろう。きっと、君にビーフステーキを御馳走するほどの
リッチな人なんだね。そういえば、3週間前の待ち合わせのときも、イタリアの高級
料理店の味だったね。同じ人かな?
 それにしても、今日の君はいつもと違ってとても楽しそうだね。僕の腹の底まで上
品な笑い声が響いてるよ。けど僕はだんだん不機嫌になってきたよ。だって、君の声
に混じって男の声が届いてくるから。誰だ。アヤカさん、まさか僕と同棲している身
なのに、他のヤツと付き合おうとしているの?だとしたら、僕は君を許せないよ。
 僕は君から愛を受け貰っていると同時に、僕は君を支配できる能力を持っているん
だ。君の足のかかとから、頭の天辺まで、君の全身の血が僕に集まっているんだ。僕
の相談なしで、そんな見知らぬ男と付き合うな。僕がいる以上、君は恋愛・婚約の自
由の禁止は免除できないんだ。
 君は僕に栄養を与えてくれるけど、君は僕に語りかけてくれない。上辺だけの恋愛
だったのか。僕の妄想に過ぎなかったのか。お願いだ、君よ、僕に顔を向けてくれ。
愛してると言ってくれ。餌なんか入らない、本当の愛が欲しい。
 …やっぱりだめか。所詮、君と僕は愛し合えなかったんだろう。今夜、君の体から
排泄されていくよ。もう君の中へはいられないけど、少しは僕の方に目を向けてくれ
るよね?さようなら、アヤカさん。

次のお題は→「自責の念」「廃棄物」「大草原」

532 :名無し物書き@推敲中?:02/02/07 21:13
>>531
なぜに今ごろ >>500 のお題なんだ?

533 :名無し物書き@推敲中?:02/02/07 21:39
忘れてたんじゃないの?
もったいないから出しとこうみたいな。

お題整理だけしとこうか。

次のお題は「ブラインド」「おしぼり」「嘴」 (>>530

で「自責の念」「廃棄物」「大草原」(>>531)をストック(?)


534 :名無し物書き@推敲中?:02/02/07 22:10
今日はあれの日だ。
道理で嘴が普段に比べて2.58倍も尖ってる訳だ。
ちょっと鬱な気分だが、太陽でも拝んでリフレッシュしようと思う。
ブラインドを開ける。
「あ、おしぼりが飛んでやがらー」
ぼくは驚いたのでした。あれの事などもうすっかりなのでした。
次のお題は→「レトロ」「トトロ」「ニトロ」

535 :Dai:02/02/07 23:03
ジャリのアイドル、童心の淡い思い出、「隣のトトロ」。
俺は以前ケツを売っていた時期がある、15の頃だ。
まるで澄んだように荒み切った心は波瀾を求め破綻を夢見たものだ。
まぁ幼い反抗だったよ、ひどく内向的な反抗だった。
だってそうだろ?、建設的な自傷行為が無いように、
ケツ掘られて得るカタルシスなんて無理がある。
まぁとにもかくにも、俺は精一杯その夜を歩んでいたんだな。
閑静で物憂げな住宅街をひた隠すように「トトロの森」が覆ってた。
なんでもかの大監督がソコをモデルに舞台設定を膨らませた名所らしい。
俺がソレを知っていたのはその晩身体を交えたホモ野郎がソレを知っていたからだ。
俺は鈍い痛みをアナルに感じながらヒョコヒョコと歩いたよ、
その暗がりの中寒さに軋む身体を抱いてね。
するとね、俺の脳裏には遠い田舎の似非「トトロの森」の雄大な木立がオーバーラップし、
ついには正真正銘のソレを飲み込んでしまったんだ。
感傷的になっていたんだろうね、幼い頃の思い出はイツだって綺麗なもんだから。
しかしソコはひねた俺でしょ?、
そういう時は決まって燻るニトロと根競べしたもんさ、涙に湿ったマッチ箱を握り締めてね。
アレはきっと「帰りたい・戻りたい」の感情を許せなかったんだなぁ、。
ホラ、思い出はイツでも単純で明快なもんだからさ、
対岸でウジウジ悩んでる自分が馬鹿馬鹿しく思えてついには憎くなるんだよ。
イヤ結局戻ったんだけどね、ありとあらゆる物事が在るべき所に納まって。
けれどこうした今でも、俺は懐古趣味なんて持たないようにしてるんだよ。
レトロな静止画なんて所詮酒の肴くらいにしか以外利用価値を持たない、
そう強がりたい理由が有るのさ。
なのに今夜は何故思い出すのかって?
そりゃあお前、今俺が飲んでるからだよ、
アルコールに緩んだ頭にだけ許される特権さ。

536 :Dai:02/02/07 23:07
次は「アンニョイ」「メランコリック」「ナーバス」で創作お願いしまーす。


537 :名無し物書き@推敲中?:02/02/07 23:11
(´-`).。oO(アンニョイってなんだろう…

538 :名無し物書き@推敲中?:02/02/07 23:32
(゚Д゚).。oO(うるせえ!俺は今ナーバスになってんだ!)
(´-`).。oO(まったく、おにぎりアンニョイな気分だぜ…)
(-__-).。oO(メランコリックだ氏のう…)

539 :Dai:02/02/08 00:00
「アンニョイ」は物憂げや倦怠
「メランコリック」は憂鬱
「ナーバス」は神経質

以上の語義かと思いマス、自信ナイけど。
なら提示すんなって話なんスけどね、笑
正直俺が横文字苦手なんで、皆さんの用い方見てみたく思いまして。
ひとつヨロシクお願いします。

540 :名無し物書き@推敲中?:02/02/08 00:09
いや、>538,539は「アンニュイ」だろ?ってツッコミだと思われ。
スレ違いスマソ。
「アンニョイ」「メランコリック」「ナーバス」で続けてください。

541 :作品じゃなくてスマソ:02/02/08 00:10
>>539
日本語だと「アンニュイ」が一般的だと思うぞ。

それから2レス使わないでね。
かぶっちゃったら訂正入れればいいだけだからさ。

542 :名無し物書き@推敲中?:02/02/08 00:13
>>539

あのー、アンニョイではなくアンニュイだと思われますが・・・。

543 : :02/02/08 00:22
アンニョィハセヨか?

544 :名無し物書き@推敲中?:02/02/08 00:22
実はアンニョイでも正しいのだろうか?
>>539 >>541を見るとそのように思われる。


545 :Dai:02/02/08 00:25
すみません、今調べたら確かに「アンニュイ」でした。
これまでずっと間違っていたかと思うと自分恥ずいスね、笑
じゃあ早速「アンニュイ」でお願いします。


546 :名無し物書き@推敲中?:02/02/08 00:33
お題「アンニョイ」「メランコリック」「ナーバス」「自責の念」「廃棄物」「大草原」「レトロ」「トトロ」「ニトロ」
ついでに「重婚」↑

彼女はいつだってメランコリックなデザインを好んだ。
壁紙も、コーヒーカップも、カーテンも、ベッドのシーツも。
正直、夜の生活は楽しくなかった。想像してみてくれよ。
彼女を抱きかかえるとシーツにプリントされた大草原にたたずむトトロの目がじっとこっちを見てるんだ。
ナーバスにもなるよ。彼女は怒って「出て行って!」なんて僕に言ったけど
うまく出来なくなったのはそのせいなんだ。僕が悪いんじゃない。

でも、僕は今自責の念に苛まれてる。あんなことするんじゃなかった。
その女と出合ったのは産業廃棄物処理場だった。
その女はスクラップになったレトロな路面電車の上に、不法投棄されたニトログリセリンが爆発する轟音の中で
なぜだかアンニョイな表情で座っていた。その横顔に僕は愛を感じたんだ。
僕はその女に結婚を申し込んだ。彼女のことも忘れて。いや、忘れようとして。
そう、僕は重婚という罪を犯してしまったんだ。

次のお題は「ヒッチハイク」「歴史」「毀誉褒貶」で頼む。


547 :名無し物書き@推敲中?:02/02/08 00:51

「アンニョイ」「メランコリック」「ナーバス」

 コツ、コツ、コツ。コツ、コツ、コツ。
 隣りに座っているヒロコの貧乏揺すりが止まらない。彼女がナー
バスになっていることは隠しようがなかった。
 今の就職戦線は厳しい。ましてや女子のそれは厳冬期といえる。
色々なつてをたどってやっと辿り着いた面接だ。人一倍神経の細い
彼女が神経質になるのは仕方ないかも知れない。

 「な、こんな話知ってるか?」
 「……何……?」
 「一匹の白猫がいました。いつもアンニュイにため息ばかりつい
ていました。そこにとてもカッコイイ黒猫が迷い込んできました。
白猫は一目で恋をしてしまいました」
 「白猫は……雌猫?」
 「そう……白猫は黒猫の所にいきました。黒猫は云いました。た
め息ばかりついている子は好きじゃない。白猫は泣きました。そし
ていつも笑っていようと思いました。しかし笑えば笑うほどため息
が増えるのでした」
 「…………」
 「あるとき黒猫が事故で瀕死の重傷を負いました。白猫は必死で
看病しました。看病している間白猫はため息を一つもつきませんで
した……」
 「で、どうなったの?」
 「おしまい」
 意味ありげに微笑む。
 「……そう、やるしかないのよね。考えるだけ損……だよね」

 彼女が出ていった後、僕はコーヒーを一口飲んで大きく溜息をつ
いた。夕陽が窓から差し込んでくる。喫茶店のアンティークな内装
を暖かく照らし、メランコリックなBGMが耳に心地よい。

#長文・かぶりスマソ。ついに10題ですか?職人魂炸裂してますね。
#お題は継続「ヒッチハイク」「歴史」「毀誉褒貶」



548 :踊るボボ人間:02/02/08 00:56
「アンニョイ」「メランコリック」「ナーバス」

 「まったく酷い宿だった」
 しばらく滞在していた安宿を出たときに最初に口をついたのはまずこ
の一言だった。宿の主人の第度が酷い物だったのだ。
 あの野郎、なにが「アンニョイ ガセヨ」だ。俺が外国人だから見下
しているのか、応対は悪いわ、他に空き部屋があるのに一番酷そうな部
屋にしか通さないしわで散々だった。おまけに隣の部屋からは夜毎赤ん
坊が夜鳴きがうるさくてすっかりナーバスになっってしまった。ただで
さえ仕事で海外出張なんて嫌なことだったのに。
 まあいいや、三日後には国に戻れるんだ、嫌なことは忘れよう。こん
なメランコリックな気分を吹き飛ばすためには愛しい息子にメールを送
るニ限る。
 「良いコにしているかい、ジョアン。如意棒欲しがってたけどお土産
に持って帰るからね。パパより」

#次ぎは「人工生命」「かさぶた」「ドラフト」

549 :踊るボボ人間:02/02/08 00:57
かぶってかぶってまたかぶったみたい。
火星にでも逝ってきます。


550 :名無し物書き@推敲中?:02/02/08 02:08

「アンニョイ」「メランコリック」「ナーバス」「自責の念」「廃棄物」「大草原」「レトロ」「トトロ」「ニトロ」「ヒッチハイク」「歴史」「毀誉褒貶」「人工生命」「かさぶた」「ドラフト」

 卒論のテーマは人工生命(AL)だったが、これについて何も知らない相手に
自分は狂人ではないことを理解させるのは難しい。「パトレイバー」に出て
くる「廃棄物シリーズ」のようなものか、とか「エヴァ」の「綾波」かなど
と聞かれるが、違う。 「ルパンvs.複製人間」などのかなりレトロなアニメを
持ち出されることもあるが、どちらにせよ誤解だ。
 何を勘違いしたのか、「歴史上、神になろうとして成功した人間は居ない。
仮にうまくいったとして自責の念に耐えて生きていけるのか」などと説教を
されることもあるし、逆に感心され「トトロに出てくるネコバスを作ってくれ」
などと頼まれることもある。毀誉褒貶とはよくいったものだ。褒められても
貶されてもナーバスでメランコリックでアンニュイになる。悪魔の業かとまで
罵られたときは憂鬱を通り越して、ニトロでも爆発させて派手に自殺して
やろうか、何も持たずにヒッチハイクの旅に出ようか、と思ったぐらいだ。
 それらはすべて誤解に基づいている。わたしのテーマは生物学的なものでは
なく、コンピュータサイエンスのほうだ。計算機内部で単純なルールから複雑
な挙動を示す「生命」の振舞を分析するという、そっちのほうだ。わたしは生物
には詳しくないし、ましてや神ではない。癌どころかかさぶたも直せないし、
今年の巨人のドラフト1位の予測もできない。ただ、学問という大草原に第一歩を
踏み出したに過ぎない。

「尺」「戦う」「サックス」

551 :「尺」「戦う」「サックス」:02/02/08 10:15
ある朝目覚めると、僕は全長30センチくらいの小人になっていた。
一寸法師ならぬ一尺法師といったところだろうか。
隣では妻が寝息をたてている。
僕はそっと体を起こすと、そこに幼稚園に通う息子が入ってきた。
「わあ!パパ、ちっちゃくなっちゃったの?」
「そうなんだ。いやあ、まいっちゃうよ」と僕は頭を掻く。
「ちっちゃいパパかわいい。めぐちゃんにも見せてあげよう」
そう言って息子は僕をわしづかみにし、ベッドから連れ出した。
「こらこら」と怒る僕に、息子は笑っている。
めぐちゃんは近所に住む息子のガールフレンドだ。
めぐちゃんは僕を欲しがった。息子とめぐちゃんは僕を取り合い、かなり本気で戦った。
めぐちゃんはどうしても譲らない息子に腹をたて、僕をサックスの中に閉じこめてしまった。
息子は必死になって僕を探してくれたようだが、妻が迎えに来るとさっさと帰ってしまった。
そうして僕はめぐちゃんに飼われることになった。
ひとつわかったことは、子供とは無邪気な笑顔の仮面をかぶった薄情で残酷な生き物であるということだ。
そのうちめぐちゃんは僕に飽き、火曜日の燃えるごみの日に捨ててしまうかもしれない。
子供とはそういう恐ろしいことを何の罪の意識もなくやってのける生き物なのだ。

次は「慇懃」「封蝋」「茫漠」で。

552 :名無もちん:02/02/08 17:33
「慇懃」「封蝋」「茫漠」

剣戟の音が近づいていた。侍女がおろおろと両手をもみしぼるのにも構わず、彼女はペンを走らせていた。
「先に貴方はお逃げなさい。すぐに参ります」一輪の花のような署名を書き終え、ペンを置く。
手紙に封蝋を垂らす。それをかき抱くように胸元に押し込める。あの人に宛てた、最後の手紙。

侍女の短い悲鳴に振り向くと、叛徒の兵らを引き連れた宰司の薄笑いが見えた。
「これはこれは、かような所で王女殿下に御目文字叶おうとは」
「大儀であるな宰司。ぬしの新しい王はどこだ」彼女は宰司の慇懃無礼な物言いにも構わず、不敵に微笑み返した。
「広場にて姫の到着を今か今かとお待ちでございます。刑吏に斧を研がせてな!」兵が一斉に飛びかかった。

宰司と両脇の兵を一太刀で屠り捨てる。錯綜する槍の穂先をくぐり抜け、剣先と血飛沫が宙に一輪の花をえがく。
目指すは広場。縦横に踊る剣が敵を切り刻んでゆく。城内を駆ける彼女の後ろに屍が道をつくる。
ついに広場に辿り着いたとき、彼女の戦装束は血糊で赤黒く染まっていた。
人を喰らう血まみれの旋風のような彼女の姿を目にし、浮き足立つ兵たちに、偽王は歯噛みした。
「おのれ…、王女…!」自ら剣をとった偽王の胸に、血で濡れた剣がふかぶかと突き刺さる。

首謀者の死によって叛乱は収束した。王女は偽王の亡骸を茫漠として見つめていた。
先程までの鬼神のような面影はそこにはない。王女は胸元から手紙を取り出し、亡骸に手向けた。
「さらば、従兄どの…」小声でつぶやく。「お慕い申し上げておりました…!」


次は「既出」「うろ覚え」「完壁」でお願いします。いいのかなこんなん。


553 :名無し物書き@推敲中?:02/02/08 21:48
「既出」「うろ覚え」「完壁」

 オリジナルな意見というのは、出逢うと結構狼狽するものだ。

 今回のテーマの「シェイクスピア」は最も有名な作家であり、語り
尽くされた作家でもある。どんな希少な意見であっても大体は何処か
の誰かによって語られた既出の意見でしかない。

 だから、うろ覚えとはいえ、見たこともない解釈に出逢うと、どう
対応していいのか、大いに悩むことになる。完璧な評価をしようと思
わず肩に力が入る。

 しかし、このような悩みは、指導教官としては最も嬉しい事なのだ。

#次のお題は「お椀」「治安」「沢庵」で。

554 :うはう:02/02/08 22:29
「お椀」「治安」「沢庵」

 それは、突然の「宣戦布告」だった。

 貧相な小男だった。
 しかし、その略奪行為は類を見ないものだった。
 肉体的コンプレックスに苛まれた、彼の心情は理解できる。
 そうでなければ、あれだけ治安を乱し、大虐殺を遂行できるわけがない。

 しかし、虐殺され、略奪された者達はどうなるのか。
 僅かな生き残りの者たちは、沢庵にご飯という生活を強いられている。

 略奪した細胞転換装置によって、彼はその肉体を強化した。
 彼は自らのコンプレックスに打ち勝った。
 
 彼等は国境を固め、一寸の漏れもない警備体制を作り上げた。
 「お椀の船」「箸の櫂」は特に入念にチェックされる。
 今日も、親兄弟を殺された者達の声が聞こえる。
 「この鬼殺し!」

 ※お椀ときたら、やっぱしこれ・・・一寸ありきたり!?
  次のお題は:「雪」「乾電池」「空気」でお願いしまふ。

555 :名無し物書き@推敲中?:02/02/08 23:10

「雪」「乾電池」「空気」

 闇夜。電車は滑るように走る。月明かりはない。列車の窓にも明かりはなく、
雪はその白さを誇示することなく秘かに降り積もっていく。列車の中では乗客
達が、ボックス席の座席に、床に乾電池のように寝転がっている。

 突然、光が空に浮かぶ。続いて轟音が空気を震わせる。乗客達はそれでも物
音をたてない。走る棺桶のような列車はガタガタと機械音だけを発しながらト
ンネルに突入する。

 空襲なんてもう慣れっこなのか?そんな訳はない。頭上から、突然人生の終
焉が降ってくる。そうなったらもう逃れようがない。。無慈悲な確率によって
脈絡なくもたらされる暴力。その恐怖はヒトを耐え難い緊張に誘い込む。そん
な状況に慣れることなどあり得ない

 ただ、この地帯を抜ければ、比較的安全な穀倉地帯に行けるかもしれないと
いうかすかな希望と、一瞬で全てが終わるかも知れないという絶望によって、
今は皆声を発する機能を失っているだけなのだ。

#次は「短編」「はんぺん」「ワッペン」で。



556 :◆SpLWlLC. :02/02/08 23:36
トンネルを抜けるとそこは謀ったよに雪景色―

嫌味度満点のため息を僕は吐いてですね、相席となった親子連れを見ましたのです。
子供さんは御目が見えないようでして、ものごいメカニックな眼鏡をはめておりました。
あれですかね、無駄なことに再び視力を取り戻させるよな光線でも浴びせてやがんでしょう。
兎も角目が見えないんですからね僕ちょっと羨ましかったですよ、その瞬間だけですけど、列車の時だけね。

「彼は目が見えないもので、少しの間見といていただけますか」とその母親は便所に発ちまして、
僕はそのかわいそな少年と二人きりになれてですね、母親が手を離したときの表情ったらなかったです。
自覚してましたのですよ、自分が弱者なんだってね。誰も周りはそんなこと教えっこないからね、
獲得していたんです、自分でね。僕ちょっと悔しかったです。それは今も続いてますけど。
その後はずっと僕笑ってました。ホントかわいそなことしたかな。ね。空気違ってました、あの時は。

「あ、あの、大変失礼ですけど乾電池を、持っていらっしゃいますか。ほんとうにごめんなさい
こんなこと聞いてしまって、自分が楽しみに、音楽聴くために持ってきた乾電池を、なんでこんな奴に、
って思うのかもしれませんけど、僕のこの眼鏡の乾電池が切れてしまって、お母さんに乾電池は預けてあって
お母さんはまた、僕を置いてどっかに、行ってしまったから、乾電池、返せるかどうかわかんないんですが、
僕の無くなってしまった乾電池を、取り替えるために僕に乾電池をいただけませんでしょうか」


#遅れです。お題は>>555ので。

557 :リボンさん ◆KILL/WjU :02/02/08 23:56
「お椀」「治安」「沢庵」
何日振りだろうか?
8日か?9日か?……まあ、とにかく久し振りってことだ。
もう長い間感じていなかった、新鮮な空気……強く照りつける太陽……。
そう、俺は外出した。したくは無かった。
だが、食料が底をついてしまったのだから仕方無い。
今までは、生活に必要な物は全て田舎の母に送って貰っていたのだが、
その母も3日前にくたばったらしい。
……メシを自分で買いに行かなくてはならなくなった。それだけだ。
俺は最低限の金を持って、足早に近所の食料品店へ向かった。

この街では強者と弱者、喰う者と喰われる者、この二つの人種しか存在しない。
「治安」……なんて響きの良い言葉だろう。くだらねえ。
そんなモノ……つまるところ「法」というモノは、この街ではもはや形骸に過ぎない。
ただ、力のある者が全てをさらって行くという……シンプルにそれだけ……。
そして、俺は完全な弱者だ。どうしようもねえ。
強者の目に付かぬよう、ひたすら日陰で生きて行く。
それが弱者の賢明な人生ってもんだ。

買い物を済ませた俺は、全力で帰路を疾走する。
「無法者に見つかりませんように……!
 無事にこのおまんまを家に持って帰れますように……!」
約50メートル先に家が見えた。やった!俺のゴールだ……!
あそこまで行くことが出来れば……俺は、お椀に白米を馬鹿みたく目一杯
――それこそ、サザエさんに出てくるわんぱく盛りみてーに――盛って、
アッツアツのお茶をかけて、それと沢庵を一緒に頬張ることが出来るのだ!

あと40メートル……35メートル……30メートル……
25……20……15……10!……5!……やったぁ――ッ!!

息を荒げながら、両手で倒れこむように玄関のドアを開ける。
買い物を投げ出し、俺は冷たい床の上に大の字になった。
高鳴る心臓の音、心地よい汗……そして、この達成感……!

こういう街も、いいかも知れない。
平和な街では決して味わうことの出来ないスリル……。
そうだ、明日はもっと遠くへ買い物に行こう。
別に何も買わなくていい。
ただ、明日ももう一度、この気持ちを味わいたいだけ……。
次は「革命」「暗雲」「瀟洒」でお願いします。

558 :リボンさん ◆KILL/WjU :02/02/08 23:58
ゴメンズレまくりだァ……。
お題は>>555さんでお願いします。

559 :こういうやり方許してね。:02/02/09 00:52

「革命」「暗雲」「瀟洒」

 「中国ほど学生が新しい思考様式に関心を寄せている国はない」
                    (ジョン・デューイ)

 私が生を受けた時、この国は熱かった。

 支配者の存在にアンチテーゼを投げかけ、学生達は自らの運命を
彼らに任せることを良しとはしなかった。理想を掲げ、自分たちの
力で自分たちの国家を計画できると本気で信じていた。

 しかし、私が成人する頃、この国には暗雲が立ちこめていた。

 戦争は辺境での小競り合いを口実に本格的な広がりを見せ、それ
に対してこの国は混乱するばかりで何も出来なかった。理想をとい
た人々の一部は豪勢な生活を謳歌しながら利敵行為を秘かに行って
いた。

 その後何度も「革命」という言葉は口にされた。しかし、その度
にこの国は少しづつ亀裂を広げ、砂糖菓子のようにすこしづつ崩れ
ていった。

 私が生を閉じようとしている今、この国は根底から崩れ去ろうと
しているのかも知れない。瀟洒な住宅地に住まいあからさまに貧乏
人を嗤う奴らがいる。一方で私が生まれたときと生活レベルの変わ
らない人もいる。金持ちは貧乏人を疎み、露骨に離れたがっている。

 革命に理想は何も我々に残しはしなかった。そもそも我々は一つ
になろう等と本気で考えたことはなかったのかもしれない。

 私は1979年5月4日に生まれた。

#漏れは555。自分のお題では書けないので、先に557のを消化。
#よって、お題は>>555の「短編」「はんぺん」「ワッペン」で。



560 :↑訂正:02/02/09 00:55
やば、最後クライマックスでタイプミス。

「私」が生まれたのは1919年5月4日。五四運動の当日。

561 :Dai:02/02/09 02:48
「短編」「はんぺん」「ワッペン」

あの日彼女が思い切り断ってしまったワッペンが今手の内にある。

僕は長い事滞ったままの創作意欲に業を煮やしていた。
そんな僕は誰からしても腫れ物同然だったろうし、
のべつ幕なく注がれる強迫的な愚痴は絶え難いものだったに違いない。

彼女はしばし呆けたようにソレを凝視し、
それから清々しいほどの愛嬌を潜ませ腰を上げ、そして去った。
「浅く広くの付き合いなんて出来るほど私器用じゃないし、
 細く長くの人生なんてまっぴら御免だわ。」

僕は彼女の言わんとする真意が全く掴めずにいたし、今日までもそうだった。
そんな節はこれまでにも多々ある、
彼女はイツだって不可解な例えを用いては僕を困らせるんだ。
けれどそんな言葉だって的を外したためしがないから余計厄介で、
そうなるとこの僕は思索し回答を出す事が課題になる訳だな、。

それでも作文用紙に向う僕は相変わらずにスランプ状態だったし、
その先にだって僅かな光明すら見受けられない。
乱筆乱文で埋め尽くされたマス目が訴える不満の声が聞こえるようだ。
憤った僕は力任せにソレを鷲掴み、断ち切り、ぶちまけた。
はんぺんの反故がキレイに中空を舞う。

僕は文字通り投げ出した気でいた。
床一面に散らばる紙くずを足先で弄しながら、僕はきっと全てを諦めていたんだね。

それから僕は何の気無しにその一枚をヒョイと取り上げたんだよ、
青臭い夢にサヨナラするような名残惜しさでね。
しかし、眼前の紙クズはそう愛想を返してはくれなかった、
何らかの訴えが僕を惹きつけ放さないんだ。
「いい加減気付いてよ、鈍いヤツだわねぇ、」

そう確かに聞こえたんだよ、彼女の生意気そうな声色で、
「深く狭く、太く短く。深く狭く、太く短く。」ってリフレインが。

こうして僕は飛び起き再び書き始めた、この短い短い物語をね。
決して深くも太くもない内容の短編だけど、僕はココから始めようと思うんだ。

あの時のワッペン? 
自分でシャツに縫い付けたよ、今着てるのがソレさ。
「失って初めて気付く事の重要性」じゃないけどね、
これからの僕にこの一件が教訓として生きるように願って縫ったのさ。

あぁ彼女は戻らないよ、だから僕は進むんだ。


思いもよらず長くなってしまいました、焦
次のお題は「イビキ」「滑稽」「未然」でお願いします。

562 :999 ◆D0999.o. :02/02/09 04:28
「イビキ」「滑稽」「未然」

 バレンタインデーが近い。俺は男だてらにチョコレートを渡した
ことがある。相手は女だ、当たり前だが。立場が逆なのだが、どう
も女から告白されるという状況が嫌いで、それを未然に防ぐために
チョコレートを渡した。男がチョコレートを渡す、という状況も奇妙
だが、それ以上に当時の俺の緊張ぶりは滑稽だった。チョコレートを
買いに行った前日は緊張で眠れず、、13日は一睡もせず、チョコを渡
した14日は興奮で寝つけなかった。
 ノリと勢いだったのか、インパクトに押されたのか、彼女は俺の
プレゼントを受け取り、ふたりは付き合いはじめた。付き合いは意外な
ほど長く続き、1ヶ月ほど前、身内だけの小さな式を挙げ、結婚した。
 結婚以来、また眠れぬ日々だ。こんなにイビキの五月蝿い女だったとは。

「白書」「ルネッサンス」「無口」

563 :うはう:02/02/09 11:41
「白書」「ルネッサンス」「無口」

 「これは地球のルネッサンスだ」
 千年地球白書は、地球の目覚しい環境回復と進歩とを謳いあげる。

 1000年かけて回復した自然環境。
 森と密接に結びついた、ネットワーク住宅。
 海中に設けられた、水産農場。
 そして、太陽の巨大化を予防するための水爆の太陽への廃棄!

 「人間族のみなさんも、よく頑張ってくれた。ありがとう!」

 答えはなかった。
 知力・体力・道徳性。全てにおいて人類を凌駕する「銀河系指導委員」。
 人間たちは、無礼にも、無口に下を向いているだけだった。
 西暦2000年当時よりはるかに広くて快適かつ清潔な、人間農場の中で。

 ※なんか・・・穏当すぎー
 次のお題は:「診察書」「復活」「静寂」でお願いします。

564 :名無し物書き@推敲中?:02/02/09 14:27
僕は確信した。
この診察書が全てを知っている、と。
精子ドナーを見つけ出し、全ての真相を解き明かすことこそ、
家族の信頼の復活になるんだ。
奇妙な使命感、そして緊張で、薄暗い地下室の静寂の中
僕はガタガタと震えていた。

「発酵」「軽薄」「昼休み」 でお願いします。


565 :リボンさん ◆KILL/WjU :02/02/09 14:29
「診察書」「復活」「静寂」
月と静寂……。
鉄格子の隙間から見える、滔々とした闇夜の空に浮かぶ満月……
不気味に沈んだオレンジ色……どこか不吉な感のある月。
でも、こんな月でも、僕にとっての最後の月。コレが見納め。

僕は明日、死ぬ。法に殺される。
僕は沢山人を殺したから、その報いなのだろう。
責任を回避する為、キチガイを演じたりもした。
無駄だった。
一枚の診断書が、僕の演じた全てを否定してくれた。
まるで茶番劇だ。ははは……は……。

今、恐怖は無い。
鉄とコンクリートに縛られる、この場所に来てから、
明日という日をどれだけ恐れて来たことか。
だが、ソレが眼前まで迫ってくると――絶対的なモノとして具現化されてくると――
不思議と恐怖は消えて、ある考えが僕を支配するようになった。

人は死ぬと夢を見る。
いい夢なら天国、悪夢なら地獄、人はそう定義する。
そして、肉体は乗り物……自動車と何ら変わらない。
少しの間、降車して夢を見る。
目覚めたらきっと、そこは新しい車の運転席なのだ。そうに違いない。
だから、僕はいつか復活するだろう。
いや、「復活」と言うのは正確ではない。
中身は絶対的なモノで、永久に不滅なのだ……。

逃避かも知れない、と思った。
いや、コレが心理だ、とも思った。

思考が合わせ鏡のように、永遠に向かって突き進み始めた……。
次のお題は「幽玄」「煌き」「詭計」

566 :リボンさん ◆KILL/WjU :02/02/09 14:30
すまそーまた被った。
お題は>>564さんのやつでお願いします。

567 : :02/02/09 14:35
>>565
>文章は5行以上15行以下を目安に。

これ知ってる?

568 :名無し物書き@推敲中?:02/02/09 14:43
6行じゃん

569 :名無し物書き@推敲中?:02/02/09 14:49
>>565が6行に見えるのか!?

570 :名無し物書き@推敲中?:02/02/09 15:53
まあどっちにしろかぶってるし>>565はなかったことに。

「発酵」、「軽薄」、「昼休み」で。

571 :うはう:02/02/09 17:01
「発酵」「軽薄」「昼休み」

 昼休みはたった45分。校門を抜けて、駆け足で病院へと向かった。

 彼女は白いネグリジェ姿で、ぽつねんと病棟の庭を見ている。
 「こんにちは!何かたべるもの無いかー」と、病室に踏み込む自分はアホだった。

 「いらっしゃい」という彼女も・・・きっとあきれはてていたのだろう。
 「で、予定日はいつなんだ?」「あと3ケ月くらいだって」

 あと3ケ月。
 あの呪わしき白血病が、彼女を連れ去ってしまうまでの時間。

 「なんとか、5割増くらいに・・・」死期が近づくにつれ、客も途絶えた。
 机のメロンも、夏から置きっぱなしで発酵した香りさえぷんとする。

 それならと、むいてもらったリンゴを食べながら
 「死ぬ前に初体験をという事なら、ぜひ僕と(涙)」なんて事いってる自分。
 「ごめんなさい、点滴があるからだめだって(笑)」と、応える彼女。

 薄幸の美少女を前にこんな事しか言えない。死を前にした会話だろうか?
 哀しみも制限を越えると、現実が漫画みたいに思えてくる。
 3ケ月後・・・。 こんな悲惨な「現実」は受け止めたくない。

 <<< 心配御無用! 現実じゃありません >>>  

 ※書いてて暗くなってきた。夕方だから?
 次のお題は565さんの:「幽玄」「煌き」「詭計」でお願いします。

572 :名無し物書き@推敲中?:02/02/09 17:24
「発酵」「軽薄」「昼休み」 

なに?酔っていたから良く覚えていない?いいわ、順を追って説明してあげる。

前からあなたが軽薄そうな彼女のこと、嫌っていたのもわかってた。
なんてったって小学校以来のつきあいだもんね、私たち。
だから彼女があんな話を始めた時、あ、こりゃまずいと思ったのよ。
偏食ぎみな子供が飲めない牛乳を机に隠して数ヶ月。
昼休みの掃除の時間、ヨーグルト状になったそれがクラスの皆に見つかって笑いもの。
どこの小学校にもよくある話よ。

でも彼女、あなたにそんな暗い過去があったなんて思いもよらなかったんでしょうね。
それはそれはさも愉快なことのようにしゃべっていたわ。
うん、あなたがキレちゃうのもわかる。
彼女にウイスキー浴びせかけてしまったのも、この際良しとしましょう。
え?じゃあなにがいけなかったのかって?
あなた、ウイスキーが滴る彼女の胸元指差しながら「これがホントの発酵乳ー!」って・・・。

あなたにそんなオヤジギャグかまされちゃうと、
あたしももうそんな年になっちゃったのよね・・って、
こっちまで情けなくなるのよ!

#遅れてしまいましたがせっかくなので投稿。お次は「幽玄」「煌き」「詭計」ですね。

573 :名無し物書き@推敲中?:02/02/09 18:02
「幽玄」「煌き」「詭計」

灯明は落ちた。
光の下闊歩する者共の気配の消え去りし幽玄の刻こそ
我らが眷属の世界なり。
我が眼下の疾きことは歯車のごとく、我が双翼の煌きは黒き臓腑のごとし。
我らを滅さんとする光の者共よ。汝らの詭計片腹痛し。
たとえ汝らが滅びようとも、我らは決して滅びざるなり。
汝らと共に我らが在ること、努々忘るることなかれ!

「出たぁ!ゴキブリッ!」

「タブレット」「カポタスト」「マキャベリスト」でお願いします。

574 :999 ◆D0999.o. :02/02/10 01:56
「タブレット」「カポタスト」「マキャベリスト」

 ビタミン剤のタブレットを神経質そうにコップの水で飲み下し、
シュウは楽譜に目を落とした。俺は弦に付着した汗を拭き
ながらおそるおそる彼を見上げる。何かミスっただろうか、と
自分の演奏を頭で再現する。ライブは1週間先に迫っていたが
練習不足は否めず、バンドは統一感に欠いていた。
 リーダーでギタリストのシュウは、バンド内では絶対的な権力を
持つ。マキャベリストとしか思えない現実的で合理的な彼の
指示はバンド内でも反発が多かったが、それもしかたがない。
彼の音楽的な才能はぬきんでていた。
 修はギターにカポタストをはめ、軽く調弦すると次の曲目を
指示した。さっきの曲に関して何も言わないところが怖い。
 ボーカルがマイクを握りなおし、聞き慣れたアニメのイントロが
流れた。

「潜る」「モーグル」「輪廻」

575 :魚@溺死:02/02/10 03:01

「潜る」「モーグル」「輪廻」


膣は険しかった。まるでスキーのモーグルのコースの様に。
子宮は深かった。俺はジャック・マイヨールにでもなったつもりで、
潜る。当然、後ろの奴等は追いつけない。
輪廻の海に太陽を見つけた。
そこは赤くて暗くて暖かくて居心地がよかった。
外を見ると遅れて行き場を失った奴等が彷徨っていた。
ざまぁ見ろ。俺の勝ちだ。ざまぁ見ろ。
そして俺は全てを忘れた。

576 :Dai:02/02/10 03:14
僕は辞書が苦手だった。
辞書をひく行為自体を億劫に思うばかりではない、アレは鞄に収める時ひどくかさばるんだ。
そんな理由からmy辞書は酸っぱい体育シャツなんかとごったにロッカーへ放置されてある訳。

今朝一限目の授業は現代国語、「生徒は黒板オンリー」みたいな担任なので気は楽だ。
ある者は持参の漫画本をめくり、またある者は手鏡やケータイと睨めっこ。
銘々の過ごし方は実に多彩で、概して平穏な時間を過ごしている。
僕は空きっ腹に眠気を抱えて、ただ手持ち無沙汰に酸っぱい辞書を弄ぶ。
外来語の括りを巡るうち、「セックス/性交・性欲・性別」の赤丸チェックに注視。
すれば何やら異臭プラスの酸っぱい感慨が沸いてきて、僕は慌てて他へと目を移す。
「アガペー/神の愛・献身的な愛」
なんだかアッカンベーみたくて不足する慈愛を実感、そーゆー世相さ。
・・・ん、なんか外来語って発音と語意のマッチ具合が楽しいかも、。
「イッヒロマン/自伝風の一人称私小説」、往々に独善的である理由をイッヒに実感。
「ウーピーズ/富裕な老人層」、凋落を忌避し抗う連中の楽観性を強く実感。
いやいや参った、言葉て案外まんまのイメージ伴ってんじゃん。
おし、じゃあこれから解説を見ずに発音のみから語意を当ててみよう。
では手始めに「オートナース」、コレはばっちり自動看護婦でしょぜってー。
お次はえーと、「カポタスト」、棚ボタ狙いの非生産者とか?・・・わかんねー。
次、「カレンシー」、・・・うーん、Hey彼氏ーみたいなノリだろ?こりゃ誘ってるネ。
「スキッパー」、スキップ歩行者?・・・あっ、隙っ歯野郎じゃん?!
「チンネ」、中国語で勃起しちゃったの意。
「ファシリティ」、国粋者どもが生息する街、あるいはその傾向。
「マキャベリスト」、ロカビリースタイルがセールスポイントの悪魔崇拝者。
「ユマニテ」、ネオナチ思想に傾倒気味のコマネチ兄弟、長兄。
「ルビコン」、ルビ(ふりがな)コンプレックス(?)。あるいは光モノ偏愛とその人。
「ワイプ」、悪魔的容姿が売りのWARP社社長が再興を賭け立ち上げたファッションブランド。
・・・さてこんなトコかな、答え合わせといこうか。

世界の縮図、言葉のカオス、あぁ辞典。そしてますます苦手になった。
こんなフザけたテストの落第にすら普通に悔しがるテメェの精神構造が悲しいと思った。













577 :Dai:02/02/10 03:16
上は遅れて「タブレット」「カポタスト」「マキャベリスト」の創作でした。
どーぞ無視して次進んで下さい、毎度すみませんしたっ。


578 :999 ◆D0999.o. :02/02/10 03:23
>>575
>>576
どっちでもいいので次のお題を(w

579 :Dai:02/02/10 03:33
それではお題です、
「味覚」「未熟」「魅惑」でよろしく。



580 : :02/02/10 03:33
◆「この3語で書け!即興文ものスレ」の感想スレ◆
http://cheese.2ch.net/test/read.cgi/bun/1005641014/

こんなスレもあります。こっちも覗いてみてはどうでしょう。

581 :通りすがりの変態:02/02/10 04:36
「味覚」「未熟」「魅惑」

少女の其れはとても魅惑的で、この少女にこそ似つかわしく思えた。
手を触れることの許されぬ深遠の美が其処にあった。
其の領域を恐らく初めて目の当たりにし、初めて手を触れる他人が、
自分であるということに鳥肌が立った。
舌先が少女の未熟な部分に触れると、細い身体が弓なりに反り返る。
石鹸の仄かな香りと少女其のものの香りが入り混じる。
今まで味わったことのない、例え様のない味覚に後頭部に冷たい覚醒を覚える。
世界が極彩色に変わる瞬間だった。


おDIE「逆光」「地獄へ落ちろ」「自縄自縛」

582 :通りすがるライダー:02/02/10 05:14
 「逆光」「地獄へ落ちろ」「自縄自縛」

 自縄自縛のオレッチは、イカしてイカレたもののけライダー。飛ばすぜ天
国、落ちるぜ地獄、ハーレにオレッチ壊れて飛んで、落ちたところは崖の下。
雪の日滑ってあの世に行って、死んでも生きてもぶるるるるーん。

 神ちゃん、神ちゃん、迎えはまだかい。峠を百恵に走り抜き、国道千恵に
燃え尽きて、ガタピシきてもぶるーんぶるーん。

 とうとう来たぜ、コンチクショウ。雲割れ天割れ世界が割れて、日輪逆光、
わぁ眩しー。神ちゃん、神ちゃん、初めて会うけど、なんだか神ちゃん、ご
機嫌ナナメ。中指おっ立てファックユー。

 「地獄へ落ちろ」

 ちぇっ。
 オレッチに、命令すんじゃねーや。

 次は「朝顔」「兵」「水浴び」でお願いします


583 :通りすがりの(゚Д゚)ぅゎぁー。:02/02/10 06:11
何処かの国の兵隊の様な蟻の行列が、植木鉢の横を一筋の黒い線になり通り過ぎている。
植木鉢には朝顔が咲き誇っていた。その朝顔のうちでまだ開いていない可憐な蕾を、
弄びながら、「通りすがりの変態」がオナーニしていた。見るに見かねた「通りすがるライダー」が
水浴びをしながら通りすがりに「通りすがりの変態」を轢こうとした。しかし、
変態は朝顔の葉っぱを踏み台にしてぎりぎりのところでバイクを避けた。
ライダー「地獄へ落ちろ」
変態「ちぇっ。オレッチに、命令すんじゃねーや」
「通りすがりの変態」はオナーニしながら逃げる。「通りすがるライダー」は
アクセル全開で「通りすがりの変態」を猛追する。「通りすがりの変態」は
中指おっ立てファックユーをして挑発する。「通りすがるライダー」の
世界が極彩色に変わる瞬間だった、とか。「通りすがりの変態」の
舌先が「通りすがるライダー」の未熟な部分に触れると、「通りすがるライダー」の
細い身体が弓なりに反り返ったとかで小生あえなく昇天らしい。



584 :通りすがりの(゚Д゚)ぅゎぁー。:02/02/10 06:19
(゚Д゚)ぅゎぁー、しもうたヲDIE忘れた。
「セクシーさを強要」「ジャポニカ学習帳」「ラムのラブソング」でおねげー。


585 :名無し物書き@推敲中?:02/02/10 08:40
長すぎる!
お題も書け、アホ!

586 :名無し物書き@推敲中?:02/02/10 10:41
>>585
ちみも >>1 を読みたまえ。

> 5:お題が複数でた場合は先の投稿を優先。前投稿にお題がないときはお題継続。



587 :名無し物書き@推敲中?:02/02/10 10:48
>>584
最後の行に書くの忘れたら無理にお題書く必要はない。

それに、ちみもルール違反だ。

> 4:最後の行に次の投稿者のために3つの語(句)を示す。ただし、固有名詞は避けること。


588 :通りすがりの変態:02/02/10 10:48
「セクシーさを強要」「ジャポニカ学習帳」「ラムのラブソング」


少女は机に向かい、その横に男が座っている。
男は少女の脚を撫でさすっている。時折、少女は身体をピクッと震わせる。
男の手が少女のスカートの中をまさぐる。男は無言でジャポニカ学習帳を
指差す。問題は一問も解けていない。少女は震える手で一問目の解答を
書こうとしたそのとき、男の指が少女の一番敏感な部分に触れた。
「あっ・・・ぁぁ・・・や・・・・ぁ」少女のシャーペンはノートを
斜めに横切る線を引き止まる。「セン・セ・・ぁ・・・駄目ぇっ・・・」
男の指は執拗にそこをこね回す。「もっとセクシーに」と男が
セクシーさを強要する。少女は消しゴムでさっき引いた線を
消そうとするが身体が揺れてしまって関係無い部分を消してしまう。
「ぁ・・・」少女の頭の中でラムのラブソングがこだましていた。

お題「ブルマ」「(゚Д゚)ぅゎぁー」「山田ドリンク」


589 :うはう:02/02/10 11:30
「ブルマ」「(゚Д゚)ぅゎぁー」「山田ドリンク」

 花のパリ、地下鉄ガルニエ駅。2階に上がった男は、カフェに落ち着く。
 「コーヒーでももらおうかな」
 ウェイターにブルマンを一杯注文すると、こう答えが返ってくる。
 「そんなもんはないよ、ムッシュ」「・・・ゑ!?」
 でてきたのはネスカフェのインスタントコーヒーであった(涙)

 いよいよお勘定、財布を探ると・・・ない! (゚Д゚)ぅゎぁー
 「財布、やられたね」
 「あなたはニッポンジン?なら、これ飲めたらオーケーだ」
 語調が変わったウェイターが持ち出してきたのは、謎の「山田ドリンク」であった。  
 いかにも外国人が書いた様な「山田」の文字。国籍不明の品質表示。

 「もはや、この「山田ドリンク」は、一部では固有名詞ではないほど有名だ」
 ウェイターが笑う。
 その「一部」の内容がすごく気にかかる。生命に支障はないのだろうか。
 不気味に光る緑のドリンク・・・発射時刻が迫っている。
 どうする!?

 ※「固有名詞ではない」 のだそうです(笑)
 次のお題は:「ふとん」「宇宙船」「放課後」でお願いします。

590 :うはう:02/02/10 11:35
あわわ、自分で誤植発見(^^;
「発射時刻」だってさ(笑)「発車時刻」ですよね。我ながら恥かしい。

591 :名無し物書き@推敲中?:02/02/10 12:15
少女は呟くように歌っていた。
高木は、まだ整理されず机の上に山積みになっていた証拠物件の中から一冊の
ジャポニカ学習帳を取り上げた。中にはたどたどしいひらがながびっしりと書き込ま
れている。表紙には、高木の読めない国の文字が大きくマジックで書かれている。
少女の本当の名はナーゼフというらしい。繁華街のロリータクラブが摘発されて、
密入国して働いていた少女は、送還される日を待っていた。スチールデスクの前
に座らされた少女は、フリルのたっぷりついた服を着て、細い足を投げ出している。
店ではその手の趣味の男相手に働かされていた。セクシーさを強要されたりはし
なかったが、人形が着るような服を着せられ、人形のように扱われていた。
高木はコーヒーを淹れかけ、思い直して自販機でジュースを買った。
少女の前に紙コップを置く。
好きよ、好きよ、好きよ……。
少女はうつろな声で歌う。高木は驚いて少女の顔を見た。少女の表情は変わらない。
「ラムのラブソングですね。店で教えられたんでしょう」
同僚が、少女のための書類を机に揃えながら言う。
好きよ、好きよ、好きよ。
リフレインは続いた。

#2行オーバーです。申し訳ない。
お題は>>589で。


592 :文谷良介:02/02/10 12:42
>>591は巧いなあ。
「ふとん」「宇宙船」「放課後」

「なんかもう、何もかもが無意味に思えちゃってさ。なんでみんなこんなに
必死になって勉強しなくちゃならないんだろう?」
 私は放課後の3年2組の教室の窓から西日を眺めながら、ぽつりと言った。
幹久は私の後ろに座って、黙ったままだ。
「夜寝る前とかにね、すごくそういった考えても仕方ないことを考えちゃうんだ。
かといって、勉強を止めるほどの勇気もないんだ、わたし。」
 後ろを振り向くと、予想以上に深刻そうな顔をして幹久が考え込んでいた。
私は、そんな真剣にならなくていいよ、寝言なんだから、と言おうとして口を
開きかけたが、幹久の方が先にこう言った。
「逃げよう。」
「え?」
「どこかへ行くんだ。ここから少しでも遠くへ。俺、勉強して、宇宙船作るよ。
それに乗って、どこか遠い星まで逃げて、そこに住もう。」
 私は幹久のやさしさに返す言葉を見つけられなかった。幹久もそれきり黙ってしまったので、
私達はそれから長い間、そうして教室に居た。
 今日家に帰ってふとんに入ったら、また今日のことを考えるのだろう。そのとき、
不完全かもしれないけど何か答えを見つけられそうな気がした。

 数行オーバーすみません。
次の題は「迷路」「滞り」「坂」

593 :(゚Д゚)ぅゎぁー:02/02/10 13:16
「迷路」「滞り」「坂」


気が付くと迷路の中にいた。俺以外にも、俺と同じような状況の
奴がいっぱいいるようだ。塀は高く乗り越えて行くことは叶わない。
それぞれの通路に人が多すぎる所為か、何処も滞り通り抜けが
容易ではなさそうだ。俺は人気の無い道を選び進むことにした。
どのくらい歩いただろう、道は尽きる事が無い。何がどうなって
いるのだろう、どうしてここにいるのだろう、そもそもここは
何処だろう、いったい俺は気でもくるってしまったのだろうか。
坂本弁護士一家失踪の真実を探っていただけなのに。

雪が降ってきた。もう歩く力は残っていない。寒い。

おDIEは「雪」「秘密組織」「世界滅亡」でおねがいします。


594 :「雪」「秘密組織」「世界滅亡」:02/02/10 13:36
これは、俺がある信頼できる筋から入手したネタだ。
数年のうちには現実のものとなるだろう。

一般人は雪の積もった日は、バイク以外の交通手段を使ってはいけないという法律が出来るらしい。
300m以上の徒歩も禁止だそうだ。
そんな事したら事故続出で死人が多数出るって?…その通りだ。
この件には世界的に暗躍する秘密組織が関与しているらしい。
その組織は、日本の議員や官僚など政治中枢にも強い影響力を持っている。
組織の支配力から逃れることは、死を意味するらしい。

まずは他国に先駆けて、人口密度が高く平和ボケが蔓延している日本が選ばれた。
これが、世界滅亡長期50ヵ年計画の開始だった。

#次は「ホームシアター」「成分点滴」「V字腹筋」で。

595 :594:02/02/10 13:39
開始だった。 →開始だ。

596 :Σ(´□`lll):02/02/10 13:48
「雪」「秘密組織」「世界滅亡」

歪んだ視界が酷く気持ち悪かった。変化を受け入れられなくて軋む身体が辛かった。
「開けてはいけないパンドラの箱って奴だったのかな……」
自らスイッチを押し、この混乱の世界を作り出した男が呟く。俺は武器を構え、男に照準を合わせた。
この男を許せない――そして、止められなかった自分も許せない。
「何を今更……お前が壊したんだ。お前が、この世界を壊したんだ!」
「止められなかった君にも責任はあるだろう? 止めたければ、その銃で私を撃てば良かったんだ」
飄々と言い放つ男の顔を凝視して唇を噛む――そうだ、俺は止められなかった。
あの組織の飼い犬として存在を玩ばれていた時から、ずっと願っていた――
俺を認めない世界など壊れてしまえ、と。
足元は低い唸り声を上げながら揺れている。大地の鳴動に耳をすませて、俺は暗く凍てついた空を眺める。
「……俺は任務を受け入れながら……成功させると断言しながら……」
……壊してしまいたかったんだ。自分を受け入れない、君のいるこの世界を。
空から冷たい物が落ちて来る。頬を濡らすそれは、白く穢れた雪。俺の愛した君と同じ名前の儚いもの。
ユキ……君もどこかで、俺の失敗を嘲笑っているのかい?
振りしきる雪を呆然と眺めている俺の顔を見て、男は微かな微笑みを浮かべた。
滅びが支配する世界の中心で、俺達は為す術も無く立ち尽くすしか無かった。

初参加です、一行オーバーすみません。
次は「煙草」「猫」「パソコン」で。

597 :Σ(´□`lll):02/02/10 13:49
ごめんなさい、被った。

598 :リボンさん ◆KILL/WjU :02/02/10 17:39
「煙草」「猫」「パソコン」

俺の部屋、そのベランダ。
その7階のベランダで、俺は禁を破り煙草を吸っていた。
小説家志望の俺にとって、原稿用紙約1000枚分相当、脱稿間近のその処女作は……
そして、それが収められたパソコンは……
――幾分大袈裟かも知れんが――今の俺の全てだった。
それに全てを賭けていた。俺の夢だった。
クソ猫が……。
変化の無い、ループのような仕事を終え、夜遅く帰宅した俺は目を疑った。
床に産散乱する、水槽のカケラ……。
天袋で飼っていた熱帯魚が、パソコンと共に死んでいた。
キーボードの上で得意げに俺を見つめる、猫のその顔……。

俺はベランダから、下を覗き込んだ。
アスファルトに叩きつけられ、臓器の飛び出た猫の顔は、
それでも得意げに見えた。

ジャスト15行。次のお題は「訥弁」「眼光」「微笑」

599 :ホームシアター・成分献血・V字腹筋:02/02/10 18:06
成分献血をし終わった後のような形容し難いだるさを感じ、佐藤はソファーに横たわった。
元気な時は、うつ伏せになりV字腹筋でもしたのだが、其のエネルギーすらない。
犬のように働き、金も権力も得たのだが、膨大な疲労感も手に入れてしまった。

気晴らしにホームシアターで戦前の無声映画を見ることにした。
ホームシアターを享受できる身分になったことを悦に感じたが、
そこはかとない脱力感からコメディアンの演技にクスリともできなかった。
馬車馬のように働いた事が感情すらも奪ってしまったのだろう。

映画は山場に差し掛かった。ヒロインがカメラに近づき主人公に愛を囁く。
背景が黒くなり「I love you」と出る、と佐藤は先を読む。
幾度も鑑賞しているのだからストーリーは全て把握している。
が、字幕は佐藤の期待を裏切り「Come on!」と浮かんぶ。そして次々と日本語字幕が映し出される。
「こっちにおいで」「そんな世界つまらないでしょう」「こっちに来なさい」
女のアップに切り替わった後も、女は佐藤を妖しい眼差しで見つめ、誘い続ける。

佐藤は女のフェロモンに引き寄せられ、ゆっくりとスクリーンに近づくと、
そのままこの世界から逃避した・・・。

次は「訥弁」「眼光」「微笑」



600 :599:02/02/10 18:08
×うつぶせ→○仰向け
すまん。

601 :名無し物書き@推敲中?:02/02/10 18:42

「訥弁」「眼光」「微笑」

 目を覚ますと、僕は病院のベッドに寝ていた。

 傍らに、見知らぬ女性がおり、何事か僕に声をかけている。が、
もごもごとして意味が取れない。え?と云う顔をすると、うっす
らと微笑んでまたゆっくりとしゃべる。しかし、またも何を云っ
ているのかわからない。

 医者らしき男が入ってきてまた何事かを云った。それも聞き取
れない。最初は彼女の訥弁のせいだと思っていた。しかし、そう
ではない。彼らは僕の知ってる日本語と違う言語をしゃべってい
る。背筋に戦慄が走り、ベッドから跳ね起きる。

 ドアが開き、がっちりとした男が入ってきた。真っ直ぐにこち
らの顔を見つめ、足早に歩いてくる。その眼光に射すくめられて
動けなくなる。

 そして男は云った。
 「共和国にようこそ。あなたは選ばれた人間だ。」

#次のお題は「経験」「用件」「眉間」で。


602 :◆SpLWlLC. :02/02/10 19:47
「経験」「用件」「眉間」

赤い帽子が怖い。
今までこんな経験味わったこと無いわって女に言わせられて
いい気になってたのにさ、こんな所であんな奴に追われる羽目になるなんて。

一体いくつ部屋があるんだよ。

一番初め、気が付いたときには「つま先」って書かれた部屋にいた。
「脛」だの「腿」だの「臍」だの、逃げてきてな。流石に「ぼんのくぼ」まであったのは
笑っちまったけどな。今は「眉間」ってことはそうとう上り詰めてきたわけだな。

確信は無いが、きっとてっぺんまで行きゃいいんだろうよ。それ位しか俺に道は
残ってないしな。そこで俺への用件を聞けるんだろ、な?

『てっぺん』にあたる部屋には何て書いてあるんだろな。俺には語彙が無いんで
だれか教えてくれ。それ位しか俺が裏切れることないだろうからさ。


#次は「一刀両断」「タレ」「光線」で。

603 :踊るボボ人間:02/02/10 20:55
「一刀両断」「タレ」「光線」

 「悪魔の光線銃」と呼ばれた兵器を開発した組織によって引き起こさ
れた第三次世界大戦が終結した。
 人々は瓦礫と化した街の中で精一杯に日常生活を営んでいる。食べる
物にも住む所にも困ってはいるが命あることを感謝し力強く生きている。
 幸運なことに私の家族はみな無事で、家も崩壊を免れていた。ささや
かだが食事も人並み以上にはできる。市場で手に入れた魚で家族団欒を
心から楽しんでいるときだった。
 家の外で物音がしたので私はゴルフのドライバー片手に表にでた。こ
のご時世だけに不信人物が他人の家に侵入してくるなんてのはよくある
ことだ。
 不信人物はタレントのよねすけだった。開口一番奴はこう言った。
 「突撃隣の晩ごはーん!」
 ゴルフのドライバーで脳天から一刀両断にしてやった。噴水のように
血を噴出しながらよねすけは息絶えた。
 後悔はしていない。

#次ぎは「電光掲示板」「逐電」「ぎょうちゅう検査」

604 :「詭弁」「眼光」「微笑」:02/02/10 22:11
「もういくら黙っていても無駄ですよ」マヨネーズ警部は彼に向かって言った。
「もう証拠も、証言も全て挙がっているんですよ、いい加減喋ったらどうですか?」
「そうだぞ、内藤」ケチャップ警視も横から口を挟む。
どうしてもこの状況は覆せない・・・内藤は焦っていた。証拠は一つも残さずに
全て隠滅したはずだ。しかし、こいつらのこの微笑は一体・・・?
俺は一体何を間違えたんだ・・・?
くそ、こんな、こいつらの詭弁に引っかかってたまるか・・・!
「どうしても言わないようなら、仕方ない、これを読んでみますか?」
マヨネーズ警部は机の上に、一冊のノートを置いた。内藤はそれが何かを知っていた。
殺した、妻の書いていた日記だ・・・。手にとって読むほうがいいのかどうか迷ううちに、
俺は自分の殺人のミスに、ようやく気が付いた。あっ、と言いかけて、慌てて黙った。
しかし、彼らはそれに気がついたようだ。彼らの目に眼光が宿ったのがそれを証明していた。
汗が噴出した。俺は顔を下ろして、取調室の中の空気に負けないように耐え続けていた・・・。

次のお題は、「カエルのケロ吉」「ブロードウェイ」「マラカス」です。


605 :名無し物書き@推敲中?:02/02/10 22:12
ぐわー!604です。これは無視してください。すまんね。

606 :お約束の定期コピペ:02/02/10 22:29
このスレのお約束。
1:前の投稿者が決めた3つの語(句)を全て使って文章を書く。
2:小説・評論・雑文・通告・??系、ジャンルは自由。官能系はしらけるので自粛。
3:文章は5行以上15行以下を目安に。
4:最後の行に次の投稿者のために3つの語(句)を示す。ただし、固有名詞は避けること。
5:お題が複数でた場合は先の投稿を優先。前投稿にお題がないときはお題継続。

<700までいったら気付いたヒトはまたコピペして下さい。>

607 :名無し物書き@推敲中?:02/02/10 22:43
700はいかない
新スレ希望

608 :名無し物書き@推敲中?:02/02/11 00:45
>>606

>>1 に加えて、こっそりこんなルールもあります。
6:松本祥宏が提示したお題は無視。
7:お題「おまんこ」「最大」「文芸」の組みあわせは禁止。
8:「おまんこ」はNGキーワード。
(巻之三の >>118 より)


609 :「電光掲示板」「逐電」「ぎょうちゅう検査」:02/02/11 00:48
夜も明けきれぬ未明に紛れて次郎左衛門が出奔した。
最初に気付いたのは老中配下の者で、直ちに国境が閉じら街道筋では
宿場検めが行われた。その甲斐あってか、程無く次郎左衛門は引っ捕らえられ
手枷足枷亀甲に結ばれ城中に送られたのが出奔から二日後のことである。
白州の場では、厳しい審問が行われ次郎左衛門は夜半に口を割る。
「武士たる者、ぎょうちゅう検査ごときで菊門にセロハンを貼るは一生の不覚」
次郎左衛門の扱いに藩意は二つに割れたが、老中堀田の沙汰で打首獄門とされ、
ただちに城下の電光掲示板が事の次第を知らせた。
忠義に生きるが定めである故、誰がこのもののふを責められようか。

次は「ペンション」「オフ」「分岐」で

610 :名無し物書き@推敲中?:02/02/11 01:25

「ペンション」「オフ」「分岐」

 タケシは目を真っ赤にしながら、しかし誇らしげに云った。
 「オレ、ついにやったよ」

 タケシはあるゲームに取り憑かれていた。冬山のペンションで凄惨
な殺人事件が起こるサウンドノベルだ。そのゲームにはある噂があっ
た。隠し設定で主演アイドルのヌード画像が拝めると云う噂だ。その
アイドルが死ぬほど好きなタケシは、ひたすらその隠し経路を探して
いた。

 タケシは、全ての分岐点をチャート化し、あらゆるフラグの組み合
わせを虱潰しに調べていったのだ。その狂気の道程のホンの一部を僕
は目撃している。そうか、ついにやったのか!

 「最後のフラグは電源スイッチのオフだったんだ」
 タケシは心底満足げだった。

 僕は涙が止まらなかった。タケシが見たのは昨日深夜のお色気番組
にちがいない。

 5年の歳月は新人アイドルを裸にするのに十分な歳月だった。
 
#お題は>>604の「カエル」「ブロードウェイ」「マラカス」をサルベージ
#一部は変えたよ。

611 :(゚Д゚)ぅゎぁー:02/02/11 01:46
新宿は歌舞伎町に立つ小さなペンション。室内に居る人間達は
ヒエラルキーのどの位置にに属するのか解らない。そんななかの
一人に通りすがりの変態もいた。変態はぎょうちゅう検査に
引っ掛かりすっかり混乱していた。クラスで一人だけ検査に
引っ掛かりそれがたちまちクラス、否、学校中に知れ渡ってしまい、
あだ名が「通りすがりの変態」から「ぎょうちゅう」に変わって
しまうかもしれないからだ。いわばこれは、人生の分岐点に
なるかもしれないのだ。
そして今、通りすがりの変態はインターネットの巨大掲示板サイト
「2ちゃんねる」のオフ会、その名も「ぎょうちゅうオフ」に参加
しているのだった。しかし、参加者達はそれぞれに山田ドリンク等を
飲み交わしているばかりで一向にぎょうちゅうの話をしない
通りすがりの変態は恐る恐る隣の年の頃五十代のサラリーマン風の
男に「あ、あのぅ、、ぎょうちゅうは?」と問いかけた。男は
通りすがりの変態を変なものでも見るような目で見つめた。
ふ、と周囲を見回すと他の参加者達も、もものすごい目で通りすがりの
変態を見ている。
(゚Д゚)ぅゎぁー。

おだいは「殺意」「ピョン(゚д゚)ヤン」「純愛を強要」

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